AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

本当に為すべきことは

ウルトラマンコスモス

第3話「飛べ!ムサシ」

感想レビュー

 

 

平成ウルトラシリーズでお馴染み、2021年現在も仮面ライダーセイバーにサブ脚本で参加中の長谷川圭一さんの登板回。

怪獣保護にかける想いから先走り、怪獣スピットルを興奮させチームを危険に晒す失敗を犯してしまったムサシに焦点を当て怪獣保護における本懐を示す話になっており、怪獣の生態・特性をストーリー全体を通して細かく描き出すことで各話に登場する怪獣を個性豊かに表現し、そこから広がるストーリー展開や防衛チーム・ウルトラマンによる特性の攻略などでストーリーを盛り上げるというウルトラシリーズお馴染みのフォーマットを、怪獣の本当の気持ちを理解するという怪獣保護をテーマとするコスモスならではな形で描き上げた点が非常に上手く、これを序盤にしっかり示したのはかなり大きいなと思います。

ムサシの想いが心の中での独白という形で表現される場面が多かったりと絵作りの独特さは少々あったと思うけど、コスモスに頼ろうとして変身できないムサシという序盤のウルトラシリーズ定番のウルトラマンの力を手にした主人公の慢心とウルトラマンからの拒絶展開が入れられた他、怪獣という巨大生物に対し敵意を向ける世論やその中に宿り得る「何かをすぐに敵とみなし攻撃する思想の危険さ」という本質を突くイケヤマ管理官といったコスモスの世界における怪獣・怪獣保護に対する認識を描写として自然に示したりなど、きめ細やかさも目立つ良い作劇だったと感じますね

 

今回失敗を犯してしまったムサシに対する周囲の反応としては、大人の立場から時に厳しく振る舞いつつも彼を見守るヒウラキャップやシノブリーダーも良い存在感でしたが、一際目立ったのはやはり仲間を危険に晒してしまった彼の独走に真剣に怒ったフブキ隊員だったなと。己の知識や情熱に驕り周囲を顧みなかった慢心やいざという時にコスモスに頼ろうとしていた甘さをムサシの対してズバリ指摘したりもしており、一見怒りやすくて皮肉屋というとっつきにくさの方が目立つけどチームの和を重んじる一面や怒るべきところでちゃんと怒れる真剣さを持ち合わせた人物であることも伺えるので良いキャラですよね。(前回入隊したてのムサシに挑発気味に食ってかかってたり、今回も失敗を挽回しようとするムサシの懇願を突っぱねようとしてたりと、やたらムサシに厳しい、ともすれば嫌味に見える部分もあるけれど、前者はまだ理解の浅いムサシの理想に対する反発みたいなものもあっただろうし、後者はムサシの失態が失態なだけにすぐには信頼できるわけもないと言えるので致し方なしね まぁそれにしたって凄いスレてるし尖ってるよなぁ序盤のフブキ隊員...といつ見ても思うが。w) ともあれまだまだ青臭さの目立つムサシを成長させるのに大事な存在としてこの時点から良い立ち位置になってるのが感じられますね

とはいえまだムサシとは決して良い仲とも言えない部分が目立つフブキ隊員だけど、ムサシが後半において真剣にスピットルの保護に挑んだ時は彼の行動に報いようとする一面を見せたし、EDでもなんだかんだムサシを心配したりその上で軽口叩いたりもしてたしで、少しずつだけど彼を認め仲間として受け入れつつあることが感じられるのもまた良き。後の彼とムサシの関係性の変化を思うと、こういう部分や前述した厳しく当たるような場面も込みで見ていて楽しいですな

それ以外だと、持ち前のフランクさから現状一番ムサシと壁なく同じくらいの目線と立場で接することのできてるドイガキが良い清涼剤という印象。アヤノは背伸びしがちな子供っぽい面が目立ってムサシも子供扱いしてる感じだし、こういうキャラが1人いるだけで和むね 今後も良いムードメーカーとして活躍するのでどうぞよろしく。

 

今回登場の怪獣・スピットルは、襟巻きの展開の有無で印象ががらりと変わるという感じで、今思うとガボラを意識した部分もあるのかなと思ったり。まぁこっちはデフォルメ感のある顔で可愛げがあるが。卵を守ろうとして本来の気質と異なる行動を見せ、敏感な聴覚から飛行機を天敵を襲おうとするなど、その生態がストーリー展開の軸の一つとなり、緊急着陸の飛行機をスピットルから守るミッションのハラハラ感など見所が多かったですね

今回の巨大特撮では、テックサンダーの見せ方に力が入っていてスピットル捕獲作戦の見応えもグッと増してたなという印象。今回テックサンダーのパーツ換装のよるタイプチェンジギミックが示され、これもなかなか面白いよなと思う。後にも先にもこういう同型コアユニットへのパーツの組み替えでバリエーション出す形式はウルトラシリーズのスーパーメカにはなかったと思う(あったらゴメンね)ので、これは強みだね

スピットルの捕獲に際してはコスモスがEYESに直接呼びかける形での連携もなされ、コスモスがかつて地球に降り立ったことがあるのが前提にある分こういう展開もスッと入れ込めることができてたのは面白かった 序盤から特徴的な魅せが多くあって良い

 

 

以上、コスモス3話でした。コスモスの世界観を展開の中で自然に描きつつ、怪獣に焦点を当てた作劇やムサシの成長を示す良いバランス感の話だったなと思います。ムサシのフブキ隊員との関係性など今後が気になる要素についても示されており、やはり描き方がマメだなと感じますね序盤のコスモス 面白かった

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた