Princess Principal/プリンセス・プリンシパル
case23「Humble Double」(第11話)
感想レビュー
Lの代わって軍部のジェネラルがコントロールの幹部に就任し、プリンセスの暗殺指令が出されるという前回ラストの急展開から引き続いてのスタート。
プリンセスを守ろうとするアンジェやドロシー達の想いとは裏腹に、チームの状況やプリンセスの周囲を取り巻く環境もがらりと変わっていく...と序盤のじわじわと危機感を煽る展開運びが次々に繰り出され、この辺はこれまでのエピソード以上に見ていてハラハラさせられますね。特にドロシーやちせ殿といった仲間達が次々にチームを離れていき、それに伴いアンジェが孤軍奮闘せざるを得なくなっていくシチュエーションは少なからぬ絶望感があるんですよ。きちぃ...ドロシーはプリンセスが大切な仲間だからこそ割り切れないと感情を露わにしてくれて、ちせ殿も去り際にアンジェの抱える想いを察して力を貸そうとしてくれるしで、同じチームの仲間として築いてきた蓄積を感じる言動を見せてくれるだけに、2人が去っていってしまう流れが余計に重く響くなと。
しかしドロシーもちせ殿も、プリンセス暗殺に表面上涼しげな態度を取るアンジェの「嘘」を見抜き向き合っているのが流石。伊達に黒蜥蜴星人と一緒にいたわけじゃないな...
そんなプリンセスの周囲を取り巻く環境の最たる変化として参入し、存在感を示してきたのがプリンセス暗殺の任を受けたコントロールのスパイ・ゼルダ。劇中で幾度も敵をいなし危機を乗り越えてきた手練れのアンジェの更に一歩先を行くような隙の無さを感じさせる立ち回りが実に強敵感増し増しで、この終盤でアンジェの前に立ちはだかる壁として良いキャラをしてました。園崎未恵さんの余裕を感じさせる不敵な声色もハマって実に良い。
こうして1人、プリンセスのための戦いに身を投じることを決めるアンジェ。
決戦前夜の準備中にモノローグによりアンジェがプリンセスに抱く感情がより詳細に語られていたけど、退屈で嫌気の差したこの世から消えようとしていた、つまりは命を絶とうとしていたまさにその時にかけがえのない友人になってくれたって、そりゃあもうどこまでも大切に思うよなぁ...自分の人生に意味を与えてくれた存在も同然だもの
スパイとして生きる中でも彼女の存在がずっと心の支えになっていたことといい、アンジェにとってプリンセスの存在は光と言っても過言ではないんだろうなぁと思います。闇の中で生きるスパイというアンジェの今の立ち位置とはまさに真逆であり、だからこそとても大事なんだろうなと。ほんとどこまでも深い関係性ですよこの2人...
そしてプリンセスと連れての逃走計画に打って出るアンジェ。ここでcase20で描かれた幼い頃の変装・入れ替わり遊びに見立てた連携で見張りを華麗に撒くという、2人の思い出の繋がりの強さを実にエモーショナルに描き出す流れが見事でした。あと何気にここのシーン、声色をよく聞くと入れ替わった2人の声もちゃんと今村さんと関根さんで入れ替わってるんですよね(だよね?違ってたらごめんね)。それぞれがいい感じに互いの声のニュアンスや喋り方の雰囲気を真似た演技は今作の象徴的なコンビを演じてきたお二人のコンビネーションも感じられ、とても素晴らしかったです。拍手。
こうして追手を撒き、カサブランカへ向かう飛行船へと乗り込んだ2人。カサブランカノシロイイエ...
しかし、大事なプリンセスとの逃避行を望むアンジェと、女王となって世界を変えようとするプリンセスの想いはすれ違い...
自分達と同じような身分の違いという壁に阻まれる人々の心を理解できるからこその決して曲がらない決意、道を違える他ないと悟りながらも大切な友人として生き残って欲しい一心でアンジェのためにつく「嘘」、とここの一連のシーンのプリンセスの姿は、演じる関根さんの熱が込められた、声を震わすほどの感情溢れる演技も相まってとても惹きつけられるシーンになっており、今回のエピソードの白眉でした。
扉を挟んでアンジェに決別を意味する罵倒を浴びせかけながら、2人を隔てる扉の向こうでは必死の嘘に涙を流すプリンセス、という構図は、2人を隔てる「壁」を壊したいと願うプリンセスが敢えてアンジェを突き放すために作り上げたかのようにも思え、とても象徴的な構図になってるとも感じられてほんと...たまりませんわ...胸がキュッとなる
そんなプリンセスの言葉にショックを受け、今までになく弱々しくなるアンジェ、そしてその場を立ち去り、死地へと赴くプリンセス...2人の運命や如何に
To be continued...
→次回の話(case24)白鳩は舞い戻る - AnDrew’s小生意気レビュー記