AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

紡ぐ、希望の物語

仮面ライダーセイバー

第28章「記す過去、描く未来。」

感想レビュー

 

 

  • 今日は

(ちょっとした)総集編です!!!よくあるよくある

とはいえ、エレメンタルプリミティブドラゴン覚醒で話もちょうどキリ良い感じで落ち着いた折り返し地点のこのタイミングにおいて、積み上げに積み上げられて若干ごっちゃになってる視聴者もいたであろう作品の基本設定や各陣営の動向について分かりやすく整理・言語化したのは、上がり調子になってきた現在のセイバーのストーリーにおいて見やすさをよりアップさせる形になって良かったですね。ほんとちょっと前までのセイバー、情報提示や整理の慌ただしさとそれに引っ張られた展開のはちゃめちゃ加減がとんでもなかったから...

 

  • 飛羽真のルーツ

飛羽真の書く小説「ロストメモリー」に纏わる話として、飛羽真とルナの出会いについてや、ルナ(と賢人)との交流が飛羽真の小説家としてのルーツであり、序盤で失われていたルナとの記憶が「ロストメモリー」の基になっていたことが描かれました。これにより飛羽真のキャラクター性のディテールがよりくっきりとしたと同時に、物語の中核になるであろうルナの存在や幼馴染としての飛羽真の賢人に対する思い入れも、彼の小説家という要素とも連動する形で深められ、これもまた良い描写。

でもこれについてはもっと早期に示しておけば、飛羽真の内面がより明確になったのに加え、賢人の退場と帰還の展開によりいっそう感情移入できたり、ルナの存在が飛羽真の中でどれだけ大きいかが視聴者にも伝わったりしたと思うので、遅きに失したとまではいかないものの、ここにきての提示かぁ...とちょっと惜しく思う気持ちもあり。

ルナについては特に、明らかに重要な存在と分かるし飛羽真が作中でちょくちょく大事に思ってることを語っていたとはいえ、キャラの全体像がボヤボヤすぎるせいでイマイチキャラとしてピンとこなかったし、せめて飛羽真の思い入れを印象付ける上でももっと早くからこの出会いや交流を見せて欲しかったなと思います。これも色んな要素の提示に忙しなかった故だろうか...これからは是非じっくり描いて欲しいですね

  • 暗躍-サウザンベース

サウザンベース側については、元々1箇所に集まらないようにとしていた聖剣とライドブックを集めようとしてるという現マスターロゴス(と玲花)の目的が改めて明示されるとともに、飛羽真を孤立させる行動をとっていたのが飛羽真の持つポテンシャルの程を見極めるため、また戦いの中で烈火と交わることによる他の聖剣の覚醒を促すためであったと明らかになりました。あの時期の飛羽真vs剣士の構図のフラストレーションを長いこと溜めた展開自体にはやっぱり依然思うところはあるものの、あの展開に一応の理由を示して整理する姿勢を見せたのは悪くないところかなと感じます。

またソードオブロゴスの決定権を握るマスターロゴスよりも高位の「賢神」なる存在や、新たな聖剣を握る玲花の兄こと「神代凌牙 / 仮面ライダーデュランダルも新たに登場。賢神は存在の提示のみだったものの、隼人パッパの言う「あのお方」の候補として浮上し、実に興味深いところ。現マスターロゴスがあからさまに悪なキャラしてて逆に大物感に欠ける部分もあるだけに賢神が黒幕の可能性もあるけど、今まで存在の提示もなかったキャラが今更黒幕として十分な存在感を発揮できるか微妙なところもあり。うぅむ難しい ともあれここは一旦保留

どこぞの爆竜戦隊のレッドみたいな名前の玲花のお兄様も、このタイミングで話に入ってきてどう立ち回るのやら 気になるところです

史上初の兄妹ライダー誕生へ、「セイバー」に神代玲花の兄・凌牙が登場(コメントあり) - 映画ナタリー

 

  • 不穏-メギド

メギド側では、人間を媒介に生み出した無数のアルターライドブックを前に怪しげにほくそ笑むストリウスや、いつのまにか意志を確立していたカリュブディスメギドの存在にご満悦なズオスの姿が描かれました。レジエルと入れ替わる形で再び登場したカリュブディスメギド、もしかして新しい幹部の座に収まるとかあるんでしょうか?あの可愛げさえ感じる性格がいずれ豹変して凶悪さを見せてくるような気がしてならん あのままマスコットの座に収まる可能性もあるけど、現状突然凶悪化してズオスくんを狩るビジョンが見えて仕方がない...

しかしズオスくん、レジエルの敗北を意に介さないような態度を見せていたけど、それに触れた瞬間の表情はなんとなく寂しげに見えたような...とも思ったり。まぁ言うてズオスくん(現在は)普通に悪人ってキャラだから普通に意に介してないの方が多分正解だとは思うけど、ワンチャンもしかしたらそっち方向の掘り下げもあったりして...という妄想も

 

  • 蓮とデザスト

還ってきた賢人のことを信じ、組織を抜け彼の下を訪ねた蓮。しかし残酷にも賢人は蓮に剣を振るい、二刀の翠風の片割れを封印。その様に蓮は悔しさと悲しみを滲ませると「俺は...もっと...もっと強くなる...!そうすれば...」と呟き...
と、今回の蓮の描写はひたすら壮絶。信じていた賢人に裏切られたも同然に自分の力を奪われ、それでもなお自分が強くなれば賢人は自分を見てくれる、と悲壮かつ切実に賢人を信じ強さを求める...といよいよもって危うさが限界値を振り切り始めた感がありますね...倫太郎が腹を括った様子が描かれた分余計に。

蓮の賢人への信頼や強さの探求というキャラ自体は今なおブレなく一貫しているものの、それを序盤は良くも悪くも蓮の強固なアイデンティティであり強さの源として描き、蓮の退場を経て今度は飛羽真に矛先を向ける獰猛さとなり、飛羽真の強さを目にして多少ナリを潜めつつも賢人の帰還により再びぶり返し、賢人への捨てきれない依存にも似た信頼・執着として噴出し始めるという多様な変遷を持って強烈に描いているのが痺れる。その描写のパワフルさに加え、演じる富樫くんの演技も激情の乗った演技も相まってほんと最近の蓮は見ていて惹きつけられます。

賢人や強さという寄る辺を頼りに未熟な精神性がある種の均衡を保ってる、というのが蓮のキャラだと思うので、そこからの自立・成長が今後の肝かなと思ったり

 

そんな蓮を見つめるのは、最近本編外でさんぽしてばっかのデザスト。強さを渇望する蓮を見て不敵に笑うのみの出番に終わり、実に不穏。

デザストについて最近、もしかしたら色々裏で糸引いてるかも...とも考えすぐにそんなことなさそうだと思い直しましたが、今回カリバーの正体が賢人なのを見抜き面白そうにする描写があったのでやっぱり黒幕説はなさそうですなぁ 元より気の向くままに動くトリックスター的存在ですしね(にしたって最近出なさすぎだろ...と

思うけど。)

そんなデザストが依然興味を抱く蓮、公式サイト曰く残ったもう一刀の翠風に変身能力自体はあるみたいなので、やはり新たな力を手に闇堕ちしデザストと新勢力に...とかあるんでしょうか

セイバー 第29章:「その時、剣士が動いた。」 | 仮面ライダーWEB【公式】|東映

 

鷹眼兎(ようまと) on Twitter: "#仮面ライダーセイバー 風双剣ハヤテは聖剣そのものの力を引き出す裏と、本の力を引き出す表に分かれていると。 今回裏を封印されたから今の剣斬は風の力を使えないただのハリボテと。 逆に言えば表の変身能力は失われていないわけで、これは強化フラグ立ったのでは。… https://t.co/X6fFlimMdV"

エレスバ on Twitter: "風双剣翠風、実は「表」のトリガー押すだけでも変身はできるんですよね…"

 

  • vsカリバー 

今回の戦闘はカリバーを相手に剣斬およびセイバーエレメンタルプリミティブが戦う様が描かれました。

剣斬の障害物をアクロバティックに飛び越えながら戦うアクションが久々に見られたり(富樫くんもスタントなしでさり気なく巧みな身のこなしを見せるシーンがあって凄かった)、エレメンタルの色んな属性のエフェクト攻撃をガンガン繰り出す戦いが迫力マシマシで描かれたりと楽しかったです。

しかしカリバー、他のライダーはともかくジャオウドラゴンのみだとセイバー相手には手詰まり感が出てきたが、今後どう立ち回るのやら 流石にもう強化は無いと思うけど...?

  • 貫く覚悟

今回そんな賢人の揺るがない覚悟も描かれ、向こう暫くは決別は必至、という雰囲気を感じましたね

興味深かったのは自分が生き残ったことや破滅の未来を見てそれを救う使命帯びた(と思ってる)ことを賢人が「父さん(隼人)が託してくれた」と語っていたこと。序盤でも隼人のことで「自分がケリをつけないといけない」と拘りを見せる姿はたびたび描かれていたけど、今回それが「息子として自分が父の成し遂げられなかった、託された(と思っている)使命を果たす」と父が背負っていた想いを知った上での新たな形として示されたのは面白いポイントでした。この辺の関係性の掘り下げもまた行ってくるとは意外でした。賢人はそれを頼りにこれからも想いを貫くのかな...

武Q on Twitter: "暗黒剣に触れたことでけんとくんは闇堕ちを後押しされてしまったのかもしれないけど、その導きに従うことが 彼にとっては小さい頃に死に別れたお父さんとの十何年越しにできた繋がりなんだよなあ #nitiasa"

 

  • 物語を紡ぐ

賢人の揺るがない覚悟を再び目にしつつも、飛羽真は仲間達と肩を並べて共に世界や本にされた人々を守り抜くこと、ルナを救う約束を果たすことをより強く決意し、その想いを形にする物語を描くべく、芽依が頼んできた「ロストメモリーの続編執筆」に乗り出す。

飛羽真が自身の決意をより確固たるものとして形にするべく、自分の失った過去の記憶・繋がりを記した物語であるロストメモリーを、今度は仲間達と共に紡ぐ希望の未来を描く物語として描く、という形で「小説家」という要素にも絡め象徴的に魅せてきたここの作劇は実に鮮やかで見事でした。サブタイの意味もしっかり綺麗にハマって気持ちが良く、ここから飛羽真が導くハッピーエンドが楽しみという想いも込みで、凄く良かったです。

 

飛羽真の決意に笑みを浮かべ頷く仲間達。

しかしその1人、芽依の目にはワンダーワールドが見えており...

 

以上セイバー28話、物語の情報整理がなされ展開運びが一気に見やすくなったと共に、その中でよりくっきりと描き出される賢人の覚悟や父への想い、蓮の賢人や強さに執着する危うさがドラマ面で目を惹き、更に物語を紡ぐ者として飛羽真が仲間達と共に世界や人々を守る未来を信じ描くと決意する象徴的なシーンも綺麗にハマり、凄く面白い回でした。キャラクターの内面描写の繊細さがいっそう洗練されてきてて凄く良い。飛羽真の「小説家」設定もここから劇的に昇華されてきそうで期待大ですね

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた