AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

筋肉モリモリマッチョマンの闇の巨人

ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA

第2話「未来への飛翔」

感想レビュー

 

 

GUTS SELECTの一員として地球へと降り立ったケンゴを待つ出会いと戦い、を描く今回。

GUTS SELECTの面々のキャラ紹介やGUTS SELECTの開発担当ヒジリアキトとケンゴの関係性をストーリーの軸として描きつつ、地球におけるトリガーの初陣、新たな闇の巨人ダーゴンとの決戦が繰り広げられるなど見所多しだったけれど、正直なところ描くものが多過ぎて詰め詰めの作劇になっており、まとまってはいるもののどうも一個一個が薄味だったな、という印象でした。

GUTS SELECTの面々の人柄や言動の個性なんかは割と見せるべきところはしっかり見せて描けてたとは思うんだけど、どこか微妙に形式ばった描き方というか、作業的にサクサクと各人がどういったキャラなのかを見せてた感じがあって映像的にあまり面白さにはならなかったと感じられ、ここは自分的にちょっと最初のキャラの印象付けとして弱かったように思う。テッシンさんのキャラは頭一つ飛び抜けてて面白かったが(でもちょっとキャラ付けの質感がこってりしすぎな感があるかも、というのを思ったりもする。ナナセ隊員やマルゥルのキャラもちょっとマンガ的なテイストが濃いように感じるのでテッシンさんに限った話ではない印象だが)

 

トリガーに変身するためのガッツスパークレンスを開発した張本人にして、光に選ばれたのが自分でなくケンゴであることに強い嫉妬の感情を見せるアキト、そんな彼に光に選ばれたことへの自分なりの意志を示すケンゴ、そしてミツクニパパの頼みもあってアキトもケンゴの力を貸すようになり共に戦う仲間として一つ関係性が進展する、という一連の描写に関しても、ケンゴがアキトに対し示すものが「世界のみんなを笑顔にすることが自分の夢」という点のみでアキトとの対話においてあまり噛み合っておらず、彼の頑なな内面を動かすに足る要素足りえていなかったのはちょっと微妙に感じたところ。アキトが力を貸してくれる流れも、上述したようにミツクニパパの頼みがあってのことという具合であくまでアキトがケンゴを認めたというわけではなかったのに、その割にはその後のアキトの態度が見るからに軟化したように見える演出がされてたりと、キャラクターの内面の描き出し方としてなんとも腑に落ちないものになってて、色んな部分の見せ方が上手くなかったように感じるというのが正直な印象でした。もう1、2話くらい尺取ってアキトがケンゴを曲がりなりにも認めていく流れを描いた方が良かったのではと思うなぁ
ケンゴの夢という要素自体は第1話の時点から既に「漠然としていて共感しづらい」と少なからず言われていたものの前回の流れにおいては主人公らしい決意を示すものとしてハマっていたように自分的には思っていたのですが、今回の話ではその言葉に説得力を持たせる前にゴリ押した感じがあってこれはちょっとよろしくなかったなぁ...と。せめて「みんなの笑顔を守るのが僕の夢...だから、今は僕を選んでくれたこの力でみんなのために戦う!くらいハッキリ言い切る部分があっても良かったと思う。アキトに関してもケンゴのこういう感じの言葉を受けて少し思うところを見せ、その上で「お前が本当に光に相応しいか、納得行くまで付き合ってやる」くらいの方便を言って力を貸す流れならこの1話の中でも自然さはあったかも

そんなアキトは、上述した光の力への渇望とも言える感情やケンゴへの嫉妬など、構図的にはマサキケイゴのかほりを感じさせるものがあり、彼のラボにあるスパークレンスのオリジナルと思われる神器の存在も相まって、後々力に手を伸ばしてイーヴィルティガ的なものになるんじゃなかろうか...という不穏さを漂わせてるのが気になるところ(アキトが指でなぞった石版の巨人のレリーフのアップも意味深だし)。とはいえ今回の話で割とあっさりケンゴへの態度を軟化させたのでそうなるのか微妙なところだが(カルミラ辺りが彼の中の負の感情につけ込んで...みたいな展開はあるかも)。ユナに対する少なからず重い感情や、ウザい!みたいな言動を躊躇いなく言えちゃう人となりなど、割と問題多しなキャラではあるけど、その分伸び代は大きいと思うのでそこには期待したい。

 

そして戦闘シーン。

前半のギマイラ戦は、ギマイラの触手の縦横無尽な攻撃とそれを回避するガッツファルコンの飛行がCGを多用し迫力満点に描かれていた部分が非常にカッコよく、トリガーvsギマイラのシーンもオープンセットでより臨場感を引き出した上で飛びかかるトリガーをギマイラ寄りの視点でパワフルに描く演出や、馬乗り状態からの高速ゼペリオン光線といったアクションの凝った魅せが多く楽しかったものの、ギマイラが文字通りに後に控えるダーゴンの前座でしかなかったのはなんとも残念に感じるところ。「ギマイラという強豪怪獣を用意しておきながら人間の怪獣化等の原典における固有能力も使ってなくて、これじゃあ他の怪獣でも良いじゃないか」という不満があるというよりも、「怪獣の出番を入れ込もうという以上のストーリー展開上の意図が感じられず、こんな半端に怪獣を描くくらいならダーゴンに割く尺を増やしてそっちをより劇的にした方が良かったんじゃないか」という不満が凄く大きいというか。ダーゴンと並行させたことで薄味になってる感が否めないんですよねぇ...販促や構成の都合上難しいものがあるだろうとはいえ、ギマイラとダーゴンの出番は別個の回に分けるか、いっそダーゴンの存在とギマイラを関連づけるくらいした方が見やすかったと思う(ダーゴンのキャラの性質上怪獣と2人がかりで...ってのはやらなそうだが)

一方のダーゴンは、地球への降臨の際の衝撃やトリガーの下へ前進する際の足元の描写、地面を揺るがす攻撃で建物が崩れる演出など、頑強なパワーファイターらしい魅せが徹底されていてなんとも見応え抜群でした。トリガーとの戦闘も、バカスカとビルを粉砕しまくっててなんとも迫力があって良き。マルチタイプの攻撃での全く怯まない演出はまさに岩・鋼鉄といった不動さを感じられたし、再戦時のパワータイプとの戦闘もお互い怯まない一進一退のバトルという趣があったしと、幹部的ポジションの面目躍如という感じね

またオマージュ元のダーラムを意識してか水中戦の演出も入れ込まれており、こちらも非常に面白かった。でも個人的にはちょっとサービスしすぎた感もあったというか、海中戦演出はもう少し後まで取っておいても良かったかなーという気もあったり(この分を他の描写に割いてもっと物語全体のまとまりを良くしても良かったように感じるし)

ダーゴン、なかなか分かりやすい感じの武人気質(目的のために周囲を顧みない辺りは悪役という感じだが)のキャラ付けがなんとも分かりやすいけど、今後トリガー/ケンゴとの因縁が深められたりとかするんだろうか

 

そしてラスト、発進したナースデッセイ号を見上げるイグニス...という引きで締め。イグニスはまだどういう立ち位置で絡んでくるか分からないんだよなぁ 気になる

 

 

以上、トリガー2話でした。キャラの印象付けや戦闘における諸要素の演出など、描くものが多くて全体的に粗の多い構成になっていた、というのが正直な印象。ハヤシさんが特撮作品初登板なのでその辺の勝手を掴み兼ねてる部分もあるのかなとも思うけど、序盤のタイミングにおいて物語の勢いに少々のブレーキをかけてしまったかも、と感じられてちと勿体ないかなと 今後のストーリーで重要になりそうな伏線の配置は余念がないし、特撮面は文句なしなので、ここからグングン盛り上がっていってほしいところ

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた

モデルタウンをめちゃ充実させるなら考えます(屈

ウルトラマンコスモス

第17話「異次元の罠」

感想レビュー

 

 

ウルトラシリーズの看板的な存在の1体である三面怪人ダダをモチーフにした三面異次元人ギギの初登場回。ボディの白と黒の幾何学模様とか三つの顔のそれぞれの目の色が赤・青・黄と違うところとかのデザイン性は勿論のこと、人間の縮小化や研究所を襲撃して占拠する展開も凄く原典に寄せていて、かなり力の入ったオマージュキャラになってるのが面白いですよねぇ 頭部が回転することで三方向にそれぞれ位置する顔が入れ替わるギミックもユニークで好き(ダダも元々は3つの顔が回転して現れるギミックが取り入れられる予定だったらしいので、ある意味現代における技術の発展を活かしたそのギミックの実現とも言えるかもですな)

と、かなり原典の要素が強く意識されたキャラであるギギだけど、実際のところのギギって単に「ダダのオマージュキャラ」的な認識に留まらず、ちゃんと「ギギ」という一キャラとしてファンの間で人気を獲得してる印象を個人的に受けるので、オマージュ元にも劣らないきちっと独立した存在感を確立してるのは凄いよなと思う。コスモスを代表する怪獣・宇宙人の1体といっても言い認知度だし。これはある意味オマージュキャラとして大成功だと思うわね

 

そんなギギの集団移住計画および人類の縮小管理化計画を目的とした侵攻を迎え撃つ戦いを描いた今回のストーリー。薄暗く閉鎖的な雰囲気漂う研究所や縮小化した人間を閉じ込める迷宮の描写、神出鬼没に現れ出るギギ達の醸し出す不気味さがなんとも言えない緊張感を生み出しており、SFホラーとして面白い回となっていましたね。

今回の話におけるギギ達の価値観も、言葉は通じるし論理的な思考も可能だが、その実(種族の存亡がかかっていて時間や余裕が無いというギギ側の事情もあるとはいえ)人間に自分達の都合を一方的に押し付け、さも当然のように相手側を下に見てその尊厳を奪うことを前提としたロジックを強行するばかり(しかも露骨な悪意があるわけでなく「なんでちゃんとそっちも生かしてやるような妥協案出してるのに怒るの?」とそれこそが合理的で当たり前、て感じで彼らにとっては半分当然の思考らしいと窺えるのがまた)といった感じで「意思の疎通はできても分かり合えない存在」について描いてるという点で、他者との共存をテーマとするコスモスという作品においては何気にかなり重要な意味を持っていて興味深かったなと思います(ただ後述するヒウラキャップの話に引っ張っられたのもあってか、今回の話の中でこの「意思の疎通はできても分かり合えない」という要素自体は描き方が少々詰め気味であまり踏み込み切らない形になったのはちと惜しい)

とはいえ、お互いが相手を尊重し柔軟に徹底して妥協点・解決策を見出せばなんとか穏便な共存もギリできそう...とは感じるのよねギギ 残念ながらギギ族にはそんな悠長にしてる暇がなさそうだし、人間側も自種族のことで精一杯でありあまり余裕はない、とままならないのだが

ギギと人間のコンタクトという点は後々の話でもまた新たなアプローチで描かれるのでお楽しみに。

 

そんなギギ周りのストーリーと並行して描かれていたのが、完璧を追求するサワグチ女史と想いの強く込められた不完全さこそを尊ぶヒウラキャップの関係性。見解の相違からすれ違ってるように見える2人だけど、サワグチ女史も完璧というものを盲信してるわけではなくヒウラキャップと同じく想い=スピリッツを重んじる一面を見せ、奥底では通じ合っている...というかエンゲージリングどうこうという言い回しを交えてたりとだいぶがっつり良い感じの関係性なのを窺わせる、など絶妙にニヤニヤさせられる描き方をされてて面白いポイントではあったのだけど、この2人の関係性を取り巻くポイントである完全-不完全という要素の描き方が正直ちょっと微妙だった(ギギのバリアの発見を描く展開が若干サワグチ女史の発明の完璧さを下げて言う感じの流れっぽくなってた(しかも発見できたのは割と結果論的な話だから少々展開上の理詰めが弱い)ことや、完璧を追求するサワグチ女史がこの世界に完璧はないとも思っていることの描写がやや唐突気味だったこと、不完全だからこそ良いと主張するヒウラキャップの行動がだいぶ大雑把であまり説得力がなかったことなど)ことから、今回の話の軸としてこの2人の関係性の描写やヒウラキャップ個人の掘り下げが自分的にあまり面白い感じに働かなかったのはもったいないところ。ギギ周りの展開と絡めようとした故にちょっと不自然になったようにも思うので、ギギ周りの展開とは分けた上で「2人は実は良い関係にあるんやで」的なポイントの描写を注力して描いた方が面白くなったかもなぁとは感じるかなと。この2人の関係性は後々もう少し掘り下げられるのでこちらもまたお楽しみに。

 

戦闘シーンでは、まず軽やかなアクションで魅せるルナモードと瞬間移動や光線連射で巧みに立ち回るギギの華麗なバトルで場を温めてからの、Touch the fireのイントロでボルテージをグッと引き上げると共にコスモスをコロナモードへとチェンジさせパワフルなファイトで一気に逆転へと持ち込むクライマックス、という流れがなんとも見応え抜群でした。ギギの占拠した研究所を突破する際の戦法、という形で予め描いておいたテックサンダー2機のフォーメーション攻撃がコスモスの逆転を促す一手として炸裂するのもなんとも気持ち良かったわね てかコスモスの青・赤主体のカラーリングはなんかギギの白黒の幾何学模様のカラーリングと合うのよな なんでか知らんけども

また今回、何気に等身大コスモスが僅かな出番だったものの(たしか)初登場を果たしており、ヒウラキャップ達と言葉も交わすという一幕があり、ここも絵面的に新鮮で面白かった。ムサシ隊員は先に逃がした、って端的に伝える画はなんかちょっとシュールだが。w

ウルトラマンの握手会とかにも通ずる部分があると思うのだけど、等身大ウルトラマンと人が接するシーンはウルトラマンという物理的にも風格的にも神々しく大きな存在が自分達と同じ目線に立ったという不思議な親近感があってなんか良いよね...という主観

 

 

以上、コスモス17話でした。ヒウラキャップとサワグチ女史の関係性、という軸の部分の描き方が若干弱かったのが惜しいところではあったものの、ギギの存在感の濃さはなかなかに面白い回だったなと感じますね テイスト的には原典であるダダの回のオマージュを楽しむ回だったと言えるかも。以前のミーニン・ガモランの話といい、コスモスは初代からのオマージュが上手くて面白いの良いよね

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

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ではまた

愛と希望と灼熱の夢

ウルトラマンコスモス

第16話「飛ぶクジラ」

感想レビュー

 

 

ジラークのCG、20年前のやつだから技術的にもそりゃしゃあないよとは思うんだけど、やっぱり何度見てもちょっと浮いてる(物理的な意味ではない)よな〜とは思う。w そこが独特な味になっているのだが 瞳のつぶらな感じや肌の青の質感が若干「お前を消す方法」のイルカを彷彿とさせるんだよなぁ()

 

クジラと共に泳ぐという夢を否定された悲しみをカオスヘッダーにつけ込まれ利用されてしまった少女・茜が生み出した空飛ぶクジラ・ジラークの巻き起こす騒動と、彼女の夢をふと否定してしまったことに苦悩する少年・浩太の奔走を描く今回の話。思春期の子供達が自身の思い描く「夢」に一喜一憂し成長してゆく様が軸となったある種のジュブナイル的テイストを含んだストーリーを、コスモス二度目の登板となる長谷川さんがキャラクターの細かな内面の動きと共に描き出す作劇が目を惹く回となりましたね。

子供が主役の回は第4話第7話など以前にもあったけれど、今回のストーリーは自身に夢がないことへのコンプレックスから感情的になり茜を八つ当たり気味に傷付けてしまう浩太や、それに心を痛め他人をシャットアウトしてしまう茜など、精神的に成長途上な少年少女の未熟さ・脆さ、そこからくる軋轢といった子供のちょっとリアルでデリケートな心情の描写が特徴的で、この辺は人間のマイナスな部分の表現を得意とする長谷川さんならでは、という感じ。

とはいえそこで終わらせず、浩太が自身の軽率な言動を悔いて茜を説得し引き戻すという浩太の精神的な成長を描く展開を物語の山場にしっかり組み込んでおり、上記の浩太と茜の軋轢が土台となった気持ちの良いオチがしっかり付いているのが良きところでした。具体的な方法や未来への展望を示し茜を説得する浩太の姿も、塞ぎ込む茜のことを想い自分なりに色々調べたんだろうな的な彼の心の奥底の優しさが感じられてグッとくるんですよねぇ。しっかりと未来を信じ進む意志と、夢を理解し支えてくれる者がいれば、夢はきっと叶うはずよね しかし、お前の夢を叶えるのが僕の夢だ!(意訳)って、実質告白なのでは...!?ヒュウ〜(最低

陰鬱な展開の後でキャラクターの成長・覚醒を劇的に描きカタルシスを生み出す、というこのスタイルも長谷川さんも得意とするところであり、これが1話の中で上手くハマったのがとても良かった。 長谷川さんの作風は、メイン構成として作品全体のバランスを意識して徹底されるか、単発のエピソードで作品のテーマや特定のキャラの掘り下げを軸としてビシッと端的に描き切るかすれば凄く効果的に決まるというのが個人的な印象なので、今回はまさにそれが綺麗に決まったなと

 

今回のカオスヘッダーは明確に人間の心・感情というものをターゲットとして狙う、という新たな動きを見せており、取り込んだ人間を人質に使って相手の攻撃を抑え込んだりとなかなかに悪辣(この辺は長谷川さんがカオスヘッダーをヤプール的な存在と解釈したことが表れてるとのこと)。序盤から順を追って進化していく様が描かれているのがカオスヘッダーの敵としての魅力的な部分だと改めて感じる。人間に目をつけた今回の行動は、何気にこの後に待ち構えるカオスヘッダーの新たな力の伏線的な感じで繋がっているのがまた面白いところよね

そんなカオスヘッダーが茜の心から生み出したジラークを怪獣として実体化させたカオスジラーク、いかにも悪魔という感じの邪悪なツラもさることながら、クジラの髭をカイゼル髭的なデザインとして解釈したであろう角・触覚の形状や、大きく盛り上がった青色の背面やクジラの腹のひだを意識した感じの前面のモールドなど、クジラモチーフを存分に活かしたデザインが見事でとても好きなんですよね。けっこうなマイナー怪獣なんだけど、後年の長谷川さん執筆のあるウルトラシリーズの小説に思わぬ再登場を果たしており、カオス怪獣の中だと何気に優遇されてる...のかも

 

そして今回の戦闘シーン。カオスジラークの放った攻撃に浩太が危険に晒されたところでコスモスが颯爽と現れるところから戦闘は始まるのですが、ここのコスモスの

半透明の姿で現れカオスジラークの攻撃から浩太を守る

顔を上げてコスモスの存在に気付いた浩太のウルトラマン...コスモス?」の言葉に、半透明の状態から徐々に実態を得ていきながらゆっくりと頷き応える

怒り襲いかかってくるカオスジラークに向き直って立ち向かい、その攻撃を華麗な動きで捌いていく

という一連の構図のバックに、今回初登場の挿入歌「Touch  the  fire」がBGMとして流れる演出があまりにカッコよくて、ここはコスモスの戦闘シーンの中でも個人的に五本の指に入るくらいのベストバウトなんですよねぇ。コスモスが浩太を守って現れた瞬間に合わせて

君の 果てない力に

愛と 希望と 灼熱の夢 賭けよう

その手に...

という静かな強さがこもった神々しい曲調の出だしの歌詞が流れ、カオスジラークが襲いかかってきてコスモスがそれに向き直って立ち向かい始めると同時にイントロの徐々に熱量が増していくメロディがガッチリとハマって戦闘のボルテージを上げていく、というここの挿入歌の入れ方が神がかり的に絶妙で、それでいて映像的にも、半透明のコスモスがカオスジラークの攻撃を防いで光を迸らせながら登場する演出、眼下の人間に対し優しく頷くウルトラマンの神秘性を存分に現したコスモスの動き、カオスジラークとの戦闘を足元の水面に映し出す構図、などじんわりと沁み入ってくる芸術的な美しさに満ちた絵作りが満載で、マジにここは全部ひっくるめて白眉なんですよ...今回の話は個人的にここのシーンだけで100億点あげていいくらいです カオスジラークの放つ攻撃を瞬間移動と高速の手捌きで砕いていく動き(THE FIRST CONTACTでも見せていたモーション)も印象的で、改めて見てもマジでカッコよかった

 

 

以上、コスモス16話でした。「夢」を少年少女の清濁併せた繊細な内面描写により描き出す浩太や茜のジュブナイルテイストのストーリーが印象深い面白い話でしたね。長谷川さんの作劇が上手くハマったなと

戦闘シーンの神がかり的な演出・絵作りも非常に好みで、総じて個人的にコスモスの中でも特にお気に入りのエピソードですね

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

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クスリで見る幻覚ってガチめにこんなんかもしれない

機界戦隊ゼンカイジャー

第19カイ!

「ゼンカイ改め超ゼンカイ!」

感想レビュー

 

 

キカイノイドの間にもスパの文化あるのが何気に凄く意外(

 

あらゆるものがカブトムシに見えるようになり、子供のごとく無邪気に虫取りに興じるようになってしまう状態へと人々を堕としてしまうカブトムシワルドの力により、街の人々やゼンカイジャーが幻覚の森でカブトムシを追いかけ回し始める状態へと陥る大ピンチが展開された今回の話。カブトムシワルドの術中に嵌まると共にみんな一様に麦わら帽子に白タンクトップ、短パン&虫カゴ・虫取り網装備の夏休みの子供スタイル(女性はマジーヌ共々白ワンピスタイル)へと変貌し、底抜けに陽気なテンションで幻の中でカブトムシを仲良く追いかけ回し始める、という絵面がとてつもなくシュールでめちゃくちゃに笑った。w しかも、カブトムシ=ビートル繋がりでビートルズの「アビイ・ロード」の横断歩道渡ってるジャケットのパロディ演出をしれっと入れてたり、ジュランが「翔さんも大喜びだぜ!(翔さん=多分相川翔さんのこと。相川翔さんはカブトムシ大好きで有名)」って台詞入れてたりと、細かいとこでカブトムシに因んだ小ネタ入れてると他の視聴者さんのツイートで知って余計に草生えたし() (これでもゼンカイ基準だと割と大人しいなとか若干思ってる自分の慣れが怖い

...でも、後になってよくよく考えてみたのですが、この大勢の人間やキカイノイドが空き缶やら他の正気な人間やらをカブトムシと思い込んだり自分達が森の中にいると思い込んだりして、いもしないカブトムシを捕まえようと子供のようにはしゃいでる絵面って、ぶっちゃけた話、街のど真ん中で大の大人達が揃って幼児退行スレスレの幻覚キメてるも同然の光景とも言えるので、見かけのシュールさに反してなかなかゾッとする演出でもあるな...とか思ったりしましたね...第11カイのオニゴッコワルドの鬼ごっこ地獄もよく見ると割と見た目の面白さに対しえげつなさが凄いよな、なんて思いましたが、それをも上回る隠れホラーテイストを感じたぞ...ギャグやりまくりの作品でたまにこういうのをそっと仕込んでると、気付いた時良いアクセントになるので好き

 

と、意味が分かると怖い能力のインパクトがデカいカブトムシワルドでしたが、オーソドックスな日本のカブトムシをメカニカルにした頭部に加え、右腕がヘラクレス(ネプチューン)の上下2本角、左腕がコーカサス(アトラス)の3本角とだいぶカブトムシモチーフに凝ったデザインになってて個人的にはビジュアル的にもなかなかお気に入りの怪人。最近全体的に見てもワルドのデザインは凝ったものが増えてきてて、一般怪人好きな身としては満足だぞ

 

今回は後半に入るくらいまでゼンカイジャー一同が使いものにならなくなってたのでゾックス/ツーカイザーが主だった戦闘を担っており、最近微妙に不遇だったのをちょっとずつ取り返そうとしてるな?とか冗談混じりに思ったり。w もう能力かかってるから関係ないよね?って理屈でゼンカイジャーや一般人を盾がわりにしてカブトムシワルドの光線を防ぐのだいぶ鬼畜で笑ったけど、ゾックスならではのアウトローさが久々に見られて面白かったですね 実質的に味方化してからのイメージを崩さない絶妙な塩梅だったのが巧い。

 

そんなカブトムシパニック(???)が発生する中、トジテンドでは前回のラストに介人の両親の写真を見て何かに気付いたステイシーくんがイジルデの研究室で介人の両親の姿をした謎のAIらしきデータにアクセスする、と本筋に大きく絡んできそうな展開が。これらの一連の描写を見るに以前予想した「ステイシーくんは五色田家となんらかの血縁あるのでは説」は別に当たってなさそうですな

物語の大きな軸の一つだった「介人の両親がトジテンドに囚われているのでは」はある意味証明される形となったけど、これ2人は今どういう状態なんだろうか...という謎が新たに出ましたね。現状はイジルデが彼らの知識や技術を今もいいように利用してる、ってので概ね合ってるだろうけど、2人はもう人間的に死亡しててその意識や知識だけがデータとして残ってるのか丸ごとデータ化されて閉じ込められてるとかなのか、その辺がどうなのかによって介人が今後曇ってしまう可能性があるから猛烈に気になるぞ...ゼンカイの作風的には後者であって欲しいところ。前者でも介人は最終的に前を向くだろうけどゼンカイでそれ見るのはちょっと辛くなりそうだし...

その介人の両親のデータにアクセスし呼びかけるステイシーくん、心境的にはやっぱりヤツデ婆ちゃんの為になりたいと思ってる...というか、家族がトジテンドに監禁されているという彼女を悲しませるような事象が存在することを少なからず心苦しく思ってるのがあるのかなぁと。第16カイでの行動もヤツデ婆ちゃんの存在がフックとなった故の実質的な裏切り行為だったし、やはりそこはステイシーくんにとってかなり大きく影響してるんだなぁ。母の面影を感じる人物を傷つけたくない家族愛の発露、なのだろうか

しかしそうやっておそらくはヤツデ婆ちゃんのために頑張ってるだろうに、介人の両親データの覚醒を促そうとして繰り出した渾身の完コピゼンカイザーの名乗りポーズが不発に終わるの、あまりに不憫すぎてステイシーくん、マジステイシーくん。() 誰も見てなかったのが救いか...でもじわじわとゼンカイ時空に毒されてきてて嬉しいですねぇ〜(邪
しかしステイシーくんが去った後、何がキーとなったのか、介人の両親のデータは突如目を覚まし...てかここのシーンの2人のデータの覚醒の絵面、目を開いた後の2人の瞳がハイライト無しの真っ黒だから何気に超怖い。そんなとこで脅かさないで(

 

一方のピンチ真っ只中のゼンカイジャー一同、未だ幻覚が解けない中、介人が楽しいカブトムシ捕りに幼い頃の両親との思い出をふと重ねたことで思いがけず復活、カブトムシワルドを倒すべく戦線復帰、という展開と相成りました。両親の奪還も含めてトジテンドの打倒を使命としている介人が、両親の思い出を小さなきっかけとして自発的に敵の見せるまやかしの悦びを脱するのは介人の両親への思い入れも感じられて熱いですね(それを「両親が『助けてくれた』」と表現するのも、その思い入れをより強調してて良い台詞回しでしたね)。

ちなみに介人が両親との大切な思い出をきっかけに両親がトジテンドに監禁されている現状を思い出し覚醒する流れについてある視聴者さんが、「これって昔に良い思い出なんて無かった!というところから敵が促す懐古の感情を打ち破った第15カイのキカイノイドの描写と『今と昔への思いの違い』という点から凄く対照的な描写になってる」と仰っててこれはなるほどなと唸りましたね

 

そしてカブトムシワルドとの戦闘の中、セッちゃんがデータを受信、それを基にフリントが設計、という流れで生まれた新装備「ゼンカイジュウギア」を使用し、ゼンカイザーがスーパーゼンカイザーへと強化パワーアップしました。

ロボを等身大で活躍させるというゼンカイジャーのコンセプトに倣った、ゼンカイザーもロボ化させたろ!という考えでゼンカイザーのイメージをガラッと変化させた(というか顔が出てるくらいしかもう原型が無い)ビジュアルに最初は驚きましたが、いざ実戦となってその戦う姿を見ると、ゴツめの体格に反したワイヤーアクション多用のアクロバティックさとパワフルさが同居したファイトスタイルがとてもカッコよく、「動けばカッコいい」の通過儀礼が見事当てはまる形となりました。ドラゴンシーザーモチーフのシルバー主体のストレートな重厚感溢れるロボのシルエットがガツガツアクションすると気持ち良いんですよねぇ 必殺技「超ゼンカイスーパーバスター」も、空中に主武装の槍を放り投げてる間にギアトリンガーで必殺技を起動→槍の落下と同時にビーム砲をぶっ放し、強力なエネルギーを纏った槍の刺突を敵に見舞う、という良い感じに外連味の効いた派手な演出が超絶カッコよくて一気にハマっちゃいましたね 挿入歌も上手くマッチしててテンション高めに戦闘を楽しめたぞ

にしてもゼンカイジュウギアのデータをセッちゃんが受信したのは流れ的にも多分前述した介人両親のデータの覚醒がきっかけだと思うのだけど、それを思うと両親のデータが意図したにせよしてないにせよ、強化アイテムを贈るという形でまたも介人を「助けた」形になってるわけで、これはなんともグッときますね。介人覚醒の流れとさり気なく文脈が繋がるのが見事でした

 

こうしてカブトムシワルドは無事撃破。サイズ感が狂いそうになる巨大戦(森の中にビルのミニチュアおっ立ててロボ戦行うの斬新すぎて面白かったw)も勝利で終わり、介人やヤツデ婆ちゃんも両親が助けてくれたことを感じ取る、というところで締め。介人に礼を言われてちゃんと返事する辺りに可愛げを見せつつ、ゼンカイジュウギアしれっと2個作ってたと分かって抜け目なさも見せつけてくるフリントが最後に良い存在感出してました。w

 

 

以上、ゼンカイジャー19話でした。集団幻覚って怖い(こなみ)。介人の両親の行方について若干の不穏さを匂わせつつも、介人の覚醒やスーパーゼンカイザーへのパワーアップの流れの中に、介人と両親との繋がりという文脈をしっかり描き出す作劇が熱かったですね。スーパーゼンカイザーもカッコ良きでした

ステイシーくんの方も色んな意味で変化が目立ち始めてきた感があり、今後がますます気になるところ。

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

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ではまた

ポンコツ探偵

トロピカル〜ジュ!プリキュア

第20話「名探偵みのりん! 消えたメロンパン事件!」

感想レビュー

 

 

中学校の購買に抽選で選ばれた1名の生徒にのみ販売されるメロンパンがあるシステム、だいぶクレイジーだと思います() 生徒の闘争を煽りますよ...普通に個数限定とかで良いじゃないですかぁ!?

 

強力な豪運により限定メロンパンを引き当てた夏海まなつ

彼女の下から忽然と消失したメロンパン

摩訶不思議な怪奇に名探偵みのりんが立ち上がる

果たしてメロンパン消失事件の犯人(クロ)とは何者か–––

な今回。これ見よがしに「調整中」の貼り紙が貼られたエレベーターや階段上で掃除するさんごなど、いかにも伏線っぽい描写を入れてきたりとマジにちょっと推理モノっぽい雰囲気出してたのがなんかジワった。何も関係なかったですけどね!!

如何にも今回の一件を解決するキーパーソンっぽい存在感出した名探偵みのりん先輩、実際には推理小説に影響されてやりたくてやってただけだったので推理力もへったくれもなく、場当たり的に怪しい奴を指摘して場を掻き乱してただけだったのでダメだった() そういう積極的に推理に参加するけど理論がガバガバな奴ってダンガンロンパだと即論破の餌食になりますよ...左右田くんかよ

しかもサブタイトルにデカデカと名前乗ってる割には、他の面子諸共容疑者に吊し上げられるし、なし崩し的に犯人も判明しちゃうから後半は全然関係なくなってたしで、名探偵みのりんマジでなんだったんだろう...ってなるw 前回の予告の時点でみのりん先輩がおかしくなっただのなんだの言われてたけどホントに突然ぶっ飛んだことをし出しただけだったからなぁ...w

 

そんな名探偵みのりん先輩のガバガバ推理が遠因になって、ギャグっぽい感じであわやチーム分裂の危機に陥る流れもめちゃくちゃアホっぽくて笑った。w 犯人イメージに当て嵌められてる時の凄く食い意地張ってそうなビジュアルのみんなの画が可愛くて好き。学校の外壁よじ登ってまでメロンパン食いに行こうとしたことにされかけてたあすか先輩可哀想すぎない?

 

そうしてみんながバチバチに睨み合う中で、被害者のまなつが一番冷静になってみんなを諌めてたの、とてもシュールだった...w

推理が始まった時には「犯人吊るし上げて転がしたらァッ!!」とかでなく「推理するの面白そう〜!!」という方向で積極的になってて、事件のこと自体はすぐにほとんど気にしなくなってたし、戦闘時も「今は事件のことより戦うのが一番大事なことだよ!」的にちゃんとリードしてたしと、今回一番理性的に振る舞ってたのがまなつなの本当面白すぎるんよな() でも事件のこと殆ど根に持たず他のことへの興味で心躍る前向きさが濃く出てた辺りは凄くまなつらしくて好きね

 

戦闘パートでは待ちに待った5人揃っての変身がお披露目。名乗りの部分も5人揃ったバージョンになって彩りがより増し、とても良きものでした 名乗り向上も「5人揃って!」に変更になってて、いよいよゼンカイジャー感が濃い(

そして戦闘中、ひょんなことから結局ローラが食っていたことが判明(メロンパンがいつもの形状と違ってたせいで、普通のメロンパンの形状しか知識としてなかったローラはそもそもメロンパンなんて食ってないと思ってた、という設定トリックが何気に面白い)するも、ローラはちゃんとみんなに詫び、みんなもそれを受け入れて全体でしっかり仲直りする、と女児向けアニメらしく気持ち良く友達との仲直りを描く展開に舵を取ってて良きでしたね 友達とのことなのでローラが意地になったりせずちゃんとごめんなさいできてるのが、ローラ...お前立派に成長したなぁ...ってなるのも好きなところでしたね

 

ラストでは、メロンパンの出しっぱを心配したくるるんのめちゃくちゃ優しい気遣いが事件の遠因になってたことも分かり、結局悪い奴はいなかったということで丸く収まり締め。くるるん、冒頭の時点で(くるるんがメロンパン食ったんでしょ...)って疑ってごめんな...() くるるんが地上の食べ物食べないって設定あんま意識してなかったので盲点だった

 

 

以上、トロプリ20話でした。推理モノオマージュっぽいみのりん先輩メイン回、かと思ったけど特にみのりん先輩は関係なかった。寧ろ場を掻き乱してた()

ストーリーとしては雨降って地固まるという感じで、友達との仲直りやトロプリチームのいっそうの団結を描き出した手堅い話になってて面白かったですね 5人バンクのお披露目もあって楽しかった

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた

出会わなければ

仮面ライダーセイバー

第43章「激突、存在する価値。」

感想レビュー

 

 

ルナに食い気味に怪しい奴認定されて警戒される倫太郎、不覚にも笑ってしまった からの怪しい奴認定されても慌てず物腰柔らかに話しかけ、「おっ、上から失礼」とちゃんと子供の目線になるようしゃがむイケメンっぷりよ

 

今回は物語の要所要所でストーリーの一つの軸としてフォーカスされてきた蓮とデザストの関係性の決着をメインとして描くストーリー。

歪な繋がりから始まり共に行動してきたこの2人が、死期が近づく中で自身の存在する意味を想い荒れるデザストに蓮が全身全霊でもって戦うことで彼の存在理由を刻み付け、デザストも蓮に全力で向き合い「そのままの自分を信じて進め」と道を示す、という感じでそれぞれ相手の抱くコンプレックスを理解した上で剣を交えそれを振り払う展開は、この2人の間でこそ成り立った奇妙で特別な信頼を感じられ、特殊ながらも不思議な味わいがありました。蓮が自分のことを想い全力でぶつかってきてくれることに対しデザストが嬉し泣きの嗚咽混じりといった感じの声色でいつものように振る舞うシーンの内山さんの繊細な演技がとても好き。デザストの蓮に対するシンパシーと、なんだかんだ言いつつもデザストを滅すべき敵と捉えず接してきた蓮の対応があってこそ生まれた、絆とも友情とも違う不思議な関係性だよなぁ 刃を交えて理解し合うセイバーならではな決闘展開も、自身の存在を懸けて強さや闘争を求めていたこの2人だからこそより映えて良かったし(思えばデザストが最近になって虚無を主武装として戦うようになってたのは、聖剣を手に自身の信念をぶつけ合う、というセイバーの決闘の構図を蓮vsデザストにも当て嵌めようという演出的な意図もあったからなのかもね)

 

という感じで、デザストが蓮をある種の師匠のように導く構図など概ね見たいものも見られてグッとくるものはあった蓮とデザストの最後の対決でしたが、2人の決闘中やたらにしんみりとした挿入歌を入れてきたり、そもそもの2人のやり取り全体が妙に感動チックなテイストの表現をされてたりと、なんかこの2人の関係性を凄く劇的にしてやろう!的なあざとさみたいなものが演出に出過ぎた感があったのは正直個人的にちょっと微妙だったところ(紅生姜うんぬんとかも込められてる意味合いについては理解できるものの、この流れの中だと少々露骨に象徴的な要素を充てがった感があり自分としては少しくどく感じた)。自分がこの2人の決着にそういうものを求めてなかったという好みの問題によるところが大きくはあるものの、どうも盛り上がりきれなかったな...と感じた(剣を交え語らう決闘の熱量をもっと押し出す感じの方が今回は良かった、と思っている)。

元々デザストのキャラクターおよび蓮との関係性の印象付けに関しては公式TwitterでのショートストーリーやスピンオフなどTV本編のストーリーの外で主に行われており、TV本編が進む中で描かれる2人のコンビについてもそれらの蓄積を基にして視聴者に愛着を持たせていたと感じる部分が大きかった(デザストも蓮も序盤はだいぶ持て余してて上手く描けてたとは言い難いし。本編でなかなか描けない故の苦肉の策でもあったかもだが...)ため、こういった外伝・スピンオフや本編の外での企画でのキャラの印象を本編での掘り下げに落とし込む手法が苦手な自分としてはそこまで好きではない部分もあった(物語の主軸であるTV本編単体でも十分納得できるけど後のスピンオフなどでより作中要素や物語に深みが増す、というのは全然良いけど、さもスピンオフを知ってることが前提かのような感じで特定のキャラの掘り下げなどを必要以上にそちらに落とし込むとTV本編自体が「一つの作品」としては破綻すると思うので)ものの、この2人の関係をストーリー上で群像劇の一環として話の一つの軸に据えて印象深く所々で描いてきてたことは仮にも面白い取り組みだと感じてただけに、最後の最後で本編外の要素の積み重ねまで一緒くたにした2人の関係の「エモさ(あまり好みの言い回しではないが敢えて使わせていただく)」みたいなものに盛り上がりを委ねすぎたような印象を受ける演出がされたのがちょっとな...という気持ちになったって感じです。TV本編で後半になって描き出された2人のキャラクター性や関係性がそれ単体でも曲がりなりにも味わいがあり、自分としてもその決着に期待が膨らむものだった故に、せめて本編外でのキャラの印象付けはあくまでも土台とした上で、本編で描いてきたことそのものにもっと重きを置いてまとめて欲しかったな...と。

無論エモさに依りすぎたどうこうは自分の抱いた個人的な印象にすぎないので当てにはなりませんが、少なくとも仮面ライダーセイバーという一つの作品の一番の軸であるTV本編で描けてるものとしては、不満な部分の残るものだったとは自分の正直な感想です

 

と、蓮とデザスト関連は印象的ながらも色々思うところがある形になりましたが、それ以外の本筋の部分は、人間を閉じ込めた本やソフィアの分身とも言える存在を容赦なく餌として飛羽真達をせせら笑うストリウスの邪悪さや、神代兄妹の巧みなコンビネーション・クロスセイバーの界時抹消攻撃といった特徴的な演出が目立った飛羽真・神代兄妹の共闘など、目を見張る部分が多くて面白かったですね。サーベラの煙化特攻をカリュブディスが迎撃する寸前で界時抹消で割り込んできたデュランダルが攻撃を見舞うという視聴者の不意をも突く連携はカッコ良かった。

またストリウスの振る舞いに関しては、巨悪としての存在感をここにきてよりグッと増す形になってて実に良きでしたね。イザクと入れ替わりでラスボス格に名乗り出た割に行動がこじんまりとしてて、これだったらイザクの方がまだハラハラさがあったかなぁとも思い始めてたタイミングだったので、ちょうど良い時にしっかりインパクト出してきたのはグッド

物語の結末は私が決めます!と明確に飛羽真とダブらせた台詞回しも見せてきて、ラストに向けどこまで印象を刻んでこられるか楽しみ

 

 

以上、セイバー43話でした。蓮とデザストの決着を主軸としたストーリーが展開され、グッとくるものはあったものの演出面ではもう一つ盛り上がりきれない形になったのが個人的に惜しかったところでしたが、一先ずの綺麗な着地がなされ、ここからの蓮の描写は気になる。

ストリウスが存在感を出し始め、本筋もどう動いていくか楽しみなところなので、より注目していきたいですね

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

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ではまた

舞台の幕が閉じる。そして−

からくりサーカス

第36幕「閉幕」

振り返り感想

 

 

「人の人生とはなんと不可思議なものでございましょう。人と人との出会いや、そこでなされる行動は、複雑に歯車のかみあう、まさにからくりのようではありませんか。

そしてまたそれらから生まれる「喜び」「悲しみ」「争い」「和解」の感情は、あたかなも芸人達が舞い飛ぶサーカスのよう。

人の歯車はからからと互いを回し、人生というサーカスを演じてゆくのかもしれませぬ。」

「だからこそこの、からくり仕掛けのサーカスは、また一時閉幕をするのです。」

 

巡り来る

次の開幕に向けて

さあ、君は

君にサーカスに、

 

             ↙︎               ↘︎

とびこまない     とびこむ

 

からくりサーカス第43巻 機械仕掛の神〜 第91幕「人形芝居」

 

どんとこい、ゼットアンドリュー on Twitter: "#karakuri_anime 第36幕「閉幕」 3クールに渡る大きな舞台が遂に幕を閉じました あの壮大な物語を初めて読んだ時の心震える感覚をアニメを観ながら、また今回改めて原作を読み返しながら改めて思い返すことができて、しかも新しく気付いたキャラの心情などもあったりと実に楽しい見物でした"

どんとこい、ゼットアンドリュー on Twitter: "#karakuri_anime 原作が43巻もの大河なだけにそちらと比べると物足りない部分もあったりして文句無しと言えないのもまた本音ですが、アニオリの粋な演出をはじめ、限られた中であの熱量を伝えようとしたことによる感動的な場面も数多くあり、原作とは違う魅力も感じられ実に心踊る作品だったと思います"

どんとこい、ゼットアンドリュー on Twitter: "#karakuri_anime この機会に今作及びその原作漫画興味を持ってくれた方々が多くいたこと、かつて原作を読んだ感動を色んな形でまた思い返すことができたこと、そういったあらゆる面でとても意義があり、素晴らしい作品であったと僕はこのアニメからくりサーカスを評します 凄く楽しかった..."

どんとこい、ゼットアンドリュー on Twitter: "#karakuri_anime アニメという媒体の中であの名作の心震える最高の瞬間を映しだそうと頑張ってくれたスタッフの皆様、魅力あるキャラ達に更に命を与えてくれた声優さん達、そしてこの作品を生み出し改めて今作に携わってくれた藤田先生、皆様3クール本当にありがとうございました お疲れ様です"

どんとこい、ゼットアンドリュー on Twitter: "#karakuri_anime 3クール長々と感想書いたり自主予告ツイしたりととても楽しかった これで興味を持ってくれた方がアニメでも原作でも手を出して、また1人からくりサーカスを好きになってくれる人が増えると良いなぁ みんな見ようぜからくりサーカス!! では"

どんとこい、ゼットアンドリュー on Twitter: "なんやかんやで大きな息切れもなくきっちり最後までやり切ったのはとても大きなことだと思いますよぼかぁ ラストのカーテンコールを美しく描いて締め、観客と役者が一時去ったあの静かな舞台の余韻までしっかり描いてくれたの本当に最高でした #karakuri_anime"

 

