仮面ライダーセイバー
第25章「煙をまといし、真紅の刺客。」
感想レビュー
- 居ぬ間に
寂寥感漂う荒野の中心に理性を失い佇むセイバープリミティブドラゴン、そこから引きの画になると負傷し血塗れになって倒れる剣士達の姿が、そして残る芽依へとセイバーは襲い掛かり...というゾッとする絵面から本編がスタート。プリミティブドラゴンの獰猛さや強力さを2回に渡り印象付けた上でそれがもたらしかねない結末を示し、更にその当事者である飛羽真の心情を「自分の知らない間に、実感も何もないまま自分が全てを終わらせているかもしれない恐怖」として描き出したのは上手かったですね。
思えばこの状況、
「物語の結末は、俺が決める!」
を一応の決め台詞とする飛羽真が、自分の意思と関係なくいつの間にか最悪の結末をもたらすかもしれない状態にあるとも言えるわけで、作品のテーマを皮肉る演出も込みで飛羽真の恐怖感が強調されていて良いなと。
- 倫太郎、葛藤
仲間達が次々に組織を抜けていく状況に憔悴していく様が前回も描かれていた倫太郎だったが、今回とうとうマスターロゴスの前で自ら、組織の中の裏切り者について問い詰める一幕がありました。
今まで自身の精神的支柱となっていたものに揺らぎが生じ始めるのを自分でも感じ、今まで信じまいとしていたであろうことを他でもない組織のトップに直接口に出して問う不安と恐れが滲み出た倫太郎が迫真すぎて辛い。山口くんの演技の追い詰められてる感じが良すぎたなぁ...
- 尾上親子
プリミティブドラゴンに関する情報の収集に息詰まる飛羽真に軽い感じで話しかけ適度に場を和ませる尾上さん、年長者として的確に空気を解きほぐす言動が光っててとても良かった。第5章での賢人へのケアを思い出しましたね。その後も、倫太郎の苦悩する心情や飛羽真との仲の解消を思ってか、倫太郎の下へ向かった芽依を追う飛羽真を敢えて送り出したりと、さり気ない気遣いが温かい。ほんと尾上さんがいると一気にチームの和の安定感が増すなぁ 安心
またそらくんも、プリミティブドラゴンに纏わる竜の物語について「竜の心を救えないのか」と率直に物語に抱いた想いを語り、プリミティブドラゴン攻略への布石を敷くなど良い立ち回り。何気に思ったけど、そらくんがこうして「本の物語」の中身に真っ直ぐ向き合いそこに生きる者達に寄り添っているという描写は、本に興味がないと言っていた状態から飛羽真との交流を経て興味を持つようになった序盤における変化をしっかり踏まえてる感じがあって良いですね。
- ヒロインだ
葛藤の中にある倫太郎の下へやってきて、飛羽真との仲を取り持とうとする芽依。そんな芽依の言葉に倫太郎も、組織への信頼と不信の、剣士としての使命と飛羽真達仲間を信じたい気持ち、と様々な状況の板挟みになって苦しんでいる心境を打ち明けることとなりました。
共に戦った間柄ながらも組織から討伐を言い渡されていて事実上敵対関係にある飛羽真や、信頼ある仲間ながらも組織を抜けた立場故に表立って話せない尾上さんや大秦寺さん、組織に共に身を置く立場であるためそういったことを恐らく相談できないであろう蓮、と立場などの理由から自分の苦悩を誰にも話せない状態の中で、苦楽を共にした仲間であり且つそういったしがらみに縛られていない一般人の立場な芽依がその苦悩を素直に話すことのできる相手というポジションとなるのは説得力のある流れでしたね
芽依は剣士や組織といった立場や使命・責任に良い意味で束縛される部分がなく、その人柄も相まってそういったしがらみに縛られてしまうことに直球で物申すことのできるキャラであることが非常に強いポイントで、迷いの中にある賢人に真っ向から苦言を呈した第12章の時といい、言うべきことを言うべき相手に気持ち良く言ってくれるのが非常に良いところなんですよねぇ こういう立ち回りしてる時が一番好きまであるし、個人的にはくどくどしくなりがちなギャグをさせるよりもこういう行動をする場面をもう少し増やして欲しいな〜と思ったりする(普段のちゃけた印象が強いからこそ要所要所でのこういう立ち回りが光る、という意図かもしれないのでこの辺は好みの問題かもしれませんが)
- 想いをぶつけ
芽依との対話で引き出された倫太郎の想いを聞いたのをきっかけに、飛羽真と倫太郎がそれぞれの想いをぶつけ合う流れに。最初は言い争い的な雰囲気が濃かったものの、やがてお互いが抱く相手への信頼や感謝をぶちまけるノロケみてぇなやり取りになごやかなBGMと共に転じていくのは笑ったw
そしてクールダウンを経て、互いにかつて抱いていた仲間への信頼を思い出したことで飛羽真は自分が暴走した時に斬ってでも止めると言ってくれた倫太郎を信じて託し、倫太郎も飛羽真のその想いに満更でもない表情を見せる、とここ最近張り詰めた雰囲気に呑まれがちだったこの2人がようやくかつての仲間らしい信頼感あるやり取りを見せてくれたのは嬉しかったですね。ほんと新章入ってからのセイバーは、飛羽真と倫太郎達剣士のやり取りが感情や先走り優先の衝突ばかりでフラストレーションの溜まるものだった(理屈としてはともかく、同じような構図が連続してモヤモヤが溜まるばかりだったし)ので、こうして自分の想いや相手とのかつての信頼に向き合った上での真正面からの対話がようやく為されたというのは、ようやく見たかったものが見れた...!というところで良かった
- 玲花参戦
約十数話ぶりのソフィアのご無沙汰登場と共に彼女を尋問する玲花の姿が描かれ、ソフィア誘拐が玲花の仕業であるとほぼ明言されたと共に、「ソフィアを作り出した本」なる突然明かされた新たな要素について口を割らないソフィアに業を煮やした玲花が剣を抜き戦いに参戦してくるという展開へ。
「マスターロゴスの意志は私の意志」と語り、彼や自分の行動に歯向かう者に対し感情的になり声を荒げる場面が前回にも増して印象的に描かれた他、マスターロゴスに頼りにされて頬を緩ませる様も見せ、マスターロゴスに遣える者としての強い、どころか強すぎるとも取れる忠誠という部分がピックアップされ、玲花個人のキャラが更に掘り下げられてきましたね。前回のエピソードで僅かに伺わせたマスターロゴスに対してはその言動に疑念を持つような一面といい、尾上さんに「自分自身の意志」を指摘され乱暴な言葉遣いで逆上する様といい、単なる盲信とも違う様が見て取れるというところで興味深さもあるので、これからも動向に目が離せないなと
- 煙の剣士
そんな玲花が今回煙の剣・煙叡剣狼煙によって仮面ライダーサーベラへと変身!
変身シークエンスからして、無から煙と共に聖剣を出現させ、WRBを息を吹きかけて開く、と動作がいちいちオサレ且つ色気があり非常に目を惹かれました。息を吹きかけ本を開く、というのは本というモチーフを活用した良いモーションながらもWRBの玩具的なギミックが先入観となって意外と思い付かなかった盲点な演出でしたね
戦闘シーンでは、柔軟且つ俊敏なアクションがカッコ良く、煙化の能力やWRBの効果による虫をイメージした様々なエフェクトによる攻撃も良い感じのハッタリの効いた強さの演出になってて実に良き。バスタースラッシュのベテラン2人を圧倒する手強さが光りました
- 闇からの帰還
サーベラが猛威を振るう場へと駆けつけた飛羽真は変身し戦おうとするも、変身の瞬間に一瞬で割り込んできたプリミティブドラゴンWRBによりまたしても暴走(変身中に問答無用だから介入してきて一瞬で理性を奪うとかヤバいね...)。
暴れるセイバーの前に再びカリバーが出現。激しい激突を経て両者変身が解かれ、現れたのは...カリバーに敗れ消滅したはずの賢人だった...!
消滅時の演出から散々匂わせはあったので若干分かっていたとはいえ、いざこうして再び現れたとなると盛り上がりますね。
次回予告からして、また一緒に戦おう!となるような穏やかな雰囲気ではなく、ここからどう立ち回るのか、今まで何をしてたのかなどが楽しみ
- 介入
そしてお馴染み我らがタッセル。我らが...?(
さらっと冒頭で部屋に戻ってきてて、前回の思わせぶりなラストはなんだったの...!とツッコもうとも一瞬思いましたが、その後飛羽真がルナの言葉を受け取ったのと時を同じくしてそれをサウザンベースのマスターロゴスと共に感じ取っていた、という実に気になる描写が。
ユーリを介して本編中に出てくる場面の増えた彼ですが、ここまでしっかりと触れてきたのは珍しいなと。やはり物語の根幹を知る者...ということなのか
以上セイバー25話、飛羽真と倫太郎の心情がピックアップされ、それを基に2人が想いをぶつけ合ったことで和解の兆しが見えてきたのが目を引いたストーリー展開の中で、玲花/サーベラの参戦、カリバーとしての賢人の帰還、タッセルとマスターロゴスの動向など、気になる展開も多く繰り出された回でした。倫太郎は組織との向き合い方というところで決着は出なかったものの、飛羽真への信頼が彼の内面を大きく占めてき始めたのは良いですね。
縦軸に触れていく形でドラマの面白さがグングンと増してきてて非常に嬉しいところ。プリミティブドラゴンの扱いなど含め、今後も目が離せません
というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます
次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!
ではまた