AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

White or Black

Princess Principal/プリンセス・プリンシパル

case9「Roaming Pigeons」(第4話)

感想レビュー

 

 

  • 下手したら歴史が変わりますね

当時GOMのCMの方でめちゃくちゃ聞いた台詞です() 冒頭のドロシーとLの本棚を挟んでの顔を合わせない会話という構図、スパイアクションという本作の色を端的に押し出す絵作りになってて凄く好みです

ケイバーライト制御装置の小型化、というと要するにアンジェみたいなことができる兵隊が増えるということでもあるわけだけど、今にして思うと本放送の1話にあたるcase13や他エピソードでアンジェのケイバーライトを使った暴れっぷりが強烈に描かれている分その危険度は印象深く示されてたんだなぁとか思ったり。実際最終回の描写からしてもケイバーライト使いこなせる者が敵になった時の脅威度は明白だし(技量は各人次第かもしんないんだけども)

 

  • ちせ殿やりたい放題

尾行ミッションのトレーニングで警官斬り伏せて成功とのたまうちせ殿、初見の時はあんま気にしてなかったけど観返せば観返すほど脳筋で笑う 峰打ちとかいう問題じゃねぇの!

ちせ殿の首根っこ掴んで高速で逃げるアンジェの背中に苦労人の空気を感じる...w

エピソードとしては3話かけてようやく揃ったメインメンバー5人の軽妙なテンポ感のやり取り、各人の性格も細かく出てて良いですよね

 

「アルファベットの画数というのは、どう数えればいいのだっ!?」

※軽く調べたところ大文字の場合も小文字の場合も大文字の画数で数えるんだとか(流派により異なるとする記載もありました)

ここのちせ殿、表情がコロコロ変わるので何気に好き

どんとこい、ゼットアンドリュー on Twitter: "短い間に表情変わりまくるちせ殿かわいい… "

 

場面は変わり、研究施設潜入のためにアンジェ達が動くシーンへ

プリンセスは地位を活かしてパーティ会場へ全員で潜入せしめ、ドロシーは色仕掛けで隙を作り、ベアトは変声機で警備を惑わし...と各メンバーがそれぞれの武器を活かし潜入を為していく様子を小気味良く描くここの一連のシーンはキャラが揃った段階でそれぞれの強みを印象深く見せる形になってて巧い。ベアトに関してはコンプレックスをガンガン活かしていく2話からの成長が見えて特に好きなところです

まぁこのシーンに関しては、まさかの大御所玄田哲章さんがCVの警備の兵隊が存在感出しまくりで若干そっちに引っ張られるんだけど()

一発キャラの割には、硬派に見えてすぐ鼻の下伸ばすというキャラが玄田さんの演技で愉快に描き上げられるので妙に記憶に残りますよねこの兵...w

そしてCV玄田哲章変声したベアト(さり気なくここで最初の尾行訓練の中で使ってた成人男性の体格へのカモフラージュが使われてんのが細かくて好き)が玄田哲章声のまま喋るという腹筋に良くない演出...w ベアトに寄せた最大限可愛い感じの声になってるのが余計に笑うんだよなぁ(

 

  • 白と黒

仲間となったプリンセスのことを王国側の内通者か否かを密かに探らなければならず複雑な心境のドロシー

仲間として信用されていないかのような扱いに表情に影を落とすちせ

仲間を疑わねばならない状況、疑われてしまう状況に晒された2人の表情や言動に焦点が当てられることで、5人揃ったアンジェ達のチームが一見穏やかながらもその実、水面下では疑念や葛藤が渦巻いているという状況が描き出され、ここでもスパイ」という題材を隙なく作品の雰囲気を作り上げているのが巧いところ。

特にちせ殿は、アンジェ達のことを仲間として信用したい気持ちが強いのに、国の思惑を受けて動いてることを隠して接しないといけない後ろめたさと仲間達からも信用されてないかのような空気感があることへの寂しさとの板挟みで表情を曇らす姿があまりにも辛い...ちせ殿は純粋で真っ直ぐな方だからこういう時辛かろう 堀川公にプリンセスの印象を尋ねられて表情と声色明るくして語るとこにちせ殿の人柄が出ててなぁ...

  • スパイのアンジェ

巨大なファンの間をCボールでの浮遊でタイミング調整して潜り抜けたり、潜入後もぬけの空になった部屋の埃を浮かせて部屋の前の構造探ったりとか、アンジェのスパイテクが光るシーンの演出凄くスタイリッシュで大好き。本エピソードの白眉ですね。

埃の積もり具合の差を浮き上がらせて大きな物が置かれてたことを暴く、ってCボール/ケイバーライトという劇中アイテムの特性をしっかり掴んで活かしてるからこその秀逸な演出だよなぁ、と作品設定や世界観の練り込みように改めて感心させられる。こういうところが強いよなぁプリプリ

埃を浮かす上で銃で撃ち舞い上がらせるワンアクションを挟んだり、埃の舞い上がった部屋を移動する上でマスクをさり気なく口に被せたりとかこういう動きを細かく入れるところにもセンスを感じる

 

  • 扱いが雑...!

逃げた標的の追跡のために街中をイカれたドライビングで突っ走らされてもみくちゃにされるベアト、不憫

絶叫したらアンジェに喉の変声機弄られて無理矢理黙らせられるし、到着時には魂抜けたみたいなグロッキー状態と化してるしここのベアトの扱い全体的にひどくてとても好き() アンジェさんはベアトのことなんだと思っとるんです!?

ちなみに運転中ちせ殿とプリンセスはのんきにチーム名を考えてた 2人とも別ベクトルで肝の座り方が極まってるしなんとなく波長合うんだろうかw

 

  • 覚悟とカリスマ

敵を追跡するにあたりプリンセスと護衛のためのちせ殿を残すアンジェとその判断に前述の立場故の心境からか反論するちせ殿、と作戦行動を前に半壊しかけるチームの連携...
という窮地の中、自ら動向を申し出てちせ殿が一緒に作戦に加わる必要性のある状況を即座に作り出してみせるプリンセス、めちゃくちゃスマートでカッコいい。

加えてこの後の会話も凄く好き。

 

「そこまでするワケを聞きたいね」

「あら、私ならとっくに危険ですよ?スパイをやっているとバレたら、私は終わりです

これよりもっと細くて脆い橋の上に、私は立ってるんです」

「だからって!危険を増やすことはないだろ!」

「同じですよ 皆さんの失敗は、私の秘密に直結します

だったら私は、作戦が成功するために、命を賭けなければなりません」

 

合理性をしっかり示しつつ、自分の覚悟を有無を言わせぬ覇気と共に示して自分を通すことでバラバラになりかけてた状況をあっという間にまとめ上げるというこの台詞回し、本当にプリンセスがカッコ良すぎて痺れる。「これよりもっと細くて脆い橋〜」の台詞の箇所で、橋の欄干に爪先立ちで震えながら立つプリンセスの爪先が映る演出も、プリンセスの状況と覚悟を視覚的に表してて凄く秀逸だし、演じる関根さんの余裕ある声色に少しずつ緊張感が加わっていく演技も素晴らしいしでここの描写の力の入りよう震えるわ

アンジェとちせ殿の口論はこれで終いになるし、この台詞で図らずもプリンセスを疑わざるを得ない状況にあったドロシーの心中をも救ってるの、プリンセスのカリスマ性高すぎなんですよね

...ノル公が警戒するのも然りというところか

 

  • 怪しい2人

プリンセスとアンジェの2人で行動しながらの会話がBGMと共に流れる演出が入り、いつも冷静で周りを引っ掻き回すアンジェがプリンセスの無茶な言動にやや感情的になって不平を溢したり、プリンセスがアンジェをからかいながら『昔のこと』に触れたりと、2人の関係性について仄めかす描写が入れられるのが印象的な作戦行動中の場面。放送順的にもエピソード順的にも第4話目というタイミングで改めてこの2人の関係性について何かあることを改めて示しておくのは良い演出ですね

しかし初見時には気付かなかったけど、アンジェって常に冷静な言動してるようでいて、実はプリンセスのことになると2人きり以外の時でもふと感情的になることが多い、というのは2週目以降での大きな発見でした。「心配したんだから」とか「...意地悪」とか意外と人間味濃いとこや可愛げあるとこは見せてたんだなぁという感じ。「歯止めがきかなくなる」に関しては本編外の某所での使われ方のせいで面白い印象の方が付き纏ってて困ってるが...w

しかしここの船上でアンジェやちせ殿が兵隊を蹴散らしてくシーンも何気に良く動いてて好き ちせ殿連れてきて良かったな...!

  • 白鳩

本話の序盤からたびたび示されてたアンジェ達のチームの名前はプリンセスの鶴の一声で「チーム白鳩」に決定。鶴の一声だけど鳩ってか(

スパイの隠喩という意味と、白か黒かどっちつかずで疑念が渦巻くスパイの世界で信じられる仲間達の比喩的な意味で「白鳩」のワードが物語の流れできちっとハマるという形で締めるのが非常に秀逸。プリンセスはグレー、監視続行という判断をLに下された直後のドロシーがこの後者の意味で肯定的に捉え笑みを見せる、という演出も綺麗にハマって凄く良かったです

ちなみに余談だけど、サブタイの「Roaming Pigeons」はざっくり和訳すると「歩き回る/放浪する鳩達」という意味みたい。アンジェが言った鳩がスパイの暗喩という発言と照らし合わせると、そのままスパイを表す言葉になってるのかな、とか

 

 

以上プリンセス・プリンシパルcase9、疑念が渦巻くスパイの世界の空気感をアンジェ達チームのキャラ達の立場等から演出すると共に、プリンセスの演説という展開や白鳩のワードを介してそんな世界の中でアンジェ達が信頼し合っていく土台ができていっていることを演出として劇的に描き上げるストーリー展開が非常に巧い名エピソード。スパイアクションという点においても見応えのある演出が細かく入れられていてアニメーション的にも凄く楽しい回でした。この回でプリンセスに惹かれる人は多いと思うなぁ 良い

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた