AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

戻らない命

仮面ライダークウガ

EPISODE7「傷心」

感想レビュー

 

全ての始まりとなった地「九郎々岳」で起きた惨劇、この世に最初に目を覚ました未確認生命体「第0号」の手で調査隊の面々が襲われた時の映像を食い入るように見つめる一条さん。彼は未確認の手がかりを掴むべく初心に帰り、0号に関する情報を調査して回っていたのだった

ここで一条さんに第0号にまつわる調査資料を持ってくる形で婦警「笹山望見」が初登場。当時は特撮に関する知識がまばらで特に戦隊に関してはペーペーも良いとこだったので最近気付いたんだけど、望見ってたなかえりさんだったんだなぁ メガイエローだよメガイエロー メガレンジャーは高寺さんがPで参加してたからその繋がりかしら?

 

一方の五代さんは、ポレポレでごきげんにクウガの紋章の刺繍を自分のコートに刻みそれをおやっさんに自慢していた 五代さん、おやっさんに平然と「俺クウガだし」的なことを言いまくってて、もうちょっと気を遣ってくれと思うな() みのりにも普通に話してた辺り、五代さんの周囲の人々への信頼感の高さも伺えて地味に味わい深い描写ではあるんだけど...w 意味分からなくておやっさんがスルーしてくれたのが幸いである

 

場面は変わり、未確認達の描写。ゴオマ達はアジトにてラジオを手に、人間達が自分達のことを「ミカクニン セイメイタイ」と呼んでいることを理解していた。ここのシーン、未確認達が人間の文化を少しずつ学び始めていることを、彼らに独特の言語が分からない中でもニュアンスとしてしっかり伝わるように薄気味悪く描いてる怖いシーンでもあるのだけど、会話の内容について訳したものを見ながら聞いてみると意外と世間話的な趣があり、3人が集まって井戸端会議的に話をしてる絵面も相まってなんかちょっと妙な人間味もあるな...とか思ったり 本人達はシャレにならん極悪連中だけどそういうとこはやっぱ元々が人間なんだなぁとも

そんな彼らの前に、バラのタトゥの女が新たな3人の未確認を引き連れ現れる。突如現れた彼らに対し睨みを利かせるゴオマ達だったが、タトゥの女がそれを制し、3人の内の中の1人「バヂス」が動き出す...
ここの未確認達のやり取りは「ゴオマ達の階級『ズ』の面々が次々クウガに倒されゲゲルを失敗させる体たらくなので、ゲゲルの権限をその上の階級『メ』へと移した」という感じの内容で、冒頭に杉田さんが語った「捜査本部が組まれて3週間で7匹現れた(第13号まで現れている)」と併せてバヅーの撃破からかなり時系列が進んでることが伺えるのよね 初見の時はこの辺あまり気にして聞いてなかったからメ集団にゲゲルの権利が移ったタイミングが微妙にあやふやだったけど、今こうして未確認達の会話の内容を理解した上で聞いてみると、ズ集団の切羽詰った状況などなどその辺の事情についてなるほど、と感じられる部分が多くてまた新しい面白さが感じられるね

 

警察では未確認に対抗するべく新しい銃が配備され、一条さん杉田さんがその訓練中。長野の遺跡近くから発見された未確認の目覚めたと思しき墓の数から、最低200近い未確認が現代に姿を現したかもしれないという絶望的な情報を知りつつ、一条さんは未確認との戦いへの覚悟を強める...未確認との果てしない戦い、それに対する一条さん達の覚悟という描写に併せ、未確認に対抗するための更なる力の追求という今後のクウガの物語において重点が置かれていく要素がさり気なく強調されてるのが注目ポイントね

訓練後、望見に呼ばれ遺跡調査の最中0号に襲撃され命を落とした人物の1人である夏目教授の遺族が訪ねてきたことを知らされ、一条さんは教授の妻とその娘「夏目実加」と対面。亡くなった教授のためにも0号の調査を進めて欲しい、と涙ながらに語る教授の妻から教授が遺した遺跡の発掘品を見せられた一条さんはその気持ちを慮りつつ、餅は餅屋、とその解読により詳しいであろう桜子さんのことを紹介し、新たに発生した未確認の事件の現場へと向かってゆく。そんな一条さんのことを、実加は悲壮な色を含んだ表情で見据えていた...


一条さんの紹介を受け城南大学へ赴いた夏目母娘は、ちょうど五代さんも訪れていた桜子さんの研究室を訪ねる(ここで古代文字を解読した桜子さんが五代さんへ解説する形で、当時の人間達を「リント」、未確認達をグロンギと呼んでいた、と劇中の重要な固有ワードが初登場)。0号についての手がかりを掴んで欲しいと発掘品についての解析を必死に頼み込む実加。そこへその解析に詳しいジャンが折り良く研究室へ来訪、しかし事情を知らないジャンは発掘品を目にするなり好奇心と興奮から発掘品そのものにばかり関心を寄せる発言をしてしまい、父のために発掘品の解析を望む実加は憤慨。

「どうして...?どうしてそんな、何も無かったみたいな言い方するの!?未確認生命体の何かの手がかりになるかもって思って持ってきたのに...!みんなそんなのどうでもいいみたいに!!」

「警察だって!全然0号のこと調べてくれないし!」

「お父さんは死んだのに!!」

研究室を飛び出していく実加を、五代さんは何も出来ずに見ていることしかできなかった...


一条さん(警察)は実加達の気持ちを確かに慮りつつ今もどこかで起きているグロンギの凶行に立ち向かおうとしていて、ジャンも不用意で良くなかったとはいえ些細な気持ちのすれ違いが起きてしまった形だったんだけど、未確認生命体という理不尽な暴力によって大切な人を喪ってしまった悲しみと喪失感に今も苦しめられ、父の無念を晴らすためにも藁にも縋る想いで周囲に力になって欲しいという焦りがある実加にとって、それらは父のことを蔑ろにされどうでもいいと思われているように感じてしまうんだろうな...実加自体は五代さんの戦いへの決意にも繋がった2話の教授の葬儀のシーンにも登場していて深い悲しみを露わにしていたけど、それがここでストーリーに深く関わる形でより掘り下げられる辺りがクウガのストーリーの緻密なところだよなぁ 事件に追われる一条さんを睨みつけ、悲痛な表情の自分へ笑顔で優しく声をかけてくれた五代さんから目を背けてしまい、必死にすがった五代さんが研究室の人でないと知って激しく動揺し、頼みの綱であるジャンの発言に感情が爆発し...と皆に頼りたいけどそんな周囲への不信が募り焦りが増していく、という感じの実加の描写は見ていて辛い

 

その後、一条さんから連絡を受け共に科学警察研究所の「榎田ひかり」の下を訪れた五代さん。グロンギの凶行が起きたとされる場に残された遺体の状況とそこから発見された針のようなものから、今回のグロンギが蜂の特性を持つ者と思われると聞かされる

今後もドラマ面で大きく物語に関わっていくキーパーソンの榎田さんが初登場。今回はけっこう色んなレギュラーキャラの初登場が多かったんだなぁ そしてこの時の榎田さんの五代さんへの素っ気なさが意外w あの五代さんが名刺を「ナニコレ...?」で済まされたり針を手に取ろうとしてはたかれたりとあまりにも軽くあしらわれて呆然としてるのちょっと笑う(榎田さんに針をなかなか見せてもらえない五代さんに一条さんが隙を見て針を見せてあげる、という細かいやり取りがなんかちょっとほっこりして好きであるw)

その頃、都内では上空を飛び回るバヂスによる非道なゲゲルによる被害が連発、周囲に怪しいものは何も無いにも関わらず、突如人々が倒れ息絶える事件が間を置かず発生していた。その報告を受け情報を整理していた一条さんと五代さんはその被害の場所と時間の法則性を発見、グロンギの尻尾を掴むべく出撃する。

時間経過という面でのリアルさを表現するために度々テロップで描写されているシーンの時間帯や場所が描かれる演出がなされるクウガだけど、このバヂスのゲゲルによる被害描写における時間帯と場所の表示は、間を置かず被害が発生してるとい感覚が映像的なとこだけでなくリアルな時間経過の表示でも示されているというところで恐ろしさをより高めていて実に良い演出 駅前を歩く人、買い物帰りの主婦、テニス中の若者、自転車に乗って走る友人、となんの変哲も無い日常の中で静かに命が狩られ人が倒れるという絵面のシンプルな怖さとの相乗効果もあり非常に秀逸 久方ぶりの視聴だけどやっぱいかれ怖いんだよなグロンギの凶行の描写...

 

その頃、研究室を飛び出した実加は公衆電話から警察へと電話をかけていた。未確認の捜査を早く進めて欲しいと。そしてそうしてくれないと自分は死ぬかもしれない、と...

場面は変わり、ゲゲルを進める中降り立ったバヂスを発見し迎撃へ向かうクウガと一条さん。一条さんは新たに配備された銃をものの見事に使いこなし、バヂスの所持する腕輪を撃ち抜くと共に現場へやって来ていたゴオマを追跡する。初使用時は反動で強かに狙いを外してたのに、グロンギと戦う決意を固めると共に狙いがあっという間に定まっていき、実戦でももう既にものにしてる一条さん凄すぎるよな...覚悟の程が伺える カッコええわ

一方クウガはバヂスを相手に奮戦。普通に戦う分にはデフォルトのマイティフォームで力強く攻撃、逃げる相手にはドラゴンフォームで追跡、と既にフォームチェンジを使いこなしてる描写が良い

しかしバヂスの自由自在の滑空に苦戦、その動きを捉えようと神経を研ぎ澄ます内、クウガは無意識のうちに緑のクウガ「ペガサスフォーム」へと変身!しかし同時に突如として様々な場所の人々の声や雑踏の音が頭に流れ込んでくる不思議な感覚に見舞われ混乱、その感覚に苦しむうち、クウガは高所から盛大に落下してしまい...

というところで本編終了

グロンギによる凶行およびそれにより奪われていく人々の命というのは初回から今まで描かれてきたけど、そこから転じてグロンギに大切な人を理不尽に奪われた者達の悲しみというものをリアルに描く描写が強烈な回でした 1話きりの描写として終わってもおかしくなさそうな夏目教授の娘・実加を物語上にきちんと意味ある役割として配置しこういう部分を逃げずに描くところが強いよなぁクウガ

 

というわけで今回はこの辺りで 次回もまたよろしくお願いしますね

気に入っていただけたら拡散もして下さると嬉しいです!

ではまた

 

余談:

ポレポレを出て行く五代さんがすれ違った恰幅の良いサラリーマンは当時のある番組の企画で参加してた「極楽とんぼ」の山本圭一さん 実はこの時のメイキング的な映像を観たことがあるんだけどだいぶやべーことが起きてこっちも肝が冷えましたよ...(