AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

記事リンク用ページ開設しました

本ブログ「AnDrew’s小生意気レビュー記」をご利用いただき誠にありがとうございます。

各作品の感想レビュー記事等がかなり溜まってきたので、作品ごと及びその中の話数ごとに感想レビュー記事を辿りやすくなるようリンクをまとめたページ(サブブログ)を開設いたしました。各作品のタイトルごとにページを分けそこから各話の記事に飛べるようになっています(放送中の作品については優先的に上の方に配置しておきます)。

下のリンクから当該リンク用のサブブログへ移動することができますので是非ご活用ください。

また各作品のタイトルごと意外にも、「劇場公開作品」、「仮面ライダー関連のスピンオフ作品」、「雑談、コラム扱いの記事」へのリンクも設けておいたのでもしよければそちらもよろしくお願いします。

 

↓各感想レビュー記事リンク用サブブログ

AnDrew’s小生意気レビュー記 記事リンク用

またこのサブブログのリンクを載せた本記事は、本ブログのトップに表示されるよう設定しておくのでいつでもご利用ください。

 

今後とも「AnDrew’s小生意気レビュー記」を何卒よろしくお願い致します。

ブレーザー怪獣語り・結

アースガロン

 

別名:23式特殊戦術機甲獣(略称:特戦獣)

身長:50m

体重:2万5000t

初登場:ウルトラマンブレーザー第2話「SKaRDを作った男」

CV:石田彰(EGOISS/アーくん)

 

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地球防衛隊極秘裏開発していた二足歩行怪獣型対怪獣ロボット兵器特殊怪獣対応分遣隊「SKaRD」主戦力として投入され、隊長ヒルマゲントまたは副隊長ナグラテルアキ機長に、隊員ミナミアンリまたはバンドウヤスノブ操縦手に据える形で操縦・運用される。

f:id:AnDrew:20240403203217j:imagef:id:AnDrew:20240403203210j:imagef:id:AnDrew:20240403203214j:image

↑前面図および側面図および背面図。

液化燃料メインエンジンによる最高速度マッハ4での飛行を可能としており、これにより作戦区域緊急展開戦闘を行う。口内砲塔から発射する武装荷電粒子砲・アースファイアをはじめ、両腕105mm機関榴弾砲アースガン作戦ごとに対応した弾頭への換装基地待機する隊員による弾頭の遠隔誘導も可能な尾部5セル垂直誘導弾発射装置・テイルVLSといった武装など様々な兵装搭載、更に近接戦闘特化したCQCモードにも対応しているなど、多彩な戦術展開することが可能となっている。また万が一システムダウンを起こしメインエンジン停止しても、首の付け根にあるAPU(補助動力装置)緊急レバーを引くことにより再始動することもできる。後に後述の強化ユニット装着新型AI対話システム・EGOISSによる言語を介した戦術情報の共有といった機能拡張も行われ、特に後者はヤスノブが命名した「アーくん」という愛称を用いてのSKaRDメンバーとのコミュニケーション発展にも繋がった。「アーくん」は機械的ながらもSKaRDメンバーに対する友愛を感じさせる物腰柔らか人格が特徴。

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↑両腕のアースガン。
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↑尻尾のテイルVLS
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↑主武装のアースファイア。口内から砲塔が展開しチャージの後発射される。

 

 

アースガロン Mod.2

 

身長:50m

体重:2万7000t

初登場:ウルトラマンブレーザー第8話「虹が出た(後編)」

 

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両肩部分にそれぞれ1門ずつの計2門砲塔を備えた砲撃装備・Mod.2ユニット装着した強化形態(ModMODEL略称)。1ヶ月以上先実戦投入を目処に開発・調整が進められていたが、対ニジカガチのためにテスト無しぶっつけ本番での実戦投入が行われた。

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↑前面図および背面図。

右肩には地球上から宇宙空間にまで届くほどの射程を誇る高威力弾丸高速射出可能な600mm電磁榴弾砲ことレールキャノを、左肩には拡散モード収束モード2種類に切り替えが可能な多目的レーザーをそれぞれ備えており、これらの両兵装を利用した遠距離攻撃・銃撃戦を得意としている。一方でレールキャノンは威力の高さ故に強力な反動を伴うため照準定めづらいなどのデメリットも存在する。またユニットは状況に応じて脱着が可能で、ゲバルガ戦においては降下中のゲバルガに対して多目的レーザーによる狙撃を行った後、降着はユニットを取り外しCQCモードでの接近戦を挑むといった形で応用された。最大の技アースファイアアースガンテイルVLSといった標準装備と合わせての兵装の一斉発射によるオールウェポン攻撃

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↑右肩のレールキャノン。
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↑左肩の多目的レーザー。
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↑全ての兵装を解放し撃ち放つオールウェポン攻撃。

 

 

アースガロン Mod.3

 

身長:50m

体重:2万6000t

初登場:ウルトラマンブレーザー第21話「天空の激戦」

 

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飛行支援のための装備・Mod.3ユニット装着した強化形態。デルタ型翼状ユニットによりアースガロンの飛行能力向上させている。

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↑前面図および背面図。

デルタンダル飛行原理参考にした重量制御による推進システム・ウラヌスドライブによって稼働しており、背面のMod.3ユニットの排気口から光の粒子噴出ことにより発生する衝撃波最高速度マッハ9での高速飛行実現、ウラヌスドライブの参考にもなったデルタンダルをはじめとした飛行怪獣との高速空戦が可能となった。成層圏でも飛行も可能など戦術の幅も大きく広がったが、その強力な飛行性能故に飛行時には強力な重力加速度機体の振動を伴うため、パイロットにはそれに耐える体力、およびその中で射撃等の攻撃の照準を合わせる高い技術水準が求められる。ちなみにMod.3ユニットは背部から取り外した後直接手にして振り回すことで、主翼部分の鋭利さを活かし敵を切り裂くなどする近接武器として地上戦闘移行後に使用するという活用も可能。

 

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↑マッハ9での高速飛行が可能。この速度はウラヌスドライブの参考となったデルタンダルの飛行速度と同等。

 

 

アースガロン Mod.4

 

身長:50m

体重:2万9000t

初登場:ウルトラマンブレーザー第24話「第3波接近襲来」

 

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Mod.2ユニットMod.3ユニットといった全ユニット統合運用したアースガロン最強能力向上形態宇宙での作戦遂行能力付与されており、第2宇宙速度を超える速度によって宇宙空間へ到達外部バッテリーにより活動する。地球防衛隊上層部によってV99迎撃想定として作られていたとされ、ヴァラロン襲来に際し本来の運用時期から大きく繰り上げられる形で突貫調整および作戦投入が為された。f:id:AnDrew:20240406215647j:imagef:id:AnDrew:20240406215650j:image

 

 

 

─実はアースガロンに用いられているテクノロジーは、1999年7月2日地球接近し当時の地球防衛隊により撃墜されたV99の宇宙船より回収された残骸から得た地球外のもの。そのため地球防衛隊のトップシークレットとされていたV99の存在と同じく、それを起源とするアースガロン内部機構の数々も最高機密として厳重保護されていた。

しかしこの事実が開示されたことにより、アースガロン搭載の対話AI・EGOISSアーくんを介してV99のメッセージの受信と解読、および人類側のメッセージの発信というV99とのコミュニケーション可能であることが発覚。これを受けV99と人類の一触即発の状況の中、アーくんと介したV99との対話が敢行され、得体の知れない未知の脅威と思われていたV99が「人類を“得体の知れない未知の脅威”と思い込んでいたが故の恐怖と攻撃性に苛まれていた存在」であることが判明し、そして人類側からの“未来”という意志あるメッセージがアーくんを通じV99へと届けられたことでV99は撤退人類とV99の全面戦争回避されることとなった。

 

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↑余談だが、アースガロンは状況やコンディションに応じて目の表情が切り替わる場面が多々見られた。被弾時やダウン時にはグルグルと回った目に(画像上)、相手に好意を向ける際には笑った目に(画像下)なるのだ。かわいいね。

 

 

TV本編に劇場版(そしてプラスアルファの捏造怪獣紹介)と長らく続いたブレーザー怪獣語り、今回はその一応の大トリということで、ブレーザーという作品の顔として物語を彩ったもう1体の主役、アースガロンについてつらつらとお喋りさせていただきます。このシリーズを始めて間もないくらいの頃から最後の最後はアースガロンで行こうと決めてはいたのでようやくという感じですね。正直劇場版の記事を書くのが遅れてけっこう遅くはなりましたが、溜めに溜めたことでComplete Editionのアースガロンが届いてMod.4の写真まで載せられたので怪我の巧妙ということで一つ アースガロン玩具の決定版ですよComplete Edition テイルVLSのセルの開閉は付いてなかったのでそっちが付いてるアーツも欲しいところだが、お迎えしたらアースガロン3体になっちゃうんだよなぁ()

 

アースガロンとのファーストタッチブレーザーの作品情報の詳細が公開された特報PV(その後の本編ダイジェストPV映像にて機能等がお披露目)。ウルトラマンZの特空機に始まり、トリガーのナースデッセイ号バトルモード、デッカーのテラフェイザーと、作品の新たな見所として定着していた防衛隊の戦闘ロボットの系譜として本作にも登場したアースガロンでしたが、過去のシリーズに登場した怪獣を基にしたものが連続していた中で遂に満を辞してモチーフ元・オマージュ元の無い正真正銘のオリジナル防衛ロボット怪獣が登場ということで当方含めファン達は大いに沸いたものでした。(製作上の事情も込みとはいえ)新規怪獣を多く投入する舵取りを取ったこと含めブレーザー全体の作品性にも通じて言えることだけど、過去作オマージュや連動により惹きつけるばかりでないスタイルをドンと入れ込んでやれるようになるというところは長らく待っていたので個人的にも嬉しかったですね 発表当初は名前からアーストロンやガロンがモチーフなのではとも言われてましたが、割と早くに「別にそういうことはなく」というところに落ち着きましたね。まぁそのつもりならもっとビジュアル寄せるだろうしね

 

そんなアースガロンですが、まず各部にあしらわれた無骨な機械装甲やその隙間から覗く関節部を覆う化学繊維状のカバー素材といった、現代寄りの科学技術を基にして作ったロボットって感じの趣があるデザインラインだったのが、特空機から連なるニュージェネ防衛隊ロボットの系譜としてはなかなか面白いところでありましたね。(フルCGの規格外マシンだったナースデッセイ号バトルモードはともかく)特空機もテラフェイザーも多かれ少なかれヒーロー特撮のハイテクロボットって感じの外連が効いたデザインだったけど、その上でアースガロンはそっち方面とはちょっと違った現実基準でもありそうなデザインで来たというのが良い感じの捻りだったよなと。ブレーザーという作品自体がリアル志向なハードSFテイストを基本としてたので、そのリアリティラインを忠実に押さえた結果というとこなんだろうけど、良い無骨さになって際立つ個性がありましたね。こうして見るとハイテク防衛組織って感じとは少し違う泥臭さのあったストレイジも、けっこう特撮ヒーロー作品の防衛チームらしい程良いリアリティラインの崩しや外連が設定やビジュアルに入れ込まれてたんだなと思ったり

その一方でアースガロンの印象を強く刻み付ける“顔”に関しては、デフォルメ調の瞳が描き込まれた大きな目犬をイメージした顔立ちという、可愛さも感じさせるタッチになっているのがまた絶妙。この辺はブレーザーの田口監督がかつて担当されたZの特空機のセブンガーから引き継がれたテイストなのが窺えるところ(目の表情の変化のキャッチーさなんかは特に分かりやすく良い要素だったよね)であり、作品を代表するマスコット的な存在にもなるというところから一定の愛嬌みたいなものを担保する良いアクセントであったよなと感じるところでしたね。犬イメージというコンセプト自体も、ブレーザーの野性/獣性に通ずるカッコ良さを地続きな形で含んでるし、原始的な部族の狩人的なブレーザーのイメージの対し「猟犬」という形でクールな感じにハマってるしと、ただただキャッチーにしただけではないブレーザーという作品の上でのアースガロンのキャラ性へのマッチ感があるのがまた良き 総じて特空機から始まった系譜のキャラクターとしての良さをしっかり持ちつつ、ブレーザーという独立した作品の中の一キャラとしての魅力もしっかり練り上げられているのが窺えるポイントであったなと感じますね

 

続いて設定周り。こちらも腕から放つ牽制用の榴弾砲尻尾のハッチが開いて繰り出されるミサイル(誘導弾)口から放つ熱線2門のキャノン砲やデルタ型の飛行ユニットを背負っての強化などなど、漢の巨大ロボットと言えばこれや!って感じの要素をこれでもかとぶっ込んだ各種装備にガッと心を掴まれたところでありましたね。榴弾砲」「誘導弾」「荷電粒子砲」のワードの胸踊る厳つさ、強化ユニットを背負ってより無骨になってのパワーアップ、やっぱどれを取っても良いんですよ当時も今も...最後に来る最強形態がユニット全部乗せっていう如何にもな感じなのも、浪漫的な観点で言えば「理解かってる」よなという感じで、良いすよね(造形物作ったり的なところの兼ね合いあるかもだけど、ともあれバチっと“浪漫”的なツボをしっかり押さえてて好き)  先に述べたデザイン面同様に、現実的なテクノロジーのリアリティラインに概ね準拠した設定を基本としつつも、そこに熱線/荷電粒子砲や重力制御による飛行といったSFとしての外連もきっちり添えるという絶妙なバランスも浪漫があって実に良き  総じて「リアル志向のハードSFとしてのウルトラ作品」というキャッチの上で繰り出す巨大ロボットとしての完成度がマジで高かったよなぁと感じますねアースガロン  アースガロンの装備と言えば、アースガロンの情報が出た当初フォロワー氏が「アースガロンには振り回して武器にできるようなスケールではないのに尻尾があるけど何に使うんだろう?(意訳)」ってところに着目してたことがあったんだけど、それに対し「誘導弾を格納・発射するセルを搭載してる部位なのよ」という回答をお出ししてしっかり納得させてたのは今も印象深いところ。こういうところをしっかり分かってたかのような説得力の付け方・練り込みようを感じたね

 

続いてある意味一番の要たる実際の本編における活躍。第3話での本格参戦以降ブレーザーと共に本作の巨大特撮を彩ってきたアースガロンでしたが、ほぼ毎週数々の怪獣達とのパワフルなプロレスを繰り広げSKaRDを代表したブレーザーの相棒としてえ共に支え合い、とその勇ましく戦うその姿で本作の映像を華々しく彩ってきたその立派な様はとても良きでありましたね。完全オリジナルのキャラクターとしてのアースガロンが、これまた新顔揃いの個性豊かな怪獣達を相手に戦いを繰り広げるという、ブレーザー/ウルトラマンだけに依らない、「怪獣」をウリにした本作らしい絵面の新鮮さ・オイシさは堪らなく最高で毎週とても楽しみだったし、その中で繰り広げられるブレーザーとの共闘も、回を追うごとに視線や言葉を交えてより強く繋がっていく様が「コミュニケーション」という本作のテーマをしっかり体現していてドラマ的にもグッときたしと、本作を象徴するキャラとして非常に良い活躍をしてくれてたよなと。個人的には、第4話のレヴィーラ戦・第5話のドルゴ戦における鮮やかなアシス、それに続く第6話でのヤスノブとの熱い絆・単なる機械に留まらない強い意思を垣間見せたドラマという序盤の連番3話はこの辺の魅力をギュッと濃縮させた良さがあって一気に心を掴まれたし、第18話のイルーゴ戦辺りを明確な転機として、指示を出して動いてもらったり、武器を託したり、背中を任せ合って敵を蹴散らしたり、一緒に技を繰り出してフィニッシュを決めたりと、共に肩を並べ戦う者同士としてのブレーザーとの絆の深化が映像演出として印象深く描かれていく終盤戦の様なんかが特にグッときてお気に入りなところ(第6話は早期にやっておいたからこそ後述のアーくんに繋がるドラマ的な蓄積や奥行きも生まれてたしね)

勿論一部で言われている、「巨大ロボット」という視点から見た時の戦績の振るわなさ・苦戦の多さ故の締まらなさみたいなところには多少なりと思うところもある(戦績や苦戦の多さ云々というより、ダウンを取られるのが早過ぎたり一度の戦闘で爪痕/良いとこ見せる場面が少なめだったりと、単純にポテンシャルを活かす魅せ方をし切れてなかったと言えるのが惜しかったかもなとは。第8話にて鳴り物入りで投入されたMod.2が、思わぬ強敵ガラモンに手も足も出なかった第9話、デマーガ親子相手に実質的な悪役に徹することになってしまった第10話という直近の流れで良いとこ無しすぎる感じにされたみたいなとこは率直にうぅんとなったし)のだけど、それを踏まえた上でも、そこにばかりフォーカスして「ダメ」の烙印を押してしまうのは個人的にはやっぱり納得いかないというか、作中におけるアースガロンの活躍はあくまでそういう洗練された強さや見せ方とは違う感じの、「泥臭さ」「がむしゃらさ」みたいなものを一つ重視するポイントとして描いていた印象も受けるので、そういう評価軸も重視すべきだと思うんですよね。単純に特撮ヒーロー作品の巨大ロボットという枠組みで見ると先程も述べたようにダウンさせられてる場面も少なくはなかったりと少々思うところもあるし、活躍やキャラ性の演出・魅せがウルトラマンの活躍等の他要素とも兼ね合わせながら絶妙なバランス感で成り立ってた特空機とかの系譜という前提がある上だとどうしても魅せ方は比較されて難しさを感じる部分もあるのだけど、それはそれとしてアースガロンの活躍はあくまで「『リアル志向のハードSFテイスト』という土台を一つのメインとした上での『苦戦し打ちのめされながらも戦う姿』」だったり、言葉を交わし、背中を合わせ、肩を並べて、という形で段階を踏みながらブレーザーとの絆の深まりを少しずつ感じさせていく地道な過程」だったりといった、ブレーザーの作品性にきちっと沿った魅せ方に惹かれる良さという部分にこそあったと感じてるので、近年のウルトラシリーズにおける「巨大ロボット」「特空機から続く系譜」という流れの中にあることこそ間違いないけど、扱われた作品の作風自体が直近のシリーズとはガラリと違ってるのも含めて異なる軸での見せ方が為されてたと思うし、アースガロンを一概に同じフォーマットや先達と同じ評価軸に当てはめるのはちょっと違うという印象かなと。要は違う軸で見られるかどうかの問題だったかもなという(活躍の印象としては元々この手の巨大ロボットに代わられる前の戦闘機とかと同じ感じではある(自分も自然とそう捉えてた)ので、取り回し方の水準が下がったわけではなく部分的に回帰した/回帰させたと見るのが良いのかもしれない)  とはいえ巨大ロボットとしての活躍への純粋な期待や今までのこの系譜で培った蓄積が活かされることへの期待が大きかった人も多かったと思うので、それ自体は個々人の好みや焦点の違いなのでそこで合わない人も出るのは仕方無しですね  ただその上で「アースガロンはダメだった」と腐すこと、引いては露骨に悪意ある比較をして蔑み下げること自体に躍起になってるような声もちらほら見るのでそこはなんとも嘆かわしく(それこそ視点の違いなだけなんだけどなぁ)

と、少々脇道に逸れた話をしてしまいましたが、ともあれアースガロンの活躍は、与えられたフォーマットや系譜の上だと十二分にとは行かなかったと言わざるを得ないかもだけど、ブレーザーという作品の上でハマる魅せはできてたよなというところですね。無い無い尽くしな中で苦しめられながらも色んな策をこらしノーダウンで戦い抜いたデルタンダル戦だったり、不慣れなMod.3を隊員達の絆の強さも含めた上で乗りこなし、ブレーザーもほぼサポートに徹する形で実質的な単独勝利を掴んでみせたデルタンダルB戦だったりと、デルタンダル絡みはなにかと先にも述べた泥臭さ・がむしゃらさに通ずるカッコ良さを含んだ熱い戦いを多々繰り広げててとても沁みるし、こういうところに注目したいわね まぁデルタンダルB戦もそれはそれとして、「あのままアースファイアで爆散でも良かったのになんで最後ブレーザーに渡しちゃったのよ!!」と思ったりはするんだけどね!あんなカッコよく決めたアースファイアが続くギガス戦で殆ど効いてなかったのもちょっと納得できてないぞ!!(こういうとこの魅せ方の勿体なさ、という点は大いに納得できる)

 

そして最後はアースガロンを語る上で欠かせないEGOISSことアーくん。彼もアースガロンの存在感を非常に良く引き立ててくれていましたね。 Youtubeの前半クール振り返り動画の後半チラ見せパートでアースガロンが石田彰ボイスで喋ったのがファーストコンタクトでしたが、まぁたまげましたよね() 同時期の特撮で石田彰声のカスの悪ボスが幅を利かせてたのも相まってみんなも妙にハラハラしてたのが思い出深い。w とはいえ先入観抜きだと「機械的ながらも物腰柔らかな声」という感じでなんとなく親しみや安心感を感じるキャラにまとまってたので、この辺は石田さんが流石ベテランの技前

そんなアーくんは後半クールから作戦を円滑にするためのアースガロンとのコミュニケーションツール的に登場したわけですが、やはりなんと言っても「SKaRDとアースガロンの絆」的な部分をグッと深掘りするためのファクターとして果たした役割はとても大きかったよなと。アースガロン自体は前半クールではあくまでSKaRDの主戦力たるロボット兵器としての役割に徹する部分が大きかったながらも、先述した第6話のヤスノブとのドラマが良いワンアクセントとなって添えられた「共に戦う高潔な意思を持った仲間」としての一面が良いキャラクター性になっていたので、後半に入ってアーくんを通じてSKaRDメンバーとの距離感をよりグッと近付け、その一面をドラマ上の更なる見所として深めてきたのは視聴の上で凄く良いポイントだったんですよね。全体として見るとアーくん自身、引いては彼とSKaRDメンバーのあれやきれ自体が大きく前に出てピックアップされることは特別なかったんだけど、それでもアースガロンを「コミュニケーション」というテーマにしっかり通ずる形で明確に「仲間」として感じられるようにドラマに落とし込んで物語の見所としたのは観ててとても楽しかったし、これがあったからこそ、彼を仲間と信じて懇願するエミの声に応え託した、機械・AIとしての線を一つ踏み越えたSKaRDの一員としての“情・人格”を垣間見せ最終盤のドラマをグッと引き締めた第24話もとても沁み入ったなと思いますね 第24話のアーくんの、いつもの機械的な感じの中にほのかに困惑や情愛といった感情が混じる声色好きなんす  まぁ正直なこと言えば、第24話の下り自体は凄く良かっただけに、ここの説得力をもう一つグッと増すようなアーくんのSKaRDメンバーとの絆という部分へのフォーカスが感じられる下りが、そこまでの間に一場面だけでも印象深く入れられてたらもっと良かったかもなとは思う(そうして明確に示さずともちゃんと成立させる作劇上の味はちゃんとあったけど、やっぱもう一つくらいは欲しかったですね)