どんとこい、ゼットアンドリュー on Twitter: "最終回、色々語りたいとこは多いけれどやっぱりフェイスレスの最期までの心の動きは良いなぁ 自分の記憶や心を転送し理解している筈の勝やしろがね犬の想いや行動、愛を独占しようとする自分の負の部分を濃く表したディアマンティーナの言動の一つ一つを通じて→ #karakuri_anime"

どんとこい、ゼットアンドリュー on Twitter: "ようやく自分を客観的に見ることができ、そして最後の気まぐれに勝に手を貸す中で好きだった兄の兄弟の愛を思い出すことができたのよな そして勝という自分を見てくれてる観客のため、最後の演目をやり遂げる 最後まで舌を出しておどけながらも、涙して謝るシーンはやっぱくるなぁ... #karakuri_anime"

どんとこい、ゼットアンドリュー on Twitter: "勝を地球に送り出す時の「1人で行けよ」はアニメの一連の流れの中で見ると、兄弟というものを思い出し、兄の想いを理解したからこその、弟を助けたいという気持ちと、兄がいなくても1人で強く巣立てという気持ちの表れのように感じたなぁ 本当に魅力ある最期だわフェイスレス #karakuri_anime"

 

 

前回の更新からとてつもなく間が空いてしまいましたがようやくアニメからくりサーカス、最終回の記事更新と相なりました。再放送された最終回自体はとっくの昔に視聴してたんだけどゾンビランドサガにお熱で全然書く暇がなかったのだと言い訳させてくれ(

からくりサーカスは原作・アニメと合わせてこれで3、4周はしたかという感じですが、やはりこのフェイスレス/金の勝との一連のやり取りや彼が自身の過ちや様々な人々の想いに向き合っていく様、勝達のその後を描き出す大団円...そしてカーテンコール、というこの締め括りは非常に熱いな...となりますね。

 

この最終回から感じるところとしては、本作はやはり白金という男が些細なきっかけから愛に狂い、世界を災厄に包んでいくところから始まり、そして様々な者達の想いや姿を通じて自分や他者の心を理解し、慈しみを得て自身の過ちを悔やむに至るまでを描く物語、つまりはある意味で白金/フェイスレスをもう一人の主役とする壮大な舞台劇でもあったなぁ、というところなわけですが、アニメにおいても勝達をはじめとしたキャラクターの物語と並行して、白金/フェイスレスの執着や心の歪みといった背景、キャラとの関係性をしっかりと押さえて本編を描いてきたからこそ、この最終回で彼が勝との対峙などを経て、愛する誰かのことを想うことの意味、何かを自分の思うままに独占しようとすることの愚かしさ、弟を支え共に歩もうとする兄の気持ちなどを理解し、最後に大切な存在であった兄へ全てを懺悔して哀しき歴史に終止符を打つ流れがしっかりと印象深いものになってたのはとても良かったですね。いつものようにおどけて笑いながらも、瞳からは自身の愚かしさを悔いるかのような涙が一筋零れ落ちている、というあの金の内面を絶妙に表した最期の表情の画も綺麗に描かれていてグッドでした

次第に落ち着きのある喋り方へとシフトしていく古川さんの演技も味わいをグッと深めていて、総じてあの一連にシーンはほんと満足度とても高かったなぁ...としみじみ。古川さん、白金/フェイスレス役として素晴らしい演技をしてくださってありがたい限りである

 

そして勝が世界を救ったその後を描くEDパート、ここは前述の金と勝のやり取りにしっかりフォーカスをした分けっこう尺を巻きに巻いており、鳴海兄ちゃんとしろがね、および勝の描写はきちんと過不足なく描けてたものの、ミンシアや仲町サーカスの描写は総カットだったので正直最後の最後で勿体なかったなぁと感じる。まぁ平馬や涼子、三牛親子がいない状態で仲町サーカスのエピローグやっても若干味気なさはあっただろうし、それでミンシアだけその後をピックアップしてもちょっと浮いたかもな...と思うのでアニメの構成的にカットは英断だったかも、とも。ここは難しいところだなぁ

とはいえ、勝がかつて自分を救い励ましてくれた鳴海兄ちゃんと同じように1人の少年を救い励ますという、からくりサーカス」という作品の一つの軸になっていた勝の成長の物語の集約新たな物語の開幕を象徴する構図での締め括りはやはりアニメでもグッときたので、観終わった後の爽快感は文句なしですね。歯車がまた新たな歯車と絡み合い、また別の物語=舞台の幕が開いていくというのが実に本作らしいよなと

 

 

そして、「からくりサーカス」という『舞台劇』の締めとして最後に描き出されるカーテンコール。舞台を織り成してきたキャスト達が舞台上の敵味方の役を越えて揃って手を取り合い、笑顔で観客に最後の挨拶をして幕を閉じる、という『舞台』を一つのテーマとしてきた本作だからこそより際立つものがあるこのラストシーンは原作漫画で読んだ時も唸ったものですが、アニメからくりサーカスという舞台劇でもきちんとこうして終わりを飾ってくれたのはとても嬉しかった。全ての演目を終えた静かな舞台のカットが一番最後に来るあの風情も好きなんですよ...本放送当時はカーテンコールちゃんと描くかちょっと心配だったから、よくやった!という喜びもあったなぁ

原作漫画に比べるとカットの関係とかでキャストは減ってるものの、それがかえって「『アニメ からくりサーカス』というまた別の舞台劇の締め」としての味を深めているし、アニメとして映像化されたことによる彩りの増し様、しろがねの歌のアレンジインストをBGMにして描くという粋な演出なども相まって、原作とはまた一味違う感動があったのも凄く好みなポイントですね。いやあ良かった

 

 

以上で、自分のアニメからくりサーカスの全話の振り返り感想も締めとなりました。最後の最後でちょっと散文じみた記事になったかもだけど勘弁して(

なんか改めてじっくりと「アニメのからくりサーカス」というものに向き合ったからこその感動や、その中でもやはり見えてくる原作漫画の偉大さなんかを実感することができて、とても意義のある振り返り感想だったなぁと。アニメもアニメで良いものだったよ

とはいえこれでからくりサーカスという作品の魅力に迫り切れて、伝え切れたとも思っていないので、もし暇なんかがあれば原作漫画の方のからくりサーカスのレビューなんかもいずれ出来れば良いなぁ、なんて思ったり。できると良いな

 

ともあれ、長らくお付き合い頂きありがとうございました。少しでもからくりサーカスの魅力を共有したりできてたら嬉しいです 本当にありがとう。

 

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

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ではまた