AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

世界を救う、仮面の戦士達の聖戦

劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本

鑑賞後感想レビュー

 

※本レビューはネタバレを多分に含みます。未鑑賞の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

夏の映画公開が延期となり満を辞しての公開となったゼロワン映画との兼ね合いとなったこともあってか、約20分の短編映画としての公開となったセイバー劇場版。当初は正直なところこの短さだと作品の色を出すにもキャラを魅力的に描くにも圧倒的に尺が足りないのでは、と思っていたこともあり、短編ヒーロー作品的な面白さが味わえれば良しかな程度に考えていたのですが、本作、良い意味で裏切ってくれました。いやぁこんなに盛り上がるとは嬉しい誤算でした

 

  • ストーリー

尺が短くなった分当然ながらストーリー面はだいぶ簡素にはなっていたのですが、いつもの日常を過ごす中でそれが突如として崩壊する人々の視点を軸に据え物語の導入とすることにより、その危機に駆け付け立ち向かう飛羽真をはじめとした6人の剣士達=仮面ライダー達のヒロイックさが短い尺の中でしっかりと際立つ形となっており、絶望しそうになる人々の視線の先から並んで悠然と歩いてくる飛羽真達という初っ端の構図から早速おおっと心が熱くなりました。短編だからこそこういう構成となったのだと思いますが、世界を護るヒーローというテイストが濃いセイバーの作風が引き立つ形にもなってて非常に相性が良く、名采配だったと思いますね

 

  • レギュラーキャラ

また話の構成上必然的にライダー状態での戦闘がメインの活躍となった剣士達レギュラーキャラの面々ですが、そんな中でもキャラクター1人1人の設定や信念に基づく台詞回し等が意識されていたこともあり、僅かな台詞の中にも思いの外しっかりキャラが活きていたのが凄く良かったです。特に、戦いを終えて息子のそらを迎えに行くと意気込む尾上さんや、ファルシオンとの問答の中で「技術や文化は受け継がれていく」という刀鍛冶のポジションだからこそさり気なく深みの出る発言をした大秦寺さん辺りの台詞回しは個人的にグッときましたね やっぱりセイバーの大人組はこういう時の発言にいっそう沁みるものがあるのが強いなぁと

また芽衣に関しては、崩壊する日常を前に逃げ惑う人々の1人であった少年との絡みを中心として、人知れず世界の平和のため戦う戦士「仮面ライダー」の存在を人々に伝えて激励し、希望を与えるという何気にとても良い役割を担っており、本作をぎゅっと引き締めていて個人的には非常に好みの立ち回りで良きでしたね。TV本編でも一般人だからこその良さが出た時の言動が好みな芽衣だけど今作もきちっとやってくれましたね

そしてセイバーの顔たる主人公の飛羽真、彼も実に良い活躍でしたね。TV本編でも要所要所で飛羽真の人柄を際立たせている「本」「物語」「約束」といったワードが今作でも飛羽真がびしっと決める時の台詞の中に効果的に取り入れられており、第1話を思わせるヒーローのお兄さん的な頼もしさを感じさせた冒頭における少年への激励の姿や、ファルシオン戦の問答の中で繰り出した「本の良さ・大切さ」を説くことを交えた返しなど、飛羽真らしさも加わった熱さ・カッコ良さが存分に溢れてて観てて気持ち良かったです。

 

今作を彩った強敵バハト/ファルシオンは、短編の敵キャラということで予想した通りキャラクターとしてはあっさりめだったものの、演じる谷口さんの演技の迫力もあってセイバーとの戦闘の中での問答に濃いキャラクター性が出ている感じがあって申し分のない存在感があったと思います。ファルシオンも不死という特性も相まってセイバー相手に優勢に立ち続けられるだけの強さを見せていて敵キャラとして悪くない活躍だったなと。

個人的には変身シーンの演出がとても好みで、「虚無」の名に相応しい抜刀直後の無音の演出からの、狂ったような高笑いからの変身、という緩急の効いた所謂「見栄」的な魅せが非常にクールで痺れました。少し前にYouTubeにアップされた舞台挨拶での生変身の間がちょっと気になっていたのですが、完全再現だったのだと気付いて劇場で思わず感心させられましたねぇ

どんとこい、ゼットアンドリュー on Twitter: "“バハト”谷口賢志、仮面ライダーファルシオン変身ポーズを生披露! セイバーキャストも大興奮! 『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死身の剣士と破... https://t.co/I37rzekPg4 @YouTubeより この生変身、抜刀後の間とか正直生だから若干グダッたのかと思ってたんだけど劇場短編観ておおっとなった"

 

  • バトルシーン

戦闘シーンは短い尺の中で力を入れるべき部分として注力しやすかったからか、映像表現が素晴らしく文句なしの見応えでした!

6人の剣士が円陣を組んでグルグル回るアングルの中で1人ずつ変身する直球にカッコいい変身演出から入り、セイバーvsファルシオンや無数のシミー&メギド相手の剣士達の大立ち回りがキレキレの剣捌きやアクション、大迫力の必殺技演出で彩られる様は劇場のスクリーンで観れて実に楽しかった。特にどこぞの霹靂一閃よろしく一瞬ですれ違いざま相手を切り裂き決めるエスパーダや、ジャックと土豆の木の効果でデカイ蔦の柱を剣に纏いパワフルに振り下ろすバスターなど、特性や属性を外連味の効いた演出で各ライダーの技が見栄え抜群に描かれる部分は映像表現に震えたね

何気に使えるワンダーライドブックはフォームチェンジとかで軒並み使われてたのもポイント高かったですわね 総力戦感あって燃えたぞ!

あとファルシオンもリード技や抜刀技などギミックをガンガン使った小気味良い戦いがカッコ良く、強さに説得力が出ていてグーでした いやぁ良かった

 

  • エモーショナルドラゴン

そして今回の隠し球、セイバーのオリジナル形態「エモーショナルドラゴン」!アバンでの登場は驚いたぞ

本は人々に想いや感動を教えてくれる、的なことをファルシオンに説いてたセイバーの強化として生み出される物語が「emotional(感情的な・情緒的な)」の名を冠しているというのはシンプルながら熱かったですね おそらく直に炎を纏っていたであろう烈火を手に行っていたであろう変身シーンは最高でした

デザインに関しても赤白黒の3匹のドラゴンの意匠が組み込まれたアーマーを纏った剣盾装備の剣士というデザインがクリムゾンドラゴンやドラゴニックナイトとはまた別ベクトルで正統強化という感じで惚れ惚れ。本作オリジナルにせず是非とも本編で登場して欲しいなぁ...!

 

  • エンディング

冒頭で他の子供達の輪に入る一歩が踏み出せず暗い顔をしてたところを飛羽真に激励され、また剣士として戦う飛羽真/セイバーの姿に勇気を貰ったことで、戻ってきた日常の中一歩を踏み出す少年を飛羽真達が見ている平和な日常のカットは素直に気持ちが良い締めでした。セイバー勢の平和なわちゃわちゃ感好きだ また少年以外に剣士達の勇姿を目にする人々としてピックアップされてたサラリーマンや女子高生の日常にも最後さり気なくフォーカスされてたのがグッド

そしてED映像も各キャラやライダーの動きを個性豊かに絵本仕立てで描く映像が楽しく、後味が非常に良かったです

 

  • この先の展開

セイバーの敗北する直前のバハトが再会を予言するような発言を残していたり、ラストにバハトの封じられた本(であってる?)をベース(ノーザンかサウザンか分からんかったけどどっちだアレ 分かる人教えて)のどこかに封じる人物など、この先の展開を示唆する描写があったのは実に気になるところ。本編にも影響してくのかなぁ。バハトの再登場は期待したいわね

 

 

以上セイバー劇場短編、短い尺であるながら、むしろそのおかげでセイバーという作品の特色・魅力を詰め込み濃く描くことができており、キャラ描写・戦闘描写共に満足度の高い一作でした。仮面と鎧を身に纏い、人知れず多くの人々の平和な日常を守るため戦う剣士達 そのヒロイックなテイストが存分に出ていてヒーロー特撮の映画作品として非常に面白かったなと 個人的にはゼロワン編より好きかも?

戦闘時の剣アクションや映像演出はハイレベルの一言であり、スクリーンで観られて幸せのなんの セイバーvsファルシオンのバトルは特に最高 素晴らしかったです

総じて短編だからこそできること、詰め込める魅力の描き方が巧くとても面白かったです いや本当嬉しい予想外っぷりですよこれ

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた

ゼロワン編は明日にも上げる予定です!お楽しみに

 

物語の結末は

君が決めるんだ!