でもってアーくんが最後の最後に魅せた、「コミュニケーション」のテーマを体現した活躍も欠かせないポイント。 “言葉”を介してのSKaRDメンバーとの対話・交流のために出てきたアーくんが、V99の技術を基にされてたというアースガロンのテクノロジーの種明かしと交差したことで「V99と言葉を介し対話することができる」という唯一性を発揮し、人類とV99の悲しきすれ違いを「コミュニケーション」により解きほぐし、大きな戦いの勃発を避ける重要な一手となるという最終回の鮮やかな流れ、これには膝を打ちましたねぇ...強力な怪獣達と“戦う”ために纏ってきた武装ではなく、“言葉を交わし分かり合う”ために搭載されたアーくんこそが最終決戦の趨勢を決定付けるアースガロン最大の装備と相なったのは良い文脈が乗っててとてもグッときたよなと。強化ユニットを脱ぎ捨てたまっさらな状態での対話に徹する姿は美しかった(最終形態のMod.4が「V99を迎撃するために準備されてた」と語られてたのも、最終回で武装を外すことへの説得力的な布石だったのかなと思う)  結果的に打ちのめされながらも戦う泥臭い今までの姿も、ヴァラロンに一方的に叩き伏せられ傷付きながらもV99に対して言葉と体でもっての全身全霊の“対話”によって向き合う最終回の活躍にバチっとハマってアースガロンらしい熱さになってたと思うし、総合的に言えば全部引っ括めてちゃんと良い形にまとまる活躍ができてたなと思いますよアースガロン

 

 

というわけでたっぷり語りましたがアースガロンの話はこの辺で。賛否や課題は色々含んでいたながらも全部まとめて“らしい”感じの個性に溢れるキャラになってて凄く良かったなと思いますね。ポテンシャルを十二分に発揮しブレーザーと共に激しい戦いをやり抜いた劇場版の勇ましい活躍はTV本編だとイマイチだと感じてた人達としても大満足だったようだし、全部引っ括めたトータルで言えば全体としても良い評価にまとまったかな?と感じるしね 何はともあれ個人的には非常にお気に入りですアースガロン 良いもの見せてもらいました

 

かくしてこのアースガロンを形式上の大トリとしてブレーザー怪獣語り記事も一応の完結です。今後ブレーザー絡みでよっぽど大きな展開が公式から出でもしない限りは、ブレーザー関連の記事もここで一先ずかなと。読んでいただいた皆様、長らくお付き合いいただきありがとうございました やっぱり全部含めてめちゃくちゃ大好きだよウルトラマンブレーザー ありがとう

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた

劇場版・ブレーザー怪獣語り

※本記事は「ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突」のネタバレを多分に含みます。未鑑賞の方はご注意の上、鑑賞された後に読んでいただくことをお勧め致します。

 

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地球怪獣

 

・ズグガン

別名:地底甲獣

身長:167cm(幼体) / 50m(成体)

体重:1t(幼体) / 3万t(成体)

登場作品:「ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突」

初登場:ウルトラマンブレーザー第20話「虫の音の夜」

 

・タガヌラー

別名:甲虫怪獣

身長:60m(成体)

体重:5万t(成体)

登場作品:「ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突」

初登場:ウルトラマンブレーザー第3話「その名はアースガロン」

 

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神倉市の臨海工業地帯に突如として姿を現した怪獣達50m級成体ズグガンやそのから発せられる虫の音に呼び寄せられる形で現れた無数幼体ズグガンに加え、幼体ズグガンと同時に虫の音に呼び寄せられた人間大の無数の幼体タガヌラー、および60m級成体タガヌラーが確認された。

50m級の成体ズグガンが先行して姿を現し進撃地球防衛隊の隊員達や駆け付けたアースガロンを相手取って暴れた上、翅から発する虫の音により無数の幼体ズグガンや幼体・成体のタガヌラーを呼び寄せ猛威を振るう。幼体達は地球防衛隊の隊員達を翻弄、成体のズグガンとタガヌラーも2vs1数の利でアースガロンを苦戦させたが、SKaRD隊長ヒルマゲント変身したウルトラマンブレーザー参戦しアースガロンへ加勢したことで形勢拮抗、ズグガンはブレーザーと、タガヌラーはアースガロンと対峙した末、それぞれスパイラルバレードオールウェポン攻撃により撃破され、幼体達も地上で行動していたアオベエミミナミアンリの活躍により駆逐された。

その後、ズグガンとタガヌラーが襲撃した工業地帯には、怪獣の残骸の処理・研究を行い、地球防衛隊にもチルソナイトスピア等の装備提供している先進化学企業「ネクロマス社」工場があったことが判明。生態の異なる2種の怪獣が同時に出現するほどの「何か」がそこにあると考えたSKaRDはネクロマス社へと調査に赴くが...

 

 

 

ダムノー星人

 

別名:幻影宇宙人

身長:不明

体重:不明

登場作品:「ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突」

 

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突如人類に声明を出してきた、「宇宙の覇者」を名乗る謎の宇宙人毛むくじゃらの野人のような姿が特徴で、コンピューターハッキング自在に操るほどの高度な技術力を有しており、ネクロマス社のネットワークはおろか、地球防衛隊のシステムすらも掌握してしまうことが可能。

SKaRDによるネクロマス社調査が行われる中、映像を介して姿を晒すと、ネクロマス社が研究・開発を進める「不老不死をも実現するナノマシンダムドキシン地球環境にとって危険なものであると発言。自分達が手に入れようとしている地球が汚染されてしまうことを問題視し、ネクロマス社CEOマブセイチロウに対して1時間以内にダムドキシンの研究開発の中止、およびその成果物の完全な抹消を行うよう要求、同時に地球防衛隊日本支部富士基地のシステムを乗っ取ってミサイル発射する様を見せつけ、「次は市街地に落ちるかもしれない」と脅迫を行った。そしてネクロマス社の神倉研究所でダムドキシンの抹消を行おうとするも防衛隊の別部隊との行き違いに手間取り1時間のイムリミット超過してしまったSKaRDやイチロウの様を見届けると、それを愚かとばかりに嘲笑って再び富士基地からミサイルを発射し研究所を爆破、そこに保管されていた怪獣達の細胞とダムドキシンの融合により最悪の“妖骸魔獣”を誕生させてしまった...

 

 

 

─実はその正体は、マブセイチロウの一人息子にして天才的な頭脳を持つ少年・マブセユウキ妻(ユウキの母)不治の病による死をきっかけとして、同じ悲劇に見舞われる人々を減らそうとダムドキシンの開発を筆頭とした仕事に没頭する父・イチロウの姿を「家族を蔑ろにしている」と捉えてしまい、その鬱屈とした感情を「社会の汚い大人」転嫁しぶつけようと暴走し始めたユウキが狂言のために自ら扮していた架空の宇宙人というのが事の真相であった(その姿は仮面とスーツによる仮装)。類稀なハッキング能力はユウキ自らの頭脳によるもので、複数のサーバーを経由することによってエミをも撹乱してみせたが、その“地球のネットワークに異様に精通した立ち回り”を怪しまれたこと、映像を介した度重なる声明で尻尾を掴まれたことにより、ネクロマス社本社ビルの中で配信を行なっていたところを発見され正体が露呈した。

しかし追い詰められたユウキは父・イチロウ達の前で父─汚い大人達への激情を露わにすると、ネクロマス社本社ビルを目指し進行していた“幼骸魔獣”自ら飲み込まれ同化してしまった...

 

 

 

 

 

ゴンギルガン

 

別名:妖骸魔獣

身長:54m(第1形態) / 59m(第2形態)

体重:5万4000t(第1形態) / 5万9000t(第2形態)

登場作品:「ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突」

 

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↑第1形態

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↑第2形態

 

ネクロマス社により研究・開発されていたナノマシンダムドキシンが、保管されていた神倉研究所から流出した際、同施設で保管されていた宇宙怪獣をはじめとする怪獣の細胞融合したことで誕生した大怪獣。様々な生物/怪獣が混ざり合ったような生物的奇怪顔面背鰭などを思わせる岩状の突起が無数に背中に生えた身体が特徴となっている。

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↑第1形態の前面図・側面図・背面図

ダムドキシンは難病の治療への貢献や、池袋のバザンガ戦で使用された特殊弾への実験的な導入をはじめとした兵器利用など、細胞への干渉による劇的な効能が期待されていた一方、一定の容量を超えると暴走し始め、怪獣をはじめとした生物の遺伝子、および無機物金属とも融合してしまうという特性上の致命的な問題を抱えており、この特性がゴンギルガンを誕生させることとなった。また、微弱な電流コミュニケーションを取る脳細胞シナプスのような特性を持ちつつも感情の行き来が無いために脳そのものになれないダムドキシンの「感情─『魂』を獲得し生命そのものに進化する」という強い渇望に基づいて活動しているとされ、その過程で取り込んだマブセユウキ「父親への不満・汚い大人達への怒り」という強い感情と同調したことで第2形態へと進化目の縁から生えた角状の部位長大な鞭への変化や、背中に生えた突起の増大、毒々しい斑模様の刻まれた突起の各部への付与といった禍々しい変貌を遂げた。

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↑第2形態の前面図・側面図・背面図

から放つ高火力の熱線顔の側面に付いた器官から伸びる触手を基本の武器として使用するのに加え、マブセユウキを取り込んだことで進化した第2形態では更に戦闘能力増強され、全身から全方面へと迸らせる赤い電撃背中の突起発光させ生み出した推進力による滑空禍々しいエネルギー集約させての突進・周囲への拡散爆撃といった様々な能力を行使できるようになった。中でも体の各部に付いた斑模様の突起を引きちぎり手に装着することによる武装能力は強力で、尻尾の付け根の突起に、膝の突起に、尻尾の中程の突起に、と多彩なバリエーションを有する上、たとえ破られようとも変わる変わる付け替えることで攻撃の手を緩めず攻め続けられるという厄介さも有している。弱点はネクロマス社が実験・開発していたダムドキシンを破壊するナノマシンアンチダムドキシンで、これを体内撃ち込まれる弱体化してしまう他、アンチダムドキシンを素材とする装備を纏った生物とは融合することができない

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↑身体の各部の突起で武装した姿。上から剣・鎌・爪を装着している。

 

ダムノー星人...もといマブセユウキハッキングにより引き起こされたネクロマス社神倉研究所への爆撃によって漏れ出たダムドキシンが、共に保管されていた怪獣の細胞融合したことで誕生。そのまま自身の唯一の弱点であるアンチダムドキシンの存在を知って破壊しようとしてか、アンチダムドキシンの実験段階の試作品が保管されているネクロマス社本社ビルへ向け千葉市方面へと進撃を開始、地球防衛隊がユウキのハッキングによる火器管制システムトラブルに見舞われ攻撃もままならずSKaRDも先のタガヌラー・ズグガンとの戦闘ダメージを負ったアースガロン修理中で動かせないという阻む者が何もいない状況であるのを良いことにそのまま街を闊歩・破壊しながらネクロマス本社へ辿り着く。するとそこで待ち構えていたユウキの「父親・大人への怒り」感情に引き寄せられ、本来の目的であったアンチダムドキシンもそっちのけでユウキを触手で捕え自身の体内へと吸収第2形態への進化を果たすと都心部への進行を開始した。

その後は取り込んだユウキの脳内アクセスしてその感情と同調破壊衝動を引き出すと、取り込んだユウキが放つ“汚い大人”への怒り演説を撒き散らし、防衛隊の誘導弾による攻撃も物ともせず破壊活動を繰り返しながら、「ユウキにとっての“汚い大人達の中心地”」を目指して進行、霞ヶ関へと足を踏み入れる。しかしそこでユウキ救出、およびゴンギルガン撃破のために出動したSKaRDの隊員達が参戦、ミナミアンリナグラテルアキ搭乗したアースガロンに行く手を阻まれる。それでも怯むことはなくアースガロンを強力な戦闘能力苦しめるものの、その間にユウキが頭部の中心に閉じ込められていること、熱線放射時の排熱のための側頭部の孔からそこへ侵入できることを突き止められてしまい、アースガロンの足止めを受けたことも相まってヒルマゲント頭部へ侵入された上、ユウキを救出されてしまうこととなった。

かくしてユウキという感情の源─を失ってしまったものの、尚も活動を止めることはなく、むしろその影響で暴走を開始、取り込んでいたユウキの「嫌いだ」の声を模倣した絶叫同然の鳴き声を響かせながら防御をかなぐり捨てた攻撃特化の大暴れでアースガロンを叩き伏せる。しかしここでゲントの変身したウルトラマンブレーザーが参戦、新たなる敵の出現に武装能力など更なる力を発揮し応戦する。そうして戦いの舞台として巻き込まれた国会議事堂破壊しながらブレーザーをも圧倒再起したアースガロンが加わってもなお優勢を誇るなど暴れに暴れたが、から伸びる鞭状の部位脳のコアから伸びていることが発覚ブレーザーとアースガロンの決死の猛攻によって鞭状の部位を千切り取られアオベエミバンドウヤスノブの手でアンチダムドキシンを使用したAD特殊弾を脳に直結する剥き出しの根元へ撃ち込まれてしまったことで弱体化する。それでもなお抵抗するかの如く全身から迸る禍々しいエネルギーの光弾を撒き散らしたが、最後はブレーザーによるブレーザー光線とアースガロンによるフルパワーアースファイアを同時に叩き込まれ爆散、完全に撃滅されることとなった。

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↑ゴンギルガン...もといその基となったダムドキシンはユウキの感情を複製し「生命そのもの」になろうとしていた。しかし複製した紛い物に過ぎない感情では、魂を持てず生命にはなり切れなかったのであった。

 

 

最後の記事更新から約1ヶ月、怪獣語り記事に限定すると更に長く約2ヶ月と待たせに待たせましたが、劇場版の怪獣語り記事ようやく更新です。元々宣言してた通りのマイペース更新に加え、直近の1ヶ月はプライベットで色々あったこともありダラダラと長引いてしまい申した もっと早く書くこともできたが気力が向かなかった...生きるって大変

まぁ何はともあれ、今回はブレーザーの物語の大きな一区切りとして銀幕を彩った名作である劇場版ブレーザーの素晴らしき敵役・ゴンギルガンについてつらつらお話をば。上の方ではストーリー全体の流れも含めてゴンギルガンの詳細についてスムーズに書けるよう他の怪獣とかのことも書いたけど、語りの方はゴンギルガンメインで取り上げますわよ タガヌラーズグガンはあくまで再登場怪獣だし、ダムノー星人に至っては存在しない子だったしな...()

 

そんな劇場版の大ボスとして華々しく登場したゴンギルガンでしたが、劇場版だからこその豪勢で緻密な特撮を惜しげもなく使った大ボス怪獣らしい大暴れが目を惹いたのも去ることながら、ブレーザー世界の怪獣達の細胞が一挙に融合したといういかにもボス怪獣らしい設定パーツの換装・追加による形態変化実在の街並み・建造物を破壊しながらの闊歩などなど、色んな意味でブレーザー怪獣の集大成的な個性・演出をたっぷり含んだ怪獣だったところも本作の大ボスとして実に目を見張ったところであったなと。劇中でのギミックや能力にもしっかり準じた多彩な可動・換装による形態変化をウリにしたウルトラ怪獣アドバンスというアイテムでニュージェネ市場に怪獣の風を力強く吹かせたブレーザー怪獣の事実上のトリとして形態変化や部位の換装による武装をこれでもかとガンガン見せてきたところはマジに素晴らしかったし、池袋という実在の街を舞台にした怪獣映画さながらの実在感高めなバザンガの手に汗握る大暴れから始まった本作の精神性の踏襲を感じる「国会議事堂大破壊」という大一番をかましてきたところも大いに痺れたしと、劇場版のボス・ブレーザー怪獣の大トリの両面で完璧すぎる怪獣だったなと思いますね。劇場版ならではの豪勢さも去ることながら、と最初に言ったけど、寧ろそれがあったからこそここまで盛大に魅せることができたのだというとこに回帰するとも言えるし、文字通り「ブレーザー劇場版の怪獣」と言うに相応しい存在であったと言えるか

デザインの方もまた素晴らしく、牙の生えた巨大な下顎を象り体全体で大きな口を表しているような胸部別々の怪獣の部位がちぐはぐにくっ付いたように左右で形状が別々のアシンメトリーな脚部や第2形態の翼状の突起といった歪で不気味なビジュアル自体に単体で強烈なインパクトがありつつ、「様々な怪獣の細胞のごった煮」「人類の早過ぎた叡智により図らずして誕生した怪物」という本編の設定を踏まえると「禁忌を犯し生まれた生命」的なほんのり冒涜的な香りが感じられてきてゾクリとくるし、また父親に愛されていない(と思えてしまう)ことへの憤り・そこから転じた大人への怒りといった感情を発露させるユウキと同調したことで駄々を捏ねる子供のような幼児性」を獰猛な形で発露させていった様も踏まえると、第2形態のややずんぐりとしたシルエットや短めに感じられる手足、つぶらな感じの瞳などの幼さを滲ませたような顔立ちといった全体の特徴がどことなく「子供・赤ん坊」の雰囲気を感じさせてくるしと、ストーリーとの掛け合わせにより増してくる個性も良い味出してて良かったんですよね。第1形態はザ・怪獣って感じの厳つくも割とシャープめなビジュアルをしてるんだけど、そこから大人になり切れない子供という感じの未熟な感情を爆発させるユウキを取り込んで変異した第2形態は全体のシルエットや言動(ユウキの感情や声を模した「嫌いだー!!」と叫びながらの暴れ散らかし)が子供っぽいイメージに寄っていくという推移の仕方、ちゃんと文脈が乗ってて面白いよなぁ 望まれずして誕生した禍々しい怪物が生命そのものになろうと感情を取り込んだことで(取り込んだ感情が子供のものだったことも相まって)子供のようになって再誕する(しかし所詮模倣に過ぎないので破壊衝動などの負の側面ばかり増幅された怪物の域からは抜けられない)という...ユウキの声を模した絶叫じみた鳴き声もこうして見ると不気味さと物悲しさを同時に感じる良いアクセントだなぁ ゴンギルガンのソフビ、正直ちょっとちんちくりんだよなぁと思ってたんだけど、この文脈踏まえるとある意味正しいデザインだったのかもしれん

 

このゴンギルガンのデザインを担当されたのは、TV本編でニジカガチのデザインを担当された武藤聖馬さん。てっきりTV本編でも担当怪獣が一番多かった楠さんが担当されると思ってたので少々意外だったが、しっかり良い怪獣を生み出してくださってくれて満足。ニジカガチの神獣的な趣とはまた違った、生物感マシマシのデザインが良いギャップでした しかし言われてみると目の感じにはニジカガチの時にも感じた武藤さんデザインっぽい独特さを感じるのでなるほどなと思ったり

https://x.com/cyq_joker/status/1760813853368361229?s=46

 

そんなゴンギルガンですが、映画を鑑賞された方々の中からちらほらと上がっていた声に、「キングオブモンスのオマージュ的な存在なのではないか」というものがあったのは非常に興味深かったところでありました。正直最初聞いた時は一瞬まさかと思いましたが、劇場版の大ボス怪獣であるのは勿論のこと、「色んな怪獣(の細胞)が合体した大怪獣」「子供の感情がきっかけとなって誕生、更にその感情を元に強化」という設定は言われてみるとなるほどたしかにそっくり...となるんですよね キングオブモンスの発祥作品にしてブレーザー放送年に25周年のアニバーサリーを迎えていたウルトラマンガイアのOPの2番の歌詞に含まれる

愛さえ知らずに 育ったモンスター

叫びはお前の 涙なのか

という歌詞もズバリゴンギルガンそのものと言われると物凄くしっくりきてしまうし、ブレーザーという作品が所々で密かに含ませていたっぽいガイアオマージュの一つの総決算的なところなのはもしかしたらあるかもな...と まぁあくまで考察に過ぎないし、ゴンギルガンもこれ見よがしにキングオブモンスオマージュでございな怪獣ではなくちゃんと1体のオリジナルの怪獣として成立してるので実際は意図してないかもだけど、ともあれこういうテイストを感じられる怪獣が本作に出てきてくれたのは“粋”を感じちゃいますね

 

という感じで魅力たっぷりなゴンギルガンですが、唯一不満な点もあり。それは...

何故ウルトラ怪獣アドバンスでの発売じゃないのか

ということです 分かるよなァ!?

いやぁウルトラ怪獣アドバンスヴァラロンという革新的な形態変化再現アイテムも直近で発売されてるという上でこれでもかと「換装での形態変化・武装がセールスポイントです!!」って言ってるような特徴してるゴンギルガン出しておいて実際に発売されたのが定番サイズのだけなのは流石に冗談でしょってなるよ...!!クライマックスの触手部位破壊の下りも第1形態への換装との兼ね合いで再現できるシーンですよと言わんばかりなのに、ほんとこれでゴンギルガンをアドバンスで出さないのは愚行すぎますべや いや前年のゾルギガロガイザも定番サイズだけだったからそういう売り方に落ち着いてるだけなのかもだけど、にしたってこう、ダメだろ...このまま終わらせるの...!!!ズグガン成体もあんなに楽しみにしてたのに定番サイズ止まりでガックシきてしまったし、バンダイさんお願いですから後追いでも良いんで換装ギミック有りのウルトラ怪獣アドバンスゴンギルガンやDXサイズのズグガン成体出してください...ソフビのQRコードから飛べるアンケートで積極的に要望出そうか...デストルドスの例があるし諦めたくない プレバン限定のお高いバージョンみたいなのでも良いからゴンギルガンはなんとしても実現させたい

 

 

というわけでゴンギルガンの語りはこんなもんで。久々だったのでグダるかと思ったけどやっぱり一度語り出すと止まらず書き切れましたね...楽しいぜ怪獣語り

てことで長らく続いたブレーザー怪獣語りもこのゴンギルガンで一区切r...

くぎ...り...

 

り...

 

 

 

「おや、まだお忘れですよ。ブレーザーの物語に欠かせない大事な1体を」

 

 

 

次回、

勇士 鋼の身体を持つ獣

 

 

もうちょっとだけ続きます!

 

家族 愛 東京大決戦

ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突

感想レビュー

 

※本レビューはネタバレを多分に含みます。未鑑賞の方はご注意の上、鑑賞された後に読んでいただくことをお勧め致します。

 

 

 

オ...オレ...

オレ...センサイ(繊細)...‼︎!💢

 

ゲント隊長の無意識のノンデリ発言にブレーザーくん、渾身の微ギレ意思表示!!TV本編でもSKaRDのみんなからの信頼に嬉しくなってストーンを白熱化させたことあったけど、今回のはだいぶ分かりやすかったな...w 

ブレーザーくん、ゲント隊長への微ギレをはじめ、ひょっこり奇襲や儀式ポーズキャンセル(からの若干キレてそうな咆哮)、アースガロンへのアリガトォォォ...など、あのプリミティブなキャラだからこそのちょっとシュールな面白撮れ高を本作でもたっぷり提供してくれてて大満足でしたね 君はこれからもそのキャラ的な強みを持ち続けていてくれ でも同時にゲント隊長をはじめとしたSKaRDの仲間達との絆の深まりや感情表現の豊かさにより成長も見られたので、そこもしっかり嬉しかったね

 

大団円を飾ったTV本編から早1ヶ月強、堂々公開となった劇場版ウルトラマンブレーザーを自分も初日に鑑賞させていただきました(残念ながら朝一番は逃したが)。例年のニュージェネシリーズ以上にTV本編の方にどハマりした一ファンとして非常に楽しみで仕方がなかった本作でしたが、期待してた通りのブレーザーらしさをしっかり最後まで完徹し、魅力をフルパワーで押し出し切った一本だったなというところで実に気持ちが良かったですね。有終の美...と表現するのは本作の着地のさせ方的に良い意味で相応しくないと思うけど、とりあえずブレーザーメインの展開の一区切りというところで良いものであったなと

まぁ何はともあれ、

 

ブレーザー怪獣TV本編後半クール組のOPサビラッシュ演出を本作でやってくれてありがとうございます

OPのカットがやや巻き気味だったから(おや、ちょっと追加入ったりしてる...?)と密かに期待はしたが、実際にやられるとマジに興奮しましたね...この時点でボルテージMAXよ(ちょろい) TV本編ではここがマジに唯一と言っても良い心残りだったからそれが解消されて大満足や

 

そんな本作は田口監督が公開前のインタビュー等で語ってた通り、TV本編最終回から連なる所謂「完結編」的な趣とは違い、「スケール大きめなブレーザーのエピソードの一つ」という感じのストーリー仕立てとなっていたのが例年のニュージェネ劇場作品と大きく違った部分でありつつ、実にブレーザーらしいテイストとなっていて面白いところでありました。やはり縦の軸をドラマ面の柱として緩めに配置しつつ全体的には横の広がりを大きく持たせるというニュージェネシリーズとしては珍しい、古き良きウルトラシリーズ的なバラエティ豊かさを押し出した構成がブレーザーの大きな特徴の一つにして魅力であったと思うので、劇場版という大きな括りの上でも本編の延長的な形で敢えてそれを貫いたことで「やっぱこれだね!」的な安心感を味わわせてくれたのはとても良かったですわね(真・完結編!みたいなのも良いけどこのくらいの肩肘張らなさのが個人的には好みじゃしな)  田口監督がどこかのインタビューで言ってたと思うけど、こうすることで「これからも続いていくブレーザーの物語の余地を残す(反響次第でスピンオフが作られる可能性があるのも込みで)」というラインを引いてくれたのも粋で嬉しいぜ コンテンツ展開を楽しみにしてくれる人達的にも、続きの色んなエピソードを妄想しがちなワシらにようなファン的にもありがてぇ

 

という感じの本作のストーリーですが、大筋のテーマ的にはTV本編でもヒルマ家やアオベ父娘を中心に所々で肝になっていた、「コミュニケーション」「家族」という要素により強くフォーカスしていたところが見所。ゲストキャラのマブセ親子を取り巻く「子に満足な想いをさせ立派に育ててやりたいという愛情から身を粉にして働くが、それ故に身近な子の一人の人間としての心の奥底に気付けない親」「一人の人間として親に向き合い認めてもらいたい想いが届かず、それに対する鬱屈とした感情から親の奥底の愛情に気付けず親/大人を愛なき存在と捉え荒れゆく子」という「些細な想いと言葉のすれ違い・ディスコミュニケーションを等身大の人間の心情描写として丁寧に描き、それを怪獣ゴンギルガンの脅威と首都東京の危機という壮大なスケールの展開の中へとリンク、その上で繰り広げられるスリリングな展開の中でもマブセ親子を取り巻く心情・関係性をしっかりドラマ面の重要な柱として通すことで織り成された濃密なストーリーは、大迫力の怪獣特撮で魅せるSFストーリー」「『コミュニケーション』に軸足を置いた繊細な人間ドラマ」の二要素の濃淡を絶妙に使いこなした骨太な作劇として非常に魅入ったところでありましたね。加えてそこにおいてゲント隊長がイチロウの息子に対する残悔に寄り添い「子供は思っているよりも早く大人になっていく」(おそらくTV本編などを含む息子・ジュンとの向き合いを経たであろう実感も込めて)説く・首都東京の存亡と共に無情にも天秤に乗せられてしまったたった一人の息子の命を救いたいという彼の想いに「絶対救う」と真っ直ぐに伝えるなど、「息子を持つ父親」という同じ立場からイチロウの心を支えたり、エミが「離れていても繋がり想い合っている親子同士の愛情を知っている子」の立場から、自分とは逆に近くにいてもすれ違ってしまったユウキの心情を理解したり、とTV本編における「家族」のドラマを担ったレギュラー陣の寄り添いがよりストーリーに深みを与えていたのも良きところで、「家族」「コミュニケーション」というブレーザーのメインテーマが本作においてもしっかり活かされてたの良かったなぁ マブセ親子も「親のエゴ」「子の我儘」みたいにどっちかだけが悪いという偏りをあまり感じさせない、どちらにも悪い部分はあったけどどちらもちゃんと理解できる人間的な心情を抱いていたという塩梅で取り回されてたのがキャラクターとしてちょうど良い感じであったね 最後はちゃんと無事に再会し互いに向き合い愛情を確かめ合えて良かった  まぁ究極的に見ればこの親子の問題に人々が盛大に巻き込まれた構図ではあるのでそこでちょっと引っ掛かりは生まれるかも(実際そこを取り上げて言及する感想も少しあったし)だけど、それでもそこをあまり気にさせないストーリーとしての強さや繊細さはしっかりあったよなと(前述の感想においてもその上で絶賛する声は多数だったので、取り回し方の繊細さや同時に描かれた特撮面の爽快さのバランスが良い感じに効いたかもね)

 

またブレーザーといえば忘れてはならないのが特撮面。本作においてもここはバッチリ素晴らしいものでありました。ストーリー面は良い意味であまり肩肘張らない感じであった一方、緻密な工場地帯のミニチュアの中をブレーザー・アースガロン・タガヌラー・ズグガンが所狭しと入り乱れる巨大戦次々襲い来る幼体の等身大タガヌラー&ズグガンをエミ・アンリのコンビが駆け回りながら駆逐していく屋外ロケの生身戦闘とが同じ画角においてナチュラルに同時進行してゆく巧みな合成が見所の前半のバトル首都東京の様々なロケーションを自然な合成の下進行していくゴンギルガンの脅威それを迎え討つブレーザーとSKaRDの大迫力のバトル国会議事堂の超リアルなミニチュアなどのハイライトを交えながら息つく暇もなく連続して繰り広げられていく後半・クライマックスの決戦などなど、こちらの特撮・戦闘面に関してはどストレートに劇場版スケールに相応しいクオリティに仕上がっててめちゃくちゃ満足度が高かったですね。バキボコにやられながらも泥臭く食い下がってSKaRDの仲間達の作戦をしっかりと支え最後の最後までカッコよく戦い抜いたアースガロンの大活躍なんかは構成上ダウンしがちだったりしたのが人によってはネックになりがちだったTV本編の鬱憤を晴らすかのようでまさにいぶし銀だったし、ブレーザーも持ち得る気力を尽くしたと言わんばかりのゴンギルガン相手の大暴れが最高に痺れたしで、ある意味では「コミュニケーション」のテーマを昇華するための“耐える”戦いで魅せた部分も大きかったTV本編最終回のヴァラロン戦よりも血が沸き踊ったね...Mod.Ⅲユニットを直接手にし刃のように振り回すまさかの活用でパワフルに立ち回ったアースガロンや、テレビの向こうからのヒルマ親子の応援を受け再び繰り出したブレーザー光線で(真っ赤に滾ったアースファイアと共に)不死身の魔獣をブチ破り改めて絆の光線の“必殺”ぶりを印象づけたブレーザーなど、新鮮さと安心感が両方味わえてうめぇうめぇ  やっぱなんだかんだと言いつつ怪獣特撮において最後は盛大に大暴れした立ち回りが至高という感じになりますな  パイロットとしても生身の射撃手としても八面六臂の活躍を見せたヤスノブクライマックスの大一番を気合いとフィジカルでアースガロンと共に戦い抜いたアンリ副操縦士という立ち位置ながらも彼らの戦いを全力の叫びと共に後押しし見守りサポートし抜いたテルアキ副隊長ダメージを押しながらの戦いも「いつものことです」とちょっと情感豊かな感じの軽やかさを滲ませながら軽く流し仲間達と共に戦場を駆けたアーくんと、SKaRDの面々の死闘に全力で身を投じる勇姿も戦闘をグッと引き締めてて凄く良かったし、なんか久々に自分のイメージする「ウルトラマン劇場版のバトル」を味わえた感じがあって大満足だったね

 

しかしこの大迫力のクライマックスの決戦、引いては本作における印象的なオブジェクトとして情報公開時から強くプッシュされていた国会議事堂、これの描き方も今回凄く良かったよなぁと。「ユウキの鬱屈とした感情が巡り巡って生じた『大人』そのものへの怒りが根源となって矛先を向けられた」という前述したマブセ親子を軸としたドラマ面との巧みなリンクによるそこが舞台になる必然性をしっかりと印象付けた作劇、およびその理屈を「ゴンギルガンの進行方向は『霞ヶ関』」という情報の提示と、それを踏まえたゲント隊長の「ユウキの“大人”への怒りの行き着く先がどこか」という部分(ユウキという一人の“子供”の心情)への理解を表す台詞の二点によって「“この国の上に立つ大人達”がいる国会議事堂が襲われる」という直接的な表現を用いずとも視聴者にしっかりと理解させた正しく“多くを語らない”鮮やかな演出、これが凄く粋で唸りましたね...実在する印象深い建造物でそこを舞台にするというだけでもかなりインパクトはあるんだけどそれだけに依ることはせず、しっかりとそこを舞台に据えるだけのドラマ的な説得力を持たせた上で入れ込み、尚且つ「国会議事堂」という言ってしまえば見る人間によってはちょっとセンシティブなメッセージを勝手に邪推してしまいそうな要素に対して、「少し大人な部分のある子供」というユウキの心理(の暴走・拡大)という部分に寄り添いフォーカスした紐付けとすることで物語的な軸足を一貫して「家族」という部分に置き、あざとく露悪的なテーマ性・批判性が生じたりしない塩梅にしてたのもグッド(ゴンギルガンと同化したユウキの悲痛な叫びと演説によって映像的にも鮮烈に描かれてたはいるんだけど、その上でも一線を超えない取り回しだったのが実に丁寧であった)  特撮的にも緻密なミニチュアで表現された国会議事堂を様々なアングルを交えながらバッカスッカと破壊しながら繰り広げられる最終決戦が熱かったし、凄く良かったね

 

そして戦いを終えてのラストは、ゲント隊長宅にみんな集まっての焼肉パーティという微笑ましい一幕(後半戦前のゲント隊長の「生きて帰ったら焼肉奢る」という台詞があった上で「家焼肉かい!!」というツッコミが入る良いオチなのも好き。w)、そんな中でカミングアウトされるヒルマ家に新しい家族が増えるというおめでた報告、それに対する仲間達のお祝いという明るく気持ち良いシーンで締め括りとなりました。いや本作冒頭部分から「何かと不在がちなサトコさん(それを気にして心配するジュンくん)」という形で定期的に仄めかしはあったんだけど、ベタに「ゲント隊長の誕生日祝いの準備」とかだと思っておめでただとは思っても見なかったのでここは割とゲント隊長と一緒になって驚いちまいましたね...(誕生日祝いならジュンくんにも秘密じゃなくて良いでしょ、とか色々気付きそうではあったんだが...)  涙ぐんで仲間達にイジられるゲント隊長には思わずグッときたわね

にしても本作もヒルマ家、良い存在感出てて良かったなぁ。あくまでドラマの中心ではなく要所要所での登場ではあったんだけど、いつもと違う母・サトコさんのことにいち早く気付き心配するジュンくんそれに対し仕事の都合で常に一緒になって考えることはできないながらも息子に「家族を守れる一人の強い人間」としての強い信頼を寄せ向き合ってあげる父親としてのゲント隊長、という確かな信頼や絆、愛情を感じるシーンをたくさん垣間見せてくれたのは嬉しかったね(ドラマ的に直接は交わらないながらもちゃんと本筋のマブセ親子のドラマとの対比として物語を引き締めてたのも良き) ブレーザー光線もそこを軸にする上での今一度の演出的なワンアクセントとしての意味合いが大きかったのかもね(構図的には最終回の焼き増し的ではあるのでそこが気になるのもありはするけどでもやっぱり好きだわね)

その上で最後の最後に描かれる温かな家族の団欒、ほんと「家族」というテーマを突き詰めたブレーザーらしい良い着地で気持ち良かった SKaRDの仲間達というある意味ゲント隊長にとってのもう一つの「家族」とも一緒なのがニクいね  まぁ何はともあれ、

おめでとうゲント隊長 お幸せに

 

 

以上、ブレーザー劇場版でした。ドラマ的にも特撮的にもちゃんとTV本編で描かれた蓄積や一貫するテーマ性を熱く昇華させてて非常に見応えがあり、ウルトラマンブレーザーの物語の一先ずの締め括りとして実に気持ちが良かったですね。「家族」のテーマの強調、その中で描かれる「コミュニケーション」の大事さ、それらを含みながらパワフルに展開される大迫力のバトル、どれをとっても最高であった  元より自分にツボにバチバチ刺さるウルトラ作品として大いにハマったブレーザーだったけど、劇場版もそこに通ずる良さをたっぷり味わえて良かったよ 

かくしてこれにてブレーザーの世界とは一旦お別れ。これからももしかしたらその先の物語が見れるかも、というとこではあるけどとりあえずお疲れ様でした。素晴らしい作品をありがとう!!また会いたいね ブレーザーやSKaRDの仲間達

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた

濃密エピソード群投票決戦

2/23(金)は「ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突」公開日だぞ!

映画館に 行くぞブレーザー!!

 

 

まそれはそれとして

 

先日Twitter(現X)の方でニュージェネウルトラシリーズ最終回後恒例の企画として毎年やってる個人企画の好きな回投票をブレーザーでも開催致しました。今回も多くの方が参加してくださり、1/28から2/4までの1週間の投票期間の中で合計でジャスト100票の投票が集まりました。投票してくださった素晴らしい皆様、改めてありがとうございました 思い入れのある作品だからもうあと50票くらいぶち込ませたかったのでそこはちと惜しまれるところ(例年だと最終回の次の日にはもう開催してたんだけど、今回はブレーザーの最終回を普通に楽しみにしてて全然準備をしてなかったのと、最終回後の余韻に浸ってて素で忘れてたのとで最終回から1週間遅れで開催しちゃったんすよね 例年通りの開催だったらもっと集まったかもしれぬものを)

https://x.com/555_sonv3/status/1750855707786879159?s=46

https://x.com/555_sonv3/status/1753980334897778834?s=46

 

てことで前置きも程々に、今回は本投票企画にて上位10位にランクインしたエピソード達を一挙発表。劇場版公開までの振り返りがてらに是非どうぞ

 

 

ではまず第10位から。4票獲得の10位タイが2つ ランクインしたのは

 

 

 

第6話「侵略のオーロラ」

第15話「朝と夜の間に」

でした!

第6話はヤスノブの機械への愛着を軸として描かれる彼の信念とその結実がカナン星人との対比も含め熱く光るストーリーが目を惹き、第15話はゲント隊長の息子ジュンくんを主役に据え紡がれる「恐怖の宇宙線」の令和再解釈的なジュブナイル調の話がブレーザーのハードSF的な作風の中で異彩を放ち、といずれも良質な人間ドラマが沁み入る単発のストーリーが素晴らしいエピソードでしたね。またそれぞれ約55・57年ぶりの映像作品出演となったカナン星人とガヴァドンAの登場が目玉となっており、新怪獣盛り沢山な本作において往年の怪獣・宇宙人達も令和ならではの表現を交えて魅力たっぷりに活躍するところを見せていたのが実に良かった 第15話は原典たる「恐怖の宇宙線」から更に一つ踏み込んだ繊細なドラマのタッチがとても素晴らしく自分もとても好きである 第6話も「機械の声・意思」という少しファンタジックな要素をカナン星人とも上手く絡めて良い感じに調理して良い味としてたのが見事

 

 

さて次は第9位5票を獲得しランクインしたのは

 

 

 

第17話「さすらいのザンギル」

でした!

特撮シリーズではお馴染みの名バイプレイヤー・唐橋充さんの奥深い演技によりどこかズレていつつも渋さのあるキャラクターとして存在感を放った宇宙人ザンギルとゲント隊長との交流を一本のエピソードの中で楽しく切なく叙情的に描き上げた話ですね。気付けば最後にはザンギルに深く入れ込んでる、そんなエピソードだったなぁ...ザンギルを軸にコミカルなタッチのストーリーが少しずつ切なさも帯びて着地していく流れはとても素敵 メインのバトルで活躍したニジカガチをはじめ部分的ながらも過去のエピソードに登場した怪獣達(の亡霊)が登場するエンタメ性もあり、そつのない良い感じにまとまった面白さもポイントです

 

 

続いて第8位6票を獲得しランクインしたのは

 

 

 

第16話「恐怖は地底より」

でした!

プレミア発表会ではそのビジュアルから温厚な怪獣と思われてたモグージョンがクトゥルフじみたコズミックホラーの風味と王道のモンスターパニックの恐怖感を引っ提げて大暴れの強烈な一本。怪獣メインのエピソードとして満足度が高いのもさることながら、後半のドラマにおいて強くフォーカスされ始めていたエミのSKaRDの仲間達との絆にグッと切り込むストーリーも強く惹きつけられたところで、非常に重厚で面白いエピソードであったなと。このエピソードで仄めかされたエミの内面の弱さ・恐怖といったところは結局ブレーザー全編を通して最後まで詳細には語られず終いだったけど、今にして思うとここもブレーザーの物語の一つの肝たる「全てを分かり切れないことは何も分からないということではない」的な部分に通じていたんだなと思ったり ここにおいて大事なのは、SKaRDの面々がエミのそういう一面について理解しているわけでなくとも「仲間」として寄り添い支えたということにあるわけだしね(エミの抱いているものがなんであれ、それを支えるに足る存在として仲間達が大きく在ることこそがエミのドラマのポイントだったんだろうなと)

 

 

さてさて次は第6位7票を獲得し6位タイで2エピソードがランクインしました。入ってきたのは

 

 

 

第8話「虹が出た(後編)」

第20話「虫の音の夜」

でした!

前半のエピソード群をグッと骨太にしたニジカガチのエピソードの後編と、テルアキ副隊長の故郷を舞台とした怪獣パニックが見所のエピソードがランクインと相成りました。奇しくも両方ともテルアキ副隊長がメインの話ということで、テルアキ副隊長のキャラ人気の太さを実感しますね...実際、強固な信念と知見、思慮から来る力強い言葉でもって黒幕たる横峯教授と向き合い対話する姿がカッコよかった第8話も、彼の深みある人間性の原点をメインのドラマ・各所の表情や台詞回し等の繊細な魅せでもって多くを語らず描いてみせた第20話も、しっかりと副隊長の魅力が滲んでいて面白かったですからね 文字通り「大人のドラマ」としての人間的な描写の良さを演出面で見せ切った第20話は見事の一言 中ボス戦的な意味で前半エピソード群の一つの山場だった第8話にも負けない魅力があった

 

 

 

さぁここからトップ3で、次は飛んで第3位。なんと9票を獲得し3位タイになったエピソードが計3つもありました。ランクインしたのは

 

 

 

第1話「ファースト・ウェイブ」

第9話「オトノホシ」

第22話「ソンポヒーロー」

でした!

全ての始まりとして多くの視聴者の心を一気に鷲掴みにした記念すべき第1話、ノーカットの演奏をBGMに長尺の後半パートで魅せた「音楽」が主軸のドラマが一際目を惹いた第9話、ゲスト主体のエピソードとして深みある温かい人間ドラマを描き上げた第22話と、ブレーザーを代表する“濃い”エピソード群が一挙き集いました。かく言う私も第9話は個人的にブレーザーの中で一番好きなエピソードでして、ガラモンの57年ぶりの登場およびまさかの大暴れというインパクトは勿論、他のエピソードと比べても一味違う異彩を放っていたドラマパートの演出も鮮烈で、これ挙げるのはちょっとずるいかなぁ...!とは思いつつも、やっぱりアレはたまんないですよ こういうエピソードもあってこそのウルトラシリーズですよ 勿論、TVシリーズスケールで描き出される怪獣映画さながらのハードSFテイストと大スケールの特撮に見事に射抜かれた第1話のインパクトも、ニュージェネシリーズだといつぶりだろうかというゲスト主体エピならではの味わいがスーッと沁みた第22話の独特さも大好きです 総じて納得のランクイン

 

 

 

続いて第2位。票数11票でランクインしたのは

 

 

 

第12話「いくぞブレーザー!」

でした!

前半クールラストを飾った大きな山場のエピソードたるゲバルガ決着編。ゲバルガの恐るべき強敵としての存在感、それに立ち向かうSKaRD・地球防衛隊の皆が力を合わせての奮戦、そんな中で強く紡がれるゲント隊長とブレーザーの絆、そして覚醒する新たな力、と山場の盛り上がりをしっかり押さえつつ、本作の顔たるゲント隊長とブレーザーのコンビが言葉に依らずとも強く繋がる様をドラマの軸として熱く描くという本作のテーマにも通ずる魅せが実にグッとくる名エピソードですね。第9話から連なる形で少しハラハラするテイストも含ませながら進行してた二人のドラマが一気に引き締まり昇華される流れは素晴らしかったわね 後半の展開への仄めかしも入れ込んでガッと引き込んでくるところもグッド やはり折り返しの山場はこうでなくちゃね

 

 

 

さぁいよいよ第1位。一気に飛んで15票を獲得して、堂々ランクインを果たしたのは

 

 

 

第25話「地球を抱くものたち」

でした!最早説明不用のブレーザー最終回。あまりにも見所多しな重厚なエピソードなためここでは多くを語らないこととしますが、「コミュニケーション─相手を知ろうとすること」「繋がり」こそがブレーザーのテーマであるというところをしっかり魅せ切った見事な最終エピソードであったなという感じで、最高の最終回であったなと改めて。ブレーザーという作品としてやるべきことをここでしっかりやり切って締めたと言っても良いでしょう 最終回としての熱さもさることながら、一つの作品の総括としても素晴らしい一本だったと言えるでしょう とても熱かった

 

 

 

というわけで以上が今回の投票結果でした。12話、25話の山場のエピソードがやはりというかなんというかでトップ2を飾った中で、個人的お気に入りな第9話を含むエピソード群やテルアキ副隊長を軸とした大人な人間ドラマの演出が目を見張ったエピソード達といった本作ならではの回が上位に食い込んでいたのが非常に嬉しい結果であったなというところでありましたね。やはりいつもと一味違うバラエティ豊かさがブレーザーという作品を良き方に押し上げてくれたなぁと やっぱりもっと多くの方の投票を集めてみんなの声を聞いてみたかった...!と投票遅れたのが惜しまれるぜ もし気が向けば今からでもコメント欄とかで好きだったブレーザーエピがあったら教えてくれたりしてくださいね

それでは次はブレーザー劇場版公開の後に...感想とかゴンギルガンの記事とか色々上げる予定なのでよろしくどうぞ

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた

ブレーザー怪獣(?)語り

 

明日は遂に人類初のワームホール発生実験である。

これによって1999年にやってきた地球外生命体、すなわち“V99”の目的が判明することを 祈っている。

彼らが遺した装置の復元に携わった我々研究チームは、その科学力が地球人と比べ物にならないことは知り尽くしている。

もし再び 彼らがやって来たら、

私は彼らと対話をしてみたい。

彼らの文化、彼ら自身の事を 私は知りたい。

明日の実験が、人類にとって大きな一歩になることを信じている

 

─アオベタツキの手記 9/8の項より

 

 

 

V99

 

身長:不明

体重:不明

登場話:ウルトラマンブレーザー第25話「地球を抱くものたち」

 

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↑V99が搭乗する宇宙船とされる未確認飛行物体。

 

1999年地球飛来してきたとされる未知の存在。その科学力は地球のそれを遥かに凌駕しているとされており、地球と銀河の果てを繋ぐワームホールを発生させる装置をも有している。更にその存在は地球防衛隊トップシークレットとして扱われており、バザンガゲバルガヴァラロンといった宇宙怪獣達カテゴライズする存在─それらを地球に送り込んできている存在として上層部の一部の面々から極秘裏警戒されている他、とある経緯から地球にもたらされた先述のワームホール発生装置復元が行われていた、地球防衛隊元長官・ドバシユウ管理する宇宙装備研究所・第66実験施設厳重な警備により立ち入りを禁じられているなど、その秘匿ぶりは異様な様相を呈している。

その正体は、未知のテクノロジーを搭載した無数の宇宙船に乗り、ワームホールによる移動で宇宙を流離う地球外生命体。断片的に受信された情報によると新天地を求めてをしていたらしく、その過程で青い星─地球へと到来してきた模様(受信された情報の中には「光の星」なる言葉も確認されたが、その詳細は不明)。この時地球にやって来た宇宙船こそが件の1999年に回収された装置の残骸の元であり、調査記録によると宇宙船は兵器の類は一切搭載していなかったらしく、調査船のようなものであった可能性が考えられていた。だが...

 

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↑バザンガ、ゲバルガ、ヴァラロンといった恐るべき宇宙怪獣達を次々と地球へ送り込んでいた張本人、それこそがV99であった模様。非武装の宇宙船で地球へ到来するなど侵略の意図などが窺えなかった彼らは、何故このような行動をとっていたのか...

 

地球時間の1999年7月2日地球付近接近していたV99の宇宙船地球監視衛星により捕捉地球防衛隊により警戒の対象とされたこの宇宙船は、当時一宇宙高射軍司令であったドバシユウ指揮の下で迎撃ミサイルにより撃墜残骸となって日本海へと落下・回収されることとなった。これは非武装の宇宙船に対し、先行する恐怖・敵意から一方的に行われた攻撃であった。その後、回収された残骸の技術を基にワームホール発生装置SKaRD主戦力たる23式特殊戦術機甲獣・アースガロン開発された他、レヴィーラの基となった宇宙生物にもV99との関連が疑われるなど、地球防衛隊上層部はV99への警戒を強めていく。その過程でワームホール発生装置暴走による2020年(本編開始の3年前)宇宙装備研究所・第66実験施設の爆発事故、および装置の復元に携わった当該研究所の研究員達多数の消息不明、そしてその爆発事故にて生じたワームホールからのウルトラマンブレーザーの地球への到来といった様々な事態を巻き起こしながら...

一方、V99も同胞を何の前触れもなく攻撃し撃墜した青い星─地球、およびその星の生命体に対し深い恐怖を抱くこととなり、そこから生じた防衛本能に従い、様々な宇宙怪獣達を地球へと送り込む行動を開始。ファースト・ウェイブ─バザンガセカンド・ウェイブ─ゲバルガゲバルガから派生した存在─イルーゴ・ブルードゲバルガといった様々な脅威の連続に幾度となく地球を脅かし、そして遂にサード・ウェイブ─ヴァラロンを地球へと投入、SKaRDやブレーザーを跳ね除けながら地球に破滅の危機をもたらさんとする。更に痺れを切らしたのか彼ら自身もワームホールを潜り宇宙船団によって地球へと接近世界各地の地球防衛隊の総攻撃を迎え撃たんとばかりに徐々に迫り、地球へ降り立ったヴァラロンの脅威も相まって、人類とV99との戦争さながらの一触即発の状況へともつれ込んでいく...

 

しかしそんな中、SKaRD隊員にしてアオベタツキの娘であるアオベエミと、アオベタツキの親友であった地球防衛隊参謀長ハルノレツ奮闘により先の地球防衛隊とV99の因縁、およびドバシがそれらの事実の隠蔽を行っていたことが明らかにされ、更にV99の技術を組み込まれた存在であるアースガロン─そのAI対話システムであるEGOISSによるV99との交信が行われたことによって、先に述べた事実の通りV99の人類への攻撃が「悪意」ではなく「恐怖」によるものであったことも判明、V99との闘いが避け得るものであると示される。そしてハルノとエミの説得を受けて考えを改め事の行く末を彼らに託したドバシの決断、ヴァラロンの脅威の中でなお武装を解除してまで人類が示した不闘の意思、アースガロン/EGOISSを通じて示された人類の“未来”というをメッセージを受け、遂にV99も人類への認識を改め、最後は人類のメッセージに折り返すように“未来”という言葉を残し、ワームホールの中へと姿を消す形で再び銀河の果てへと旅立っていった。かくして両者の過去の因縁の象徴として残されたヴァラロンが、純然たる脅威としてブレーザーによって完全に打ち果たされたことを最後に、長く続いた悲しきすれ違いと争いの歴史終止符が打たれたのであった。

 

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↑人類との長いすれ違いに対話を経て終止符を打ったV99。彼らの宇宙船団は再び果てしない宇宙の旅へと赴く。新天地を求め、遠い銀河のブレーザー、眩い光の向こう側へと... 

 

 

お久しぶりです。ヴァラロンで一先ず終わり、とはならなかった怪獣語り記事です。今回はブレーザーの物語の根幹を成す存在、V99についての語りをば。厳密にはこの括りで語る存在ではないとは思うけど、まぁ便宜的にということでひとつ


V99といえば、前半クールでは第4話曽根崎が管理してたレヴィーラの基になった宇宙生物に関する資料の中にちらっと名前が出たくらいで全くと言って良いほど言及はなく(この時点で資料の名前に目を付けて「はてこれは...?」ってなってた勘の良い視聴者もちらほらいましたが)バザンガやゲバルガといった宇宙怪獣がなんらかの理由でカテゴライズされていることが示唆された第12、13話をきっかけとして、後半クールに入った第14話にて初めて明確に台詞としてその名称が登場、以降は「宇宙怪獣達を地球に送り込んできている黒幕」という視聴者の大方の予想にも通ずるエミの推察を基本認識として、その存在を知ろうとする者の前に不敵に立ちはだかるドバシユウ何かしらの関連が示唆される3年前の爆発事故、といった諸要素との関連をうっすらとした縦軸として配置しながら、何か明かされそうで明かされないなんとも言えない雰囲気でもってブレーザーの物語を牽引していた大きな要素の一つであり、様々な考察を受けながらストーリー終盤に至っても全容の一端すらなかなか明かされないその謎っぷりが良くも悪くも注目されていた存在。かく言う自分もその謎について色々と考えを巡らせながらストーリーを追っていましたが、最終盤にて明かされたその実態はこの記事の前半にて解説として書いた通り、すなわち「コミュニケーション」がメインテーマである本作における致命的とも言える欠落─ディスコミュニケーションが招いたすれ違い・悲劇の象徴というのが肝たる存在だったわけですね。V99とドバシの間の因縁・確執に関しては最終盤辺りに自分含め多くの方達が実際のところに近い予想を挙げるようになったりはしていましたが、先に手を出した人類(ドバシ)の方も、それを受けたV99の方も、「未知の存在から繰り出される得体の知れない敵意への本能的な恐怖」「それ故の相互理解のための行動を飛ばした本能的な防御行動から生じてしまった攻撃性」に囚われ、すれ違い争い続けてたというところが同様に軸となっていた、というのは本作のテーマに準じた面白い仕込みで驚かされました。ここにエミを中心としたメインキャラ達がメスを入れ、なるようになった(なってしまった)/その時為すべきことが為されたにすぎないのだ」とドバシの本能的な恐怖故の先制攻撃やこれを受けてのV99の地球人類への攻撃それそのものはあくまで“おかしいことではなかった”としつつも、そのまま恐怖や敵意に呑まれたままで相手を恐れるばかりになり、相手を理解しようともしないまま争い続けることは間違い」だとして、当事者であるドバシやV99達と「対話」「相互に理解し合う」ことでその間の誤解やすれ違い、そこから生じた因縁を取り払っていく過程も含めて非常にテーマに真摯なストーリー・キャラクター回しであったなぁ...と今一度感心 V99の全容やそこに纏わりつくドバシの真意が全然明かされないこと・それ故のやきもきさせられる感じが、劇中のドバシやV99の抱いていた「得体の知れない相手への不安」に重なり、最終盤にて一気に彼らのキャラ性に没入・理解できるようになっていたという構造も見事(単純に縦の進行の遅さが気になった、と言われるのはまぁしゃあなしだが、巧い構成であったと思う)

またこの辺の設定・構成の上でも、V99そのものの姿や故郷の星・文化といった詳細の全てを明かさず視聴者の想像を掻き立てる形としたのは良い塩梅の行間の持たせ方で良かったなぁと思うところ。敢えて多くを明かさないからこその神秘性・文学性といったSFならではの味わいがしっかり押さえられてるというのもそうだけど、こうして全てが分かってはいない上でもV99の心や目的を理解し通じ合うことができたという、「全て分からない」は必ずしも「何も分からない」と同じというわけではない、的なドラマ面の粋がグッと出たのも本作のテーマの上で良かったというかなんというか 言葉や考えが全て分からずともちゃんと通じ合えたゲント隊長/SKaRDとブレーザーにも言えることなので、凄く大事なことなんですよ

 

そんなV99、本編中に出てきたエミパパの手記の内容から「ブレーザーの世界のバルタン星人(それに類する存在)なのでは?」なんて考察されたりもしていてそれがファン間の一つの関心になったりもしてますが、個人的にはその辺には正直あまり関心はなくて(実際バルタン星人的なサムシングかどうかは重要ではないと思うし、それこそそこは明かさないからこそ良いと思うので)、それよりむしろ「V99ははたしてどうやってバザンガ等の宇宙怪獣達を送り込んできてたのか?」の方が気になってたり。最終盤までは第13話のヤスノブの「バザンガやゲバルガは同じ星からやってきたんじゃないかって(一部ではそう噂されてる)」っていう推測込みの言及の印象が言葉の上で強く残ってたので、バザンガ、ゲバルガ、ヴァラロンはV99の星に棲息する生命体で、そこからV99が直接送り込んでいたのではと思っていたのですが、実際のところV99は新天地を求めての宇宙の旅を続けていた流浪の民であるらしいというわけで、その言及を素直に取るなら彼らが自分達の星からわざわざ生命体を送り込んでたとは考えにくいわけなんですよね。もっと言うとバザンガゲバルガはともかく、星の軌道を変えて他の星にぶつけながら移動するという「渡り」を習性としていることが推測されていたヴァラロンみたいな凶悪すぎる生命体が同じ星で生態系を共にしていたとはちょっと思えないわけで...そう思うと本当のところV99は、「宇宙各地の強力な宇宙怪獣を無差別に選定して地球へとけしかけていた」というところなんじゃないかなと思ったりするんですよね 手持ちのポケモン送り込んでたんじゃなく、野生の強いポケモンを誘導しけしかけてたみたいな  他の星の生命体など色んな脅威を次々に地球へと送り込んでいた根源的破滅招来体に手法的に彷彿とさせられるものがあるというところで、ブレーザーが直接そうと言わずともそこはかとなく色んなところに配置してたガイアのオマージュに通ずるものもあると思うし、意外と合ってるんじゃないかと思ったり思わなかったり...まぁこの辺はファン故の解釈・妄想も込みだが 全容の見えない最終盤までの不気味さとかはある程度意識されてそうではあるが

 

ちなみにもうお分かりかとは思いますが、本記事に載せてるV99の宇宙船の造形物は案の定自作アイテムです。改造元ではないかと噂されてるグリーザ第3形態のソフビの背中の突起を切り取り、パテを盛って劇中の写真と睨めっこしながら造形し作りました 別に写真無しでも良かったんだけどせっかくV99に直接まつわるものなのだしと作ってしまった セミ人間といいデマーガといい、無いものわざわざ作るのは要らぬ手間ではあるんだが、まぁ楽しいから良いのだ

 

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↑製作過程。

 

長々と語りましたが、総じてブレーザーの物語のSF性やテーマ性をグッと深める要素として、良い存在感を発揮していてとても良かったですねV99 あの着地のさせ方的に今後はよっぽどなことでもない限りまぁ出ないだろうとは思う(出ない方が綺麗だと思うし)けど、ともあれ彼らのこれからの旅が幸あるものであることを願っている

 

 

というわけで今回はこの辺で。次回は...

地獄より出ずる、最悪の魔獣

 

では次は2月末か3月くらいに...

 

 

怪獣無法魔境

ウルトラマンティガ

第26話「虹の怪獣魔境」

感想レビュー

 

 

シ「よしっ、ひとっ飛びしてくるか」

ヤ「スカイメカはマズいですよ...!」

このやり取りだけで面白いのもうどうしようもないぞシンジョウ隊員() 内容的にはあくまで「磁場が精密機器を狂わせるからスカイメカは危険」って言ってるだけで面白いシーンじゃないんだけど、シンジョウ隊員相手に言ってんの確信犯にしか思えないんだよな...w

 

ブレーザー感想&怪獣語りに熱が入って執筆ペースが持ち直したと思ったら、今度はそっちに熱が入りすぎてまたしても長らく放置となってたティガ感想、久々に更新です ブレーザー関連が一区切りついてほんとにマイペースにぼちぼちと書いてく感じになりそうだけど、まぁ止めるつもりだけはないので気が向いた時更新されてるか見に来るくらいの感じでお付き合いください 元々趣味みたいなもんだしこのくらいの感じで良いのかもだが

 

てことで今回はティガ怪獣メジャーどころの一角であるシルバゴンの登場する第26話。前回はキリエルを交えてティガのメインのテーマにグッと切り込んでいく濃いめのエピソードでしたが、今回はオーソドックスな怪奇モノ・怪獣モノテイストのエピソードということで、シンプルな構成ながら見所盛り沢山で盛り上がる一本となっていましたね。次のエピもちょっと重めなメッセージ性が入るし、次の次に至ってはよりハードで重厚な話になるから、25話に続くその間に挟まるエピソードとしては分かりやすめのストーリーが絶妙なバランスだったわね しかし「悪魔の審判」で始まり「うたかたの...」で終わる7巻、濃密すぎるな改めて

 

今回のストーリーは、ごく普通の家族がふとしたことで日常と非日常の境界を越えて怪奇の世界へ迷い込んでしまう不穏な導入からスタート。雪の残る見知らぬ森の中を彷徨い歩くシチュエーション、そうして辿り着く不気味に積まれた廃車の群れとその中に横たわる人骨という不吉で不穏な構図などのホラー的な演出を通してじわじわと増していく不穏さや不安感を刻んできて、それが極まり切ったところでドンとシルバゴンが現れ追ってくるという、段階的に恐怖感を煽る演出が目を惹いたところでありました。普通の人間が怪奇摩訶不思議な世界に巻き込まれて追い立ていく様は(GUTSが途中まで介入してこないことも相まって)ウルトラQさながらであり、ある種原点回帰的なウルトラシリーズのテイストをかなりしっかりと踏襲し魅せてきてるとこが面白かったですね。古き良きというかなんというか、やっぱウルトラシリーズと言えばこの怪奇色のプッシュが一番安心感ありますね グッと引き込むものがある(その上で「カーナビ付きの車」というちょっと現代的/近未来的な要素の入れ込みや「バミューダ・トライアングル」の例示が、昭和シリーズから時代的に一歩進んだ感じやティガのオカルティックなタッチの印象付けに繋がっててただ古臭いだけになっていないのも絶妙)

 

からの後半では、駆け付けたGUTSをも巻き込みガギⅡやシルバゴンといった怪獣達が更なる波乱を巻き起こしていく流れが展開。先にも挙げた「怪獣無法地帯」や「怪彗星ツイフォン」にも通ずる複数の怪獣達が現れ人間達に襲い掛かったり互いに迫力満点に衝突したりする回は、怪獣達の大暴れやそれに相対する防衛隊およびウルトラマンの奮闘がパワフルに描かれるストレートな対怪獣活劇の面白さが出るところが魅力なわけですが、今回は前半が怪奇ホラーテイストだった分一気にその辺も痛快さが出るコントラストも効いててとても良かったですね

何より正統派のモンスターパニックで魅せた大暴れが印象深かったガギの再登場(ガギⅡ)そのガギを真正面から下しティガをも苦戦させる更なる大暴れで魅せてきたシルバゴン、という過去エピ怪獣(の亜種)再登場と新怪獣堂々参戦の多段構造で怪獣達のインパクトを丁寧且つ豪快にぶち上げてくる見せ方、これが実に巧くて面白いんですよね アナログなパントマイムによってちょっとシュール気味に表現されるバリアの描写液体窒素の装備さえあれば...!」というムナカタ副隊長の台詞といった第10話で印象深かった先代ガギの演出や設定をしっかり踏襲してガギの強烈さ・鮮烈さを改めて印象付けつつ、その上でガギⅡのバリアを腕力のみで破壊し、ガギⅡを真正面から叩き伏せ倒すシルバゴンの強さを劇的に引き立てることで、観る側にシルバゴンの「コイツはヤバいぞ...!」というところを直感的に感じさせてくる、怪獣の魅せに凄く真摯なギミックの組み立てが実に気持ち良かったなぁと。シルバゴンの“前座”でこそあれ“噛ませ”ではないというか、ガギⅡをしっかり「ならでは」な特性や技の演出を見せ切ってしっかり立てるという、ニュースターのシルバゴンと並列する主力選手として扱われてるとこが良いんすよ

 

そしてそれをしっかり踏まえたからこその、特殊な能力は無いながらもシンプルに強い強敵として引き立ったシルバゴンの存在感も非常に良きでありましたね。ガギⅡをねじ伏せた圧倒的なパワーも去ることながら、ゼペリオン光線の直撃に耐えたりパワータイプを直接ねじ伏せたりとティガ戦でもそのフィジカルを見せつける様がとても気持ち良かったわね パワータイプの力が通用しないなんて...!自体は割とよくあるパターンではあるが()  羊さながらな巨大なツノと厳つく食いしばったような悪魔や閻魔を思わせる相貌で表現された凶悪さ、筋肉質な隆起が全体のマッシブさを引き立て「パワー系の怪獣」としての説得力を高めてるシルエットと、シンプルながら上手く纏まったデザインの力強さも凄く惹かれるよなぁ 実はシーリザーのスーツガギの巨大なムチの造形物のミキシングによる改造(ガギのムチは尻尾に流用)なのも含めて秀逸で素晴らしい(腐敗して崩れかけたシーリザーの体表筋肉質な隆起に変えたのマジで天才的ですよね こういう見事なアレンジこそがウルトラ怪獣スーツ改造の醍醐味ですよやっぱ)

 

かくしてティガをも苦戦させるシルバゴンのパワフルさでもたらされるピンチがスリリングに展開されるも、ここでシルバゴンと邂逅した一家の助言によりシルバゴンの「視力の悪さ故に動かないものは見えない」という弱点が明らかとなり、それを受けたティガの機転で逆転!と前半パートの伏線を手堅く活かす形で描かれる怪獣の特性を紐解いての逆転の展開がクライマックスの良い盛り上がりとなりました。怪奇ホラー的構図が恐怖感を煽る前半、怪獣達の怒涛の大暴れが描かれる後半、とずっとスリリングな画が続いてたところからクライマックスはまさかのだるまさんがころんだ戦法で強敵シルバゴンを翻弄して倒すというコミカルな風味になってくシュールさ、やっぱりいつ見ても面白いですね。w  真面目にだるまさんがころんだするティガ...() まぁ絵面こそかなりふざけてるけど先にも述べたようにここまでがスリリングで緊張感もある流れ続きだったわけだし、そのバランス感としては良い塩梅かもしれない  しかしティガの光線やタイプチェンジのモーションを興味津々で真似するところや、にだるまさんがころんだ戦法を取られて一転翻弄されるシュールな絵面など、ちょっとおばかでコミカルなところも見せてたのがキャラクター的な愛嬌になってて良いですよねシルバゴン ポーズの真似して何も出ないので「なんでー!!」みたいにジタバタしたり、動かないティガを捉えられなくてすぐそっぽ向いてしばかれたり、この抜け感が凶悪さとのギャップで良い味であった  こういう複数怪獣登場エピのガキ大将的存在でちょっと頭が悪い人間臭さが特徴の力自慢怪獣という趣もあって「平成のレッドキング」として評価されてるのも含めて総じて良い怪獣よねシルバゴン 元々第26話自体が「多々良島をやってくれ」というプロデューサーからのオーダーでできたエピだったそうだし意識してるのは確実であろう

 

そしてラストではGUTSの面々、迷い込んだ一家共々魔境より帰還、でしっかりと気持ち良く締め。パパさんの家族愛とムナカタ副隊長の家族同然な部下達への思い入れを重ねて良い感じに合流させるドラマ的な着地も含め良いオチであったね  魔境に迷い込み怪獣達に追われる中で家族としての繋がりを改めて強め合った一家のドラマが最初から最後まで話全体をさり気なくもグッと引き締めていて良い味だった いつもの面子と違うゲスト主体だからこそのドラマの広がりというのもウルトラシリーズの横の広さの魅力の一端として好きなところですわねやっぱり 尺的な関係とか1年近いスパンでやる上での構成の難しさとかもあるだろうけど、ウルトラシリーズをはじめとしたこの手の作品達にはやっぱゲストエピも大切にしてって欲しいね...

 

 

以上、ティガ第26話でした。ウルトラシリーズならではの怪奇SFホラーテイストを導入として、複数の怪獣の大暴れやそこからの逆転といった痛快・爽快な展開で魅せる一連の流れが程良いドラマパートも合わさってしっかりカチッと纏まっていて、オーソドックスながら面白いエピソードでありました。見所多しでありつつ、総じて比較的ライトで見やすい一本として良い味わいになってましたね 。ガギもシルバゴンもしっかり魅力たっぷりに描かれていて怪獣特撮としても実に良質であった やっぱ怪獣はそれに向き合う人間達の描写も含めイキイキ描かれてこそですよ

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた