AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

デザ蓮コンビネーション

仮面ライダーセイバー

第33章「それでも、未来は変えられる。」

感想レビュー

 

 

おかえり、不死のヒモ!!(※別にバハトはヒモではない)

 

賢人とまた共に戦うために彼へ必死に呼びかける飛羽真、飛羽真が烈火から引き出した力により開いた時空の先で果たされたルナとの一瞬の再会、それらの事象に心が揺らぎ飛羽真に可能性を見出し始めるも、自らの目にした飛羽真の消える未来を思い浮かべ未だ決意の揺るがない賢人、と遂にルナの存在が物語に大きく浮上し始め、飛羽真を中心とした3人の関係性により焦点が当てられた今回。

世界の滅びや仲間の死を何度も目にし聖剣の封印を決意したことが描かれてた賢人だったけど、その目にした未来の中でも特に飛羽真との別れが大きな衝撃でそれ故に彼を守りたいという想いが強いということや、飛羽真の必死の訴えや飛羽真の見せた力に希望を僅かばかり抱いてしまう一面が明かされたのは、摩耗しきった彼の心の中に残された温かみや幼馴染みへの思い入れを確認できて良かったところ。ここ最近の賢人はどうしても聞く耳持たん的な冷たさばかりが目立ってたのでシンプルに安心したし、今後の展開で戻ってくるかもしれないことへの布石という意味でもこういうのを強調してくれたのはありがたい

また件のルナが失踪した事件の日、些細なことで飛羽真とルナが喧嘩しており、賢人が2人の友情を取り持とうと飛羽真を約束の場所へ向かわせてあげていたことが明かされ、飛羽真のルナや賢人への思い入れ、ひいてはこの3人の友情がより実感として伝わったのも個人的に良かったなと感じたところ。3人の友情に関しては沢山情報が投げつけられてくるセイバーの作劇において飛羽真の口頭や回想で小出しにされるのみだった関係上、どうしてもピンとくるものが少ないみたいなところが個人的には若干あったので、こういうのは3人がどれだけ深い関係性にありどうして各々がそこまで拘るのかを強調する意味でも重要な描写なんだから飛羽真の記憶が戻った直後くらいのタイミングで触れて掘り下げておいてよ!とは思うものの、やっとこういうのが見られたのは嬉しかったですね。キャラクターへの思い入れも深まる。

 

現マスターロゴスと飛羽真・賢人の対峙においては、ルナ失踪に繋がった事件を引き起こした隼人パパを唆した「あのお方」が現マスロゴであると明かされ、全ての元凶たる事件の詳細が点と点が線で結ばれてようやくハッキリしてきたと同時に、現マスロゴが(一先ず現状では)セイバーの物語の巨悪であり飛羽真と賢人にとって討ち果たすべき因縁の相手と位置付けられることとなりました。黄雷の力を使ったと思しき出現の仕方や、尾上さんすら両手で扱う激土を片手で振り回し生身でセイバーとカリバーをいなすという規格外の力の描写で、聖剣の力を自在に操るかのような強敵ぶりも強調され、現マスロゴの敵としての格が実力としてようやく描かれたのは良き。今後どのように物語が進むかはまだ読めませんがこうなったら彼とのしっかりとした決着自体は飛羽真と賢人につけて欲しいなぁ

 

といった飛羽真達を取り巻く描写の数々の中で、賢人が以前ソフィアを救った理由と関連する形で「ソフィアは現マスロゴが世界を繋ぐ存在としてルナを模倣し生み出した存在」という割と重要な情報が割としれっと明かされました。なんとなく関連性が疑われてたソフィアとルナの関係もこれでスッキリしましたね

しかし気になるのは、ストリウスが前回手に入れた本の力を使い、新たな人造人間を生み出していたこと。これで世界を繋いで何かしでかそうとしてるんだろうなこりゃ。前に現マスロゴにもそれについて仄めかしてたからおそらくはグルでやってることで現マスロゴも承知のはずだけど、なんかストリウスが一人でほくそ笑んでるのを見ると現マスロゴをギリギリで切り捨てて自分が前に出ようとする可能性もあるのでは...とやはり思えてくる...

 

そして今回の話のもう一つの軸となった蓮とデザストの絡み。

最初はいつも通り付き纏うデザストを煙たがっていた蓮だったけど、戦いの中で目にし改めて実感したデザストの強さ、またそれと息を合わせた時に発揮できた強さに何か感じ入るものがあったためか、ラストにてデザストと同じ道を進み強くなり、その力でまずデザストを必ず討つことを宣言することとなりました。闇堕ちとまではいかなかったけど、とうとう来るべくして来るとこまで来たって感じですね蓮...
とはいえ、蓮がこういう道へ進んだこと自体には非常に危うさはあるものの、今まで賢人へ依存じみた信頼ばかり置いて乱れ続けていた彼が、デザストの強さに可能性を見出し彼をある種新たな目標としたというのは曲がりなりにも蓮の変化と言えるような気がしないでもなかったり。

デザストの動向に目を向けても、蓮の戦いを最初は彼の言う通り放っときつつも、彼のピンチには割って入ってサーベラ攻略法を体を張って示す強さを見せ、且つ以前にもセイバーとレジエル相手に見せた剣斬との巧みな連携を披露、そして剣斬がやられそうになると(後で復活できるとはいえ)身を挺して庇う、など見方によっては蓮の師匠と呼べるような雰囲気が出てきていて、信頼し合う関係でこそないもののどこか奇妙な繋がりが生まれつつあるので、この2人が最終的にどういう方向へ進んでいくのかは物凄く気になるところ。照れてんのかぁ!?は気さくすぎて笑ったけどw 単なる信頼関係とは違うヒーローサイドと怪人サイドの繋がりというと、「星獣戦隊ギンガマン」の終盤のヒュウガとブクラテスを思い出すので、ああいう感じで最終的に何かしらお互い思うところのある関係になってくれると面白そうだなと(デザストが蓮を強くした上でどうこうと考えてる可能性もあるのでまだどうなるかは分かりませんが何にせよ楽しみ)

そんな2人の戦闘シーンは、設定上あくまで変身できるというだけながらサーベラについていく剣斬/蓮の研鑽を示す戦いぶりや、サーベラの煙化相手に対応するデザストの強さを強調するテクニカルな戦闘演出、そして先ほども述べた2人の連携攻撃など、目を見張る演出が多くて久しぶりにとても見応えのあるバトルになりました。剣斬のバトルはキャラ的によく動く分、凄く印象に残るカッコいいバトルが多くなって個人的に好みだなぁ

 

またこれらの描写以外のところでは倫太郎やユーリ、芽依の行動が描かれましたが、マイペースに物を話し犬のように気になるものへ引き寄せられるユーリ、世界と仲間達という守るべきものを見据えたことで初期の戦士としての安定感ある姿をよりパワーアップさせた形で見せつつ、随所で明るくコミカルな姿も見せるようになってくれた倫太郎など、レギュラー陣が最初の頃に見せてたキャラクター性を発揮し小気味良く話を回してくれたのが個人的に非常に良かったなと。最近キレたり荒れたりすることの多かった蓮も玲花相手に毒を吐いて煽るという初期のキャラを思わせる語りをしていてなんだかホッとしましたし、やっぱ登場人物が最初の頃の慣れ親しんだ性格を反映した言動を見せてくれるとなんか「これだよこれ!」って感じがして良いですよね

思えば前述した賢人が飛羽真への思い入れを伺わせた下りもこの「初期の頃のキャラクター性の提示」と言えるし、今回は全体的にレギュラーキャラの性格について原点に立ち返り描く意味合いもあったのかなぁとか思ったり。個人的な印象ですが、ここ最近はシリアスな展開続きで明るいキャラが乱れたりコミカルさを発揮する機会が少なかったりといったことが多かったなとも思うので、今回のこの描写は個人的に凄く評価点ですね。こういう感じの方が登場人物の描写にも幅が出てキャラクター性の見応えが増すと思うので、やっぱストーリーは怒涛の展開シリアス展開続きよりも多少ゆとりがあるくらいが良いと思うななどと個人的に。

あとキャラクター性の描写というところで言うと、前回セイバーにしてやられた凌牙がそれを越えようとする執着およびストイックさを見せて感情的になったり、玲花が現マスロゴへの疑念から不安定になったりする一幕もあり、敵サイドライダーの面々にも人間味みたいなものが滲み出て見応えがあったなと思ったり。この2人がどうなるかも見所ですね

しかしサーベラ、デザスト相手には簡単に見切られ(フォロワーさん曰く「匂い」で見切ってるのではないかとのこと)氷獣戦記相手には煙さえも凍らされ、と最初は煙化能力が凄く厄介だったのにだんだんメタ張れる相手が増えてきたなぁ...という印象。バスターやスラッシュみたいなシンプルの強いキャラには有効なんだろうけどな。そろそろジリ貧か...

 

 

以上セイバー33話、飛羽真・賢人・ルナの関係性の掘り下げ、現マスロゴとの因縁の発生、蓮とデザストの関係の変化などでストーリーを劇的に回し盛り上げつつ、メインキャラのキャラクター性を大元の性格等に沿う形で描き小気味良く会話を回したりと、セイバーという作品の元々存在するキャラや設定を上手く料理し活かした作劇がとても目を惹いた面白い回でした。前回に続き登板となった内田裕基さんでしたが、前回の倫太郎覚醒も彼の大元の信念を更に発展させる形で成長に繋げた作劇だったので、前回今回と作品の持ち味を活かした作劇が凄く巧いなと感じました。今後登板があるかは分かりませんがセイバーのストーリーに新たな安定感を与えたと思うので、今後も何かの機会で関わって欲しいなぁ

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた