AnDrew’s小生意気レビュー記

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君は 何を 貫く

ゾンビランドサガR(リベンジ)

第9話「佐賀事変 其ノ弍」

感想レビュー

 

 

明治を舞台に生を駆け抜けた者達を描いたゆうぎり姐さんメイン回後編。

ゾンビランドサガにおいてシリアス風味な話というのは多々あったけど、前回・今回と続いたゆうぎり姐さん回はそれらとはまた一味違った、様々な人々の想いが入り乱れる一大歴史スペクタクルとも言える重厚な人間ドラマを目にした感覚でしたね。時代劇のそれでしたね...

祖父の意志を継ぎ、純粋に佐賀を救わんと行ってきたことが佐賀復権に燃える旧佐賀藩士の人々の激情を燃え上がらせ、多くの者を取り返しのつかない方向へと導き多くの血を流させてしまった絶望から喜一が自身の行いを後悔する一連の流れはあまりにも無情で物凄く辛かったけれど、そこから佐賀を変えようと立ち上がり散っていった人々の命と想いを無駄にしないため、佐賀と佐賀を想う人々を突き動かした責任を背負い、全てを成し遂げるまで戦え、と姐さんが説き、ビンタの一喝と共に喜一を再び奮い立たせる流れは、熱く、涙腺が緩みましたね...喜一の強い願いと想いを間近で見てきた思い入れが強いとはいえ、自身のコネクションを活かして彼を守る道を作り、自身の命を捨てる覚悟まで決める様はあまりに人間として強いなと。既知の者がいない佐賀の地で自分がそこまで尽くせる者がいたこと、彼の想いを後の世に繋げられたことはこの上ない幸福だったのかもなぁ 断首直前の儚げながらも心残りを感じない微笑みが切なくも美しかった。

しかし姐さんが喜一を守るために手を回した既知の者達ですが、副島種臣大木喬任大隈重信と揃って佐賀藩出身の高官達で、姐さんのパイプの太さにリアルタイム時多くの人が驚いていたのが印象的でしたね...歴史の知識ゴミカスな自分も大隈重信は知ってたのでおでれぇた 恐らくは姐さんの花魁時代の見知った仲なのだと思われるけれど、姐さんの頼みを受けてきちんと義理を果たす辺り伝説の花魁の名はやはり伊達じゃないな...と

G@LA on Twitter: "副島種臣、大木喬任、大隈重信。攘夷の志を持つ者たちであり、後の世において政治を執った者たちであり、佐賀出身の同志である(調べた)そんな歴々に顔が効くゆうぎり姐さんの伝説っぷりよ #ゾンビランドサガ… "

 

またここの姐さんが心の折れんとしてる喜一と立ち上がらせるために喝を入れたシーン、構図が1期最終回の12話においてやさぐれるさくらに今まで自分達を引っ張ってきた責任を説き、仲間として共に舞台に立てと我を通すのを承知で訴えるシーンと同じだったのは凄くグッときましたね。姐さんの成熟した強い人柄とフランシュシュの仲間としての想いが際立つ名場面であった上記のシーンですが、今回のエピソードを経て、その裏には姐さん自身が抱く何かを変えようと足掻き進む者、人々を導き想いを束ね繋げる者への敬意と負けずに突き進めという願いがあったんだな、というのが感じられて、あのシーンの深みや姐さんのキャラクター性がここで一気に増したのが最高でしたね...
本記事後半でもまた触れますが、メイン回がなく全体的に大人びた年長者という雰囲気こそあれ物足りなさも感じてた1期のゆうぎり姐さんの描写の数々だったけど、彼女の生前の壮絶ながらも強い覚悟に満ちた背景が今回分かったことで1期のそれらの描写にも総じてグッと意味が加わったの素晴らしすぎるし、それらをきちんと逆算して描き上げていた本作の巧みさには改めて唸りばかり。凄い

 

そんな姐さんと喜一を取り巻く人物として描かれ、今回の話を盛り上げた喜一の友人・伊藤(前回の記事だと正次郎って書いてたけど喜一が伊藤って呼んでたのでこっちに合わせる)、彼もまた良い味を出しておりました。

逆賊になり得る者達の監視と反乱が起きた際のその者達の始末という任を背負い、喜一や旧佐賀藩士の者達にも監視の目を張り巡らせいざとなったら冷徹に刀を振るう姿を見せつつ、その実いずれは討たなくてはならなくなるかもしれないという思いから喜一の抱く理想に感情を荒げたり、喜一の意志や理想にその青臭さまで込みで羨望のようなものを伺わせる一面を見せたりと、喜一との友情が本物であることを感じさせる一幕もあるなど、捨てることのできない情と任務の板挟みになる彼の姿は色々な感情が表れていてとても魅力的でしたね。旧佐賀藩士の者達を容赦なく切り捨て多くの血を流す様が今回のシリアスさをグッと引き上げてたのは確かだけど、一方で最期に(恐らく)わざと姐さんに討たれたところには葛藤の末に喜一の理想を信じ友情を取ったのだろうかと思わせる人間味があったりと、喜一を取り巻く佐賀事変の物語にまた欠かせぬ名キャラクターだったなと

