AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

現代に蘇ったアイドル達よ

ゾンビランドサガ

第6話「だってセンチメンタル SAGA」

感想レビュー

 

 

・無駄に立体感のあるフォント

・ケバケバしい色使いのレインボーフォント

・「あなたは○○人目の訪問者です」

・文字が並びまくった悪趣味な背景

etc...

古き良き時代のちょいダサレイアウトのホームページの要素これでもかと詰め込んだフランシュシュオフィシャルサイト、この時代に作るの逆に難しくねぇか(

営業は超得意だがデザイニングはズブのトーシロだね巽幸太郎...

 

こないだのドライブイン鳥CMのパワ-によりファンが増え、チェキ撮影会も開催されるなど、フランシュシュ躍進中。1、2話に出てたパンクファッションの2人がちゃんとチェキ会来てたのがなんか嬉しい

しかしそんな中で、愛と純子のアイドルへの考え方の相違をきっかけに、亀裂が生じ始める...

この2人の衝突が今回の話の主軸となりました。

 

アイドルは人々に夢を与える憧れの存在として、洗練されたパフォーマンスをもって表舞台に立つべきであり、故にアイドルと観客との間には一定の距離感を保つ線引きがあると考える純子、

アイドルはファンに支えてもらいながら共に歩んでいく存在で、たとえ未熟でも集まるファンのために全力で仕事に取り組むべきであり、故により身近になって多くの人に自分達のことを知ってもらう必要があると考える愛、

と、くっきり綺麗に対比する形で2人のアイドルとしての在り方等への考え方が衝突する構図は鮮烈でした。

ジェネレーションギャップによる知識や認識の差という時代の異なるキャラを絡める上での鉄板となる表現が今回用いられたけど、それが序盤では現代の知らない単語や事象に困惑する純子(とさくら)の様子でコミカルに描くのに使われ、話が進むと今度はそれが純子のアイドルとして受け入れ難い概念・現代アイドルとの意識の溝的な部分を浮き上がらせ物語に波乱を巻き起こす、という魅せ方が面白くて好き。

そもそも第3話の時点でも純子が「半端なパフォーマンスは客に見せるべきでない」という旨の手厳しい言葉を発したのに対し、愛は「全力ならそれは客に伝わる」という旨のことを言っており、序盤の時点から予兆はあったというか、布石は敷かれてあったんだなぁと。

 

たまにTVとかで観る映像から感じられる昭和平成のアイドル像をパッとイメージしてみても、平成以降のアイドルは拙い部分まで込みで成長を見守るのが楽しみみたいなところがあったり、良い意味で近寄りがたくないフランクさやフットワークの軽さがあったりすることなどが魅力だと思うし、相対的に昭和のアイドルには言動等から漂う雰囲気からして普通の人とは一線を画す「カリスマ」的な特別な感じが感じられ、TVの前から強い憧れを抱く雲の上の存在みたいな印象を受けるので、この辺のイメージをアイドルとしてのスタンス、譲れない強靭・プライドのぶつかり合いというところに落とし込みより強調してくるのは凄く巧かったですね。

こういうのは時代と共に歳を重ねる中で、個々人によって受容できるか否かの程度の差こそあれ「今はそういう考えやスタンスなんだなぁ」みたいな感じで噛み砕く余裕が多少なりとあると思うんだけど、純子に関しては昭和の時代から現代突然ぶち込まれたような状況だし、そのギャップに苦悩してる感じだよなぁ。異世界n価値観に急に順応しろと言われてるのとニュアンスとしては近いのかもしれん

 

そんな2人の衝突だけど、どっちが間違ってるとかではなくどちらも掲げたのはそれぞれアイドルとして全力で生きた中で大事にしてる真っ当な信念・正義であることが重要で、それがぶつかり合った上で、お互いが何を感じ、アイドルとして今の自分がどうすべきか、相手とどう向き合っていくかについて最終的にどういう答えを出すかという、衝突を経た成長がやはり気になるところ。今回の事態はある意味グループでやるアイドルに遅かれ早かれ生じ得る、経験せねばならない過程だったよなぁと。「正論をぶつけ合った上で生まれる争いもある」というゆうぎり姐さんの言が凄く的確で良かった。

てか(色んな意味で)年長者なだけあってゆうぎり姐さんはいつもどっしり構えてて良いなぁ 前回はみんなと一緒に泥に塗れて死にかけてたけど() 年少のリリィのことさり気なく気遣ってて仲良さげなところをちょいちょい見せてるの好きだ

姐さん、現代の概念などについてもそういうものとあっさり受け入れてたけど、これは時代が離れすぎてる故に好奇心の方が勝るからなのもあるかもしれんね 年代の開きがジェネレーションギャップって言葉で済むどこのレベルじゃないしな...w

 

今回、愛と純子の死因やそれに基づく未練みたいなものを伺わせる一幕があったけど、2人ともけっこう悲惨な最期だ...
愛に関しては特に死に方がシンプルにえぐくてヒエェ...ってなりましたね 掲げた指が避雷針的になって落ちた落雷で死亡、って若干シリアスギャグ的な感じもあるけど、ファンに取り囲まれた舞台の真ん中で黒焦げになって息絶えてる絵面が地味にグロい。ファンを大事にする純子が、その一緒の歩んできてくれたファンが沢山見てる前であんな最期を迎えるってなかなかに皮肉 それにより雷(光)がトラウマになってる様が辛い

自分が現在人々にとって伝説的な存在となっているのを目にして、「人々の記憶に残り続けている」ではなく「自分が遠い過去の存在となっていってしまってる」と考え恐れる愛の姿からは、なまじ現世へ蘇ったが故の今ここにいる自分を誰も見てくれていない不安と、もう一度みんなにアイドルとしての自分のことを見ていてもらいたいという焦燥が伺え、アイドルという要素もしっかり絡めた、死から現世へ再生した人間の繊細な感情表現描写が非常に良かったですね。ゾンビがアイドルなんかできない、で諦観気味だった愛がゾンビでもアイドルとして大勢の人の待つ舞台に立つ、と考えているのはアイドルとしての気持ちを思い出し前向きになったこととも取れるけど、トラウマも込みとなってそれが新たな壁になっているままならなさも面白い。前述の不安に加え、焦りからリリィにも八つ当たりしたり、雷に怯えサキに縋ったりするなど、今回は総じて愛の人間的な脆い一面も多く見られていっそうキャラが深まったなと

 

そしてそんな愛と向き合う様などから、曲がりなりにもリーダーなところが見られたサキも良かった。荒れる愛や純子を強気に諌めたり、時にはじっくり優しくその気持ちに寄り添ったりと、他の面々に比べアイドルに対する拘りとかが元々少なかった分だけ分からないことも多いけど、だからこそ真っ直ぐでフラットに物事を見て和を保とうとしたりする絶妙な立ち位置って感じがしますね。序盤は気ままに振る舞う場面が多かったけど、だんだん責任感みたいなものが出てきたなぁ(ゾクのヘッドという立場だったから、チームの中に置かれた時の面倒見の良さとかは元来のもので、それを自然と思い出してきた、って感じかもね)

 

愛と純子の内面や関係性の整理はまだつかぬまま。しかしそこで幸太郎からサガロックへの出演が知らされ...

どやんす、さくら!?

 

 

というところで7話へと続く。

佐賀ご当地アニメという側面をガンガン押し出してきた前回に対し、今回はアイドル、ゾンビ(現世への復活)という部分にフォーカスしており、それに基づいたキャラの内面描写等が凄く丁寧に作り込まれていて感嘆しました。改めてすごく面白いわこのアニメ...

今回と併せての前後編の後編となるであろう次回、ここで示された数々の要素をどう活かしてくるのか、非常に楽しみです

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた