AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

何度でも始めよう 新しい明日を

ウルトラマンコスモス

第24話「ぬくもりの記憶」

感想レビュー

 

 

約束...ある物事に関してあらかじめ取り決め、将来それを変えないことを互いに誓うこと(「コトバンク-約束」より引用)

人は、大切な誰かと交わした約束を果たすために、時として大きな力を発揮します

それが約束という記憶に中に宿る特別な想いが人を大きく突き動かす故なのでしょう

そして約束とは時に、人と人とを強い引力で引きつけ合わせるように、強力な運命を生じさせることも、あるかもしれません...

約束とは - コトバンク

...みたいなタモさんのナレーションからスタートしても変じゃないくらい今回のエピソードって世にも奇妙な物語のエピソードみがあったなと思ったり(主観)

 

今回の話の冒頭に出てくるサブタイトルの題字、なんとアヤノ役の鈴木繭菓さんの直筆とのこと。実際に見ていただければ分かるけどなかなかに達筆でいらっしゃるのよね とても味があって良かったです

 

事故で魂のみが肉体から抜け出たようになってしまいその影響で怪獣グラガスの姿を見ることができるようになった少年・純と、彼の姿と言葉を何故かただ1人認識できるアヤノを中心として展開されてゆく今回のストーリー。

自分にしか見えない純少年の行方を追っていく内に辿り着いたのは彼が意識のないまま眠っている状態にあるという事実、そして魂だけの宙ぶらりんの姿で彷徨うことになり生きることへの意欲を失い始めていた彼の心をアヤノの激励が繋ぎ止める、といった「世にも奇妙な物語」のちょっと良い話テイストなエピソードを彷彿とさせる、少し不思議な事象を絡めた人間ドラマが独特な情緒を醸しておりここが強く目を惹きましたね。純少年のことがアヤノにしか見えないという前提、写真館の純少年の写真がアヤノには普通に見えていたけどムサシ(と恐らく写真館のオーナーも)には子供の頃の純少年の写真に見えていたというズレ、そしてそれらの謎の答えを暗に示すかのような幼い頃のアヤノと純少年の出会いと交流を描く回想、と明確にこうという答えを敢えて示さずうっすらと行間や理由を連想させるような描写を散発的に入れて引き込んでくる適度な塩梅が面白かった。

 

今回登場の怪獣グラガスも、アヤノと純少年のドラマにはあくまで間接的な関わりしかなくストーリー面の立ち位置としては少々微妙な感じながらも、悪魔そのものといったビジュアルや明確に知性を感じる振る舞い、出現時頭部に埋め込まれていたグラガス自身の弱点である水晶など、ただの怪獣とは違ういかにも何か色々な背景設定のありそうなテイストを多く含みつつその明確な解についてはぼかされているという謎めいた存在として描かれており、想像を掻き立てられるという意味で独特な存在感のあるキャラになっておりました。コスモスに命乞いして逃げたと思いきや不意打ちかましてイキるというムーヴが凄く人間臭くてちょっと可愛い。これが原因で爆散する羽目になったけど()

グラガスのその他の設定については渋谷プロデューサーが「過去に悪事を働き封印されていた存在」という言及をしたのみらしく、詳細な部分はどこまでも見る側に委ねる...という感じで、単発エピソードの怪獣の背景としてはこういうぼかし方は割と好き。

 

そんなグラガスとコスモスの戦闘パート、アクション面は比較的スタンダードだったものの、引きの画で描かれる2人の戦闘の手前に映される街のミニチュアが何気に凝っていたところにはかなり惹かれましたね。ちょっとシャレオツなデザインの街頭やポップなデザインの建物、広めの空間に並ぶタクシーやバス、と「郊外の駅前商店街」的なテイストが絶妙に再現されているのが良い風情なんすよねここ

ウルトラシリーズの凝ったミニチュアは最近だと割とデフォルトっていうくらい目にすることが増えたけど、平成初期シリーズはたまにふっとこういう遊び心溢れるミニチュアが映る感じが粋という感じで、ウルトラマン達の巨大感を引き立てるニュージェネシリーズのミニチュアとはまた違った良さがあるよなと思います

 

そしてラスト、意識の戻った純少年の下をアヤノが訪れるものの彼にこの一件の中でアヤノと出会っていた一連の記憶はなく...とこのまま綺麗に収まりつつもちょっとほろ苦いテイストを含んだ締めになるかと思いきや、最後の最後で純少年がアヤノの姿に幼い頃途方に暮れていた迷子の自分に寄り添ってくれた少女の面影を見出してアヤノこそがその少女であることに気付き彼女の名前を呼んで微笑みかけ、幼い頃一緒に歩きながら歌った「君にできるなにか」の出だしの一節を2人が向かい合いながら再び共に歌うという流れへ繋がる締めに。

ここはこの2人の歌い出しがEDのイントロの歌い出しと重なってそのままEDへ入る、というアヤノと純少年の絆が再び2人を繋いだ象徴的な引きのシーンの情緒をしっかり濃く残したままシームレスで締めへ移行する演出がとても綺麗にハマっており、EDテーマ「君にできるなにか」幼少期のアヤノと純少年が歩きながら共に歌う劇中歌として入れたり、大人になった2人が中心となって描かれるシーンで色々なアレンジBGMとして流したり、といった形で今回の本編中でたびたび印象付けていたのも相まって凄くグッときました。優しい曲調の沁み入るメロディが特徴の歌だったのでこういう温かな空気感の締めには凄く合っていたし、それを今回のエピソードの雰囲気にも沿って半分特殊ED的な感じで更に引き立ててきたのは巧かった。

EDパートの映像の中では、アヤノが母と会うことのできた純少年にもう迷子にならないように呼びかけつつ、また迷子になったら必ずまた見つける、と約束するシーンがあり、今回のエピソードにおけるアヤノと純少年の一連のドラマはつまり「かつての約束という繋がりがアヤノと純少年を再び巡り合わせ、約束通り魂となって彷徨っていた純少年をアヤノが見つけ、在るべき場所へと今一度導いていた」というものだったんだなぁとなんだかしみじみ。アヤノだけが彼を認識することができたのも、写真館で幼い頃の彼の写真を今の彼の写真として認識し彼の下へと至れたのも、アヤノと純少年の約束が導いたある種の運命だったわけですな こういうスピリチュアルなロジックもまた乙なものですね 良かった

 

 

以上、コスモス24話でした。少しオカルティック且つスピリチュアルなテイストを含みながらも、純という1人の少年とアヤノが引き合い展開していく不思議な人間ドラマがかつての2人の約束・思い出へと集約していく作劇が非常に沁み入る面白いエピソードでしたね。EDテーマを本編全体を通して効果的に活かす演出も見事で、総じてドラマ面が実に味わい深かったです アヤノのキャラ性もここ最近でグッと増してきててなんとも良き 今回も何気にムサシと一緒にいる場面が多く、ここからの発展も注目どころですなぁ

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた

 

 

 

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