AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

ハリボテ神座の崩壊

仮面ライダーセイバー

第40章「輝く友情、三剣士。」

感想レビュー

 

 

不完全な全知全能の書の力のソロモンと完全な力のクロスセイバーじゃあさ、もうソロモンに勝ち目なくない?

イザクがラスボス張るの厳しいのでは...?

「なんだァ、てめェ...?」

 

◇イザク、キレた!!

 

前回この上ない大敗を喫したことで、遂に大物ぶった余裕のメッキさえ剥がれ怒りのままに大暴走を始めたイザク。退場回なのもあってか相馬さんの演技が振り切りに振り切りまくっててとても楽しそうだったぞ!この一度突き崩されると脆い感じからして、イザクはやはりあくまで強大な力を拠り所として尊大に振る舞い、自分のプライドや欲望を満たす為に暴れてるにすぎないだけの小悪党というのが本質なんだろうなと感じられますね。

今回のイザクはなりふり構わず狂ったように暴れ散らして他者を貶す良い意味で見るに堪えない振る舞いをしており、追い詰められた彼の本性が表れ出ている感じでなかなか印象的でした。セイバー本編におけるこれまでのイザクの言動の見せ方って、狂ったように笑わせたり叫ばせたりと何かとクセ強めな演出過多になることが多く今回もテイスト的にはそういう感じだったんだけど、今回に関しては彼の余裕が崩れたことによる本性の露呈という形で上手くハマりイザクというキャラの魅力となっていたし、これまでのそういう言動に関してもイザクの本質が漏れ出ていたものだという解釈で結果的に意味ある形に収まったと思うので、なかなか良かったなと思います(でもやっぱり個人的にイザクの見せ方で好みなのは、悪趣味な言動で静かに狂気を印象付ける内田さんの描き方の方だったなというのは正直なところ。内田さん流のそうした描き方を主軸にしつつ、言動の節々に本質の小悪党的な部分を覗かせて最後の余裕がなくなったタイミングでそれを一気に解放して描く、くらいの質感で描いてたら自分的にはイザクはもっと魅力的だったかなと思う)

 

そんなイザクがワンダーワールドのルナを手中に収めようと動き出したのを止めるべく、セイバー・ブレイズ・エスパーダの3人ライダーが連携して応戦。

ルナを攫おうとするソロモンとそれを先回りし食い止める最光、その最光をソロモンが月闇諸共に御して武器とするといった息つかぬ攻防はなかなかにハラハラしたし、久方ぶりに集結と相なったセイバー看板トリオがソロモンを相手に立ち回る連携のシーンもカット割りやアングルがカッコよくて面白かったですな(強化の段階的には今だと格落ち感が出てしまいかねなかったゴールデンアランジーナも、電光のごとくすれ違い様にソロモンを斬る演出が非常のカッコよく想像以上の活躍をしてくれたのが良かったです)。二刀流ソロモンに対し3剣士の巧みな立ち回りに満を辞してのトリプルライダーキックとここら辺は今回の戦闘シーンの一番の見所かなと

 

戦闘の中、一時はソロモンの力によりブレイズとエスパーダが操られセイバーがピンチに陥るも、ここで賢人と倫太郎がそれぞれイザクの傲慢さを意志の力で否定し、その因縁と共に呪縛を断ち切る!と、ここの展開も実に熱かった。

賢人は自分に踊らされていた隼人とその息子である自身に対するイザクの嘲笑を、父がただ踊らされていただけでなく奥底で世界や息子のことを想い戦っていたことを知ったことによる心の強さで跳ね除け、隼人の信念も理解できず全てを自分の手の中で踊らせていたと自惚れるイザクを恨む価値もない存在と断じ、

倫太郎は愛する組織のトップとしてイザクを“神”のように深く尊敬していた自身(もしかしたら神代兄妹をはじめとした彼を称えていた組織の他の人々の想いも含めてたかも、とも)の気持ちを無視して踏み躙り、皆が称える神の座を捨て誰も信じ崇めてくれない見せかけの神の座へ1人で座ってただ1人勝ち誇った気になっているイザクの惨めさを否定する、

とそれぞれがイザクに対し抱く「父子の意志の翻弄」「組織への忠誠に対する裏切り」という因縁を起点として見事にイザクの本質を切り捨てる台詞回しはとてもカッコ良かったなと(自らの足を凍らせセイバーへの攻撃を止めるブレイズの覚悟の一手もベタだが熱かった!)。これまで散々イザクの悪質な遊戯に振り回されてきた2人がその因縁を乗り越え、この終盤にて精神的にイザクを打ち負かすカタルシスはまさに爽快の一言でしたねただ隼人に関してはそのためにやらかそうとしてたことがことなだけにちょっと正当化させようとしてる感は否めなかったかなーとは。まぁここは賢人が「その真意」を理解してること自体が重要だったわけだから凄く問題ってわけではないが

加えてクロスセイバーの登場によりただでさえ自身の絶対的な力の優位を崩され乱れるソロモンが、そのクロスセイバーを倒すために操り戦わせた2人から直々に、自身が全てを思いのままにした気になってふんぞり返っていたにすぎないこと、自分が真に皆から崇められる立場を捨ててただ1人でありもしない神の座に縋って満足していただけであることを指摘され、あらゆる面から自身が「神ではない」と否定されて怒り狂うという構図も実に痛快でした。ヨホホイ

しかもブレイズ・エスパーダのみならず最光も自力で呪縛を解き、そして先んじて操っていたデュランダルにも自分の見てないところで支配から抜け出される、と自分が大いなる力で支配しようとした剣士達を漏れなく支配しきれてないザマとなり、力での屈服さえも無意味となって、あらゆる意味で誰も彼に味方する者はいない状況になっているのもまた凄く皮肉で良き。物語の中心でふんぞり返り全てを思いのままにしてたと思ってる敵ってのはやっぱり、こうしてストーリー上にて意味ある形で全てを否定されてこそですねぇ

 

そして繰り出される新形態・フューチャリングセイバー。登場自体はちょっとあっさりめという印象で、もうちょい飛羽真・倫太郎・賢人の3人の関係にフォーカスした上で出して欲しかったかなというのはあるけど、上述の流れの熱さからの登場でもうお釣りが来るほどカッコよかったので無問題。どう見ても激熱コンボなのに烈火などの今までの聖剣によるソードライバー変身だと汎用音声にしかならず「なんでや!!!」ってなってたドラゴンライオンアランジーナのコンボをここで正当な強化に昇華するアイデアは素直に感服よね

そんなフューチャリングセイバーの力で遂にソロモンを完全打破。ここで約束の3人が久しぶりに剣を交え掲げる構えをやる、という流れはなんだかんだでずっと見たかっただけにグッときたね(芽依もあの時一緒にいた1人としてちゃんと加わってくる細かい演出も良き)

 

そしてフューチャリングセイバーに完敗したイザク、木っ端微塵にされたオムニフォースWRBを見て駄々をこねる子供のように泣き叫び狂い、流石に最早ここまでかと思われたのですが、這う這うの体で逃げ出した先で、必死に拾い集めたであろうWRBの破片をなんとか再生させ、まるで自分に言い聞かせるかのような、泣きじゃくるような顔と声で「自分はまだ終わってない。ここから自分の神話が始まる」と宣う、と自分の負けをどこまでも認められない姿を見せ、あぁ、もうコイツはどこへも行けないし誰とも相容れられないんだな...と思い知らされましたね。ボロボロの惨めな姿の自分を見下ろすストリウスに言う言葉が「神の御前だぞッ!!ひれ伏せェェェッ!!!」なのがそれを強調しててまた...

と、ここでそんなイザクをあっさりと手にかけ始末してしまったストリウス。残されたオムニフォースWRBを拾い上げ、「これからの物語は美しい結末のために自分が紡ぐ」と、今までとまるで違う雰囲気で宣言し...というところで締め。やっぱりラスボスに躍り出てきたなストリウス...!

こないだも賢人が月闇で見た未来の中からストリウスの存在を思い出し、何かに気付いたような素振りを見せてたことがたしかあったけど、一体どういう存在なんだろうかアイツ。次回がタッセル視点の始まりの物語に触れる話みたいだけど、ストリウスだけ他のメギド幹部のように精神に変化が起きてないっぽいこととか、先んじてイザクと接触してたこととか、色々語られるのかな。楽しみ

 

 

以上、セイバー40話でした。いよいよ40話大に突入し、イザクも撃破と相なったことで大詰め感が出てきましたな。そんな節目をイザクの本質の怒涛の掘り下げ、イザクに対する剣士達の強い意志が織り成す反撃で熱く描いた実に燃える回でしたね。イザクに関しては今までの小物じみた言動も含め、しっかり存在感抜群の悪役として昇華された感がありとても満足。悪趣味で惨めで、しかしどこか人間臭い様が光る敵キャラだった 南無

その他の部分では、ルナがワンダーワールドそのものと言える存在である、とその正体が語られ、そのことを知ったルナが自分が飛羽真と繋がることが飛羽真を仲間達と引き離してしまうことに気付き苦悩する、という一幕があったのが興味深いところ。なかなか掘り下げられなかったルナの背景や心情がようやく物語に大きく掛かってくるのかなと

そして遂にラスボス候補筆頭へ躍り出たストリウス。彼が一体ここから何を為すのか...その背景やいかに...期待して見てみたいところです

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた