AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

どけ!!!俺はお兄ちゃんだぞ!!!

仮面ライダースペクター×ブレイズ

感想レビュー

 

 

※本レビューはネタバレを多分に含みます。未鑑賞の方はご注意ください。

 

 

今作は「仮面ライダーセイバー×ゴースト」の直接の続編となっているので、予めそちらを視聴するのをお勧めするぞ!ついでに↓のセイバー×ゴーストのレビューも見ておくと良いかもね!(ステマ)

剣士と幽霊がぁ、デアッタァ...(ウルルン - AnDrew’s小生意気レビュー記

 

2大ライダーの奇跡の共闘により、ダントン一派の残党と自称兄デザストからカノン...もといコピーカノンが助け出されたものの、タケル殿の追跡を免れたダントン残党の2人組にコピーカノンが再び連れ去られるという物凄く気になる引きで終わったセイバー×ゴーストから続く形で、更なる暗躍を見せるダントン残党と、それを追って人間世界へと本物のカノンがやって来るところから話はスタート。前作の時点だと黒い装束のカノンは本物が半洗脳状態にされたとか何かかと思ってたけど、ダントンの工房から連れ出されてたクローン数体の1人って感じだったんだねぇ

 

前述した通り、前回はお目にかかれなかった本物のカノンが今回満を辞して登場。影を纏った幸薄そうな感じや善悪の区別がつかない子供っぽい雰囲気の濃かったコピーカノンとは喋り方や佇まいが全然違う感じになってて工藤美桜さんの演じ分けが見事でした。当時の末っ子感強めな感じから打って変わって、時を経て相応の大人びた雰囲気も出ており、成長したなぁ...となんか親心が出てしまう(何様)

今回のカノンはかつて兄・マコトが自身の真実を知って苦しんだ出来事を想って、コピーカノンにまつわるこの一件で同じ苦しみをもう二度と兄に味わわせたくはないと1人で問題を解決しようとしており、カノンも自分なりにダントンの一件を深く受け止め向き合おうとしてたんだなぁ...となんとも言えない気持ちになる。因縁じみた関係を持つ自分の分身とも言えるコピーカノンを「姉妹」と呼ぶ様からも、彼女への微かな愛情のような気持ちを含んだ複雑な内面が感じられるのがまた...

そういう人格的な部分でもカノンの成長というのが窺えた一方で、今回の一件を1人で解決しようとしてる理由が今までマコト兄ちゃん達に守られてばかりだったことへの負い目故でもあったり、勇んで飛び出して行きコピーカノンと向き合ったは良いけど彼女達をその後どうしてやるべきかを考えていなかったことに後からはっと気が付いたりと、背伸びして兄に追いつこうとしてる一面や勢いが優先されて物事の深いところまでは思考しきれない一面なんかが随所随所で描かれていて、精神的な成長に関してはまだまだ気持ちの方が早ってしまっていて大人になりきれてない部分もあるなと思ったり。こういうところにはかつての末っ子感あるカノンっぽさが感じられて、少し懐かしさもありましたね

 

そんなカノンが実力及ばず苦戦し心が折れそうになる中妹のピンチに駆け付けるは、最強のお兄ちゃんにして、平成2号ライダーの申し子なる(褒めてるのか貶してるのかよく分からん)称号を持つ男、仮面ライダースペクター/深海マコト!ジオウでの客演が記憶に新しいだけにさほど久しぶり〜!!って感じでもないけど、こうしてしっかり物語の中心に据えられるとなると一気に存在感が増して良いですな

出番的には話の後半に入ってからの登場なので決して多くはなかったものの、妹カノンに対し彼女の決意を汲みつつ兄としていつでも頼ってくれれば良いと優しく支える様は安定感があってカッコ良かったですね しかし数年経っても相変わらずあの独創的なジャケットを見事に着こなしてるマコト兄ちゃん、というか山本涼介さんの端正な顔立ちとスタイルの良さ改めて素晴らしいなと...
そういえばカノンの回想において、眼魔世界で人々を特殊な力で癒し支えるマコト兄ちゃんの姿が描かれていたけど、あれって小説仮面ライダーゴーストの後日談パートで描かれていたVシネ後のマコト兄ちゃんの活動の様子そのまま(シンスペクター覚醒後にそういう力に目覚め各地を転々とし人々を救ってる、的な感じだったと思う)だったので、ここを拾って映像化してくれたのは何気に嬉しい。カノンがアランと結婚しててアランのことを呼び捨てにしてることも小説から拾った要素(あとアラン外伝でも小説より早く描いてたらしいです)だったしね。アランとカノンの結婚に関しては小説読んでない人がそれなりにいたみたいで驚愕の声が多く見られてましたね。「小説仮面ライダーゴースト」はゴーストファンは勿論TV本編にハマりきれなかった人も必見の作品なので是非に読んだ方が良いですよー!

 

そんな深海兄妹を取り巻く形で立ち回っていた今回のスピンオフのもう1人の主役・倫太郎も、「姉妹」としてコピーカノンに相対するカノンの複雑な心境を感じ取った上で、彼女達のことを慮って「家族ならば一緒にいるべき」と端的に真理を突き、コピーカノンに対しどうしてあげるべきかの答えをさり気なく示すという粋な活躍をしていて良かったですな。倫太郎自身はカノン達の境遇を深くは知らないので彼女にかける言葉は微妙になんかズレているというちょっとコミカルな感じを含みつつも(この辺初期の天然が少し入った倫太郎感があってなんか良かった。w)、「家族」というものを誰よりも大事に思っているという側面があるからこその真っ直ぐな響きもこもっていたのが絶妙で、ここは倫太郎の境遇やキャラクター性を上手いことカノン、というか深海兄妹に絡めてきた作劇として白眉だったなと。それでいて、ラストに飛羽真や芽依が彼の「新しい家族」として倫太郎に寄り添うというところまでちゃんと描いてたのもグー

2作品の2号ライダー共演作としての意味をちゃんと創出している、というのは当たり前のことながらも、しっかりそこが押さえられてるのは評価高かったですね

 

にしても前回、俺はお兄ちゃんだぞ!!と言ってやりたい放題大暴れしたデザスト、今回も俺はお兄ちゃんだぞ!!!!と主張して話や戦闘に迷惑にも乱入した挙句、仮にも前回は共闘してたダントン残党組をコピーカノンを吸収しやがるからという理由で攻撃したり、コピーカノンが全員(一時)吸収されたので興醒めして撤退したりと、やっぱりやりたい放題してて笑った。w トリックスターとして便利すぎる()

コピーカノンには作られた存在として惹かれる一方で、カノン本人のことは「ただの人間」として興味を持たない、という言動が図らずも、同じ出生ながらも色んな経験を得て立派に「人間」となったカノンのキャラクター性を深める形になってたのはなかなか面白かったですね

 

そして戦闘パート。カノンが仮面ライダーカノンスペクターなる新ライダーとして参戦する展開は意外すぎたな...!スペクターよりも顔のパターンの尖り方が抑えめだったりするおかげで表情が気持ち柔らかに見えるマスクや妹眼魂を意識した感じの白+ピンクのカラーリング、ムゲンゴーストのパーカーを袖無しで裾が長く良い感じに女性的なシルエットに見せるよう流用した感じのデザイン性など、なかなか凝ったデザインで良きでした ちなみに工藤美桜さん、これでライダーと戦隊両方に変身した初の女性キャストになったそうです おめでとうございます!

そんなカノンスペクターを交え、スペクター、ブレイズが織り成す3ライダーの戦闘では、ブレイズがスペクター激昂戦記のWRBでブレイズ・スペクター激昂戦記に変身。デザイン的にはほぼディープスペクターのパーカーをブレイズに被せただけみたいな感じなんだけど、これが思いの外収まりの良い感じでカッコ良かった。1発1発が重いラッシュを連続で繰り出すスペクター特有のボクシング的なファイトスタイルを盛り込んであったりと魅せ方も上手かったね

しかし音声読み上げで「この動物(※汎用音声)」呼ばわりされてるけどマコト兄ちゃんそれで良いのか。w まぁこのブック寄越したのはタッセルなんだけども マコト兄ちゃんもマコト兄ちゃんで、突然現れてWRB渡してきたおっさんを「派手な格好の人で済ますんじゃない()

大ボス怪人相手のバトルではスペクターがシンスペクターに変身!シンスペクター好きなのでここはめっちゃ嬉しかったね。グラトニーバイトとラストバレットをVシネの時と同じ演出で繰り出してコピーカノンを救出しつつ大ボスに大ダメージを与えたり、カノンスペクターと共に兄妹Wライダーキックを繰り出したり(2人とも翼を大きく広げた構図が綺麗)と、演出も良い感じに見たいものを押さえてくれてて満足でした。にしてもシンスペクターの技2種類食らっただけで大ボス怪人がかなり堪えてた辺り、エヴォリュードの耐久と再生はイカれてたな...と改めて(シンスペの技見た目的にどれもそれぞれが致命傷レベルの威力してるもんなぁ)。

 

かくして事件は収束。ここで「カノンがいっぱいだぁ〜」を擦ってくるのはまー正直ちとあざとさはありつつも、コピーカノンを家族として深海兄妹が受け入れる、という今作の締めとしてそこはかとなく気持ち良い感じに使ってきてるのが若干上手くて腹立つ。w

前作ではセイバーOPをED曲としてたけど、今回はゴーストOPが流れてましたね 「我ら思う、故に我ら在り」、こういうしっかり綺麗に収まった時に流れるとやっぱ気持ち良さがとても大きいなと 久々に作中で聴けて良かった

 

しかしダントン残党組を動かしていた謎の男は未だ倒されず。奴は裏で密かに怪しい笑みを浮かべており...

 

以上、スペクター×ブレイズでした。内容的にはカノンをメインに据えつつも、マコト兄ちゃんと倫太郎の絡みもきちんと意味ある形で物語に落とし込んでおり、キャラクター描写が細かく楽しかったですね。戦闘シーンも目を見張る演出やサプライズ性多しで満足度が高く、総じて前回と併せ面白いコラボスピンオフだったなと。

しかし不穏な影を残して終わったあたり、まだまだ続きはありそうな予感。大方の予想はやはりエスパーダ×ネクロムなわけですが果たして。期待したいですな

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた