AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

下克上だぜ 潰せ

仮面ライダークウガ

EPISODE36、37「錯綜/接近」

感想レビュー

 

 

0号の凶行の現場に残された血で描かれたクウガの文字。桜子さんはそれが本来は0号そのものを表すグロンギの文字であり、引いてはリント族がクウガを表すためにその文字を用いたのではないか...と推理する、という「戦士クウガの成り立ちに不穏さを持って切り込む衝撃度の高い導入。

戦いを好まない文化性の種族であるリントが戦士という概念を持ち得た筈がない、という劇中設定の意外と気付かなかった盲点に触れ、そのリントが「戦士/クウガ」を指し示した言葉は0号、つまりグロンギの首魁と思われる存在を示すものと同一だったかもしれない...と提示するという展開は、前回のエピソードにおける0号の恐るべき残虐性と感情に飲まれたクウガの圧倒的な力という描写と合わせクウガと0号の関係性という点で大きな不安を煽るテイストを含んでおり、かつそれが仮面ライダーというヒーローが元は敵として戦っている怪人とルーツを同じくしているという仮面ライダーシリーズのお約束的な部分にもドラマ性を持って綺麗に繋がっていて見事。

今回のエピソード内で言及された「ゴ集団の武器変換能力はクウガの力と同質のものかもしれない」という要素もこの仮面ライダーと怪人の同一性という部分に関連付けられる部分であり、ゴの強力さを表す演出としてたびたび効果的に描かれていた武器変換の能力がこうしてさらりとクウガとの同一性に繋げられるのも巧いなと感じられ、この辺りを本編中に劇中描写として伏線的に自然に散りばめてきてここで一気に回収することで物語を引き締めてきたのは流石だなぁと思います。

ここで面白いのが、これまでのシリーズでは仮面ライダーと怪人の同一性が「主人公が自分の持つ大きすぎる力、怪人達と同じ力に悩み苦しみながらも正義のためにヒーローとして戦う」という形で活かされる形で概ね共通していた中で、そこをクウガ「現代に現れ出た怪人から人々を救うために立ち上がったヒーローについて、その力の強大さへの懸念などが濃くなっていく中でやがてそのヒーローと怪人達との同一性が示唆されていく」というある意味逆のステップでの活かされ方がされてる点なんですよね。昭和期を始めとしたシリーズが凶悪で強大な怪人とルーツを同じくすると自覚しながらも正義を胸に気高い精神性で戦うヒーローを描くという形でこの要素を昇華させてる一方で、クウガヒーローが持つ大きな力が凶悪で強大な怪人達と同じ性質を持っているという危うさが次第に大きくなり、それを行使する者の精神はそれを扱いきれるのかという部分に焦点が当たっていくという形で少昇華していってる、とでも言うべきかなと。五代雄介を始めとする人間達の心・精神にリアルなドラマで迫っていくクウガならではの特色が出ているように感じられ興味深いなと感じました。

高寺成紀☺2月13日(土)クウガ20周年イベント@シアタス調布 on Twitter: "#クウガ20周年配信 「英雄」を表すとしていたものが一転して敵由来だったという展開。正義と悪、壊す者と護る者が同根という設定は「仮面ライダー」的だと思います。 #kuuga #nitiasa #超配信 #クウガ20周年"

 

  • 戦う者

そんなクウガの力の運命に翻弄される五代さん。街中で老人に席を譲る子供達の姿を見て顔を綻ばせる様は、怒りに任せて一方的に相手を蹂躙してしまった前回のエピソードでの出来事で少なからず心が傷んでいであろう中で、僅かばかりながら救いになってたのかな...などと思ったり

そんな五代さん、おやっさんの台詞からもう8ヶ月近く冒険に出ていないことが明かされ、本人は皆のためにと頑張っているとはいえ、本当はしたくないであろう戦いに縛られているという悲壮さが湧き起こってくるのが辛い...
そんな五代さんの境遇をしっかり受け止め、笑顔で振る舞いいつか冒険に戻れる日を願うみのり、彼が戦う意味を改めて思い返し自身も支える決意を新たにする桜子さんと、ヒロイン勢がブレることなくしっかりしているの良いなぁ...劇中で色んなことがあったけどそれを経た成長(彼を支えていくという姿勢)が一貫されてるのはとても好きなんです

 

