AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

剣士の決戦前夜

仮面ライダーセイバー
第44章「開く、最後のページ。」

感想レビュー

 

 

四賢神、雑に強くしすぎじゃない?(酷

ストリウスとの最終決戦という大一番において新しいビジュアルの敵が出てくるのは嬉しいし、ソードオブロゴスを司る存在の一角である故に剣士達の剣技を網羅する四賢神がめちゃんこ強いという理屈付けは上手いところだけど、あまりにポンと出してきてそれで雑に強いもんだから唐突感は否めなかったし、そうでなくても四賢神自体劇中での印象が薄すぎるせいで「まさかここでアイツらが...!?」みたいな衝撃も薄いしでちょっと印象付けとしてはビミョーだったかなと。(次回出るみたいだけど)ここは素直にズオスとレジエルを傀儡として強化復活させてけしかける的な演出の方がかえって衝撃度は増したような気もする 設定だけ提示されて間もなくイザクの口から始末されたことだけ語られて退場、というアッサリさはイザクの酷薄さを強調しててポッと出なりに効果的な要素として機能したなと思ってたんだけど、気を利かせて再登場させたことでそのアッサリさの皺寄せが出ちゃったな...という感じでした

あと今知ったけど、なんでそんな四賢神がイザクにやられたのかという理由が東映の公式HPにしれっと記載されてたみたいです。だからセイバー公式くんそういうとこry

セイバー 第45章:「十剣士、世界を賭けて。」 | 仮面ライダーWEB【公式】|東映

※追記(2021/08/01)

コメント欄で四賢神がイザクにやられたことについて「ストリウスの『全盛期以上の力を与えた』という台詞からも(イザクにやられた頃の四賢神はそうではなかったということを)察することは可能だと思う」との補足をいただきました。これに関してはたしかに観ていても最低限察することはできたので、なるほどなと。非常に参考になりました。この場で重ねて感謝を。

 

ストリウスが仮面ライダーストリウスへと変身し世界を破滅へ導かんと大きく動き出し宣戦布告してきたのを受け、剣士達が各々の決意を固め最後の戦いへと赴いていくまでを描いた今回。2週間ぶりのガビガビ声に妙な懐かしさを感じさせられてしまったストリウスもとうとう仮面ライダーになっちまいやがりましたが、開いた本がそのまま仮面になってストリウスの顔に貼り付いたような顔面のデザインはセイバー達剣士とはまた違ったデザイン性ながら「物語」というセイバーのテーマ、およびストリウスが司る属性にマッチしていてなかなか面白かったですな

 

ストリウスの力を目の当たりにして剣士達が思わず萎縮してしまう中、「未来は変えられる」という賢人の一言が一同を奮い立たせる下りがありましたが、月闇の予知に惑い続けた中盤の迷走期を乗り越えた賢人が自らこういう台詞を放って皆を奮起させるというのは素直に熱い流れでしたね。セイバーのストーリーを通しての賢人の成長を強く実感することもできたし、クライマックスに差し掛かったこのタイミングでの賢人というキャラクターの物語の一つの極致を見られたなという感じでグッときた

 

尾上さんは家族との日常を過ごし、大秦寺さんは聖剣の調整に勤しみ...とそれぞれの剣士達が自分らしく最終決戦前の時間を過ごす流れの中で、一番に目を惹いたのはやはり蓮が前回(第43章)のデザストとの戦いを経て得た答えを示す場面だったなと。互いの存在を証明するためのデザストとの一騎打ちで刃を交えた虚無をデザストの形見のように手にして流離い、組織には戻らず自分の道をゆくという答えを示しつつも、デザストという存在がここにいたことを証明し続けるという「世界を守る理由」ができた、と賢人に自身の信念を伝える流れは蓮が立派に1人の人間として進む道、1人の剣士として貫くべき信念を見出したのが窺えてとてもグッときたわね

蓮がいつみんなの下へ戻るんだろうというのはずっと気になっていたところではあったけれど、組織という枠組みに収まらない生き方をゆく存在として我が道を行きつつも、答えを得たことでその信念は他の剣士達と同じところへと通じた、という形に収まったのは結果として破天荒な蓮らしいところに収まってなんとも味わい深かったです。こういう感じで他のキャラとはまた違う形に収束していくキャラが1人いるだけでも群像劇はグッと深まるなと。

しかし剣士達の最終決戦前の様子の中で、倫太郎が芽依に「戦いが終わったら聞いてほしい孤とがある」的なおもくそ死亡フラグみたいな発言してたのがごっつ不穏。まさか本当に死なないとは思うが

 

そして最後には、自身の選択によって世界の命運と飛羽真の運命が大きく左右されてしまうことに葛藤するルナに飛羽真と賢人が向き合う、という幼馴染み3人での絡みがしっとりとした情緒溢れる演出の下に描かれました。急にルナが大人の姿に成長するという唐突すぎる流れがぶっ込まれたせいでちょっとふふってなっちゃってその後の展開にあんま集中できなかったりはしたけど、ルナが見た目飛羽真達と同じ姿になったことでなんとなく会話の空気感は自然になったしこの采配自体は個人的にアリ 設定・演出的な意味合いで子供の姿にしてたのはともかくやっぱ絵面的にはこっちの方がナチュラルで見やすいとは思う

半分喧嘩別れだったことやあの事態の中で救えなかったことなど、飛羽真もずっと言えてなかった約束の日の一連の出来事に対するルナへの想いを謝るという形でやっと伝えられて、ルナも自分をまた見つけてくれた飛羽真を優しく受け入れる、とここの流れは沁みたね

今思ったけどルナが飛羽真・賢人と共に久方ぶりに触れ合う流れの中で大人の姿に成長したあの演出は、子供の姿のままだったルナがまた飛羽真達と同じ時間を共に過ごしたことで、今まで失ってた幼馴染3人の時間を取り戻した、的な意味合いを込めたものだったのかな...とか思ったり

 

こうして剣士達は一同に集い、決戦の地へと赴いていく...という絵面で締め。朝焼けの中を戦士達が共に歩いていく、というなんともベタな最終決戦前的な演出だったけど、剣士達が信念を胸に一つにまとまっていく流れを曲がりなりにも描いてたセイバーらしい熱い画ではあったかなという感じですね。ただあくまで個人的な感想としては、これまでのストーリーの流れがより上手くまとまっていてもっとセイバーという作品への没入度が高かったらこの展開もより燃えられたんだろうなー...と思ったところは正直あり。絵面や展開自体は決して嫌いなんてことはないけれど、自分としてはキャラクター一人一人やストーリーへの愛着が高いからこそ燃えるものではあるのでね...惜しいところであった。そこをグッと高めるためのキャラクター1人1人のフォーカスした今回の展開だったとも言えるけど

 

 

以上、セイバー44話でした。最終決戦を前にした剣士達の姿を各自の経てきた物語の昇華という形でドラマに乗せて描き、クライマックスへのテンションを上げてきた回だったなと。なんだかんだで群像劇的な面をしっかり活かしてるのは好感である

もう残すところ4回だけど、この中で何を見せてくるか、期待したいところです

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた