AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

母の務め

仮面ライダークウガ

EPISODE46「不屈」

感想レビュー

 

 

  • “ラ”集団

前回から引き続きガドル閣下との決闘を繰り広げるドルド、閣下を相手に巧みな戦闘で優勢に立つという思わぬ強豪ぶりを見せつけてきました。前回閣下はクウガを相手に圧倒的な力を示してただけにこのパワーバランスの描写がより引き立ちましたね。

前回ガドルの宣告に応じた時の動じなさからも只者ではない雰囲気は感じられていましたが、まさかここまで...!という感じですよねこれは 普段裏方に回って動いていた人物が実はめちゃんこに強いというシチュはやはり燃えるものよ

ラ集団はゲリザギバスゲゲルを達成しつつもザギバスゲゲルへの参加を降り運営に回った者達、というのが裏設定的に語られたりもしておりそれを踏まえるとこの強さも納得ですね(といってもこの設定に関してはソースが不明なのであくまでファン間での一説、みたいな感じでもあるっぽいのですが。どなたか公式関連でこの点について語られてるものがあったらご存知の方は是非教えていただければ)

 

  • 五代雄介の意志とアマダム

より強くなるために電気ショックを受けようとしていたことから五代さんの方が一時的に心臓を止めていた、と前回ラストの緊迫した描写の真実が椿さんの口から明かされました。

勿論こんな常識外れな現象はアマダムの力によるものだろうけど、五代さんが強くなるために行動に移ろうとしていたまさにその時にそれを促すようにこういうことが起きるというのは、五代さんとアマダムが以前にも増して密接に一体のものとなっているのであろうという表れと思えますね。五代さんがこの終盤でますます人間離れしていく様がこういうところでも着実に描いているのは物語上でのある種の不安感を煽るようで巧い

 

  • 父から

前回辺りから印象的にフォーカスされていた雪山の美しい写真を撮っていたのが五代さんの父親であったことが明かされ、そこから転じて戦場カメラマンとして遠くの地で働きながらも家族のことを決して忘れなかったその人となり語られました。その人柄や「いつか、みんなが笑顔になる日のために」という言葉は息子の五代さんと似通っているものが多く、彼を形作ったとても大きな存在だったことが感じられました。みのりが父親について語るシーンから五代さんの表情の寄りの画に切り替わる、という演出が象徴的でとても良い

 

  • 親と子

「...冴クンがそう言いましたカ?

冴クン、ひかりサンのことダメで嫌いって、言いましたカ?」

科警研の責任者と冴くんの母親という立場の間で、息子に何もしてあげられないと、自分を駄目な母親と卑下する榎田さんへジャンが語った一言、それは忙しくて家にいられない両親の下にいて寂しさを感じながらも決して両親のことを駄目な親とは思わなかった、自分自身の立場から伝えた言葉でした。

息子との時間を作れず息子への後ろめたさから自分を駄目と見て向き合う資格がないと思い込んでいってしまう榎田さんと、母が自分と向き合ってくれなくなってひとりぼっちになっていくことにますます落ち込んでゆく冴くん、という親子のすれ違いを、母親として息子のためにもできる限り、少しでも頑張ってあげれば良い、と励まし前を向かせてあげたジャンの漢っぷり、間違いなく本エピソードのMVPですね。

榎田さんの親子関係をずっと気にかけていて、最初は榎田さんのことに不満げな様子を見せてたこともあったけど、彼女と接していくうちに自分の境遇ならではの視点だからこそ察していったであろう彼女や冴くんの心にしっかり寄り添って呼びかけ続け、それが崩れそうな時には支えてあげる、と榎田さん周りでのジャンの立ち回りは総じて優しく人間らしい良いものでしたね。

実加のことといい榎田さんのことといい、色んな関わりを経て自分のことを顧みたりしながら少しずつ相手に寄り添っていったジャンの等身大の優しさはこのクウガという作品の中でも特別な温かさがあったなぁ...としみじみ。序盤の登場し始めた頃からその後登場するたび株を上げ続けた良いキャラだったよジャン

高寺成紀☺2月13日(土)クウガ20周年イベント@シアタス調布 on Twitter: "#クウガ20周年配信 ジャン役のセルジュさんには当初「外国人らしくノリノリで」とお願いしていたものの、そうならず。改めて話すと「外人は誰もが軽くて明るいと思われてるのに抵抗がある」と。ステレオタイプを強要していた事を恥じました。なので落ち着いたジャンの姿を観ると勝手ながらほっとします… https://t.co/sLKE28jmGs"

 

  • 神経断裂弾

グロンギへの決戦兵器として遂に実戦へと投入された神経断裂弾、初戦にて閣下をも一度はしっかりとダウンさせ、逃走するドルドに至っては完全に仕留めるという恐るべき成果を上げる形となりました。ドルドに関しては映像中で警察/人間が独力でグロンギを仕留めたこととなった場面で、閣下にも優勢に立ち回る強豪相手に遂に...!というカタルシスも感じられるところ。

ですが、とうとうグロンギをも上回ったそんな超兵器によりドルドが仕留められ人間態へと戻って絶命する姿は人間が圧倒的な力の前に狩られたという構図にも見え、グロンギが人間を狩って回っていたこれまでの力関係が逆転し人間が狩る側となったとも取れるのが、同時にどこか後味も感じさせるところであり。これはこの一連の場面の中でバルバが言い放った「リントもやがて、我々と等しくなりそうだな」という台詞を正に象徴するかのようで、これまでのクウガでもたびたび暗喩されたり強調されたりしていた強力な力が持つ暴力性」という部分の極致とも言えるのではないかなと。色々踏まえた上で改めて意識して観てみるとこの終盤でのテーマの突き詰め方が凄いなぁと感じましたね

 

...にしてもそれは置いといて、クウガも下すほどの閣下の一撃くらって怯みながらも正確に射撃して閣下をダウンさせる一条さんが1番凄まじい力を有してる気がするんですがそれは(

 

  • 黒き力

電気ショックの影響で継続的にライジングの力を使えるようになり閣下と決戦に挑むクウガ、電撃態となった閣下を迎え撃つべく構えたクウガの雷を迸らせると、黒き金の姿・アメイジングマイティフォームへと進化。必殺のアメイジングマイティキックで閣下のキックとかち合い、お互い一度は倒れるほどの衝突を経て遂に勝利を収めるのだった。

B社にも内緒で登場させて揉めただのなんだのと最早クウガファンの間では色んな意味で語り草な本形態ではありますが、今回の配信を通じた高寺Pの裏話によるとどうやら実際はまたちょっと事情が違っていたようで。既に広まった話の実際のところについてこういう話が聞けるのはありがたいところですな

高寺成紀☺2月13日(土)クウガ20周年イベント@シアタス調布 on Twitter: "#クウガ20周年配信 当初はライジングマイティの色替えでソフビを出す予定だったアメイジングマイティ。ただ「ガドルは両脚キックで倒すのが理に叶う」という話から金型変更せざるを得なくなり。即ちB社に秘密で登場させた訳でなく、予定の変更で揉めたというのが真相です。 #kuuga #nitiasa #超配信… https://t.co/CjAKNtmTDG"

まぁそれは別として、ライジングマイティでも勝てなかった閣下をより強力な形態の両足分のキックで倒す、というのは実際説得力がありましたし(閣下の身体に二つの紋章が浮かび上がる画がそれをより強調しててグーでした)、次回以降のラストに向けての展開も踏まえると最終決戦に向けての盛り上げも担っていたしで、実に印象深い形態ではあるので良いですよね。マイティの色変えながらもマットなブラックカラーをメインとしたビジュアルが渋くてカッコいいですし、特別感の高い存在なのが好きですね

 

  • 最強戦士

そんなクウガを相手に遂に敗北を喫してしまった閣下でしたが、アメイジングマイティキックのエネルギーをくらいながらも決して絶叫を上げることなく、最後まで耐えて踏ん張るような力強い唸りを上げながらの爆散というのは最強に相応しい強さと戦士としての意地を感じ、敵ながらカッコいい最期でした。

よくよく考えると、あの状況で閣下は自分と同等くらいの力のドルドとの決闘による少なからぬ消耗や一条さんに撃ち込まれた神経断裂弾による気を失うほどのダメージがあったわけで、それでもお互いの技をかち合わせてクウガをダウンさせてはいるわけだから、一概に実力的にアメイジングマイティに負けてたとは言えませんよね...?もし全力のコンディションだったらアメイジングマイティでも...引いてはよりストイックに力を上げ続けてたらもしかしたらダグバとも...と色々想像できてより格が上がるなぁ 良い強敵だった

 

  • 母として

ジャンの激励を受け冴くんとしっかり向き合うことを決め笑顔で家へと向かった榎田さん。

部屋に閉じこもる冴くんへ向け、襖越しに語りかける。

「冴...また約束破っちゃって、ごめんね。本当にごめんなさい
今日だけじゃなくて、今までずうっとそうだったよね?
...お母さん、いつも冴と会えない分、会う時はいっぱい時間取って、色んなことしてあげたいと思ってた...
だけどよく考えたらね、それはまだ、しばらくできそうにないの...
未確認生命体がいる間は、お母さん...いつも以上にお仕事頑張らないといけないの...
だけど...だけどね...その分とおんなじくらい、お母さん冴のお母さんとしても頑張るから
アスムくんちのママみたいに...毎日おやつ作ってあげられないかもしれない
...カッちゃんちのママみたいに遊園地に連れてってあげられないかもしれない
でもお母さん、冴のお母さんにしかできないこと一生懸命探して一生懸命やるから!
...今までみたいに逃げたりしない!」

途中泣きそうになりながらも冴の母親としてしっかり向き合い想いを伝えるここの榎田さんの長台詞の演技物凄く良くて、思わず魅入っちゃったなぁ...良かった 同級生のお母さん達がしてあげてることを台詞に織り交ぜてるのが、榎田さんが冴にできることを探して色んなところに目を向けてたことを示すかのようで台詞全体に深みを与えてるのも好きなんです

そしてそんな母の言葉を受け、襖を開けて無言のまま微かな笑みを浮かべその先の母へと抱きつく冴。そのまま互いの愛情を確かめ合い、冴も榎田さんも泣いてぎゅっとより強く抱きしめ合う...ここもじーんときたなぁ...多くは言わず、自分に向き合ってきてくれた母に飛びつく、もうこれが全てだよなぁ 本当に良いシーンだった。

今まで榎田さんに色々言っていたながらも親子の触れ合いに頬を緩ませる姿に娘や孫を想う気持ちが見えるおばあちゃんや、送り届けた後で扉の外からその様子を感じ取ってたジャンという見守る人達の姿も好き。優しい人達が沢山だよ あったかい...

  • 究極の闇

強敵への勝利、親子の愛

しかしその一方で、バルバの下に現れ遂に人間態の全容を明かしたダグバが、閣下の敗北を受け究極の闇の開始を宣言していた...

 

絶望が、始まる。

 

 

以上クウガ46話、ガドル閣下への勝利が鮮烈に描かれる中、その裏で繰り広げられる榎田親子の愛情の再確認の物語が話の軸となった回でした。序盤からたびたび描かれてきた榎田親子の関係性が情感豊かに気持ち良く物語上で決着する作劇はこの作品をずっと追ってきたカタルシスが強く感じられ、その過程での丁寧な積み上げが思い起こされそれらがガチッと繋がった感動と合わせ本当に流石のドラマ性だなぁと唸りますね。閣下という終盤の強敵との決戦を食わんばかりの勢いなのは良くも悪くもクウガという感じですが、だからこその深みもあってそれが意欲作たるクウガという作品の魅力だよなと改めて感じます。面白かった

そして遂に始まる最終決戦。ダグバが闇を、もたらす...

残り3話

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた