AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

クスリで見る幻覚ってガチめにこんなんかもしれない

機界戦隊ゼンカイジャー

第19カイ!

「ゼンカイ改め超ゼンカイ!」

感想レビュー

 

 

キカイノイドの間にもスパの文化あるのが何気に凄く意外(

 

あらゆるものがカブトムシに見えるようになり、子供のごとく無邪気に虫取りに興じるようになってしまう状態へと人々を堕としてしまうカブトムシワルドの力により、街の人々やゼンカイジャーが幻覚の森でカブトムシを追いかけ回し始める状態へと陥る大ピンチが展開された今回の話。カブトムシワルドの術中に嵌まると共にみんな一様に麦わら帽子に白タンクトップ、短パン&虫カゴ・虫取り網装備の夏休みの子供スタイル(女性はマジーヌ共々白ワンピスタイル)へと変貌し、底抜けに陽気なテンションで幻の中でカブトムシを仲良く追いかけ回し始める、という絵面がとてつもなくシュールでめちゃくちゃに笑った。w しかも、カブトムシ=ビートル繋がりでビートルズの「アビイ・ロード」の横断歩道渡ってるジャケットのパロディ演出をしれっと入れてたり、ジュランが「翔さんも大喜びだぜ!(翔さん=多分相川翔さんのこと。相川翔さんはカブトムシ大好きで有名)」って台詞入れてたりと、細かいとこでカブトムシに因んだ小ネタ入れてると他の視聴者さんのツイートで知って余計に草生えたし() (これでもゼンカイ基準だと割と大人しいなとか若干思ってる自分の慣れが怖い

...でも、後になってよくよく考えてみたのですが、この大勢の人間やキカイノイドが空き缶やら他の正気な人間やらをカブトムシと思い込んだり自分達が森の中にいると思い込んだりして、いもしないカブトムシを捕まえようと子供のようにはしゃいでる絵面って、ぶっちゃけた話、街のど真ん中で大の大人達が揃って幼児退行スレスレの幻覚キメてるも同然の光景とも言えるので、見かけのシュールさに反してなかなかゾッとする演出でもあるな...とか思ったりしましたね...第11カイのオニゴッコワルドの鬼ごっこ地獄もよく見ると割と見た目の面白さに対しえげつなさが凄いよな、なんて思いましたが、それをも上回る隠れホラーテイストを感じたぞ...ギャグやりまくりの作品でたまにこういうのをそっと仕込んでると、気付いた時良いアクセントになるので好き

 

と、意味が分かると怖い能力のインパクトがデカいカブトムシワルドでしたが、オーソドックスな日本のカブトムシをメカニカルにした頭部に加え、右腕がヘラクレス(ネプチューン)の上下2本角、左腕がコーカサス(アトラス)の3本角とだいぶカブトムシモチーフに凝ったデザインになってて個人的にはビジュアル的にもなかなかお気に入りの怪人。最近全体的に見てもワルドのデザインは凝ったものが増えてきてて、一般怪人好きな身としては満足だぞ

 

今回は後半に入るくらいまでゼンカイジャー一同が使いものにならなくなってたのでゾックス/ツーカイザーが主だった戦闘を担っており、最近微妙に不遇だったのをちょっとずつ取り返そうとしてるな?とか冗談混じりに思ったり。w もう能力かかってるから関係ないよね?って理屈でゼンカイジャーや一般人を盾がわりにしてカブトムシワルドの光線を防ぐのだいぶ鬼畜で笑ったけど、ゾックスならではのアウトローさが久々に見られて面白かったですね 実質的に味方化してからのイメージを崩さない絶妙な塩梅だったのが巧い。

 

そんなカブトムシパニック(???)が発生する中、トジテンドでは前回のラストに介人の両親の写真を見て何かに気付いたステイシーくんがイジルデの研究室で介人の両親の姿をした謎のAIらしきデータにアクセスする、と本筋に大きく絡んできそうな展開が。これらの一連の描写を見るに以前予想した「ステイシーくんは五色田家となんらかの血縁あるのでは説」は別に当たってなさそうですな

物語の大きな軸の一つだった「介人の両親がトジテンドに囚われているのでは」はある意味証明される形となったけど、これ2人は今どういう状態なんだろうか...という謎が新たに出ましたね。現状はイジルデが彼らの知識や技術を今もいいように利用してる、ってので概ね合ってるだろうけど、2人はもう人間的に死亡しててその意識や知識だけがデータとして残ってるのか丸ごとデータ化されて閉じ込められてるとかなのか、その辺がどうなのかによって介人が今後曇ってしまう可能性があるから猛烈に気になるぞ...ゼンカイの作風的には後者であって欲しいところ。前者でも介人は最終的に前を向くだろうけどゼンカイでそれ見るのはちょっと辛くなりそうだし...

その介人の両親のデータにアクセスし呼びかけるステイシーくん、心境的にはやっぱりヤツデ婆ちゃんの為になりたいと思ってる...というか、家族がトジテンドに監禁されているという彼女を悲しませるような事象が存在することを少なからず心苦しく思ってるのがあるのかなぁと。第16カイでの行動もヤツデ婆ちゃんの存在がフックとなった故の実質的な裏切り行為だったし、やはりそこはステイシーくんにとってかなり大きく影響してるんだなぁ。母の面影を感じる人物を傷つけたくない家族愛の発露、なのだろうか

しかしそうやっておそらくはヤツデ婆ちゃんのために頑張ってるだろうに、介人の両親データの覚醒を促そうとして繰り出した渾身の完コピゼンカイザーの名乗りポーズが不発に終わるの、あまりに不憫すぎてステイシーくん、マジステイシーくん。() 誰も見てなかったのが救いか...でもじわじわとゼンカイ時空に毒されてきてて嬉しいですねぇ〜(邪
しかしステイシーくんが去った後、何がキーとなったのか、介人の両親のデータは突如目を覚まし...てかここのシーンの2人のデータの覚醒の絵面、目を開いた後の2人の瞳がハイライト無しの真っ黒だから何気に超怖い。そんなとこで脅かさないで(

 

一方のピンチ真っ只中のゼンカイジャー一同、未だ幻覚が解けない中、介人が楽しいカブトムシ捕りに幼い頃の両親との思い出をふと重ねたことで思いがけず復活、カブトムシワルドを倒すべく戦線復帰、という展開と相成りました。両親の奪還も含めてトジテンドの打倒を使命としている介人が、両親の思い出を小さなきっかけとして自発的に敵の見せるまやかしの悦びを脱するのは介人の両親への思い入れも感じられて熱いですね(それを「両親が『助けてくれた』」と表現するのも、その思い入れをより強調してて良い台詞回しでしたね)。

ちなみに介人が両親との大切な思い出をきっかけに両親がトジテンドに監禁されている現状を思い出し覚醒する流れについてある視聴者さんが、「これって昔に良い思い出なんて無かった!というところから敵が促す懐古の感情を打ち破った第15カイのキカイノイドの描写と『今と昔への思いの違い』という点から凄く対照的な描写になってる」と仰っててこれはなるほどなと唸りましたね

 

そしてカブトムシワルドとの戦闘の中、セッちゃんがデータを受信、それを基にフリントが設計、という流れで生まれた新装備「ゼンカイジュウギア」を使用し、ゼンカイザーがスーパーゼンカイザーへと強化パワーアップしました。

ロボを等身大で活躍させるというゼンカイジャーのコンセプトに倣った、ゼンカイザーもロボ化させたろ!という考えでゼンカイザーのイメージをガラッと変化させた(というか顔が出てるくらいしかもう原型が無い)ビジュアルに最初は驚きましたが、いざ実戦となってその戦う姿を見ると、ゴツめの体格に反したワイヤーアクション多用のアクロバティックさとパワフルさが同居したファイトスタイルがとてもカッコよく、「動けばカッコいい」の通過儀礼が見事当てはまる形となりました。ドラゴンシーザーモチーフのシルバー主体のストレートな重厚感溢れるロボのシルエットがガツガツアクションすると気持ち良いんですよねぇ 必殺技「超ゼンカイスーパーバスター」も、空中に主武装の槍を放り投げてる間にギアトリンガーで必殺技を起動→槍の落下と同時にビーム砲をぶっ放し、強力なエネルギーを纏った槍の刺突を敵に見舞う、という良い感じに外連味の効いた派手な演出が超絶カッコよくて一気にハマっちゃいましたね 挿入歌も上手くマッチしててテンション高めに戦闘を楽しめたぞ

にしてもゼンカイジュウギアのデータをセッちゃんが受信したのは流れ的にも多分前述した介人両親のデータの覚醒がきっかけだと思うのだけど、それを思うと両親のデータが意図したにせよしてないにせよ、強化アイテムを贈るという形でまたも介人を「助けた」形になってるわけで、これはなんともグッときますね。介人覚醒の流れとさり気なく文脈が繋がるのが見事でした

 

こうしてカブトムシワルドは無事撃破。サイズ感が狂いそうになる巨大戦(森の中にビルのミニチュアおっ立ててロボ戦行うの斬新すぎて面白かったw)も勝利で終わり、介人やヤツデ婆ちゃんも両親が助けてくれたことを感じ取る、というところで締め。介人に礼を言われてちゃんと返事する辺りに可愛げを見せつつ、ゼンカイジュウギアしれっと2個作ってたと分かって抜け目なさも見せつけてくるフリントが最後に良い存在感出してました。w

 

 

以上、ゼンカイジャー19話でした。集団幻覚って怖い(こなみ)。介人の両親の行方について若干の不穏さを匂わせつつも、介人の覚醒やスーパーゼンカイザーへのパワーアップの流れの中に、介人と両親との繋がりという文脈をしっかり描き出す作劇が熱かったですね。スーパーゼンカイザーもカッコ良きでした

ステイシーくんの方も色んな意味で変化が目立ち始めてきた感があり、今後がますます気になるところ。

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた