第35幕「抱擁」
振り返り感想
「オレはおまえに会うためにここへ来たんだ。
サーカスのテントではじめて会った時からずっと、
しろがね、
おまえを愛していた。」
「...なんて...なんて素敵なんだろう。
自分の心が相手にとどくのは...
なんて素晴らしいのだろう。大好きな人の笑顔を息のかかる近さで見ていられるのは。
ああ...私はやっぱりこの人が好き。
好き...
大好き。」
どんとこい、ゼットアンドリュー on Twitter: "#karakuri_anime でこれ来週が最終回よね 長くもあり早くもあり...新規の方々も最後までしっかり楽しんで欲しいところ"
自身が大切な人達と再会することよりも、彼らが憂いなく最愛の者と添い遂げる道を選んだ勝
彼の魂の言葉を受け、自身が背負ってきた哀しき過去を乗り越え愛する者・しろがね の下へと駆け付けた鳴海兄ちゃん
心より愛する者の心からの言葉によって、辛く悲しい宿命に血塗られた人生に光と色を得て笑顔を見せたしろがね
作品の顔たる3人のそれぞれの想いが光り、実に情緒溢れる美しい構図が描き出された今回のエピソード、前回の勝と鳴海兄ちゃんの背中を預け合っての共闘という最強に熱いシチュエーションに続いて繰り出される「からくりサーカス」という作品の極致とも言える展開なだけあってやはり最高に胸がいっぱいになりますね...グリポンくんに吹き替えさせてた言葉がどんどん大きく熱くなっていく勝の感情の高まりや、長きに渡り間を阻んでいた壁を取り払い最愛の者同士として鳴海兄ちゃんとしろがねが結ばれるシーンの芸術作品じみた構図といった原作漫画において表現されていたこの一連のシーンの魅力的なポイントを余すことなく拾った上で、それらを演技、作画というアニメーションだからこその側面からより奥深く描き上げていたので、この回は本当文句無しですね...スポット的に入れ込まれていたさり気ないアニオリ部分に関しても、愛によりしろがねと引き合っていると言わんばかりの勝兄ちゃん参上の理由付けの台詞や、当時の感想でも述べているアルレッキーノとパンタローネの合流のワンシーンなど、キャラの関係性やストーリー性をいっそうグッと引き締める粋なものが多くて大変よろしかったなと。特に前者に関しては当時他の方も仰ってたけど、「しろがねと鳴海兄ちゃん、互いに呼び合ったからこそたどり着いた」という表現が2人の愛の程を端的に強調する象徴的なものになってるというとこで凄く良いよなぁ...「法安さんが勘を働かせて連れてきた」という法安さんの活躍を入れ込んだ原作の展開も悪かないけど、こと今回も至っては彼の存在のカットを凄く良い方向に活かしててナイスな采配である
それ以外のとこでも、しろがねの笑顔にフランシーヌを重ねて自分達の宿願が美しき形で果たされたことを心より喜び事切れたアルレッキーノとパンタローネ、勝を守るというかつて鳴海兄ちゃんから託された「仕事」をひっそりと果たし旅立っていった阿紫花さん、といった勝達を支えた者達の最期の瞬間の情緒溢れる描写が凄くグッときましたね。原作漫画でも凄く胸にきたシーンだったけど、優しい劇伴やしっとりとした絵作りが絶妙で、アニメでも涙腺が緩んでしまいましたなぁ...
理由やその後の経緯はどうあれ、他の生命を手にかける道を選んだ者や修羅・外道を行った者に対しては、いずれ因果は巡ってくるという意味合いもあってかほぼ例外なく死を迎えることに定評のある藤田和日郎作品において、アルレッキーノ、パンタローネ、阿紫花さんもその傾向に含まれ散っていったことになるわけですが、そんな彼らの最期が悲しいながらも胸を打つのはやはり、アルレッキーノやパンタローネはフランシーヌ人形(他者)を笑わせることの意味や自分達の存在意義を理解し為すべきことを果たしていくことができ、阿紫花さんは満たされることのない退屈の中で自身の生き方に一つの信じて進むべき道を見出していくことができた、といった感じで各々自身の人生に意味を見出し、誰かにために戦い満足して逝った様が美しいことにあるよな、と。こういう傍のキャラにも重厚で深みのあるドラマ性が与えられ、最後にグッと昇華させられるのはからくりサーカス(というか藤田和日郎作品全般)の良きポイントに一つなので、アニメにおいてもここを情感たっぷりに描いてくれたことには感謝するばかりである。最高
ある者達は互いの愛の下に寄り添い、ある者達は自身の人生に満足し命を燃やしていった中、人類の希望を背負い、勝はフェイスレス/白金の待つ宇宙へ向かう。
長らく続いた舞台の最終局面、どうか最後まで鷹揚のご見物を。
というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます
次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!
ではまた