ゾンビランドサガR(リベンジ)
第10話「ゾンビ達はどう復讐するのか SAGA」
感想レビュー
時は約1年前へと遡る。
伝説のアルピノライブ成功からの地獄の駅スタライブ失敗を経験したフランシュシュ、これはその2ヶ月間を描く物語...
という感じでスタートした今回。
今回の前半部分は、一見無謀とも思える3万人収容の会場でのライブという挑戦に全員で団結して挑むフランシュシュ、力及ばず見るも無惨な大爆死...そしてそこからの再起への決意、と2期第1話冒頭にてやたらコミカルにさらっと語られたのみに留まっていた駅スタライブ前後の出来事がより仔細に掘り下げられ、構成的にはゾンビランドサガR・第0話といった感じだったなと。
この過去パートは、2期第1話の借金返済に励むさくら達の様子からのフランシュシュ・巽幸太郎復活という鮮烈な展開に続く前日譚として、アルピノライブ成功で調子づいたことによる挫折、そしてそこから幸太郎に頼る部分の大きくなってきていた自分達の弱さに気付き、自分達の足で今一度立ち上がって自分達の力で新たに前へ進もうとするフランシュシュの皆の姿が描かれるという流れに熱く込み上げるものがあってなかなかに良かったし、これまでの本編においてメンバーやファンからさんざっぱら地獄地獄と語られていた駅スタライブの失敗がどれほどのものだったのかが実感として感じられた(デスおじがげっそり顔で「酷やろ...」と気を遣ってるのがさり気なくも凄まじくつらかった)という意味で非常に重要な話でもあったので、「リベンジ」をテーマに掲げる2期のスタートとして普通に第1話でやってても良かったのでは?と感じるほどにけっこう重要な立ち位置の話となっており、これはなかなか思い切ったなぁと感じました。
とはいえ、快活なスタイルとぶっ飛んだ展開でガンガン魅せてくるゾンサガの作風を思うと、シリアス分強めなこの話を第1話にせず、
冒頭を食品工場社歌の歌唱からスタートというイカれた形で飾り、ライブ大爆死というとんでもない大失敗があったんだよ!という物語としてだいぶ重要な事実を事実として印象付けつつもテンション感としてはめちゃくちゃ軽いノリで語って済ますだけ
というあまりにロックすぎる構成の話を第1話に据えて、明るく楽しむ方へ持って行ってたのは「ゾンビランドサガ」としては最適解だったな、とも思うところ。w 実際自分も第1話のこの辺りのテンション感は当時の感想レビュー記事にてこのテンション感を「そうそう、これがゾンサガだよっ...!」って感じでめちゃ楽しんでるので。w
でも実際細かく分析してみると、(後に再起・逆転が来ると分かっていたとしても)「挫折」のテイストの方がどうしても前に出てしまい暗くなってしまうこの話を2期の大事な第1話に持ってきていたら、良い滑り出しにしておきたい初回においてシリアスさの方が視聴者に印象付けられて話全体・作品全体の評価が今とは全然違っていたかも、とも思うので、そう考えると詳細について描写するのを後に回し、最初をカラッとしたコミカルさの押し出されたテイストに持っていったのは非常に気持ちの良い構成だったなと思いますね。
また駅スタライブ失敗の内容についても、出来事の詳細やその中でのさくら達の想いをこの終盤に振り返って描く形にしたことで、それらが「挫折から再起しこれまで頑張ってきたフランシュシュの『リベンジ』の大詰めを描く上での、その根幹を強く印象付ける溜め」として今回上手く機能していたと思うので、詳細の説明を最初に描かずとも良いとしたのも、構成上しっかり考えられて行われてたことだったのだろうと感じられるんですよね。
という感じで、個人的にこの辺は総じて視聴者も期待しているであろう1期のコミカルな作風の尊重や、軽めの説明でもきちんと噛み砕いて本編を追ってきてくれるであろうという視聴者の理解度への信頼といった様々な想いを持った上で繰り出したなかなかに巧みな構成だったのではないかなと思いますね。「ゾンビランドサガ」という作品が持つポテンシャルや個性を踏まえた白眉だなと
↓※2期第1話レビュー記事リンク
オラ、もう一回挨拶しろ‼︎ - AnDrew’s小生意気レビュー記
という感じで過去パートが描かれたのが今回の前半部分。なかなかに濃密だったなぁ...単発ごとのシーン的にも、
時折真面目な声色になって焦りを伺わせる幸太郎
自分のかつての死に場所に赴くことに自ずと強張る愛
そんな愛をサキが励ますやり取りから伺える2人の良い意味での悪友感(1期第6話の公園で愛がサキにだけ想いを語った時の出来事が根底に見える演出が実にエモーショナル)
など見どころが多くて実に楽しめました。
そして後半、時は現代へと戻り、かつての失敗の経験を経て復活し名を更に上げたフランシュシュと幸太郎が駅スタライブへの「リベンジ」を誓う様が印象深く描かれておりました。
調子づいたところからの大失敗という過去パートの詳細で濃密な描写を前半に見せたところで、今度は2期においてフランシュシュが様々な歩みを積み上げてきたことを追憶するシーンを挟み、以前にも増して躍進したフランシュシュならば駅スタライブリベンジも夢ではない、フランシュシュは佐賀の伝説となる、と幸太郎が高らかに叫ぶ流れに繋いでくる演出は実に熱かったなぁ。今度のライブが、かつての失敗を踏み台にして今一度立ち上がったフランシュシュの、奢りや無謀の無い確かな力を持った「リベンジ」なのだと強く感じられるのは、2期で描いてきたことの集約という部分も込みで我々にとっても凄く沁み入るなと。
かつての失敗を経て幸太郎がフランシュシュ全員の前で真面目な雰囲気で謝罪と鼓舞を行うという珍しい下りもあり、この辺も幸太郎の精神面の成長や、フランシュシュに対する信頼の積み上げは伺えて実にグッときましたね...落ちぶれへべれけていた巽幸太郎はもういないのだ Bパートでイカと一緒に漂着してカモメに服剥ぎ取られてたけど() あの下り今後の展開において何か意味があるのだろうか
そんな幸太郎がマスターと久しぶりに語らうシーンもあったけど、ここで2人の出会いや「ゾンビランドサガプロジェクト」なるものの詳細が語られ、物語もいよいよ纏めに入ってきたなという感じがしてきましたね。
2人の出会いは、12年前、病んでた幸太郎(もとい、乾くんと言うべきか)がマスターと出会い、人を生き返らせる術を持つマスターの話に乗った、とのことで、年代的にも12年前はさくらが事故に遭った年のことなので、さくらの死に絶望してた乾くんがマスターの話に縋ったのが発端、って感じだろうなこれ。やっぱ彼にとってはそこが一番重要だよなと
で、佐賀の地の呪いやら令和の始まりに佐賀が人々の記憶から忘れ去られ滅ぶやらといった不穏なワードがマスターから語られると共に、佐賀に繁栄をもたらすはずだったものの呪いで命を落とした少女達を甦らせてアイドルとして集め、佐賀の忘れ去られることのない象徴とする、という「ゾンビランドサガプロジェクト」の内容も明らかに。この辺、人々から忘れ去られんとしてる佐賀を繋ぎ止めるというのは、喜一のやろうとしてたことの延長という感じなのでなるほどという感じだけど、呪いとは一体、という謎がまだ残ってるのは気になるところ。愛や純子が佐賀で命を落としたのは、その呪いとやらによる何かの因果だったのか?という部分には個人的に物凄く注目してますね 「呪い」という表現は何かハッキリした概念的なものなのか、不幸だったこととかの例えなのか...
また佐賀に繁栄をもたらすはずだった少女達、というところで、愛、純子、リリィ少女...?()、ゆうぎり姐さん、そして一応サキと元々何かしらで名が通ってた人達がそこに当てはまるのは分かるし、さくらも名が通ってたかはともかく乾くん本人の望みあってこそ復活させられたんだろうとイメージできるけど、じゃあたえはなんなのだ、というのが凄く気になる...謎多きキャラだやはり でもこの辺も以前フォロワーさんが言ってた「幸太郎がさくらの墓から骨持ってきたつもりが、泣いてたか何かで間違えて隣の墓のたえの骨持ってきてて予定になかったけど復活させちゃった」という予想で片付いちゃうんだよな...w 12年前の幸太郎(乾くん)は病んでた、という情報も更にそれに拍車をかけたし...もうあの予想がしっくりき過ぎてて頭から離れねぇ()
またさくらの復活が一番の目的だったであろう幸太郎(乾くん)が佐賀を人々の記憶に繋ぎ止めるというマスターの話に乗っかって動いているのは果たしてどういう経緯か。おそらくは先祖であろう喜一が関係してるんかなぁ...この辺も含め最後まで目が離せない
そしてその幸太郎に接触を図ってきたのは、2期の準キーパーソンと言っても過言ではない、大古場さん。やはりというかなんというか、フランシュシュの真実を突き止め壁として立ちはだかってきたな...という感じで、この終盤の重要キャラとして身を乗り出してきましたね。
ただフランシュシュの真実を追求する理由が「幸太郎が死んだ少女達を無理矢理蘇らせ、私欲のために利用してるのではないか」という、純粋な正義感故に死者の冒涜を疑ってたかたらだったと知れたのは正直ちょっと安心だなと。これまでの様子からしても彼が悪い人じゃないのはなんとなく伺えてたけど、それ故に余計に「フランシュシュ大スクープ!的」な見出しでフランシュシュを社会的に苦しめるような立ち回りをする記者という感じに描かれて欲しくないと思っていたので、彼が志という点において彼が真っ当に真実を追い求めている記者であり、フランシュシュにも何かしら慮る気持ちがある人物であると示されたのは、自分的にもめちゃくちゃ好きな落とし所だったんですよねぇ 記者の鑑だ...
そんな彼だけど、上述した人柄的なとこを思うに幸太郎のもっと奥底の考えとか、フランシュシュ一同のアイドルとしての想いなんかをもっと深く知ってくれれば、あわよくば協力してくれたりもしそうなので、もしかしたらプラスの方向で終盤の重要キャラになるかも...!とも楽しみになっちゃいますね どうか信じて欲しい
多くの人々の想いが交錯し、駅スタライブのリベンジが近付くそんな中...
フランシュシュの屋敷が、海に沈もうとしていた。
そうはならんやろ(
なっとるやろがい!
大古場さんに記事上げられるどこじゃなさすぎるピンチが訪れてめちゃくちゃ笑ったんだけど、果たしてここからどうなるのか...本当にどうなるんだよ!!
以上、ゾンサガR10話でした。フランシュシュの過去の挫折とこれまでの道程を描いて、大詰めの「リベンジ」をより強く印象付けた最終章第1章という感じの回でしたね。さくら達や幸太郎のかける想いがグッと伝わってきたし、そこを描く上での制作陣の「ゾンビランドサガ」という作品にかける熱も見えた気がします。実に良き
そんなリベンジが近付く中迫る、(物理的に)最大の危機、フランシュシュの、佐賀の運命や如何に。
というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます
次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!
ではまた