 

そういて色々な人々に想いを繋いでもらい、自らが背負った責任と多くの人々の願いを繋ぐために涙しながらも前へと進んだ喜一の姿、これも凄く力強くてグッときました。過去エピソードの終わりに佐賀の独立などが文で語られる演出には、彼が佐賀を取り戻すために足掻いて掴み取ったものが端的ながらも感じられて沁み入るものがありましたね...前述した佐賀藩出身の高官達の下へ渡った後、彼がどのように尽力し理想を成し遂げたのか、それは想像する他ないけど我々としても凄く凄くたまらない気持ちになる

翔也 on Twitter: "ABEMA #ゾンビランドサガ リベンジ第9話。 感想02。 ゆうぎりが百崎喜一を託した相手は、大隈重信をはじめ、佐賀藩出身の政府高官たち。大隈侯であれば若い百崎の思いを解してくれると期待したのか。実に、語られざる偉大な伝説を遺したと言うほかない。… https://t.co/32NPnk1eNN"

そして非情な現実を理解しきれない青臭さもありつつ理想に燃える様、現実に打ちひしがれながらも立ち上がり進む様、そんな彼の感情を実に繊細且つ時に熱く演じ上げた宮野真守さんの名演には拍手を送るばかりですね。本当1期の時といいここぞで素晴らしすぎる演技をするなぁ...幸太郎とはまた全然違う雰囲気だけど、(多分喜一の子孫と思われる)彼の中にも同じく宿っているであろう佐賀を救おうとする情熱と信念がストレートに感じられる素晴らしいキャラクターを魅力的に表現してくれたことに感謝

 

時は流れ、現代。

ゾンビィ⤵︎として蘇り、フランシュシュという新たな仲間と共に、新たな佐賀で、佐賀のために人々の前で歌い踊るゆうぎり姐さんの姿がライブシーンの「佐賀事変」の歌唱で表現されるところへ繋がる、というあまりに美しい締めが最高でした。喜一が築いた新たな佐賀の世を目にした時の気持ち、喜一と同じく佐賀を救おうという理想を掲げる幸太郎を目にした時の気持ち、姐さんのそれらの気持ちがどれほどの、どのようなものだったのだろうかと思うだけでもうめちゃくちゃに色んな気持ちが込み上げてきてたまらんくなりますね...ライブシーンが主体となって描かれる特殊EDで喜一と伊藤が一緒になって笑顔で踊るシーン、あまりに良すぎて涙腺が緩みまくってしまった...

フランシュシュメンバーの中でも一際蘇りに動じず比較的早くアイドル活動に乗り気になって頑張ってた姿は単に彼女のどっしりした大人な人柄の表現ということだと思っていましたが、それだけでなく、かつて自分が繋いだ想いの結晶である『佐賀』で、今一度自分がその身を捧げて佐賀のために生きることへの幸せみたいなものがあったんだろうな、とも、この佐賀事変のエピソードを経たことで思いましたね。改めて触れる形になるけど、1期における姐さんの描写にしっかりと意味と深みを与えるようになっていた彼女の背景と物語の構成の仕方は本当に素晴らしいなと。関心

 

そしてED後には、姐さんがバーでマスターと酒を交わしながら、この佐賀で自らに道を選び生きる決意を改めて語るという下りがラストに描かれました。姐さんはマスター、というか徐福おじいちゃんが蘇ってること知らないものだと勝手に思ってたけど現代でも既に面識あったのな!?

2人で喜一が駆けずり回り繋いだものに想いを馳せる様、グッときましたね...2人が覚えている限り、喜一も想いの中で永遠に生き続けるというフォロワーさんの言及も込みで実に胸が熱くなる締めでした

度近亭心恋 on Twitter: "「人は覚えている人がいなくなった時に本当に死ぬ(思い出の中から消える)」 と言うのならば、喜一は徐福のおっさんとゆうぎり姐さんの二人がずっと覚えていてその姿を思い出してくれるので、ある意味永遠に生き続けるんですよね…… (そういう意味ではゾンビと同等) #ゾンビランドサガ… https://t.co/qw0iEstvgv"

 

 

以上、ゾンサガR9話でした。最高のゆうぎり姐さんメイン回にして、ゾンビランドサガ作品の根底に根付いてる、様々な人々が繋げてきた想いや信念を感じる素晴らしいエピソードだったなと思います。いつものゾンサガとは一味違う時代劇的/大河ドラマ的な壮大さや重厚感のある過去のドラマパートからの、蘇ったゆうぎり姐さんの想いがより際立つ現代パートの繋ぎも沁み入るものがたくさんあったし、過去の話を経た姐さんのキャラクター性の強調も凄く熱かったしで、本作の人間ドラマの濃さや構成の巧みさを改めて実感できましたね。いやぁ良かった...
さて、いよいよラスト3話へ突入し、R(リベンジ)もクライマックスかと思われます。ここからどうなるか、大いに期待したいところです

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた