AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

炎の剣に乗せる覚悟

仮面ライダーセイバー

第21章「最高に輝け、全身全色(フルカラー)。」

感想レビュー

 

 

3話に渡り引っ張りに引っ張った大秦寺さんとの対峙が決着した今回。

本当に何も響かなかったのであれば大秦寺さんの株が少々落ちるし、実は何かを感じているという設定であればミスリードを誘う台詞回しが正直上手いとは言えないし、という感じで庄司個人的にどう足掻いても一定以上の評価はできそうにないと思っていた大秦寺さんの「お前の剣からは何も響いてこない」発言でしたが、その真意は

「人が鍛えし始まりの聖剣に、火を灯さんとする者現れし時、星を結びて力を束ね、物語を終焉へと導く」

という烈火に纏わる言い伝えから来る聖剣への刀鍛冶としての思い入れ、そしてその烈火を今手にしている飛羽真が「全てを救う」とその意味と重さをしっかりと理解しないままに口にし剣を振るっているように感じられることへの剣士として看過できない感情があった故...であったのであろうことが示され、大秦寺さんなりの拘りと矜持があったからこその感情だったのは、大秦寺さんのキャラクター性をグッと掘り下げることにも繋がって素直に良い落とし所であり、非常に良かったなと思いました。

 

またそんな強い想いに溢れる大秦寺さんと再度対峙することになった飛羽真も、メギドの水面下での活動により知らぬ間に増えていた犠牲者およびそれに悲しむ人々の存在を直に目にすることとなった上、大秦寺さんの覚悟の重さを剣戟を通じて知らしめられると共に自身の覚悟の弱さを指摘されることなど、賢人にも世界や人々を救うと「約束」したはずの自身の力の及ばなさを実感させられるという挫折を経験した上で、それでもみんなを救いたい!!という想いを貫く本気の覚悟を再び決め、剣の一撃の重さでもって大秦寺さんの心を動かす、という最近イマイチ足りてなかった、カタルシスのある主人公らしい鮮烈な見せ場があったので満足。ライドブックの力の扱いに頼っている、という言葉を受けてクリムゾンドラゴンの変身を自ら解いて立ち向かい、火の粉舞う剣舞の中で炎を纏った剣でスラッシュと剣を交えるカットの迫力が内藤さんの力強く迫真のシャウトと重なり戦闘シーンが非常にかっこいい仕上がりになってたのも実に良かったです。

飛羽真の覚悟の程を改めて問い、そこからよりグッと引き締まるという展開運びとして綺麗にハマったし、やっと物語の主人公としての活躍度合いという部分でのフラストレーションがそこそこに解消されたなという感じで嬉しい

 

そしてそんな飛羽真の覚悟の極まりを感じ取り、いずれ全てを導く伝説の剣を生み出す(この口ぶり的に、セイバーの最終的な強化は新しい聖剣の誕生、という形で為されるのだろうか)可能性を見出したことで、一族の長年の大望へ飛羽真が到達するかもしれないことへ心躍らせてることを表すように無邪気な笑顔を見せる大秦寺さんの姿がとても印象的なシーンとなり、彼の動向についてはなんやかんやと今まで言ってきましたがここで許せてしまいましたね。心の底から楽しそうな雰囲気がそのくらい気持ち良かったんですよ...岡さんが良い演技してくれました そしてそんな大秦寺さんを見て、現状の色んなしがらみを抜きに信じて、組織を抜ける彼を明るく送り出す尾上さんもストレートに良い味出してて、ここでベテラン組の印象がまたグッと良い方向へ戻ったなと思えました。

 

一方、そんな大秦寺さんと飛羽真の対峙に持ってかれてぶっちゃけついで感は否めなかったな...とは思いましたが、最光エックスソードマンの活躍も目を惹くポイントでしたね。現代の価値観に触れ変わる様が描かれたユーリが、現代の物語で剣士として再び変身し戦う、というのはなかなかにエモーショナルなシチュエーションなので、これ個別の回でやった方が良かったんじゃないか...!とは思うながらも、アメコミのコマ割り風のカット演出を随所に挟む戦闘は良い感じに個性が際立ち外連味も効いていたので良き。漫画からそのまま飛び出したような良い意味でわざとらしいベタっとしたカラーリングのデザインも面白いし是非今後とも活躍して欲しいところです。コマ割り演出はもうないんじゃないかとか密かに言われてるけど...()

そんなユーリがエックスソードマンの力を手にするために久々にタッセルの下を訪れるという下りもあり、いつも冒頭挨拶からシームレスにその流れへ繋がる演出が面白かった他、以前はユーリが無口モードのままで一緒にいる場面ばっかりだったため伺い知れなかった2人の空気感も伺えたことで楽しいシーンになりました。しかしユーリの剣士としての歴史が全て詰まった本を持っている、ってやっぱりタッセルはセイバーの物語の中でもだいぶ重要な立ち位置にいるっぽいですね。最近めっきり本筋に浮上しなくなったのでそろそろ何か仄めかしが欲しいなぁ

 

また本筋の展開においては、前述したようにメギドの活動によって生み出された多数のアルターライドブックおよびそれにより犠牲になった多くの人々の存在が示される形となり、正直最近は剣士達の衝突などの描写に置いてかれてやや蚊帳の外感があったメギドサイドが、その凶悪さを印象深く見せつけると共にそれにより生み出された新たな合成メギドが物語に影響を及ぼしていきそうな感じがあることを示し本筋に存在感を示してきた点が良かったところ。ストーリー上では変わらず戦うべき敵として位置してはいたんだけど優先度合いが低くなってるみたいな部分もあったのでこれは良い傾向だと思いました。合成メギドのシアゴースト(仮面ライダー龍騎に登場の怪人)的なデザイン故の不気味さ良いですよね

また飛羽真が聖剣やソードオブロゴスの歴史について調べる中で出てきた、2000年前の剣士達の後ろ姿の絵がメギド3幹部およびソフィア、タッセル、そしてマスターロゴス(?)を指し示しているらしいという考察があり。実際に見てみると分かりやすくズオスっぽいノースリーブの男や緑髪の人物がいるためこれはなかなか気になるポイント。ノースリーブで見分けてごめんなズオス()

メギド3幹部が元剣士説は密かに囁かれてたけど真実味を帯びてきたなぁ。重要な要素っぽいので早くに真実が知りたいところ

カピバラonマカロニ on Twitter: "左からズオス、レジエル、ストリウス、ソフィアの先祖、マスターロゴスの先祖(もしくは本人)、タッセル って感じかなぁ #仮面ライダーセイバー… "

 

と、色々見所がありつつ、一番のメインである大秦寺さんと飛羽真関連の描写の良さもあって、久しぶりに素直に熱く楽しかったです、今回のセイバー。もっと言うと、大秦寺さんの烈火への思い入れについてはもっと早くから仄めかしておけばもう少し真意も察しやすかっただろうしキャラの印象をもうちょい上手く調整できたのに...とか、飛羽真の主人公性印象付けるためにも彼の挫折と再起にこそ数話費やすべきだったのでは?とか、ストーリー構成上の負債への不満も少なからずあるのですが、それを踏まえても十分燃える部分は多かったなと。次回は尾上さんとの関係の掘り下げに入りそうで、ここはもっとテンポ良く盛り上がり形で回して欲しいなと。期待

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた