AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

テストォォォォォォ!!(ナツカワハルキ)

ウルトラマンコスモス

第55話「最終テスト」

感想レビュー

 

 

鏑矢諸島怪獣ズの中にちゃんとタブリスやバデータがいるの良いよね カメラ目線で手を振るバデータくんかわいい 結局あのデカくなったままの姿で戻らないのはちょっと不便そうだけど元気そうで何より

 

人類(とヒウラキャップ)の命運を賭けたテストの行方を描く今回の話。第7話以来のミーニンとガモランのピックアップとなり、彼らを送り込んだ異星人の登場などその背景を細かく掘り下げる話になっておりました。武上さんが第7話の時点からミーニン周りのその設定を既に細かく決めてたのかどうかは知らんけど、その星の文明が危険かどうかを測定するための指標としてミーニン/ガモランが送り込まれたという設定を踏まえると、「一見無害そうなミーニンが突然ガモランになって襲って来る」という反転が為されるようになってるとことか、ガモラン自体の戦闘力がそこまで劇的に高くはないこととかが妙に説得力持ってくるので面白いところ(無害と思ってた存在が自分達に害あるものとなった時の態度の変わりようとか観測しやすいし、「観測」が目的であるが故にガモラン自体が強いことには意味が無いと言えるので) テストの結果次第ではその星の種族を殲滅するためにガモランが目じゃないほどの戦力が送り込まれてきてたかも...とも考えられたりするのであの異星人の少女が属する種族何気にかなり強大なのでは、とも思ったり

 

しかしガモランⅡ、前に登場した初代ガモランに比べてだいぶミーニンの面影強く残してるので愛嬌があるよね。ベロクロン初代と二世くらい趣が違っとるぞ 脚が長いのとコントローラー付いてる以外マジでミーニンまんまなんだけどガモランの前のスーツ残ってなかったのかしら

 

中盤、コスモスの介入を防ぐために異星人の少女がムサシを拉致したことでムサシおよびコスモスが不在となってしまう展開となりましたが、そんな中で暴れるガモランⅡを倒すのではなく救おうと動いたのがフブキ隊員だったのはストレートに熱い展開でした。ムサシならミーニンを救う方法を諦めず探してみせるとしっかりと理解していて、人間と怪獣の共生への答えを自分なりに出すという決意と共に自分がその場にいないムサシに代わり奮闘するという姿はカッコよいね...もう1匹のミーニンを説得のためにバルーンで着陸させ、それに引きつけられ大人しくガモランⅡをそっと確保するという奇策も用いたりとやり方も優しく柔軟なものになっていてこの辺もほんと序盤からの変化を感じたところでした てか後から気付いたけどここのバルーンに吊られるミーニンってピグモンのバルーンのオマージュね

 

そんな今回のエピソードの一つの軸であった「人間と怪獣の共存共栄への答え」という要素、明確な答えこそ示さなかったけどこれを改めて分かりやすく強調してきた辺り、やはりクライマックスに向けての布石を敷いたりしてるんだろうなってのを感じるわね

しかし「テリトリー等に縛られることも互いに息を潜めることもなく、人間と怪獣が共に寄り添い助け合いながら生きる世界にする」的なところを一つの目標にする感じの描写できたのはけっこう攻めたよなぁと少し感じたり。ムサシが一度語った「互いにテリトリーを侵すことなく穏やかに暮らす」という意見も、人間と他の生物がそれぞれの生きやすい環境やペースを尊重し合って正しい距離を図るという意味では間違った共存の在り方ではないと言えるわけだしね まぁ夢物語じみてるのは承知の上で、「そういった垣根さえも越えて互いに真の意味で寄り添い合っていければ良いよね」的なニュアンスで実現したい理想として掲げてるのは本編の雰囲気から伝わるけどね そのくらい夢を持って描いた方がメイン層の子供達には輝いて見えるだろうし まだまだ完璧な答えは見つからなさそうだけど、フブキ隊員のように怪獣との向き合い方を発展させながらより良い共存のために努力する人達も着実に増えているわけで、そんな人達を少しずつ増やしていくことが、答えに至る道であり、コスモス世界の希望になっていくだろうね

 

と、コスモスがいなくとも怪獣を救おうと奮闘するEYESの決死の活躍もあって異星人の少女のテストはクリアされミーニンも救われたものの、ガモランへの対処で時間を食ったためにヒウラキャップはサワグチ女史から課されたテスト...もとい宇宙出発前の待ち合わせをすっぽかしてしまう羽目に。自身を試す抜き打ちのテストに失敗し、最後に顔を合わせるタイミングも無いまま向こう数年は女史と離れ離れになることとなりしょげるものの、次に帰ってきた時にまたテストをしてあげる、と言われまた機嫌を良くするキャップが面白かった。w キャップと女史の関係性についてもギギ関連の話で武上さんが積んできてた要素だったし、最後の登板となるこのタイミングで一つの締めを描いておこう、的な感じだったのだろうか。

行くべきか行かざるべきかをキャップに会いに来て言って欲しいと待ち望む姿や、結局間に合わなかったキャップに呆れつつも「貴方はそういう人よね」的な一種の理解や信頼も込みで次のチャンスを用意しとく様など、サワグチ女史のさり気ない恋慕と思しき感情を感じさせる絵作りは目を惹いたので、せっかくならガモラン絡みのエピのついでよりかは単独で描いて欲しかったな〜とも思ったり。「最終テスト」という部分で繋げてきたり、アヤノの反応を中心として作中での描写の濃度を高めようとしたりとけっこう工夫はされてたけどややどっちつかずになった感もあったかなと(まぁ両方を兼ね合わせて描くというところでは割とベストな塩梅だったとも思うけどね) しかしアヤノといいドイガキ隊員といい、キャップの下に女史からの連絡が入ってきたと分かった途端吹き出しながら囃し立て始めるのノリ良くて好き。w 中学生か()

 

 

以上、コスモス第55話でした。コスモスにおける武上さん最後の登板ということで、ミーニン/ガモランやサワグチ女史など武上さんが扱ってきた諸々の要素を活かし面白く盛り上げた回となりました。先も述べたように「人間と怪獣の共存共栄」がここでも改めて強調されている辺り、クライマックスに向けてのテーマ性の深化が進んでるのを感じられるところであり、尚のこと終盤の盛り上がりが楽しみであります

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた

本と剣の物語

仮面ライダーセイバー

総括

 

 

文豪にして剣豪!!
すべては一冊の本から始まった。
はるか昔、世界は大きな力を持った一冊の本から作られた。その本はあらゆる物語の源となり、神話や生き物、科学技術、そして人間の歴史のすべてが詰まっていた。聖剣に選ばれし剣士たちがその本を守ることにより世界の平和は保たれていた。
ある時、争いが起き大きな力を持った本は分冊されバラバラに散りその多くは失われ世界の均衡は崩れ去った。力を持つ本は失われ伝説となった。しかし、力を持つ本をめぐる戦い終わっていなかった。戦いは長きにわたって続き、今もなお終わりをむかえてはいなかった。
そして今、一人の青年が聖剣と出逢い、世界の運命が大きく動きはじめる。

 

仮面ライダー公式ポータルサイト「Kamen Rider WEB」シリーズ紹介-仮面ライダーセイバーより抜粋

仮面ライダーセイバー | 仮面ライダーWEB【公式】|東映

 

プロデューサー高橋一浩×メインライター福田卓郎のコンビをはじめとする「仮面ライダーゴースト」の制作陣を中心に据えた布陣、剣と本をテーマとしたファンタジックさが目を惹く世界観、多人数ライダーの群像劇というポイントを強く押し出したストーリー、などなど多くの見所を引っ提げて繰り出された令和ライダー2作目、仮面ライダーセイバー」。近未来的な作風で織り成される世界観が特徴であった前作ゼロワンから雰囲気を一新したファンタジー風味の作風等の面から注目を集めた一方、2020年当時猛威を奮っていた某ウイルスの蔓延による情勢の悪化で多くのドラマが制作に苦労している苦境の中でのスタートという最大の苦境に対面しながらのスタートとなった本作でしたが、この度の2021年8月29日、無事に全49話の放送を走り切りました。

本編中には情勢の変化による影響を少なからず感じさせる描写などが見受けられ、放送後に発売された「フィギュア王」におけるセイバー制作の詳細を語った制作陣のインタビューでも作品制作における数々の心残りが証言されるなど、実際に様々な苦労があったことが分かる本作ですが、今回の作品総括ではあくまでも純粋にリアルタイムで追って行く中で感じた印象・評価について取りまとめていこうと思います。

また本作は全49話のほぼ4クール構成という中で、およそ1クールごとにざっくりとした章区切り的なものが為されていた印象があるのですが、この章ごとにけっこう趣というか、 視聴テンション的なところがけっこう上下しやすい作品ではあったので、それに倣い今回の総括はクールごとの印象について触れながら掘り下げていこうかなと思っております。

最後までお付き合いいただければ幸いです。

 

 

 

◯開戦・メギド&カリバー台頭編(第1〜15章)

文字通り物語の幕開けとなった序章パート。主人公である小説家・神山飛羽真がセイバーとなり、ソードオブロゴスの剣士達と次々に出会い共に力を合わせメギドと戦う中で、自身の失われた記憶にまつわる謎に迫り始める...といった大筋で進む内容となっていました。

 

様々なライダー/剣士達との出会いと交流のエピソードを順繰りに展開しつつ、近年のライダーシリーズでは最早定番となった序盤の怒涛の玩具販促ラッシュを複数のライダーの活躍と共にテンポ良くこなしていく作劇が特徴で、初期蓮のなんとも言えないとっつきにくさ親しみにくさを筆頭とした所々のキャラ描写のクセなど多少の引っ掛かる面はあるながらも、飛羽真とソードオブロゴスの剣士達の交流にはそれなりにしっかりとした尺が取られていてドラマ部分は割とスッキリと楽しむことができたし、戦闘パートもライドブックを使った能力の演出や3DCG等を豪勢に駆使したワンダーワールドの演出がまさしく「本から飛び出した」ような表現になってて見ていて楽しかったしと、割りかし手堅く纏ってはいたのでなかなか面白かったパートでしたね。何より、次々に登場してくる6人くらいの仮面ライダー達が早々にしっかり協力し合って敵と戦う、というこの序盤の体制は、ストーリー展開上ライダー同士の足並みがなかなか揃わなかったりすることも多い近年ではかえって新鮮で、ライダー達の連携により繰り広げられるヒーロー活劇的な面白さを純粋に楽しめたという点で特に良かったなと。足並みがしっかり揃っているのでシンプルに観ていて引っ掛かりが少ないところは大きかったです。序盤にこういう作劇を取ってたからこそ、冬映画の劇場短編は「6人の仮面ライダー達による世界を救うための一大バトル」という部分に注力した展開運びをスムーズにテンポ良くやれたと思うしね

 

ただストーリーが第11〜15章辺りのカリバーの正体や目的に迫るという物語の本筋を進めるフェーズに移ると、カリバー/上條が自身の目的についてぼんやりとした表現ばかり用いるせいで飛羽真達との同じような押し問答が連続してしまい、進行してる感が無くて見ていてスッキリしなかったりカリバーの正体を巡って乱れる賢人の心情の動きや言動が展開ありきのやや強引なものになってあまり感情移入できなかったり、といった感じでキャラの言動やストーリーの展開運びがやや冗長な感じになってしまい、やや締まりが悪い感じになってしまったのは勿体無かったところ。他にも「飛羽真・倫太郎・賢人の3人で共に戦う誓いを立てたことで一度は焦りを見せていた賢人が持ち直す」という流れをわざわざ印象深く描いたのにそれと同じ回の中でまた賢人が荒れ始める下りに持ってしまう、といったような、肩透かしを食らわされる感じの風情が無いように感じられる展開運びもあったりして、どうにもモヤモヤする、もう一つ盛り上がり切れない、という感じに向かって行ってしまったのがなんとも惜しいところでした。上條の目的も賢人の精神の乱れも展開として意味あるものとして描かれたものではあったし、冷静でいられない状況下での意思疎通の難しさ的なところを意図的に描いた面もあったのかもしれないけど、理屈として納得できる面はきちんとあってもそれを映像上での流れとして気持ち良く観れたかというと微妙なところだったというか。

伏線張りやキャラの今後の動向の示唆など色々な要素を印象深く描こうとしていたのは感じられたけれど、巻くところは極端に巻くし、かと思えばスッと進んで欲しいところではやたら引き伸ばすような流れになる、といった感じで1クール目終盤ら辺はお世辞にも上手い話のテンポの取り回しができてたとは言い難く、最後の最後に少しモヤッとしてしまった点が尾を引く形となった印象でした。

 

 

◯光の剣士・古の竜登場-剣士争乱編(第16〜27章)

カリバー/上條との決着を経て組織に疑念を抱いた飛羽真と、玲花の誘導により飛羽真を危険視した倫太郎達の対立、という急展開を軸に、光の剣士・ユーリ/最光の参戦、刃を交えたことで理解し合いより強い絆を結んでいく飛羽真と剣士達、哀しみに満ちた古の竜の物語と飛羽真の対峙、など様々な出来事が次々と繰り出された本パート。ある意味本作の評価が良くも悪くも二分したところと言えましょう。

 

忌憚なき感想としては、ライダー達の連携の気持ち良さが一つの大きな魅力となっていた序盤から続く流れとして飛羽真と剣士達の対立という少々ジメジメした展開を初っ端から描く形となった本パートの出だしはあまり印象が良くなかったというのが正直なところ。飛羽真と剣士達が対立する流れにはきちんと心情の動き等の論理性自体が伴っていたし、そもそも章を区切ったタイミングで前の章において築いたものを敢えて崩し新たな波乱とする展開自体は色々な作品において存在する手法なのであくまでこの展開自体は変ではないのですが、「剣士達が飛羽真への疑念こそ抱くものの、それを信じられずまず飛羽真にそれとなく問いただそうとする」みたいな前パートにおける信頼値の積み重ねみたいなものを感じさせる過程が大きくすっ飛ばされていたために、一連の物語の流れとして納得できず、モヤモヤの方が勝ってしまって悪印象を抱いてしまった、という感じでした。一気に展開巻いて対立というところまで持っていこうとした結果、その過程を描く暇が無かった、という印象をなんとなく受けたんですよね

その後の展開も、メギドそっちのけで会話少なに飛羽真と剣士達が対立するお世辞にも気持ち良いとは言えない流れが数話に渡って描かれ続けカタルシスに欠ける形となってしまい、当時の視聴テンションとしてはドン底状態だったのを記憶しています。言葉や態度のすれ違いによる飛羽真と剣士達の対立や、それによってメギドへの対処が遅々として進まなくなる展開自体は話を観てれば意図的に描いてるものであることが分かるのですが、それをほぼ毎回くどいくらいに描き、それでいて映像に落とし込む上での巻くか引っ張るかの描写のバランスなどといった肝心な部分の詰めが微妙に甘いとなるとやっぱり観ていてモヤッとするものの方が大きくなるというのが率直な印象だったんですよね またそんな対立構図の発生と長期化をもたらすポジションであったこの頃の玲花の言動が、あまり感情のこもってない機械的なものでキャラとしてあまり面白くはなかったのも個人的には大きなマイナスとして働いたポイントでした。剣士達の対立という構図を牽引するに足る侮れなさや魅力的なキャラ性が押し出されていればストーリー展開的にもキャラ的にも多少なりと面白さが増したと思うんだけど、ただただ機械的に進めるだけなせいでストーリーにも玲花というキャラにも悶々とするものしか感じなかったというか(今では評価する声も多い玲花だけど、自分の中ではこの頃のカタルシスを欠く展開の中心であったことやその中で淡々と繰り出される面白味の薄いキャラの印象が強すぎるせいで未だにどうしても好きになれないというのが本音。実力者な一面やマスターロゴスのことで声を荒げる忠誠心の高さなんかが早期に描かれてればなぁ、と思う)。

 

と、開始当初は色んな意味であんまりな印象だったという感じだった本パートでしたが、話が更に進むと、互いの剣を交える「決闘」によって、飛羽真が剣士達に自身の信念や思いの強さを伝え、それにより飛羽真を理解し今一度彼を信じることに決めた剣士達が飛羽真の元へ仲間として集ってくる、という展開が描かれるフェーズへと突入。一度は飛羽真の元を離れた剣士達が飛羽真の持つ真の強さを直に感じ取り、それを信じ再び仲間として戻ってくる流れや、飛羽真自身も剣士達との決闘を経て新たな強さを学び成長していく流れが熱いドラマに乗せて描かれるようになって、物語への没入度が一気に持ち直していく運びと相成りました。本作を象徴する要素として強調されていた「剣」を効果的に活用し、言葉ではなく戦いを通じて理解し合うという少年漫画的なロジックをストーリー展開の中へとはめ込むという作劇のストレートな熱さがガッチリとハマったことに加え、その過程で飛羽真を理解していく剣士達の心情を細やかに描き出した丁寧な作劇がドラマを情緒豊かに彩ったことが、そこに至るまでのフラストレーション高めな展開とのギャップでよりグッと引き立ったのが非常に良きポイントだったなと感じます。飛羽真を信じると決めた大秦寺さんや尾上さん達ベテラン勢が再び集ってくる頼もしさや、飛羽真が彼らとの決闘から更なる高みへ至っていく成長の様子、組織を信じるあまり頑なになる倫太郎に対し芽依が剣士とは関係のない一般人の仲間として愚直に向き合っていく過程が良きでしたね 最初の方のフラストレーション高めな展開運びは販促との兼ね合わせで上手く進められなかった面もあったかもしれないとは思うので、それがある程度過ぎてじっくり取り回せるようになったとこもあったのかなと。

 

またそんな色んな意味で波乱続きだった展開の中、本パートにおいて電撃参戦したユーリの存在はドラマ面の支柱及び清涼剤として大きな役割を果たした面が大きかったなとも感じるところ。最初こそキャラのクセの強さをストーリーの流れに乗せるまでにちょっと時間を要した部分はあったものの、悶々とする面も少なくはなかった当時のストーリー展開を現代文化や常識とのズレによるシュールな言動でコミカルに和ませつつ、仲間達との離別で精神的にも戦闘力的にもやや不安定になりがちだった飛羽真を一時相棒としてサポートするなど、本パートのシリアス期間を安定させた功績は無視できないものだったなと感じています。ユーリがいるから観られる、という声も当時はちょこちょこ見かけた覚えがあるし、事実として良い働きはしてたなと。加えて飛羽真達との交流で新しい価値観を得て変化していき、剣士として成長していく様も描かれるなど準主役級の扱いも受けており、セイバーの物語の人間ドラマを盛り上げる上でもかなり活躍していたのはグッドでした。ユーリのこの変化の描写は後の展開の中でもコンスタントに描かれており、個人的にもなかなかに注目していた部分だったので、評価ポイントの一つですね

 

そしてそれに続いて展開された、古の竜=プリミティブドラゴンとの対峙も物語をより大きく盛り上げたポイントとして良かったところ。悲しみに満ちた結末に苦しむ物語のキャラである古の竜に対し、飛羽真が悲しみに終わらない新たな結末へと導きその手を取ることで向き合う、という飛羽真の「小説家」というキャラクター性を巧みに昇華させた展開運びを、暴走フォーム克服という仮面ライダーシリーズにおける一種の黄金パターンに見事にマッチさせ描き上げたところは素晴らしかったし、飛羽真のキャラ描写において型式ばった主人公らしい言動の方が目立ち始めていてなかなか感情移入しづらくなっていたこのタイミングで飛羽真独自の魅力を押し出し個性を発揮させられたのは良い傾向だったので、この辺りは本当に作劇が巧みだったなぁと改めて思い返しても感じ入りますね。

 

という感じで、前半は前のパートからの積み上げを崩してしまうような流れや冗長としていてフラストレーションの溜まる展開運びが非常に息苦しかったものの、後半は物語の取り回しも上手くセイバー独自のテーマ性や要素を活用したドラマが目を惹き盛り上がった、というなんとも評価が上下する局面となったパートでありました。

 

 

◯激動-マスターロゴス暗躍編(第28〜35章)

組織への思い入れから葛藤しながらも飛羽真を信じ再び立ち上がったことで覚醒した倫太郎の姿や、闇黒剣の見せる絶望の未来を止めるべく動く賢人の動向、遂に本格的に動き出す運びとなったマスターロゴス/イザクの暗躍を描いた激動の本パート。全体的には終盤に向けての諸要素の整理がメインとなっていて比較的見やすい時期だったかなと感じますね

 

本パートから脚本家陣に内田裕基さんが新たに参入、倫太郎覚醒回となる第32章および各キャラの動向の整理の回の第33章を担当されていたのですが、程良いテンポ感での作中情報や各勢力の動向の分かりやすい提示ちょっとした言動や他キャラとの絡み等によってキャラクターの性格・個性を際立たせる作劇の展開、などといったきめ細やかな作劇からこの内田さんの担当された回はなかなかに観易く、本パート引いてはストーリー全体への理解度やキャラ一人一人への没入度が増したというところでかなり大きな役割を果たしたなと個人的には思いました。頭に入ってきにくい情報開示のテンポ感のちぐはぐさとか、たまに大味になっていってる感を少々感じてしまうキャラの動かし方といった部分がセイバーの作劇の弱点だと自分的には思っていた(ほぼ同じ面々で構成されたゴーストでも同じようなことを感じていたのでこの座組の癖かもな、とは)のですが、そういった部分を手堅くサポートして作品によりのめり込めるようにしていたという感じがあったのでなかなかに好感触だったんですよね 特に飛羽真・賢人・ルナ周りの関係性や思い入れの程度の描写に関しては、今までの作劇では飛羽真をはじめとした作品中の登場人物達の理解ばかりが優先されて視聴者である我々はどのくらいのものなのかなどが理解し切れずあまり感情移入できてなかったのですが、第33章で観ている我々も没入しやすい取り回しをしてくれていたのでかなりありがたかったです。時折散発的に描かれていた単独行動中の蓮とデザストの奇妙な関係性についてもより大きな動きが描かれ注目度が高まったのは第33章だったし、良い仕事だったなと感じました。

 

また神代兄妹の登場による更なる聖剣の登場やマスターロゴス/イザクの聖剣とブック総取りのための暗躍といったストーリー展開によって、作中に登場する各種アイテムを作劇と絡めて印象深く描いていた点も大きかったかなと。特に神代兄妹の聖剣はギミックの面白さや造形の妙も相まって商品化の際には強い購買意欲を示していたのが当時見受けられたため、結果として大成功だったなと感じますね 特に界時抹消ギミックなんかは演出上でもなかなかにカッコ良く描かれ続けてたしハマる人はハマっただろうなぁ

 

悪い方寄りの意味で語り草となってしまった伝説の第35章(各話レビューの時にかなりボロクソに言った記憶があるのでここではあえて深くは語らずにおきます この回単体で物語全体が破綻したってわけではないしね)がなまじ区切りの良い部分となったが故に締まりは悪くなってしまったものの、基本的に終盤に向けての重要な要素にもしっかり注目できたし、 盛り上がりはキープできてたの思うので概ね満足だったかなと

 

 

◯剣士集結 最終決戦編(第36〜最終章+増刊号)

大いなる力を手にしたイザク、更なる力を手にし最大の敵として君臨してきたストリウス、そして迫る世界の滅びの運命という最悪の危機の連続に対し、想いを一つにした剣士達が結集し共に力を合わせて戦う展開を描い最終パート。

前パートの節目の第35章の印象が尾を引き、その後のキャラ描写やストーリー展開に乗り切れるだろうかと不安になってたところはあったのですが、イザクやストリウス、そして全知全能の書の破滅の運命といった世界の危機を前に遂に剣士達が一同に会し力を合わせ立ち向かっていく、という趣がストーリー面で徐々に濃くなっていく様はこれまでの流れを経た上でのカタルシスがしっかり創出されており、クライマックスの展開としては素直に面白かったですね。

 

そんな展開を描き出す上での一番の見所だったのはやはり、各登場人物のドラマやキャラ性を細かく深めようとしていた作劇だったなと。「世界の均衡を乱す者はたとえ忠義を尽くすマスターロゴスであろうとも倒す」という信念を示す形で少しずつ飛羽真達と足並みを揃えていった神代兄妹世界の破滅という未来を目にしそれを防ぐために自身を犠牲にすることすら考えていたところで、飛羽真の持つ可能性や父・隼人の言葉に動かされ、破滅という結末を変えられると信じ共に戦うことを決めた賢人迷走しながらも真の強さの意味を求めて突き進み、他の剣士達とはまた異なる道を見出した蓮、といった感じで、これまで飛羽真達とはなかなか道が交わることのなかった剣士達の信念や決意、成長がフォーカスされ、強い信念を持って共に戦う仲間として徐々に集まってくる様は作劇として非常に盛り上がるものはあったなと感じます。特に賢人が飛羽真達の下へ戻ってくるまでの一連の描写に関しては、「物語の結末を決めるもの」という飛羽真の決め台詞にも通ずる作品のテーマの一つをグッと引き締めた感があり、群像劇という本作の魅力を一気に昇華し、且つ作品の持つテーマ性を引き立てたここの作劇は素晴らしかったポイントと言って良いかなと。

また剣士とは違うながらも、シンパシーを感じた蓮と行動を共にする内に奇妙な信頼で結ばれていき、共に剣を交えることで不確かだった自身の存在証明に至れたデザストの物語も終盤では大きな存在感を発揮していて多くの視聴者を惹きつけていたのも特徴でしたね。正直デザストの諸々の動かし方については個人的には全面的に良いものだったとは言いかねるものではあるのですが、それでも群像劇の深みを高めるに足る魅力は多くあったと思うので、なかなか重要なキャラではありました

 

そんな剣士達が信念を示し共に戦うようになっていった展開の象徴として、それぞれの聖剣が集い生まれたセイバーの最終形態・クロスセイバーも良い存在感でした。ストーリー中での文脈がしっかりと乗った劇的さもさることながら、玩具的にも非常に豊富だった覇王剣のギミックを存分に本編中で描き上げることによって、最終フォームに相応しい頼もしい実力をしっかり発揮して展開を盛り上げていたところも良かったなと。近年の最終フォームは何かと活躍面で不遇に甘んじることとなる場合が多かったので尚更クロスセイバーの大活躍が長きに渡ったことは嬉しかったし、ここは自分としても純粋に大きな評価ポイント。

 

そして開幕する最終決戦。増刊号を除くラスト3、4話のストリウスとの戦いを軸にした怒涛の展開運びは、 王道の燃える展開をここぞとばかりに入れ込んだ捻り少なめの直球な作劇も相まって、かなり視聴者の方々のテンションが上がっていたのを記憶しており、クライマックスの流れの取り回し方としてはなかなかに良かったなと感じますね。自分は作品への没入度的にあまりハマれてはいなかったものの、それでも熱量の高さはしっかり伝わってきておりその点での評価は高い

また本作のラスボスとなったストリウスを通じ、本作のテーマの一つであった「物語」という要素に一気に深みを持たせたのも良かったところ。飛羽真とストリウスの関係、飛羽真のアイデンティティの一つであった小説家設定の昇華、人と物語の在り方、など様々な面でいっそう魅力的な部分が増えたので、ここのクライマックスにおいてストリウスは個人的にかなり好きなキャラになりましたし、作品の一キャラとして果たした役割もとても大きかったと思います。前持ってもっと細かく描いておいた方がもっと面白くなったのにな、という要素も色々あったのでそこは勿体なかったけれど、それでも盛り上げとしては申し分なしかなと

 

こうして壮絶な戦いを経て、最後には様々な苦境を越えて多くの登場人物達が笑顔で触れ合う最高の大団円を迎えました。なんだかんだありながらこうして気持ちの良いオチに持っていったところ、そのオチに対する納得度が曲がりなりにもしっかり高い形に仕上がっていたことは、ここまでのあれやこれを抜きにして一つの作品としてとても素晴らしかったと評価できるところ。

物語の結末はやっぱりハッピーエンドで!的な意味合いとしても、この点は仮面ライダーセイバーという作品を象徴するこれ以上なく満足度の高い締め方だったなと思います。

 

 

 

以上、仮面ライダーセイバー総括になりました。かなりの長文になってしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

総じて本作は、それぞれ強い信念を持った剣士達が剣を交えて想いを一つにしていく群像劇や、人間達に喜びや他者との繋がりといった様々なものをもたらす物語という空想の素晴らしさを伝えるストーリーが作品全体の大きな魅力となっていたと言え、それを壮大な世界観設定の下、多くのキャラクター達の活劇によって熱く、時にしみじみと描き出す流れは全体的に見てみてとても沁み入る魅力があったなと感じますね。

ただ個人的な評価としては、その多くのキャラクター達の魅力を十二分に伝える(視聴者にとって各キャラを魅力的たり得るほどに描き出す)には掘り下げを行い切れなかったと感じる部分も多かった(もっと言うと各種スピンオフや公式Twitterにおけるデザスト関連の企画など、TV本編外での掘り下げに委ねすぎた面が大きく感じた)と感じたことや、キャラの心情や関係性を納得できる形で描き切れてなかったり、無理矢理に話を押し進めようとしてるかのような忙しない展開運びが目立ったりといった、特定の流れありきといった感じの風情に欠ける展開の取り回しが多くて乗り切れない局面がちょくちょくあったことなどが作品全体の大きな欠点として挙げられるところであり、この辺は本作の制作陣が以前に携わったゴーストとも通ずるものがあったので、ここがもっと洗練されていればもっとハマれたかもなぁ、とは思うところ。この制作陣特有のクセみたいなものかもだけど、世界観やキャラ面を大きく広げて肝心のTV本編内で扱いきれなくなるほど壮大にするならば、もっとコンパクトにしてまとまり良くした方が良いかな、と個人的な好みとしては思ってしまう

とはいえ、全話放送後に発売されたフィギュア王での制作陣のインタビュー的な特集でも語られていたように本作は昨今の情勢の影響などもあって諸々の急な変更を余儀なくされたりした面もあり、それらの欠点が必ずしも悪かったとは言えないし、それを抜きにしてもこの厳しい状況の中、本作を曲がりなりにも気持ち良くまとめ上げ、全体として非常に満足度の高い視聴感の残る作品に仕上げたところは高く評価できると思います。試行錯誤しながら生み出したアイテムやギミック、設定、キャラクター達は実際多くの視聴者を惹きつけており、実に悪くない価値ある一作を生み出したことは大きいなと。

という感じで、個人的には不満な部分こそ多いという印象にはなったものの、一つの作品としてのキャラの描き方やテーマ性の昇華の仕方には目を見張るものも多く、1年間楽しむことのできた作品になりましたね、仮面ライダーセイバー。まだまだ映画やVシネなどの展開は続きますが、一先ずTV本編の総括として、ここで締め括ろうと思います。

制作陣の皆様、お疲れ様でした!

 

そして今まで以上に長々としてしまった本記事を最後まで読んでくださった皆様、改めてありがとうございました!感謝。

 

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた

 

 

物語の結末は、俺が決める!!

 

 

やり口がヴィランなんよ

機界戦隊ゼンカイジャー

第36カイ!

「びっくりドッキリ大ユーカイ!」

感想レビュー

 

 

「本土側のワルド、ビックリバコワルドです」 安易な声優繋がりネタ

ビックリバコワルド、箱が開くとピエロの顔が出てくるという直球のびっくり箱ギミック落とし込むことで、キューブ状の顔を持つ第1形態から極悪ピエロ顔の如何にも怪人然とした第2形態に変身するというデザイン性にしてるとこが面白くて好きなのよね何気に

能力も最初こそそこらから人をビックリさせる仕掛けが飛び出すという馬鹿みたいなしょうもないものだったけど、本性を現して能力にブーストがかかることで、人を余裕で転がせそうな凶器をそこかしこから弾幕じみた感じで次々放てるようになる、という風になってたのがなかなかに凶悪 しかもギアトリンガーやギアダリンガーの蓋のとこから仕掛けを飛び出させた後だとギア入れてから閉められなくなるので変身が封じられる、という地味にゼンカイジャーのシステムにメタ張れるとこも厄介で、単純な火力といい搦め手といい割と強敵の部類ではあった気がするぞコイツ 「蓋が閉まらねぇ!!(迫真)」って驚愕するゾックスがシュールで笑った

 

父・功を取り戻そうとする介人にゴールドツイカー一家も協力してくれることとなったものの、ゾックス達はハカイザーを手っ取り早く誘き出すためにビックリバコワルドを拉致するという手段に打って出て...というところから始まった今回。ゾックスのアウトローっぷりが久々にかなり濃いめに現れ出た回となり、介人達と関わるようになって丸くなったので忘れかけてたけどゾックスって界賊なだけあってこういうキャラだったよな...と改めて痛感している視聴者が多かったのが印象深かったですな。

体感的には最近でも割とシビアな考え方とかゼンカイジャーに比べてアウトローめなやり方とかがちょくちょく描かれてた印象あるので自分的にはそこまで強烈に驚いたわけではなかったけど、大方の視聴者的には軟化した印象の方が濃かっただろうしそらそう思うわなと。介人のために速攻でハカイザーを確保しようと思ってやってたことではあったのでここは介人達と出会ったことにより変化した部分と言えるけど、同時に「ワルドを放ったらかしておけば能力の規模が大きくなり人々に被害が及びかねない」という点を度外視して推し進めようとしてる辺りは一般人への被害に構わず戦う登場初期の頃のゾックスみが感じられたところだったし、肩入れするほどの意義を見出した介人達相手にはしっかり筋を通すけど、一方でその他大多数に対しては気を遣ってやる必要性は感じていないといった感じの界賊らしさはブレてない、と言った方が正確かもね

まぁそうでなくても、とっ捕まえたビックリバコワルドを剣山みたいなクソ長い棘の上に鎖で吊し上げた上で銃をぶっ放して脅す姿は完全に悪役のそれなんやけどな!!(

 

そんなゾックスの下へ現れたのは、ハカイザーではなく作戦を主導してたバラシタラさん(そういえばバラシタラさん、何気に前線出るのめちゃくちゃ久しぶりでは)。解放されてしまったビックリバコワルド共々相手取ることとなりピンチに陥ったゾックスだったが、ここで介人達ゼンカイジャーが駆けつけ、更に起き抜けに飛び出してきたハカイザーやそれを追って来たステイシーくんまでもが加わり、両軍入り乱れての大乱戦となりました。敵味方含め主要メンバーが揃いも揃ってのバトルというとゼンカイではあんま無いイメージだけど、やっぱ画面上の彩りが増してええね

しっかし前述のビックリバコワルドによる変身封じへの打開策が「他の人に蓋を押さえてもらいながら変身する」なのあまりに身も蓋もなさすぎてダメだった() しかもそれをただのギャグに終わらせず「仲間がいるからどんな窮地も乗り越えられる」的な熱い文脈にも一応繋げてる辺り安定の香村脚本 でもカッタナー・リッキーが蓋を押さえる役割を買って出ることでジュラン達のゴーゴーファイブギア使用を手助けしみんなで窮地のフリントを助けるシーンなんかは、キャラクター全員が頑張ってる感じあってかなり熱かったし、この辺はコミカルもガチの熱さも良いバランスで織り込まれてて実際けっこう良かったわね。介人が抑えてくれてるのにお構いなしに変身時のヨホホイダンスかまして振り回すゾックスはめっちゃ笑ったけど。w 省略することもあったんだからこの時くらい我慢しろ(

 

そしてそんな乱戦の中でも強く目を惹いたのはやはり、ハカイザーを死守しようとするステイシーくんの姿でしたね。ハカイザーは介人の父、という衝撃の事実を知って仲間として接することが気まずくなっていたかと思っていたけど、むしろ「せっかくできた仲間なんだ」と尚も拘るようになり、それを渡すまいと必死になっていたのはなんかくるものがあったなぁ...今まで必要無いと言っていた仲間を自分に必要なもの・大切なものとして認識するようになったのは喜ばしい変化と言えるけど、そのかけがえのなさに気付いてしまった反動故に、仲間への想いが執着じみたものになってるんだよなステイシーくん...辛すぎる

しかも、ハカイザーを自分の仲間として死守し続けることが介人の父、つまりヤツデ婆ちゃんの息子である功博士を五色田家の元へ帰らせないこと、ヤツデ婆ちゃんを悲しませることになると理解しながらも、せっかく手にした仲間を手放したくないからとヤツデ婆ちゃんに謝罪混じりの決別を告げ戦いに赴くというのが更に辛い。また来てね、 と書かれたヤツデ婆ちゃんに貰って大切にしてたカラフルの券をくしゃくしゃに握り潰す姿が、苦渋の想いで未練を断ち切ろうとしてるかのような痛々しさがありあまりにもえげつないのよなここ...何かを得るために何かを捨てる、という決断を死にそうな想いで選び続けてるの見ててこっちまでしんどくなるわ ステイシーくんの描写だけやっぱ湿度の高さがダンチなんよ

 

そんな辛すぎる葛藤を含んだ戦いが繰り広げられてる裏では、ゼンリョクゼンカイフィナーレバスターをぶっ放したブルーンの上半身が後方に吹っ飛んでいってました。そういう空気じゃないんだよステイシーくんの方は!!() てかブルーンの上半身と下半身が分離するようになってたの若干忘れてたから完全に不意打ち食らって笑っちゃったんだよなここ...w 上半身どこまで吹っ飛んでくか分かったもんじゃないし、反動で全身まるごと後ろに吹っ飛ばされて物に突っ込まされる羽目になる方がまだマシまである()

 

あと「ビックリにはドッキリで対抗すんだよ!!」とか言ってコテコテの寝起きドッキリロケ演出やってたけど、今の子供達って寝起きドッキリロケとか分かるのかなぁ...?なんてちょっと気になったりした。w 驚いてベッドから転がり落ちるシーンのループとかおなじみもおなじみだけど自分だって実際にTVで観たことあるか怪しいくらいだぞ(

 

最後には今回のワルド拉致をもうあんなことはするなと諌める介人の言葉をゾックスも「(功博士のことが)手遅れになっても知らねぇぞ」(なんだかんだゾックスがあれこれしてくれたのはそういう理由からってのが良いよね 義理堅さと家族への思い入れを感じる)と不服ながら折れる形に。しかしそんなゾックスに「手遅れになんかならないよ!...今日みたいに!」とピンチのゾックスの下へ駆けつけ救ったことを引き合いに出しながら介人は尚も前向きな意志を示し、ゾックスもそれを悪くなさげに微笑み受け入れた、というところで締めとなり、ゾックスが介人達に抱いた仲間意識をじんわりと味わい深く描いた良いオチになりました。ゾックス達ゴールドツイカー一家もちゃんとゼンカイジャー一同の仲間なんだなぁというのを改めて感じられたね

 

 

以上、ゼンカイ第36話でした。純粋なヒーローとは違うアウトローなところや、介人達と関わって築いた仲間としての繋がりなど、ゾックスのキャラを改めて印象深く描いたエピソードとなっていたなと 増子くんのキレあるアクションも見られたし実質ゾックス回でもあったのでは

一方でステイシーくん周りの作劇はどんどんシリアスを極めていってて見ていてとてもつらい ヤツデ婆ちゃんと決別したのが生存の分かれ目にならないかとかけっこうえげつめの考察もされてて怖い怖い...生きて欲しい

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

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ではまた

あなたを忘れない

トロピカル〜ジュ!プリキュア

第37話「人魚の記憶! 海のリングを取り戻せ!」

感想レビュー

 

 

ぴく on Twitter: "… "

あんな無垢な少女がいつああなっちゃったのかなぁ(白目)

 

前回の絶望感高めの大ピンチから引き続いて描かれるまなつ達の奮起、そしてグランオーシャンの隠された秘密とそこにまつわるローラにとある過去を描いた今回のエピソード。正体現したね、グランオーシャン(睨

 

前回見るからに意味ありげに登場した「記憶を吸い出す装置」なるものが、人間と触れ合った人魚はその記憶を消さなければならない、というグランオーシャンの掟のために使われていたものだったことが明らかとなり、前回は仄めかされる程度だったグランオーシャンの闇の深い一面が明確に浮き彫りとなりました。後述のローラの描写からしても「そういう物や掟がある」という事実に関わる記憶ごと消されてるみたいだし、かなり黒いですよこれ 前回の時点ではグランオーシャンに迷い込んだ人間の記憶を消して帰すためのものという予想があったけどそっちだったらどれほど良かったことか...

現状の情報から真面目に考察してみるならば恐らくは、大昔に人間と人魚が交流を持ってた中で、ある人魚が人間との交流の中で生じた何かしらの摩擦によって「魔女」へと転じてしまい、その人魚と交流を持ってた人間が「伝説のプリキュア」になってそれを止めた、的なことがあり、その一件を受けたグランオーシャンが同じことを起こさないように、そもそも人間との交流自体を無かったことにしてしまおうと考え、人魚からは人間の記憶を消すようになった...てな感じのことがあったと思われるし、女王様の後ろめたそうな反応(罪悪感があるという時点で悪びれることも劇中で謝罪することも無かったどこぞの某スタープリンセス連中よりか1億倍マシなのよな ドグサレのスタープリンセス共はぶっちゃけ太陽に頭突っ込んで詫びて(過激))も見るにグランオーシャンとしても記憶を消すことが手段として良くはないと考えながらもやってるのだと考えられるけど、他者の意思を考慮することなく一切合切都合の悪いことは無かったことにするこの掟の在り方はハッキリ言ってかなり歪だよなぁと。率直に言うならば、人間と人魚とでしっかり最後まで向き合って分かり合うこと」や「その思い出を大事にしようとする当人達の気持ちを慮り気遣うこと」を『後回し』にし、臭い物に蓋することでその場を凌いでるに過ぎない「逃げ」なんだよねこれ 「後回し」は知っての通り敵サイドの象徴たる要素なわけだけど、これに通ずる歪みを味方サイドの中で浮き上がらせてくる辺りはテーマ性的に意図的にやってると思うので、なかなかえげつなくて良きですな

 

そんなグランオーシャンの掟について、自分もかつてその対象になり記憶を消されてたと知ったローラが怒りを露わにする一幕がありましたが、その消された記憶が「幼少期に人間界へ赴いた時、既にまなつと出会ったことがあった」だったのはかなりの衝撃でしたなぁ...伏線もなくドンと繰り出されたからかなり驚いた

またまなつにとってもこの出会いは「一度きりの名前も知らない少女との一時の交流」として記憶に刻まれており、名前も聞いていなかったために少女(ローラ)と再び会うことも叶わなかったこの時の悲しさが糧となって、初対面の時に人の名前は必ず聞くように、引いては後悔することが無いよう「今一番大事だと思うことをやる」ようになった...つまりはまなつの信条、人柄を強固に形成したある意味「夏海まなつの原典」とも言える出来事だったことも明かされ、これもなかなかにインパクト大でした。まなつが初対面の人間にまず名前を聞く、ってのは今まであんま意識してなかったけど、それを抜きにしても初対面の相手と一気に距離を詰めて離さまいとするかのようなまなつのコミュ力の高さ、アグレッシブさは最序盤から強く印象付けられてたポイントだったので、これが既に一つの伏線だったのは見事の一言だなぁ これを経た上で序盤を改めて観たらまなつの言動の一つ一つの深みや印象が大きく変わってそうだなぁ

にしても、そんな2人が時を経て再び出会い、再び友人として絆を育んだというこの劇的さはめちゃめちゃグッときましたね...プリキュアになれる者を探してはるばるやって来たローラが引き寄せられるようにして最初に出会ったのが、かつて出会った思い出すら忘れていた筈のまなつであったという運命的な巡り合わせこうして再び出会ったローラに対し、まなつがかつてのローラとの出会いの経験から胸に刻んだ「初対面の相手の名前を必ず聞く」を発揮して、かつては聞けなかったローラの名前を今度はしっかりと知るというたまらなさ、凄くじーんと来るものがありました 一度出会った人との繋がりを絶やさまいとしてまなつが決めた「名前を聞く」という行為が再会したローラに対し行われたことで、 一度は切れた2人の友達としての繋がりが今度は切れることなく続いており、かつては出会わなかった更なる仲間達ともどんどん繋がっていってるというこの構図最高よな

しかしそんな大切なかけがえのない思い出だからこそ、それを一方的に奪われたことが許せないと女王様に怒りを露わにするローラの姿は辛かったな...忘れなければもっともっと長い繋がりが築けたんじゃないかというやるせなさ、せっかく会った大事な友達であるまなつにことを自分は長い間ずっと忘れてしまっていたという自分へのもどかしさ、などあの怒りようには色んな感情が溢れてる感じがするよなぁ。グランオーシャンをめちゃくちゃにした後回し一派への憤りも合わさって、後半の戦闘では怒りをヤラネーダにぶつけるが如くラメールの声色に凄く覇気や圧がこもってたので迫力があったなぁ 日高さんが凄く良い演技してた

それでも、女王様への抗議中にヤラネーダが人間を襲っていればそっちに注目し、みんなを助けるために今は戦おう、今一番大事なことをやろう、と叱咤してくるまなつ達の声にはしっかり応え、戦いへ赴くところは精神面の成長が窺えて良かったなぁ。大人だよローラ...

 

と、衝撃的な事実が次々に明らかになったグランオーシャンサイドだったけど、後回しサイドでも長らく謎だった「愚者の棺」の秘密が明らかとなりました。開くと不老不死が手に入る、とのことで、後回しの魔女様および幹部陣一同はそれを手にして「永遠の後回し」を得ることが目的と言ってましたね。老いることも死することもなく、自分の役割にやる気に必要もないままにただただ怠惰を貪って生き続ければ良い身分になりたい、的なニュアンスだと思うのだけど、なんか「ずっと何もせず何の責任も負わず、だらりと過ごしていたい」という俗っぽい欲望をかなりスケールデカめにしたもので面白かったですね。ブレねぇなぁ...
しかし、そのことを後回し一派に語ったのがバトラーさんだったらしいのだけど、幹部陣は「バトラーのその言葉は信じて良いものか?」的な軽い疑念を抱いており、どうも敵サイドも不穏な感じ。その印象を信じるとするならば、たびたび視聴者からの黒幕疑惑の濃かったバトラーさんはやっぱりなんか怪しい感じしますね...愚者の棺にはもっと別の秘密があってそれを為すために後回し一派を利用してるだけ...とか。まぁこの辺は目を離さず見ていきたいところね またその裏では魔女様が伝説のプリキュアの記憶に困惑してるらしき描写があったけど、この魔女様がプリキュアというものの存在をちゃんと記憶してないっぽい様子を見るに、もしかして魔女様もグランオーシャンの記憶吸う装置の餌食になった?なんて...怖い

 

後半では前回暴れたタコヤラネーダとのリベンジマッチが展開され、苦戦しながらも不屈の闘志で立ち上がり続けたプリキュア達の想いに応え、伝説のプリキュアの助力もあって海のリングが後回し一派の手元からプリキュア達の下へやって来たことにより、新技「プリキュア・マリンビートダイナミック」が炸裂、生物を素材にしたヤラネーダ相手にも対抗できるようになりました。マリンビートダイナミックは全体的にはランドビートダイナミックとさして変わらないけど、ドレッサーに映るのがランドの時にはサマーだったのが海モチーフに沿ってかラメールになってたり、召喚されてくるのがピンクのでっけぇ象からジンベエザメに変わってたりと「海」を軸にした細かなマイナーチェンジが入ってたのが面白かったですね。

ジンベエザメ召喚はなんかパッと見た感じの神秘性高かったし、作品のテーマ的にもまぁ順当な感じがあったのでピンクのでっけぇ象に比べたら絵面のインパクトは抑え目だったけど、「シャ-ク!!」って鳴いてたのがめちゃくちゃ面白かった。w サメはシャークだけどシャークとは鳴かないよ姉ちゃん

あと技自体も「ピンクのでっけぇ象がキックかましてくる」なランドに比べると絵面的なインパクトは減ってたけど、「ジンベエザメヒレ打ちで敵を吹っ飛ばす」という変に威力が想像しやすくて痛そうなやつになっててちょっと笑ったw 内蔵ブチ弾けちゃうよあんなん喰らったら()

 

戦いが終わり、これまでの思い出もまた忘れてしまうのだろうかとローラは1人黄昏れながら不安になるものの、幼い頃約束したものの作れなかったグンバイヒルガオの花冠を持ってやって来たまなつの「絶対に忘れたりしないし、忘れても自分達が必ずまた思い出させる」という約束を受けて再び笑顔を取り戻すことができ、ここで今回は締めとなりました。忘れられて果たされなかった約束の象徴である花冠を、その約束を覚えていたまなつが手にして上記の台詞を言うというのが、まなつのローラとの繋がり・思い出を今まで以上に大事に思う気持ちを叙情的に表していて凄く沁みるシーンでしたねぇ。この手の「何度忘れられようとも、相手側に覚えられていなかろうとも、一度築いた繋がりを支えに『何度でも出会い、 繋がり、守る』と誓う」みたいな関係性の描写って個人的にめちゃくちゃ感情に響くものがあって弱いので(健気で一途で応援したくなるというのか)、今回もちょっと涙腺にきたんすよね...

にしてもローラ、実質的に王女様と喧嘩別れみたいな形になっちゃったけどこの先どうなっちゃうのかね ローラにとって凄く大切な人に裏切られたようなもんだからショックと憤りは大きいだろうしだいぶ気まずいよなぁ。ローラ自身が今回の経験を経て今後グランオーシャンの忌々しい因習に対してどうケリを付けるか、そして王女様がそのことに対しローラとの間で、引いてはグランオーシャンの在り方について考える上でどうケジメつけるかが肝だと思うわね せめて王女様にはきちんと謝って和解して欲しいなと個人的には願う 某スタープリンセス共は謝らなかったからよぉ...(怨嗟

 

 

以上、トロプリ第37話でした。グランオーシャンの隠された秘密を軸に、ローラとまなつの関係性、それぞれのキャラ性を一気にグッと深めてきた怒涛の盛り上がり多しなエピソードでとても面白かったですね。伏線回収の手腕や、作品を代表する2人のキャラの関係性の深化など、思わず感嘆し魅入る要素が随所に見られ、横谷さんによるメイン構成としての巧みな物語の取りまとめ方が光ったなと。ローラのグランオーシャンへの認識や、後回し一派の目的の明確化および更に深まった謎など、終盤に向けての今後の見所も色々見られ、4クール目がどう盛り上がるか期待大です

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

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ではまた

めちゃ怖冷血サイコホラー一家・牛島家の不気味

仮面ライダーバイス

第11話「無敵のさくら、何のための力」

感想レビュー

 

 

冒頭の4ライダー戦闘シーンで戦ってたデッドマン、全員ギャングラー怪人のスーツをかなり思いっきり使ってておでれぇた(ライブと戦ってたのがジャネーク、デモンズと戦ってたのがエンビィ、リバイスと戦ってたのがジェンコ/カーゼミーみたいすね)

🐟海風マサナ🐟 on Twitter: "今一瞬映ったデッドマンズ達、ギャングラーじゃなかった? #仮面ライダーリバイス… "

鳴海海鳴 on Twitter: "今日の序盤に出てたデッドマンはギャングラー怪人の流用とリペイントだね。 それぞれ、ジャネーク・ソーサー(ヘビ)とエンビィ・チルダ(ツバメ)だからスネーク・デッドマン(仮)とスパロウ・デッドマン(仮)かな?… "

鳴海海鳴 on Twitter: "あとはガーゼミー(カワセミ)のカワセミ・デッドマン(仮)かな。 #仮面ライダーリバイス #デッドマン #ギャングラー… "

他作品からのスーツ流用でこそあるけど、3者とも暗所で火花に包まれてたり動き回ってたりみたいな感じではっきり姿が映らないし出番もほぼ数瞬でその辺ぱっと見だと気にならないようになってたので、個人的には割と理想的な演出の塩梅ですな(デッドマンの種類が豊富であることをしれっと示せれば良いって感じだっただろうし)

 

リバイ&バイス、デモンズ、ライブと仮面ライダー達が次々に揃い、デッドマンズとの戦いも好調に事が運ぶ中、自身の強さの意味に苦悩するさくらを軸に展開された今回のストーリー。

一先ずの課題だった一輝と大二の兄弟関係/カゲロウの支配問題を脱し大二がライブとして覚醒したことで、2人が早くもWライダー(バイスもいるのでトリプルライダーの方が正確だが)として並び立ち共に戦う画が展開され、生身での同時飛び蹴りで駆けつける様や同時変身といった王道の絵面が次々繰り出される様が前半から非常に熱かったですね。オーインバスターを受け取っての2丁拳銃でリバイスを後方からサポートするライブの、ファイトスタイルの魅せとアイテムのギミック活用を兼ね合せた演出がテンポ良くて面白かったねぇ(且つ後半の戦闘ではフェーズ2とギフジュニア集団とでそれぞれ戦う役を分担することでリバイスおよびライブの各自の戦闘もしっかり強調しており、各ライダーの見せのバランスも絶妙でしたな 恐竜の頭骨を象ったリバイの必殺技エフェクトとかライブのトゲ状の散弾エフェクトみたいな、以前の戦闘でも出てきてた固有の演出がちゃんと印象深く使われてるの良き)

そんな五十嵐兄弟+バイスくんのバトルが強調された分、今まで怒涛の勢いで株を上げ続けていたヒロミさんは出番控えめ(張り切ってる決意表明してる流れを狩崎にぶった切られてちょっとしゅんとしてそうだったのかわいい)だったけど、劇場特典のアイテムらしいコンドルバイスタンプで戦ってたりと見せ場はもらってた方かな 序盤に猛烈な速度で株上げられると死亡フラグガンガン立ってそうで怖くなるしこのくらいがちょうどええわ()

 

そんなライダー絶好調の一方、カゲロウの一件を経たことで真の強さの意味への苦悩を深めていくさくらの迷走が今回の話の肝となっていました。

今回のさくらは、デッドマンズの力で悪事を働いていると思っていた道場の師範代・聖子の行動が実は自身の息子の病を治すためのものであったことを知り、どんな事情があろうとも悪魔を解放し暴れる者を止めないわけにはいかないと毅然と向き合う一輝や大二と対立するも逆に「力を持たないさくらが関わることではない」 と言いくるめられてしまうという流れに加え、そんな中でアギレラ様にあしらわれながら言われた「力のない人間の言葉は虚しく響くだけ」という言葉が合わさり、守りたいものがあるのに力が伴わず、何かが失われるかもしれない瞬間を何もできず見ていることしかできない自分への無力感を痛感することになった、みたいな感じであり、善悪で括れない正義・信念に直面した第3話第5話の出来事、大二を失い家族がバラバラになるかもしれなかった中何もできず自身の強さへの自信が揺らぐこととなったカゲロウ絡みの一連の出来事など、これまで細かく積んできていたさくら絡みのドラマが一家に昇華される形になっていたのが目を惹きましたね。「力を伴わない正義は悪にも劣る」という言もありますが、事実今のさくらは感情が先走ってデッドマンという大きな力に敵わず何も為すことができていない(それでいて兄達が揃って仮面ライダーとなったことで、精神的にも実力的にも彼らに対し自分の意見を押し通せない)状態なのでかなり不安定だよなぁ...若輩故の精神の未熟さ・揺らぎが濃く出てきたわね カゲロウが台頭してた頃、さくらが大二を救えず手をこまねく一輝やフェニックスに当たり散らしててあんま印象良くなかったことがあったけど、思えばあれも大二を救うために戦ってるわけでもないさくらが一輝達の想いを無視してあれこれ言ってくることへの感じの悪さみたいなのを漠然と感じてたからってのがあったかもしれないし、この辺のキャラの言動でも後の布石を張ってた感じあるのは見事やね

 

ただ一方で、そんなさくらの精神が不安定になった理由や過程を度外視してるかのように戦う力の無いさくらは家で待ってれば良い」って言ってしまった大二や幸実さんの言動もだいぶ迂闊だったよなぁ...と。さくらが自分は無力だと強く意識することになった最後の一押しは正直アレだったと思うわ

勿論大二からしたらさくらが甘いこと言って無茶しようとしてるのを諌めてるんだろうし、幸実さん的にも気遣いを込めた上で言ったつもりなんだろうけど、そこにさくら自身の内面への理解が追いついていないことでただたださくらを追い詰めただけになってるのあまりに残酷すぎる...家族の信頼、といってもとどのつまり別々の人間に過ぎない以上、相手のことをちゃんと理解し的確なことを言えているとはかぎらないんだな...とやたら生々しいよなぁこの辺の描写(カゲロウ絡みの出来事を経て一輝が彼なりに自分を理解し向き合ってくれた経験を経たばかりの大二がさくらにこういうズレた叱責を送ってしまってるというのがその辺の説得力をまた高めてるなと)

ただ大二の時に比べるとまだ地獄みてぇなフェーズではないように思うので、さくらが自分で答えを見つけつつ、みんなもさくらの想いを理解する、みたいな感じでなんとかならんかな...なってくれ(やはり五十嵐家の課題が「家族みんながそれぞれに向き合うこと」って感じするね)

 

と、苦悩し乱れるさくらが黄昏ているところを拾って泊めてくれたのは常連の牛島家。こないだの温泉旅館で謎に不穏な一面を覗かせていたけど、今回はそれを更に強調するかの如く、父母子という3人家族が住んでるにも関わらず、生活必需品が置かれてるだけで彩りの無いやたら殺風景な家、というねっとりへばりついてくるホラー感のある描写を繰り出してきてたのがかなりゾゾッときましたね...棚や机、ソファ周りにちょっとしたインテリアすらないせいで壁の真っ白さが際立って何も無い雰囲気がいっそう引き立ってる+照明が異様に薄暗いので温かみが感じられない空間、って感じのぱっと見でも感じられるほんのり薄気味悪い違和感を日曜朝に見せつけてるの、グロ描写とは違う意味でニチアサらしからなすぎて割とマジで怖かったぞ なんなんだよコイツら...(ドン引き)

そんな牛島家だけど、さくらの下に送りつけられてきたドライバーの送り主(開発元)ではないかという声が割と多く見られてあぁたしかに...!と妙に腑に落ちた感じ。狩崎がやったと言われてもなんかしっくりこない感じがあったし、デッドマンズがやったと言われてもこういうのあったらもっと早く使ってそうということで違和感があったし、と現状の勢力の行動としては腑に落ちない感じだったので、何か大きな力がありそうな第3勢力となるとここだわなたしかに さくらを家に連れてきたのも経過観察的な狙いだったりして(それをはじめとした何かの目的を遂行する拠点にしかすぎないので家が最低限の整えしかない...的な)

ともあれ牛島家の不穏さがここに来てグッと増してきたので、目が離せませんな

 

またデッドマンズの方もこの混沌とした状況下でライダー達に負けじと更なる攻勢に打って出ており、アギレラ様のさくら勧誘の他に、デッドマンズを信奉する心理カウンセラー・灰谷を利用したデッドマンの量産なる戦法に出ていたのが目を惹きました。灰谷、扱い的に多分今回次回くらいまでのゲスト的な扱いなんだろうけど、他人を言葉巧みに唆して動かし自分のデッドマンと契約までさせたりとなかなかのやり手で、役者さんの演技も相まってかなり存在感ある強敵の趣が出ていたので、 あわよくばデッドマンズと協力して一輝達を苦しめる準幹部的なポジションで定着しないかな、なんて期待してみたり。 良いアクセントにはなると思うからなぁ

その灰谷が生み出したプラナリアデッドマン、ぐっちゃぐちゃの外套を被った歪な上半身という今までのデッドマンとは全く違った雰囲気を醸し出しておりかなり面白い怪人でしたね。こういうところでも灰谷が別格扱いのキャラっぽい感じするのよな 切り離された破片それぞれが独立して増えるというプラナリアの特性、またそれに準えた上記の量産特性に倣ってか、外套全体にデッドマン特有の顔の意匠が沢山付いてたり、露出した右腕や外套の下のボディがその顔の意匠を寄せ集めて形成されたかなりグロテスクなデザインになってる(分裂、増殖し得るデッドマンを内包してることの隠喩的なアレだと思う)のがかなり凝ってて好き 灰谷共々今後も出番あると嬉しいが果たして

 

そしてラスト、力を求めたさくらが自分の下へ送られてきたドライバーを装着して変身...しようとするも失敗、その隙に襲ってきたプラナリアデッドマンフェーズ2の攻撃からさくらを守ってリバイ/一輝が負傷...!というところで締め。変身後のビジュアルが出てきてなかった予告の雰囲気的に、変身しても顔見せ程度か、それとも何かの要因で変身しないかだと思ってたので変身しないこと自体にあまり驚きはなかったけど、牛島家でさくらの中に悪魔が目覚めたらしい描写があったのでワンチャン、と思ってた面もあっただけに焦らすな〜と 何が引っ掛かりになってるんだろうか

そいでその様子を見てた狩崎は「なんじゃアレ」みたいな訝しげな表情をしていたので、やっぱり狩崎はこの件に関しては全く関わってない模様。アギレラ様は嬉しそうだったので何か知ってるかもだけど、狙い付けてたさくらが動いたこと自体にテンション上がってるだけかもなのでまだ分からんなぁ(この2人の因縁もかなり深まってきたね) となるとやっぱり牛島家(が属する勢力?)が関係してそうだが...果たして

 

 

以上、リバイス第11話でした。さくらの揺れ惑う内面を内と外から生々しく詰めて描いてくる描写がかなり強烈で、大二の一件も終わった後にまた一難という感じで再び盛り上がって参りました。その周囲を怪しく蠢く牛島家の謎といい、かなり波乱が増してきた感ありますね...注目していきたいところです

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

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ではまた

ゴルバー(おかわり)

ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA

第18話「スマイル作戦第1号」

感想レビュー

 

 

地球に襲来したことがあるのか、マル公がデータ持ってきたのか知らんけど、新型機のモデルにしたろ!とかいう感覚でホイホイ候補に上がって良い奴らじゃないんよギャラクトロンとグランドキング() ザイゴーグやホロボロスも割とギリギリなとこあったんだけど、他作品の強豪級の怪獣/その作品のストーリー的に重要な立ち位置の怪獣の名前がこういうところでポッと上げられるのって、正直言ってその怪獣のキャラ性の深みやネームバリューを損ないかねないというか、軽くしてしまうとこがあるように思うので個人的にはあんま好きくはないんですよね 近年はマルチバース設定の拡張もあって小ネタ的に今までのシリーズの単語とかを作中に小ネタ的に入れ込む傾向があるけどこれも毎度毎度わざわざ見たいってほどではないしなぁ...

 

タツミ隊長の昇格をきっかけに巻き起こる、GUTS SELECTの大騒動を描いた今回の話。

前2回がけっこう怒涛の展開続きだったのでムード転換・箸休め的にガッツリはっちゃけた回という趣だったけど、なんか自分的にはあんまりハマらない回だったなぁ、という印象。キャラクターに崩し方とか話全体のテンションの上げ方とかが好みでなかった感じだった(極端に騒がしくさせたりちゃけさせたりしてるって感じのキャラの動かし方に思えたのがくどく感じられたかなぁ)。みんなが何者かの精神干渉を受けておかしくなってた」という次回の話との接続を持たせた上での展開運びだったことが判明して、変に理性的なまとめ方になっちゃったことが中途半端に感じられたってのも少しある。せっかくだったらもっと振り切るぐらいが良かったかなー

あとみんなおかしくなってたからってのがあったとはいえ、ナースデッセイ組がことごとく私情挟んでパニック起こしたり魂抜けたみたいになったりしたせいで戦闘に支障が出て街にもけっこうな損害出た、って流れはちょっと観ていてモヤモヤするものがあったなぁと。キャラクターのグダグダ感の方が濃く出てシンプルに見ていて気持ち良くはなかったというかなんというか ギャグテイストの回の深くは考えず面白おかしく捉えれば良い描写ではあるので、単純にそういう風に楽しんでれば良かっただけなんだけど、少なくとも自分としてはちょっとそういう風には受け取れなかったなぁ 申し訳ないながら

 

戦闘シーンに関しては、火星から打って変わって市街地で戦う絵面やグリッターとの交戦など、初代とは趣を変えたゴルバーⅡのシーンの数々が新鮮味あってここは面白かったところ。活躍的にはほぼ本筋と関係ない感じだったので、話の添え物的な扱いになりがちなトリガー怪獣の短所が出る形になったのでそこはちょっと惜しかったかなぁ もう物語も終盤だしそこに期待してもしゃあなしかもしれんけど

あとゴルバーⅡの光線とかち合いながらも、競り合うこともなくパワフルに押し込みフィニッシュしてみせたグリッターの必殺技演出は気持ち良くて良かったところ ニュージェネの最強形態の中だと個人的にはあんましピンとくるものがなくてハマってないグリッターだけど、前回のメツオロチのフィニッシュといい必殺技を色々カッコ良い演出で彩ってるのは良きですね ブレード技ばっかりなのも味気なくなってきたし初登場時に使ったゼペリオン光線もそろそろまた使って欲しいな

 

 

以上、トリガー第18話でした。箸休めのドタバタギャグ回的なテイストの話だったけど、自分的にはあんましハマりきれなかったなぁ、という感じになりました。全体的にコッテリと描いた割に締めが淡白だったのもなんかちょっとビミョーに感じられて、全体的にスッキリとはしなかったかなぁ。自分がトリガー自体にハマれてないのも響いてると思うけどうーんなんともという印象の回だった

 

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君に会いたくて

ウルトラマンコスモス

第54話「人間転送機」

感想レビュー

 

 

サブタイだけだと完全にレイビーク星人的な人間誘拐目的の宇宙人と戦うエピソードに思えるよねこれ 間違ってないけどそこメインってほどではないんよ(

 

心優しき怪獣タブリスと、その昔タブリスに救われ友情を育むも悲しき決別をしてしまった女性・佳奈の切なく優しい関係を描く今回のストーリー。怪獣は倒すものという考えが当然だったかつてのコスモス世界において、怪獣を保護するという思想・選択肢を生み出した先駆け的な存在ということで、何気にコスモスという作品においてめちゃくちゃに重要なポジションよなタブリス ドラマ面ではタブリスと佳奈の関係が主軸になったからそこら辺の設定自体が話に殆ど絡んでこなかったのが正直ちょっと勿体無く感じるくらい(そこ主軸にしても一本話作れるくらいには濃いと思う)

 

タブリス、全体的にくたくたのマスコットみたいな趣があり、顔立ちも地球上のかわいめの動物の特徴合わせたみたいな感じしてるので、ビジュアル的にけっこう可愛げがあって良いよね。表情に喜怒哀楽が凄く分かりやすく出る人間っぽさもあってなんか親しみが湧くのがとても好き 後々フログロスに改造されたそうだけど、フログロスがスペースビースト比だと割と不気味さ抑えめで可愛げのあるデザインしてることを思うと、改造元の趣がなかなか濃く反映されてるなと

今回のこのタブリスの描写において、コスモス達にとってはタブリスの生み出した分身はあくまで本体が遠隔で生み出した分身でしかないので触れることはできないものの、佳奈とまた触れ合いたいという本体の強い想い思念故に分身の方からは周囲の物体に物理的に干渉できる、という設定を設けたのはなかなか凝ってて個人的に好きだったポイント。この手の「こっち側からは干渉できないけど向こうからは攻撃できるタイプ」の実体の無い敵ってそこら辺の理屈をある程度有耶無耶にすることがたまーにあるので、内と外のそれぞれの認識の差異というところを上手い感じにそれっぽい理屈として落とし込んできたのが如何にも怪獣SF感あって好きなのだ

 

最初こそ自分を助けてくれたタブリスと純粋に仲良くしていたものの、その様子を見世物として執拗に祭り上げるマスコミへの息苦しさやその様子が報道され続けたことによる弊害で同年代の友人をなかなか作れなかった寂しさからタブリスに別れを告げてしまった佳奈と、そんな佳奈の気持ちを受け止めつつも、彼女が最後方便として咄嗟に言い残した約束を健気に待ち続けたタブリス、そんな双方の心情を細かに描き出す流れは沁みるものがありましたね...当人達の想いに関心を寄せず、絵面の劇的さだけを貪ろうと節操なく擦ってくるマスコミの感動ポ◯ノの愚かしさみたいなものを感じる話でもありましたなぁ 私情を挟まずあくまで仕事としてやるという意味では理解できるけど、利益ばかりを追求して人の心に寄り添えなくなったら本末転倒の外道の行いよ

 

タブリスの想いに寄り添わず自分の寂しさばかり考えていた、と佳奈が自身を省みてタブリスに今一度向き合ったことが今回の事件の解決の糸口となったけど、佳奈も昔咄嗟に言い放った約束のことを覚えていてそれをタブリスが待っていたことを知って気まずそうにしたりタブリスに会いに行けばまた何度も会いに行かないといけなくなってしまい、そうなることが重荷になってしまう」と、タブリスが間接的な要因になってしまったかつての息苦しさや孤独感へのトラウマ故にタブリスと会うのを恐れてしまったり一先ずの対策として転送機で自分の分身をタブリスに見せることを「タブリスを騙すことになる」と拒んだり、とタブリスとの友情や思い出を大切にしているが故の葛藤や躊躇い、タブリスへの気遣いを所々で窺わせていたのがまたなんとも言えない切なさがありましたね タブリスを邪険にしていたわけではなく、寧ろずっとその繋がりを心の中で大事にしていたからこそ、会おうとしなかったりしたと思うと責められないよなぁ...それこそ周りの身勝手な大人や、精神的な未熟さ故に佳奈を遠ざけてしまった同年代の子供達など、環境が両者を半ば不服な形で引き裂いてしまったって感じだものな...

そしてそんな佳奈の想いを受け止めて、責めることもなく再会を喜ぶタブリスの優しさがまた沁みましたなぁ。涙を流すほど別れの辛かった佳奈との約束を守って10年近く寂しい想いを我慢し耐え続け、約束の時になったら分身を送ってまで必死に探し回り、EYESの作戦で佳奈の偽物が現れた時にはすぐに本物じゃないと気付いて怒り暴れ出し、と佳奈への想いから感情を強く露わにするところを多く見せながらも、佳奈が勇気を持ってまた自分が会いに来てくれたことには心の底から嬉しそうにしてひたすらにそれを喜ぶ様は純粋な子供のようで、タブリスの人間味溢れるキャラの描き出し方が本当に良かった。ただただ相手の気持ちを思って待ち侘びた健気さよ...
ともあれこの両者が最後にはしっかりまた仲の良い1人と1匹として向き合い、また何度でも会えるという形で締めたのがとても心温まったね。良かった

 

 

以上、コスモス第54話でした。怪獣タブリスと佳奈の、色んな想いを抱きながらの種族を越えた友情が胸打つドラマがとても味わい深いエピソードとなっていました。タブリスのキャラ性や佳奈の様々な葛藤を含んだ心情の描写が緻密で、コスモスらしい優しく心温まるテイストの良いドラマ性が滲み出た話でした

 

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