AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

誰かの想い 自分自身の想い

機界戦隊ゼンカイジャー

第22カイ!

「ウシシなモ〜れつ闘牛会!」

感想レビュー

 

 

えるしつているか

黒騎士は

牛に懐かれる

ゴウタウラス要素だけで決めたよね?()

ビッグワンの権力といいツーカイザーのレジェンド能力使用はたまに用途が限定的すぎるんだよなぁ...w

 

僭越ながらちょっとした豆知識なんですが、闘牛は赤色に反応して突進してくるわけじゃなく、布のひらひらとした動きに反応して突進してくるんだぞ!(そもそも牛の目には物が白黒に見えてるので色の区別はついてないらしい)

でも「赤に突進する」はもう闘牛の特性として記号的に定着しちゃってるから、がっつり動物の特性とか扱う作品ならともかく概念的な闘牛をモチーフとして扱う作品ではその認識を矯正してくのはほぼ無理なんやろな ま仕方ないね

 

トウギュウワルドとの戦いの中でゼンカイジュウギアがやって来なかったことから浮上したゼンカイジュウギア家出疑惑を発端に、その原因になったと思われるガオーンとその態度に堪えかねたジュランとの間に軋轢が生じる...というスタートとなった今回。ガオーンの機械に厳しくそれ以外の生き物達に優しい(甘い)一面が仲間を危険に晒すという事態は第7カイでも描かれ、そこではガオーンの彼なりのキカイノイドへの信頼と言える想いが窺えたことで一旦は収束したけど、今回ガオーンのある種差別的とも言える態度が相手を傷付け、引いては仲間全体を危険に晒したのではないか?的なちょっと生々しいテイストを内包して改めてグッと踏み込んできたのはちょっと驚きでしたね。なまじ仲間の身が関わってるだけに感情的になってたとはいえ、ゼンカイジュウギアと同じことを人間の子供がやったら同じように咎めたのかとジュランが詰め寄るシーンの圧はなかなか強烈なものがあったなと。レイシズム的な考えとまではいかずとも、自分の価値観の下で気に入らない相手などに対し他よりもきつい態度を取ってしまう的なことは大なり小なり現実の自分達にも当てはまり得る話なので身につまされる想いになる描写だったと思いますね ガオーンがゼンカイジュウギアをもっとどぎつく叱るくらいのテイストで描いてたらより引き立ってたかもだけど作品の性質的に流石にそこまで生々しくは踏み込めないか こういう身の周りのひょんなことを取り上げることで気付かせる的な意味合いもあったかもしれないし

 

そしてここから、そんなジュランの言葉を受け苦悩するガオーンがキカイノイドの子供が転んだのを見て反射的に心配しようとした自分に気付いたり自分と壁を作ることなく接してくれていたジュランをはじめとしたキカイノイドの仲間達の優しさを思い返したりしたのを経て、自身の心の中に存在していたキカイノイドへの嫌悪的な感情という壁を取り払い、自らキカイノイドへと一歩歩み寄るという流れへと繋がるのが非常にグッときたところでした。ガオーンのキカイノイド嫌いな性格は正直多少なりと軟化はありつつも基本的にはブレない方向でいくと思っていたのでここで大きな変化を描いたのは少々驚きでしたが、これだけしっかりとガオーンの内面の変化の過程を丁寧に描いて魅せてきただけあって凄く納得度が高かったですね。飛んでったボールを取りに来たキカイノイドの子供に目線を合わせ優しい声色でボールを手渡すとこは本当に優しくて思わず涙腺が緩んじゃったし、操られて暴れるジュラン達を身を呈して傷つきながらも押さえ込む姿には、キツいこと言ってきた分の返しを自分も味わうという覚悟や、人間達のために発揮していた「キカイノイドだからこその頑丈さ」を初めてキカイノイドのためにも活かした漢気が感じられてグッときたし、と今回のガオーンの精神的な前進は凄く響きましたね...大きな一歩だよ

これまでにジュラン達と積み重ねてきた交流の中で彼ら、引いては自身が嫌っていたキカイノイドという種族に対しいつしか芽生えていた慈しみ=「内から来る愛」と、共に戦う仲間としてジュラン達が純粋に向けていた友情、他のキカイノイド達が分け隔てなくガオーンへと向ける友愛=「外から来る愛」の両方をガオーンが自覚し溶け合わせることで意識を変化させる、というこの一連の展開は、これまで色々ありながらもガオーンがジュラン達と過ごしてきた時間があってこそ強く響くものであり、ゼンカイジャーの物語全体をガオーンの成長へとギュッと集約・昇華させていく非常にロジカルで情感溢れる作劇として凄く今回の白眉だったなぁと凄く感嘆。知らない他者や世界と交わることで何かを得て変化していく、というのは本作のある種のテーマと言えますが、そこにしっかり向き合った実に熱い流れでしたね。ここは香村さんの作品テーマへの真摯さと構成の巧みさが出たなぁと

ジュランの方もガオーンにきつく灸を据えたは良いけど、ゼンカイジュウギアが来なかったのとはガオーンとは関係なかったみたいと知ってガオーンの性格が全部の原因と断じたことを反省して、ガオーンと和解しグッと絆を深める流れがあり、ジュランもジュランで「ガオーンだし」みたいな偏見があったことを自覚し恥じる下りがあることで、特定の誰かに大きな非があったわけではないけど一方で反省すべき点もありそれを省み合うことでより気持ちが一つになる、という気持ちの良い構図になってたのも巧かったです なんかゼンカイジャーが長いスパンをかけつつちゃんと「戦隊」としてまとまってきつつある感じが感慨深いね...

からのダイトウギュウワルドとの巨大戦。「日本の闘牛は黒毛和牛だトウギュウ!」という普通にタメになる豆知識と共に街を焼肉の網の上というフィールドへ変化させ(そうはならんやろ)、網の下からの炎を燃えたぎるマグマのように見立てることで赤い炎の光に照らし出されるゼンカイジュウオーとダイトウギュウワルドの二大怪獣の戦闘をパワフルに描くというなんとも乙な演出がカッコ良かったですな 焼肉の炎で照らされてるだけなんだけども()

デカい焼肉屋の換気扇でゼンカイジュウオーの攻撃を吸い取るとかいう絵面は完全にふざけてるけど地味に強敵なダイトウギュウワルドとか、ゼンカイジュウオーが玩具ブログで半公式的に発表されるに留まってた轟獣ドリル型の戦闘艦形態を披露するサプライズがあったりと、見所多めな楽しいバトルでした。

 

そんな一方、サトシくん...もといステイシーくんの動向も今回描かれていたけど、交流を経てきたヤツデ婆ちゃんへの思い入れがある故に避けてきていた介人との決着に遂に本腰を入れ始め、最後のひと時と言わんばかりに訪れたカラフルでヤツデ婆ちゃんに「(ここに来るのは)今日が最後かもしれない」と告げる姿はあまりに壮絶でしたなぁ...ヤツデ婆ちゃんとの交流で欠落していた他者からの愛を知り、自分自身もヤツデ婆ちゃんに向ける情愛をしっかり感じている、と自身の内と外から生まれる愛を自覚していて変われるきっかけを掴んでいるにも関わらず、トジテンドでの立場との板挟みからそれに背を向けなければならなくなっているのは、ある意味今回のガオーンとの対比にもなっていると言えてなんとも皮肉。最後かもしれないと分かっているのにカラフルに足を向けている辺りは、まだ迷いがあるんだと信じたいが...

そんなステイシーくんの姿に何はなくともうっすらと何かを察し、彼がいつでも(戻って)来られるようにするための足掛かりとするようにカラフルのお菓子券を手渡すヤツデ婆ちゃんの優しさがまた沁みる。なんとしても引き留めようとしてるような切実さを感じる...

そんなヤツデ婆ちゃんの想いも虚しく、ステイシーくんがステイシーザーロボ2世を繰り出しゼンカイジュウオーを圧倒する形で切って落とされる火蓋。その戦いの行方は...

 

以上、ゼンカイジャー22話でした。ガオーンのキカイノイド嫌いの意識という部分にグッと切り込み、これまでの仲間達と過ごしてきた時間の厚さを昇華させる形で丁寧にその変化を描き出す作劇が白眉となった実にグッとくる回でした。ゼンカイジャーが戦隊としてよりまとまっていってるのが感じられたなぁと

一方でステイシーくんは後戻りできないところへと足を踏み入れんとし始めており、その壮絶さがまた胸にくるなと。ガオーンが皆と分かり合っていった一方で彼がこういう方へ向かっていく様はつれぇ 彼との関係がどう動いていくのかとても気になるところです

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた