第13・14幕「ルシール/夜更けの海」
振り返り感想
「死んでゆくから人間は美しいだと?
てめぇが醜いと言った『しろがね』達は...綺麗だったぜ。」
「死ぬから人間はきれいなんじゃねえ!
死ぬほどの目にあっても...まだ自分が“生きている”ってコトを思い出して...
にっこり笑えるから、人間はきれいなのさ。」からくりサーカス 第21巻 からくり〜最終幕 第48幕「3分前」
このエピソードからOP・EDがそれぞれ「ハグルマ」「夕立ち」へとシフト。中盤の怒涛の展開を表すかのような畳み掛けるスピード感がある曲調がからサーアニメの楽曲の中で一番好きなOPに、物悲しげな曲調と過去編の展開を示す美麗な作画による場面写の連続が非常に相性の良いEDと、個人的にはここのOP・EDが一番好みです
因縁あるドットーレに復讐を果たすべく、自分の人生の全てを賭けたルシールの最後の戦いと、残した想い。
自身の傷付き戦う姿に打たれ、他でもない自分自身の心に従い戦い抜いたしろがね達の想いを文字通り一身に受けた鳴海が迎えた結末。
儚くも美しい群像劇を濃密に詰め込んだ真夜中のサーカス決着編のクライマックスがハイスピードで展開されたこの2エピソード、原作でも中盤最大の山場にして、新章へと繋がる衝撃の展開が非常の印象深いパートなだけにこのぎゅうぎゅうに圧縮された形でも熱量はとても高く面白かったものの、改めて見てもやっぱり色々足りねぇなぁ〜と思ったり。
キャラと尺が足りないッ!
最終決戦を共にするしろがねの面々にダールがいない故に、原作における彼の特攻の役目をトーアが担いそのトーアによる手術のシーンをロッケンフィールドさんが担い...と順々に役割がズラされていってる辺りにはその辺りの影響が濃く出てて、力技がすぎるよ!!と思ってしまうところ。ただここに関しては、手術時のロッケンフィールドさんの台詞回しがそれに合わせたものになっていたり、鳴海兄ちゃんの仕草をリスペクトするように「やだね。」で舌を出してみてたりとか、アニメならではのアレンジが入ってたのでじっくり見ると割と良い具合に補完してもいたのでけっこう良かったかも?と思いますね。アニメという新たな舞台にてまた違った形でキャラ達が役を全うしたという意味で、粋な演出とも言える...かも
(※上記のロッケンフィールドさんの言動、一応読み返したけど多分原作にはなかった...はず あったらゴメンね)
でも決着後の脱出の際の鳴海兄ちゃんとロッケンフィールドさんのやり取りはアニメで見たかったなぁ...切ないけどロッケンフィールドさんの優しさと鳴海兄ちゃんへの思い入れが伺えて良いシーンなのよ...
あと前回も少しだけ触れたけど、ルシールの大一番でミンシアとルシールのやり取りが描かれるなら、この2人の関係性は原作同様に掘り下げておいて欲しかったなぁ...というのは強く思いますね。かつて背を背けてしまった自分の娘の面影を重ねてミンシアを気にかけるルシールと、そのルシールと過ごすうち一種の思慕を抱いていくミンシアの描写があるから最期のあの絡みが感動的になるのであって、実質あの場面が初めてのガッツリとした絡みじゃ響くもんが響かんのじゃあ...ルシールのドットーレに対する挑発的な言動からの、鳴海兄ちゃんの夢の中での優しい語り掛けは演じる朴さんの名演もあって、アニメでも素晴らしいものでしたけどね 相変わらず良いシーンでした
そしていざ決着という時フランシーヌ人形から告げられる衝撃の事実と、しろがねの下へ修羅と化して現れる鳴海兄ちゃんという怒涛の流れ。
あのタイミングでのカミングアウトは鳴海兄ちゃんからしたら本当に救いが無さすぎて、心が摩耗しああなってしまうのも理解できてしまうからあまりにも辛い...原作漫画は藤田先生の力強すぎる筆致での表現がより迫真さを引き立たせてて余計に心がしんどいんです 指で描いたという鳴海兄ちゃんの表情の寄りのコマいつ見てもすげぇんだ
しかし後半でフウとの邂逅を回想で一気にこなしてしろがねとの衝撃の再会までを描く超サクサクな流れは当時も思ったけど、
巻きすぎぃ〜(IKKO(2度目))
原作だと勝のストーリーや過去編がしばし描かれサーカスサイドの物語が進んでからの鳴海兄ちゃん久々の登場という流れになってて、サハラでの決着後彼はどうなったの!?というハラハラをずっと抱えた状態が続いてた故にあの登場が非常に強いインパクトを持つわけですし、アニメだと単なる一登場人物的な扱いだったフウも彼にまつわるとある驚きの種明かしが面白かったわけなので、軽く流して欲しくなかったなぁ〜と思う。せめて鳴海兄ちゃんとの再会は1話ほど間を置いてやってれば...これが尺の都合か...
(まぁフウの種明かしに関しては、原作は漫画という媒体だったからこそできた表現でもあり、それを丸々カットしてた、というか構成上せざるを得なかったであろうアニメじゃ仕方ないか、とも)
とまぁ今回も色々言ったわけですが、当時のツイートで触れてるように鳴海兄ちゃんがしろがねを攻撃する寸前のところでしろがねのことを断片的に思い出したらしい描写が入ったりと、上記のロッケンフィールドさんの言動も含めアニメならではな展開のアレンジが随所に入ってはいるので、工夫は割としてあるんだよなぁ。せめてもの、といったところか これで尺さえあれば...とはどうしても思っちゃいますね。うーむ惜しい
というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます
次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!
ではまた