  • バルバ

0号と同一人物なのだろうか?という点で注目されることの多くなってきたバラのタトゥの女ことバルバ。本エピソードでも彼女の持つ不思議な空気感を押し出したような演出が多く挟み込まれており、物語の雰囲気をグッと引き締めていました。

ここ最近のゴが姿を現し出した前後のバルバって、心なしか美しさを感じるような演出をされることが多くなったと感じられますね。本エピソードでの、霞がかった森の中を白いドレスを纏った姿でゆっくりと歩いてゆくカットなんかはそれが顕著だし、このカットのBGMなんかもグロンギ関連のBGMが総じて生理的に不気味な感覚を覚えるテイストのものが多い中でどこかミステリアスで神秘的な曲調のものになってるし、他のグロンギとは一線を画する感じが出てて好み。良いよねバルバ

 

  • 舐めると溶かすぜ

今回のエピソードのプレイヤーはゴ・ザザル・バ。気怠げな態度のギャル風の女性、という普通にリアルにいそうな感じが絶妙に良いキャラしてて印象に残るキャラですよね

タクシーに乗り込みその運転手を毒で狩るという手段を用いてゲゲルを進行する様が描かれていたけど、毒を打ち込まれた運転手が運転席部分で跡形もなく溶け、さらにその運転手を溶かした毒がシートとその直下を丸ごと溶かして車体を貫通し、滴った毒がアスファルトまでをも焦がしているという演出があまりにも強烈。おまけに駆け付けた救急隊員が毒から発生した煙で全滅とかいう恐ろしい情報まで語られており...加減しろ莫迦!!ゴ集団は強さという点では勿論のこと、こういう常識外れな力の描写によってもその底知れなさを描いているというのがとても好きなところですね。

戦闘においても爪から飛び散った毒・滴った毒が周囲のオブジェクトを溶かしていく描写が強さ・侮れなさを上手く演出していて良い

 

  • ゴオマ 始動

今までずっとゲゲルに参加させてもらえず他のグロンギに良いように嬲られ、最近では存在感すら薄くなり始めてたゴオマ、前回のエピソード中でザザル相手に啖呵を切ったりそれまでにも何か思わせぶりな素振りを見せてたりしてたけど、なんとここにきて下克上。物語も終盤に近づきつつあるこの局面で、最序盤からクウガの物語を彩ってきた名脇役のゴオマがここにきて大きく前に出てくるこの展開は初見当時もなかなか衝撃でした

あるアイテム(何かは今はまだ伏しとく)を肉体に埋め込んで呻き苦しむというシーンがあった後、ザザルの前にバルバの行方を聞きに姿を現すと、無視していこうとする彼女に対し弱点の日光を遮るために使っていた日傘を投げ捨てて掴みかかり、その強化した姿を晒す、というこの一連のシーンはインパクト抜群。顔色も悪く、日光が苦手で日傘をさして黒い服に身を包んでいた故に貧弱な印象が今まで強かったゴオマが、それと対照的な血色の良く筋肉質な姿を日の下に晒すという、彼が強化されたことを端的に示す演出が凄く好きなんですよここ...!

てかしっかりとその姿を見せたことで明らかとなる、ゴオマを演じる藤王みつるさんのガタイの良さとハンサムぶりマジでカッコいいんですわ...強化の際の迫真さが伝わる呻き声の演技といいゴオマというキャラの存在感を最大限に引き出した熱演が最高でした

 

  • 奔走

そんなザザルのゲゲルとゴオマの独走というグロンギサイドの激動を受け危機感を強く感じながらも、五代さんともしっかり連携しながらザザルの行動の捜査やザザル撃破のための誘導作戦などを推し進めていく杉田さん達警察サイドの活躍描写の充実っぷりも実に良い。前回のエピソードはジャラジの悪辣な大暴れが目立った分、バダーの回で確立された警察と4号/五代さんの連携という部分が際立ち始めたのはストレートにカッコよくて胸躍りますね。

  • 向き合う2人

未確認関連の研究で多忙を極め息子冴の元へ帰れない榎田さんと、彼女に対し今までもたびたび複雑な心境を伺わせる表情を見せるなどしてたジャンの2人の描写に今回はさらに深くスポットが当たる形に。以前冴くんと遊んであげて欲しいとジャンが渡したペーパークラフトが導線となって2人のやり取りへ繋がる流れが上手く、そこからジャンがしっかりと榎田さんへ冴くんと向き合うことへのエール的な言葉をかけてあげるのが気持ち良かった。ほんとこんなにしっかり長い時間かけて描くとは初見時も思わなかったよなぁこの2人の描写

しかし序盤において実加を意図せずとはいえ傷つけてしまったところから、今に至るまで実加と一緒にゴウラムの研究を頑張ったり榎田さんの家庭事情に彼なりに向き合ったりと、人格的な成長が描かれそれがずっとコンスタントに描かれてるジャン良いよなぁ あったけぇよお前...

 

  • ポレポレは今日も平和

もう継承付いてるからおやっさんにさんは付けなくて良いよ実加ちゃん()

このおやっさんが頑なに本名を明かさないの伏線といえば伏線...かな まぁ大してもんではないんだけど(

みのりにアランドロン通じなくて崩れ落ちるおやっさん良いリアクションすぎて笑うw ポレポレは癒しだなぁ...

 

  • 最強の者達

ゲゲルの進行に伴い、ガドルの前に姿を現した新たなる二人のグロンギ...
遂に出ましたねジャーザとバベル。本格的な活躍はもう少しだけ先となりますが、初見当時から今まで濃い印象を残し続けてる強豪なだけに待ちわびたぜ...!という感じ

特にジャーザは個人的お気に入りのゴの一人なので此度の再視聴でまたその活躍を拝めるのはとても楽しみ ガドル・ジャーザ・バダーが個人的トップ3のゴなんです

どんとこい、ゼットアンドリュー on Twitter: "仮面ライダークウガ 第37話[公式] https://t.co/yq3Lu8D4h6 @YouTubeより ジャーザ初登場じゃあ 閣下の次にお気に入りのゴなので遂にかという感じ… "

そしてそんな2人に並び立つ男ガドル閣下、ザザル相手にほぼ互角の立ち回りを見せた強化態ゴオマを軽く捻ってみせるという登場で、またしてもその強力さをさり気ないながらも印象付けてきたなと 最終盤のこの方のメイン回も今から楽しみですよ...

 

  • 4本角

0号が残した血のクウガ(0号)の文字、碑文の一部に書かれたクウガの文字、それらが描いていた4本角のマーク...前回のエピソードのラストに登場した黒いクウガのビジョンと合わせてこれもまた物語に良い感じに影を落としてきてて面白いところ。ビジョンを間近に見た五代さんが4本角のマークを聞かされ怪訝な表情をするとこが細かい。クウガのトレードマークとしてシャツやバイクに刻んだマークが持つ意味が邪なものへ変貌しつつあるということへ思うところなんかもあったんだろうか...

このマークが意味するものについては既に物語を追って観てきた身としては知っているけど、これが今後の物語でいかに触れられていくかは改めて細かく注目ですね

 

  • 再対面

幾度もの対峙を経てまたしても出会った一条さんとバルバ。頻繁に絡んでるわけではないながらも一条さんがバルバの動向や正体を気にかける場面が何度かあったり、バルバも一条さんに注目してるような素振りを見せたりしてた故に因縁的なものを感じられる構図となってるのはとても良きですね

そしてここのバルバの登場シーンも、BGMの雰囲気といい実に神秘的で印象深いですね。火花散る廃工場内で向かい合う2人のカット美しすぎる...2人とも顔が良いんだよ!

この2人の因縁の行く末は果たして

 

 

以上クウガ36、37話、ゴオマの下剋上クウガと0号(およびグロンギ)と同一性など、物語をクライマックスに向け大きく動かしていくであろう展開がてんこ盛りで実に見応え抜群でした。それでいてさらにまだエピソードとしては続くというボリューム感...!良いですね

ゴオマ下克上に伴いゴオマvsザザル、ゴオマvsガドルなど怪人vs怪人の構図も色々見られ、その辺の新鮮さも良かったですね その辺の皺寄せでクウガがマジで殆ど活躍してないのはヒーロー番組的に色々思うところはあるがこの思いきりぶりは良くも悪くもクウガらしいというか

他にも劇中の色んなキャラの関係性や言動を細かく活かすような描写も多くあり、この辺もとても面白かったですね。こういうところも抜かりないのがクウガの好きなところで

クライマックスも近くなってきて、盛り上がってきましたね...これからますます楽しくなりますよ

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた