AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

憧れた貴女へ

Princess Principal/プリンセス・プリンシパル

case22「Comfort Comrade」(第10話)

感想レビュー

 

 

 

  • ファーム

アンジェとドロシー、そして今回のゲストキャラクターであり2人の同期スパイ「委員長」がスパイの技能を磨いた養成所「ファーム」のシーンから始まった今回。

アンジェが当時からスパイとしての飛び抜けた才覚を示していたことや、短髪の若ドロシー(今も若いだろってキレられそう)がビジュアル的にとても好みなことなど色々触れたい部分はあるながらも、特筆すべきは「成績が基準に達しない者は次の日にはいつの間にかいなくなっていた」という大いに闇が深すぎる設定。アンジェの「『さよなら』は言ったことはない」が象徴的なワードとして追い討ちをかけてくるのがまたエグい...

更にドロシーが「ウチらの代はもう、この3人しか残ってないんだからさぁ」などとさらっと言い放っており、これもまた惨い...過去回想で沢山いたアンジェ達の同期と思われる少女達がふるいにかけられたり任務の中で命を落としたりして既にこの世にいないことを暗に示しており、今作の殺伐としたシビアな世界観を端的に表現したとても印象深い台詞となっていましたね。アンジェくらいに技能が磨かれていないと生き残るのは困難、というかアンジェでさえも絶対安心ってことはないもんなぁ...命に対し容赦がなさすぎる

 

  • 展開・スパイアクション

今回は久しぶりに、スピーディなアクションや様々な小道具を惜しみなく使った立ち回りなどスパイテイスト溢れるアクションシーンがふんだんに描かれていて見応えがありました。喉のスピーカーの意外な応用によるベアトの活躍や、アンジェのワイヤー銃の活用など、こういうアイテムのギミックが活きた描写はとてもクールで良いですね。しかし活躍したベアトを「養成所の主席サマでも、こんな手品は使えないだろ?」って自慢するドロシー、とても微笑ましいな!自慢の妹を誇るお姉ちゃんだよ完全に

 

  • 和の心

今回は仲良くお留守番のちせ殿とプリンセス。前回のエピソードでもなんかプリンセスがちせ殿に舞踊を見てもらったりしてたっぽい描写があったけど、case11の決闘回といいこの2人意外と絡むこと多いんだなぁとなんか改めて視聴していて思いました。

ちなみにプリンセスが気になってたししおどしの用途、軽く調べたところによると、鹿や猪といった害獣を追い払うためとして作られたものだったとのこと。「水の流れる音と竹が決まったルーティンで石を打つリズムを聞き、和の心を感じるもの」みたいな抽象的なイメージだったけどちゃんと意味あったんだなぁ() 勉強になったね!

 

  • 成人女性

委員長とのファーム時代の出来事の話に華を咲かせるドロシー達。

しかし実際のところ、ドロシー達は委員長の二重スパイ疑惑について調べる任務を受け、彼女に接触していたのだった...
という中で、委員長が席を外した隙に調査に向かったアンジェとベアトがいなくなったことについてドロシーが「未成年は帰らせた」みたいなことを委員長に言ってるシーンがあったんだけど、これって普通に委員長は成人してる年齢って認識でいいんですかね?ここの台詞今まであんま気にして聞いてなかったから、てっきり委員長はアンジェ達と同じくらい(もしくは少し上)の歳だと思ってたなぁ ここにもいたか二十(ハタチ)スパイ...

すみません()

 

  • 成績1位の実力

ボロを出した委員長を捕まえるべくその後を追うアンジェ。しかし委員長の策により惜しくも取り逃がし...
と思いきや、列車に乗り逃げる委員長に対し、アンジェは車で列車と並走し、Cボールでドロシーを列車へ送り込む作戦を決行、委員長を追い詰めるのだった。

ここの大胆な作戦実行シーンも目を惹いたながらも、個人的にはアンジェがこの前のシーンの中で移動の際に「切り札として取っておきたい」などと言ってCボールを使わない一幕があったのが流石!と思ったところで。Cボールをアンジェが持ってることを知らない委員長の隙を突くために敢えてギリギリまで出し惜しみ、列車への潜入をスムーズにし委員長を怯ませるという数手先を読んだ立ち回りが上手いよぁと。

今回は他にも委員長の部屋のトラップに敢えて痕跡を残し委員長を誘い出すなど、アンジェの頭脳派な一面が多く描かれており、アンジェを委員長より一枚上手な実力と位置付けることで本編中でたびたび委員長が語る“嫉妬” ”羨望“の対象としてアンジェの存在感を強めているのが、後述する展開と合わせ上手くハマってて良かったですね。

 

ちなみにドロシーとアンジェが列車に乗り込んだ後、置いてかれたベアトは車の運転を急に任されてあたふたし、結局盛大に横転するハメになってました。がんばれ()

 

  • 憧れたのは

「私が憧れたのは、アンジェじゃないわ。
私がずっと憧れて...なりたくてなりたくて...でもどうしてもなれなかったのは、
貴女よ、ドロシー」

ドロシーに追い詰められた中で、委員長が打ち明けた本心。

たびたび言及されていた彼女が意識している人物について、常に首位を争い続けていたアンジェがそうであるかのように見せてミスリードを誘いつつ、酒場にて2人で会話するシーンや遊園地でのエピソードなど、ドロシーとの印象的なカット・出来事についてもさり気なく挟むことで委員長とドロシーの関係性について掘り下げ、本当はドロシーのことを強く意識していたと明かすシーンへの説得力を高めておいてたという、キャラクターの感情をしっかり強調した描写を抜かりなく行った巧妙な作劇が見事でした。

 

生きることに必死で余裕のない彼女が「貴女のようになれたら良かった」とドロシーのようになりたいと思ったのは、気負った様子のない自由で奔放な姿に憧れたから。その自由な生き様でもって、自分に自由で楽しい一時を味わわせてくれたから...

友達を撃ちたくないと説得するドロシーを前に委員長は銃を手にし、ドロシーに自身を撃たせることのないよう、自ら命を絶った...

委員長を巡る任務は、こうして悲しい結末で幕を下ろしたのだった...

 

...なんでドロシーばっかこんな目にあうの?

橘監督や大河内さん達の策略だろこれッ!ひでぇよ!!!

こないだやっと仲直りできそうだったお父さんが亡くなったばっかだったんすよ...直々に撃たずに済んだのは救いかもしれないがトラウマなるわこんなん...委員長も友達にして憧れの人を想って、優しいドロシーに友達と思ってくれてる自分を撃って欲しくはないと願ってのことだったのは分かるけど、もっと違う道もあったはずだよ...お前...

委員長、設定として「ストレスで参ってたタイミングをノル公につけ込まれ、おくすり漬けにされ手駒として利用されていた」という状況だったとのこと(委員長が持ってた薬品を打ち込む器具などある程度は察してたものの、この辺ちゃんとは理解してなかったので軽く調べました)ですが、ここの一連のシーンの中でドロシーが言った「ヘタな息抜きをして、嵌められたのか?」という台詞と照らし合わせると、任務任務で精神的に苦しんでいる中で、ドロシーのように自由で気ままにあろうと良い息抜きを探した結果がこれだったのかも...などと思えて、そう思うと余計に辛くなってくるなぁ...遊園地でドロシーと楽しい時間を過ごしてたシーンの屈託のない笑顔と、本編中で時々出てきてた憔悴して目からハイライト消えた顔や追い詰められて切なげになってる表情の対比がキツすぎる...

 

そして任務を終えた帰り道、アンジェもまた、ドロシーに委員長を撃たせまいとしていたらしいことが示唆され、ほんとドロシー、友人を撃てるような人じゃない、撃たせたくない、ってみんなから思われてるなぁ...

スパイ向いてないとたびたびファンから切に言われてるドロシーだけど、ここで僕も改めて強くそう感じましたね...

今すぐスパイやめて、パン屋にでもなれや

なってくれや...頼むから...後生ですから...

 

 

以上プリンセスプリンシパルcase22、成績を競い合ったアンジェのように優秀にではなく、成績などのしがらみからも解放されドロシーのように自由に生きたかった、という委員長というキャラの心情を少しずつ紐解いていき、徐々に物悲しいテイストを帯びていくストーリーに胸が締め付けられる、そんな回でした。世界がドロシーに厳しすぎる...幸せになって

そしてラストには物語が風雲急を告げ、プリンセスプリンシパルは遂にクライマックスへと突入していきます。残り2話、駆け抜けていくとしましょう。

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた