AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

物語の結末は俺が決める

仮面ライダーセイバー

第27章「悲しみを、笑顔に変えて。」

感想レビュー

 

 

  • レジエル、禁忌へ

ここ最近自身に苦汁を飲ませ続けてくる炎の剣士/セイバーへの怒りに燃え、前回に引き続き禁断の術の力により進化を果たしたレジエル。プリミティブドラゴン登場の辺りからプンプンしていて、回を追うごとに強まっていた死亡フラグ臭が遂に極限まで高まることとなりました。フラグが分かりやすすぎるんじゃあ...

あんま関係ないけど進化後のレジエル・フォビドゥン、配色が凄くストリウスに近いがこれは禁断の術を施したのがストリウスだったからとかそういう理由なんだろうか。前々から2人の怪人態がぱっと見で見分けつかないってよく言われてたのに最後の最後でカラーリングまで寄せてこんでも()

 

賢人が知らせた衝撃の事実と彼の覚悟、それを目にした飛羽真は、もう一度賢人と肩を並べ戦える未来を信じ、プリミティブドラゴンの制御のためにリベラシオンへと籠る。

第7章以来登場してなかったので半分捨て設定になったかと思っていたリベラシオンでしたが、誰も傷つけることなくプリミティブドラゴンとなって特訓できる場として既出の要素の活用となったのは上手かったし、作中にせっかく出た要素が出したきりにならなかったのはシンプルに嬉しい。

そしてプリミティブドラゴンに変身するたび飛羽真が見ていたビジョンの中の少年との対話が開始。歩み寄る飛羽真を拒絶しだす少年とそれに何度も変身し話しかけようとする飛羽真という構図が繰り広げられ、ここから本編において断片的に語られていた古のドラゴンの物語の全容も紐解かれていくことに...

  • 推参・ブレイズ

街に現れたレジエルとの戦闘の中でプリミティブドラゴンに変身させられてしまい、ビジョンの中で再び少年に拒絶される飛羽真。しかしリベラシオンでの特訓で彼の抱く感情に気付いていた飛羽真は古のドラゴンの姿を現した少年に歩み寄り、プリミティブドラゴンの変身を保ちつつ、その暴走を止めてみせる。

が、その影響でセイバーは意識を喪失、そこへレジエルの凶刃が迫る!
絶体絶命と思われたその時、

「飛羽真くんの覚悟、僕が見届けます!!」

 

倫太郎ォォォーッ!!!

いやぁ、ここのレジエルの剣をブレイズが食い止め、上の台詞を言い放つ下り、めちゃくちゃカッコ良かった...!

プリミティブドラゴンの暴走をハラハラしながら見つめる様からの、セイバーの暴走が止まる瞬間を目にして驚きから目を見開き、彼の覚悟の戦いを全うさせるべくセイバーの前へ駆けつけるという一連の流れに倫太郎の心情の変化の過程が熱く描かれており、実に見応えがありました。プリミティブドラゴンの暴走を止めようと必死に奮闘する飛羽真の想いを目にし、倫太郎が再び飛羽真と仲間としての繋がりを思い出し始めていた第25章の展開がここにきて見事に活き、倫太郎の仲間想いで義理を尊ぶ良い一面がしっかりと表れたグッとくる場面でしたね

 

  • 君の物語の続き

ビジョンの中で少年=古のドラゴンに触れる飛羽真。今までどこか歩み寄るような姿勢こそ見えど直接触れ合い言葉を交わすことのなかった双方が遂に触れ合うこととなり、同時に

かつて共に生きていた人間とドラゴン、しかしやがて人間がドラゴンを恐れドラゴンを狩っていくうち、残ったのは彼1人。仲間を探して彷徨い、孤独の悲しみに暮れ亡骸となっても、その深い絶望は残り続けた...

と、古のドラゴンの口から彼にまつわる真相が明らかとなりました。

これらはこれまで本編で断片的に語られていたことや、公式ホームページに掲載されていたドラゴンの物語の有志による訳の内容やそこから連想される事象と概ね一致するものでしたね。

 

そして、そんなドラゴンの気持ちに寄り添い涙を流した飛羽真は

「君の物語には、まだ続きがある」

「友達なら、君のすぐそばにいる」

と、亡骸となった彼を取り巻く森羅万象全てが彼に呼びかける友であると伝える物語を語る。絶望していた心に温もりと光を得たドラゴンは、自分とも友達になろう、と呼びかける飛羽真の手を取りー、

 

古のドラゴンの物語を軸に、絶望の結末のある物語に新しい救いの結末を描き、物語の中の者の心をも救う、という形で劇的に描かれた今回の飛羽真の活躍は、物語を描く彼の小説家という一面と「物語の結末は俺が決める!」という決め台詞に強くフォーカスした、彼ならではのとても象徴的で熱いものとなっており非常にグッときた!

これまでのストーリー中で彼の小説家設定や決め台詞は、話が進むごとにやや形骸化されていってるきらいがありましたが、ここにきて物語を大きく盛り上げる形でしっかり意味あるものへと昇華させてきたのは見事でした いやぁ良かった

 

  • 古竜・新竜 手を繋ぎ

古のドラゴンと手を取り合ったことで新たに手に入れたエレメンタルドラゴンワンダーランドブックにより、プリミティブドラゴンの力を完全に制御したセイバーは、新フォーム・エレメンタルプリミティブドラゴンへと変身!その力で今まで猛威を奮っていたレジエルを圧倒!

セイバーの赤と対称となる寒色が主体で印象がガラッと変わっていたプリミティブドラゴンを素体にしつつ、燃え上がる炎の赤やオレンジを基調とすることでセイバーが自分を取り戻したことを象徴するかのようなカラーリングが目を惹き、

飛羽真という自分の手を取る者が現れ永劫の孤独から救われた古のドラゴンをイメージするかのような、プリミティブドラゴンの手と握手するような赤いドラゴンの意匠が加わったボディ・肩アーマーが、今回の物語の展開ともしっかり合致していて熱い、

と、ストーリー展開とも噛み合ったメッセージ性あふれるデザインが最高でしたね、エレメンタルプリミティブドラゴン。

今まで飛羽真の見るビジョンの中に出てくるドラゴンが少年の姿をとって出てきていたのも、このエレメンタルプリミティブドラゴンのデザインを踏まえた上だと、それを強調する「飛羽真とドラゴンが握手する」画を撮りたかったからなのかな、とも思えたり。なかなか色んなところまで計算されてるかもって感じがしますね

戦闘演出として火や水、風などの色んな属性技を用いる場面もありましたが、これも「森羅万象全てが友達」とドラゴンが知ったことをイメージした演出なのかも(最初、色んな剣士の属性の技を使ってるのかと思ったけど多分演出意図としてはこっちですよね)

このようにデザインや様々な演出にしっかりストーリーを意識した意味を落とし込めたのは、製作の際の兼ね合わせを上手く行えたのも大きいと思うし、ほんとエレメンタルを取り巻く色んな要素は今回の白眉ですね

 

  • メギド

そんなエレメンタルプリミティブドラゴンとの戦闘の中、お前も元々は人間だったと呼びかけるセイバーの声を受け、レジエルがかつての2000年前の記憶をフラッシュバックさせながらも、自分は人間じゃないと逆上するという気になる演出が。
演出的にこれはどうも、メギド幹部(少なくともレジエル)は自分達が元々人間であったことを忘れていて(生来のメギドと思ってる?)、人間だった頃とは随分気性も荒く、悪辣になっているらしいと見られるのですが、これは...?

 

もし幹部衆が記憶を失くしてて人格も変わってるとしたら

「力を求めたか何かのきっかけで自分の意思により全知全能の書に触れたけど、それによるメギド化の影響で人格や記憶が変容した」

のかなと考えたのですが、他の方の意見を見ると、そもそも全知全能の書に触れたこと自体が何者かの介入によるものでは、と見る声もあるようで。正直自分もこれは少し考えたものの、2000年前当時に他にそんなことをする者がいるだろうか?というところで一度は考えから外した...

のですが、よく考えれば一応候補はいますね...隼人パパの言った「あのお方」...現マスターロゴスの可能性もあるけど、風格的にあり得るだろうか?とも思うし...謎が多いなぁあのお方

 

またレジエルがエレメンタルに敗北した際、近くからそれを見ていたストリウスが「貴方の物語は、ここで終わりです...」と冷たく吐き捨てる一幕もあり。これを見るに、どうもストリウスはレジエルみたいに記憶の喪失は起きていないかも...?これに関しては他にも疑ってる人がいましたね

第23章でサウザンベースに乗り込んだ際に現マスターロゴスと接した際の素振りも、振り返りと当時のことをしっかり記憶してるような雰囲気に思えるし、うーむ

賢人が見た可能性世界の中でも彼が最後まで生き残っているらしき世界線がたしかいくつか見られたし、もしかしたらとんでもない秘密を隠し持ってる重要な存在なのか、ストリウス...?気になる

どんとこい、ゼットアンドリュー on Twitter: "レジエルが何か思い出す描写といい最後の顔浮かび上がる若干シュールな演出といい、3幹部もしかして記憶というか人格がちょっとおかしくなってんのかしらね"

どんとこい、ゼットアンドリュー on Twitter: "力を求めたか何かで全知全能の書に手を伸ばしたのは自分の意志だけど、メギド化に際し記憶と人格が変容したとか"

 

愛海 on Twitter: "しれっと示唆されたメギドトリオは人間だったときの記憶が消えてる疑惑、あの分だと恐らくズオスもそうっぽいけどストリウスは普通に覚えててもおかしくなさそうなムーブだよな…。そもそもメギドになったこと自体が元々彼らの意志だったかすら怪しくなってきたし"

エレスバ on Twitter: "メギドが過去を忘れてたの、ストリウスの仕業でしょ、って思ってる"

エレスバ on Twitter: "メギドが過去を忘れてたの、ストリウスの仕業でしょ、って思ってる"

エレスバ on Twitter: "あ、そうだ。 ストリウスは前にマスター寿司屋に「始まりの人ですね?」って聞かれて否定してなかったから過去の記憶確実にあるやつだ"

 

と、色々述べましたが、ある意味本日の主役のレジエル、前述したようにエレメンタルとの対決で敗北し、死亡フラグを回収して無事退場となりました。

めっちゃいい笑顔の人間態の幻影を浮かばせながら。

あの演出ちょっとシュールだからやめーや(

あの解放されたかのような晴れ晴れとした表情を見るに、やはりメギド幹部の人間としての記憶は...?

そして公式サイトによるとレジエル役の高野海琉さんもオールアップとのことで、レジエルはこれで本当に退場みたいですね。

良いやつだったよレジエル...ありがとう!

高野さんもお疲れ様!

セイバー 第28章:「記す過去、描く未来。」 | 仮面ライダーWEB【公式】|東映

 

  • ボンヌレクチュ〜ル

...の冒頭挨拶がなかった今回でしたが、レジエル勝利後に、飛羽真のビジョンの中に、ドラゴンの少年と共にタッセル登場。

とうとうメインキャラとの接触が行われましたね...
飛羽真に世界に起こらんとしている危機を伝えてくれましたが、こないだ現マスターロゴスに消されたと思ったアレは一体(実体を失い、ドラゴンの少年みたいに概念的な存在になったのか)

今後彼はどのように動くのか

 

  • けれど未来は...

飛羽真がプリミティブドラゴンを制御し、自分の知る未来が変わったことに驚きを隠せなかった賢人。しかし、それでも未来は変わらない、と未だに決意は変わらないようで...

しかし、今回の飛羽真が何度もドラゴンとの対話を試み最終的にその物語の結末を変えてみた構図は、色んな可能性を見てきて結末は変わらないと絶望した賢人とは凄く対称的で、これは賢人にかなり刺さったんじゃなかろうか...(飛羽真がリベラシオンで何度も抜刀し変身するシーンを繰り返す演出が、賢人が何度も世界の崩壊や仲間の死を目にするシーンを繰り返す演出との類比みたいになってて、その分結末を変えた飛羽真の姿が映えるし)
未だにEDではセイバーブレイズエスパーダの3ライダーが剣を交わし合っていますが、現実ではまだそうはいかないようで...(倫太郎には何か腹を括ったかのような言動が見られましたが)

果たして、あの構図が次に実現するのはいつか

 

  • 仲間

戦いが終わり、ドラゴンが欲していたのは仲間であったことを振り返りそれを芽依達へ語った飛羽真。

そんな彼に芽依、ユーリ、尾上さん、大秦寺さんといった彼を取り巻く仲間達が順々に笑顔で見つめ返すカットは、飛羽真の周りに築かれている仲間の強い繋がりが感じられて凄くグッときました。特に尾上さんとユーリは、飛羽真を信じドンと構える姿や、飛羽真のためにレジエルに果敢に立ち向かったり暴走するセイバーを止めようとする姿が目立っただけに、報われた感じがしてとても良かったですね。やっぱセイバーはこういう仲間の描写が良いなぁ...!これからまた増えていきそうで嬉しい

 

 

以上セイバー27話、長らく続いたプリミティブドラゴンと飛羽真の対峙の決着を飛羽真のキャラクター性にしっかり沿う形で劇的に描き上げ、それにより誕生したエレメンタルプリミティブドラゴンもストーリーの流れを見事に反映させたデザインや演出が強烈に目を惹いた、「仮面ライダーセイバー」の物語としての良さが存分に出た非常に熱い回でした!凄く良かった

前回の賢人が示した「結末は変わらない」に対比させる形での「物語の結末/未来を変えた」飛羽真の活躍も流れとしてよく出来ていて濃いカタルシスがあり、胸に響きましたねぇ

いやほんと、ここ最近のセイバーめちゃくちゃ面白くなりましたよ 作品のテーマ性の活かし方といい、前半戦で強調されたキャラクター同士の関係性や心情を改めて深める演出やストーリーラインといい、見応えがあります

折り返し地点ということもあり、これから本格的に物語は盛り上がっていきそうな予感なので、これからも大いに期待できますね

楽しみ!

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた