AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

信念のぶつかり合い...は良いんだけど

仮面ライダーセイバー

第18章「炎の執念、メギドを討つ。」

感想レビュー

 

 

人を救うか、世界を救うか、という信念の違いから対立する飛羽真とユーリの2人がいかにして心を通わせるか

その過程で飛羽真はユーリにどのような想いや行動を示すのか

そして飛羽真に対する倫太郎達はここで決定的に袂を分つこととなってしまうのか

など、前回の内容や予告の時点で物語の進行として気になるポイントがこれだけ色々出てきており、これらが劇中の展開の中でいかに昇華されるのかをとても楽しみにしていた...のですが、個人的に今回のストーリーは、特定の展開に持っていくまでの理屈の示し方とかキャラ同士のやり取りの見せ方という点で丁寧さを欠くような描写・作劇が多く、正直言って物凄く微妙だったなぁ...と感じてしまいました。

 

「この世界には多くの人がいて、彼らが世界を作っているからこそ、自分にとっての世界を救うこととは人々を救うこと(=人々を守ることで彼らが作る世界はそこに在り続ける)」であると飛羽真がユーリに示すという展開は、形式ばった主人公的なキャラ付け故にかえってイマイチ不透明だった飛羽真の戦うスタンスという部分を、編集長さんを助けるという芽衣との「約束」を交わす下りも入れて飛羽真のキャラの個性的な部分を印象付けた上できちんと提示する形になり飛羽真の真っ直ぐさが光ってカッコ良かったし、ユーリが飛羽真のその信念に触れたことで自分の生きた時代と現代では世界を守ることの意味が変わったと悟り(ここで前回ユーリが批判的に見ていたヒーローの本を改めて拾い上げ見直す、という動作があったのが細かくてグー)、飛羽真を通じてその意味を知ろうとするという流れに繋がるのは共闘の流れとしてしっかりしていてとても良かったです。

ただその後、肝心の飛羽真が編集長さんをイエティメギドから救い出す手段としての「完成を間近にしてメギドから分離した本を、宿主の人間が消滅する前に斬って人間を解放する」というのが、何がどういう理屈でそういう手段が思いついたのかとかがストーリーを見ていてもきちんと示されてた覚えがなく全然ピンとこなかったため、ユーリが飛羽真を認めセイバーに自分を手にさせ共に戦うというクライマックスの大事な展開への盛り上がり的な意味での接続が薄く感じられ、テンションがどうしても上がらなかったんですよね。ここに関しては自分が見落としてたポイントがあったのかもですが、少なくとも人間を宿主とするメギドが登場するようになった辺りからの描写の中で、メギドから分離した本を斬れば宿主を救えるに繋がる決定的な言及があった覚えがなくやっぱり唐突さがあり...ここは多少なりとロジカルさを加えて欲しかったなぁ

 

それにこの後、戦闘を終えたラストのシーンでユーリが「自分が斬っていれば普通に宿主の人間は救えた」と飛羽真にさらっと語って早く言ってよ!!と飛羽真が驚く下りがギャグ調で入れ込まれるのですが、個人的にこれがけっこう問題で、人間を宿主としたメギドを斬れば宿主の人間が犠牲になる!というところでユーリと対立する形になり、後述するようにそれがきっかけで倫太郎達との溝も深まったりして精神的に悩むことになり、それを経つつも自分の想いを貫きユーリにそれを説くなど、前回今回と2話に渡り飛羽真の葛藤そして決意が描かれ、仮にもそれが話の一つの主軸になっていたのに、この下りがあったせいでこれらが丸々茶番になってしまった感があり、2話近くも対立なども含めて描いてきたものは一体...となってしまったんですよね...
いや、この下りがあったことでユーリの感覚的な意味での現代人とのズレを示し愛嬌を付与する形にもなったし、ユーリが自分とは違う現代の剣士である飛羽真の想いを見届けてそれを認め、剣として手を取り合い共に戦う仲間となるという共闘の流れをやる上で意味があったとは思うのですが、そこに至るまでに積み重ねた飛羽真の描写のことごとくを一気に崩してしまったというところがどうしても納得しかねるところで。

ユーリは本当に人間ごとメギドを倒すのもやむなしと思っていた(分離する能力はなし)のだけど、必死に救おうとする飛羽真の信念と、自力で人間を救ってみせた行動力発想力に感心し、その信念を救い出す方法を自分も一緒に支えるぞ!となる(ユーリ/最光と力を合わせることで救い出す方法がより完璧になる的な)感じとかで良かったと思うんだけどなぁ。捻りのないベタな展開運びかもしれませんけどこういうのをむしろセイバーでは見たかった感はあり

 

また一度は対立を経たけれどやっぱり飛羽真への信頼を捨てきれない倫太郎達が飛羽真の説得に行こうとする下りも、その上で不信感との板挟みとなり「断れば戦うことになる」的な言葉を飛羽真へ突きつけるシーンも相まって倫太郎達の中に残る情みたいなものを示す形になっててキャラ描写的に悪くなく、この先の彼らに対立を描く上でのキャラの心情に深みを与える土台となり得たのに、その後のイエティメギドへの対処を巡ってロクに話し合うでもなくセイバーとブレイズがいらぬ誤解から斬り合い余計ギスギスする展開になってしまうのがなぁ...宿主を死なせたくないセイバーと事情を知らない(そもそも人間がメギドにはならないと思ってる)ブレイズというところで対立軸を深めるの自体は良いのですが、もう少し言葉を交わす下りくらいあっても...(戦闘中なのでそんなタイミングはない、とは分かっているのですが、演出として2人が鍔迫り合いとかしながら言葉を交わし合いその結果譲れないものがあって不和が増してしまうという流れがあればもっと展開を受け入れやすかったと思うし)

芽衣が倫太郎のことを分からずやで頑固と非難する場面も、それに達するだけの言葉のやり取りがあったと思えないだけに説得力が薄く、芽衣が一方的に感情的になって倫太郎に噛み付いてるぽく見えたのもちょっと惜しいところ。

詰まるところ、第16章もそうだったけど、それまで剣士達が絆を育む描写に力を入れて積み重ねてきたにも関わらず、その蓄積を感じられるだけの深みが今の対立描写に足りないのが凄く残念なところだなぁと

 

他にも登場人物間では納得できているであろう要素や事実について、観てるこっちが微妙に噛み砕きにくいスピード感やテンション感でキャラ達が語っていくのでちょっと展開についていけないと感じる瞬間もいくらかあり、やはりこの辺はセイバーという作品の弱い部分だなぁと個人的には感じたりします。

総じて、キャラ描写に関しては光る部分は幾らか見られるようになってきたのですが、それを取り巻く展開運びのさせ方という部分におぇるロジカルさを欠いてると感じる場面の方が目立ってしまい、良さをかき消してる感があるなというのが今回のストーリー引いては現状のセイバーに対する素直な印象。次回大秦寺さんとの対峙というのが主軸になりそうな感があり、ここから各剣士達と改めて絆を築き直していく流れにもなるのかなとも思うので、ここでの巻き返しを期待したいなぁと感じます。

 

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた