AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

ホタルのバグ

ウルトラマンコスモス

第5話「蛍の復讐」

感想レビュー

 

 

今回はムサシとフブキ隊員の関係性や、フブキ隊員の背景の掘り下げ回。相変わらずムサシを坊や扱いするフブキ隊員とそのフブキ隊員をオジさん呼ばわりする皮肉返しをするようになったムサシ隊員、と未だバチバチな2人をコンビとして扱い一緒に行動させるヒウラキャップ、度量と見る目がありすぎるな...ここから名コンビが誕生するわけだが

コスモスファンにはお馴染みの「春風コンビ」の名称もここでヒウラキャップ命名により誕生しました。レギュラーキャラ一同には軒並み不評な感じだったけど...w しかし春風コンビ命名時のメンバー一同の会話の様子を見て感じることだけど、EYESの日常風景の砕けた空気感良いよなぁ BGMの牧歌的なメロディが良い具合にマッチして和む

 

謎の蛍事件を追って群馬県蛍ヶ村を訪れた坊やとオジさん春風コンビ。ここでフブキ隊員は自らの幼い頃の心の故郷である村に想いを馳せたり村を守ろうと身体を張って立ち向かう姿を見せたりし、ムサシもそんなフブキ隊員の姿から彼の砕けた部分や心の奥底の情熱や優しさを感じ取る、といった風な展開が織り成され、第3話でフブキ隊員がなんだかんだムサシのことを少し認め始めたのに続きムサシもフブキ隊員への理解が少し深まって、ようやっとこの二人が対等になり始めた感じが良いですね 望郷の念に浸るところをムサシに見られて慌てドジるフブキ隊員のシーンの絶妙な間と引きのアングルがシュールで好き。w 分かってんだよんなことッ!(恥

ここの作劇において、幼い頃の身体の弱かった自分を優しく受け入れ強くしてくれた村へのフブキ隊員の思い入れを示し彼が村を守るために必死に駆ける姿を描いたのは、普段現実的な視点からムサシのことをどうこう言いがちなフブキ隊員の中に宿る、大切なものために自分の身を呈す熱い一面というムサシともある種通ずる心根を印象付けることで2人の関係性の変化を強調する意味合いがあったのかなとも思ったり。共存のテーマの描き方についても感じることだけど、コスモスは作中で扱う諸々の要素の長いスパンで見た積み重ねの仕方が上手い。

 

今回の怪獣は、カオスヘッダーが蛍ヶ村に不法投棄されたゴミに取り憑いて生まれた偽の蛍が熱エネルギーを吸収し誕生したカオスバグ。昆虫怪獣じみた顔や手足が鉱物・機械を思わせるボディから生えた左右非対称のキメラ的なビジュアルがなかなかにカッコいい怪獣ですね。またあまり目立たないけど、後頭部に存在する人間の髑髏のようなディテールも非常に特徴的(自分も幼い頃持ってたソフビで見て気付いておりとても印象の残っていました)。けっこう秀逸なデザインだよなぁ

今回のカオスヘッダーは蛍ヶ村から去った蛍の大群のような姿を取ってさながら本物の蛍の習性のごとく熱に集まる行動を見せるなどしており、最終的にそれらは異常を聞きつけ駆けつけるEYESの攻撃のエネルギーを得て実体化するための策略だったことが判明する、と実に狡猾な一面を見せていたわけですが、手っ取り早く強力なエネルギーが欲しいならばゴルメデの時みたいに怪獣を利用するなりなんなりもっと直接的な作戦もあるものを、こんな蛍ヶ村の蛍と不法投棄に纏わる因縁に着目したようなやや回りくどめな作戦を取っていた辺り、後の本編展開も踏まえるとこの時から既にカオスヘッダーは人間の感情というものに着目し、それを弄び利用することを試験的に行なっていたのかなぁ、と思ったりしますね。サブタイの“蛍の復讐”を人間達に感じさせ恐怖させるような暗躍、EYESの正義感を利用した実体化、なんとも陰湿で悪辣だ...

前述したカオスバグの後頭部の髑髏のデザインに関しても、あるファン有志が「本当に醜いのはゴミではなくそれを投棄した人間」と示しているようだと語っていたのを踏まえると、カオスバグの姿そのものが「復讐に現れた蛍の化身」に見せかけた、「その裏に根付く人間の醜い本性の権化」であると示すものなんじゃないかとか思えてきますしね...カオスヘッダーが今回利用したのもあくまで不法投棄されたゴミであり蛍そのものはカオスバグの誕生とは一切関係ないわけで、究極的に言えばカオスバグが蛍の姿をしてる必要すらないわけですし。そこをわざわざああいう姿にしてる辺り、カオスヘッダーは全部分かって人間を弄んでるよなぁ多分...性悪

そう思うと今回の行動といいデザインそのものといい、なかなかメッセージ性が高い存在かもなぁカオスバグ、などと今回深掘りして思いました

すぱいなー on Twitter: "ゴミから生まれたカオスバグの後頭部に何故か髑髏が付いてるんだけど、本当に醜いのはゴミではなくてそれを不法投棄した人間だって言ってるみたいで妄想捗る #ウルトラマンコスモス… "

 

戦闘においては、無機物ベース故にルナモードの力もまるで効かず鎮まらないカオスバグを相手にコロナモードに変身したコスモスのバトルが描かれました。今回はカオスバグの頭上を飛び越えて回り込む下りを1シーン1シーンを印象付けるカット割りで描いたり、カオスバグの光弾の連撃をバリアで防ぐも後ろへ押されていくカットを真横から見せたり、などルナモードの戦闘がバトル漫画的な感じで演出されていたのが印象深かったですね。その後に続くコロナモードのパワフルなアクションに負けないインパクトがあったね

トドメは往年のワイドショット風味の構えで繰り出すネイバスター光線。あの構えで放つ光線技があると安心感あるねやはり...最近では見なくなった人形爆破の演出の爽快感もたまらん。嗚呼、懐かしい気持ちになる...
しかしカオスバグを吸収できないほどのエネルギーで粉砕するあのフィニッシュを見て改めて思ったけど、後のストーリーでの活躍でも所々感じられるようにコロナモードってコスモスの形態の中でもガチの戦闘における強力さは随一よなぁ...ヒウラキャップのゾッとした、はある意味真理。

 

ラスト、今回の事件を受け蛍ヶ村の不法投棄にも対策が為され、いずれ蛍も戻ってくるだろうと希望を示しフブキ隊員も一安心する形で締め。カオスヘッダーのあの悪辣さが人間達の振る舞いを改めさせたのは、結果的に良かったけど皮肉ね

事件を経てムサシとフブキ隊員もなんとなく凸凹しながらも通じ合うところを見せるようになって良かった。フブキ隊員がムサシに肩に手を置かれて良い感じになるも間を置いて我に帰る下りや、プリンを取り合うガキみたいなやり取りのコミカルさにほっこりしたw プリン取られそうなフブキ隊員がやめろ!とかじゃなくダメッって言ってたり、最後に2人がめっちゃ間の抜けた声で「春風...コンビぃ?」がダブったりするのツボ

 

 

以上、コスモス5話でした。ムサシとフブキ隊員の春風コンビの掘り下げがメインの面白い話になっており楽しかった。ここからの2人の関係性の変化にいっそう目が離せませんね。

またカオスバグ等を通じて人間が自然に対して行う不法投棄などの行いの醜さをさり気ないながらもメッセージ性濃いめに描いた部分も印象深い回でもあり、ここは個人的に感想を書いていて凄く感心しましたね こういうメッセージ性がウルトラシリーズの魅力の一つねやっぱ

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた