AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

物書きの信念

仮面ライダーセイバー

第46章「さようなら、私の英雄。」

感想レビュー

 

 

尾上さんの叫びに呼応し死の淵から蘇る大秦寺さん、身を挺して敵を押さえ込み自分諸共に敵を倒させる尾上さん、へし折れた界時の刃を手に突撃する玲花、瀕死のままに兄妹の手を取ろうとするもすんでのところで力尽きる神代兄妹...とこの手の最終決戦ではお馴染みといった感じの熱い演出・ハラハラする演出が連続して構図、なんかテンプレートの連発って感じで個人的に純粋な視聴感としてはちょっと微妙だったというのが正直なとこなのだけど、敢えて理屈付けするならば、全知全能の書の物語に記された「物語の登場人物としての劇的な結末」みたいなニュアンスが意識されてる故のそういう形式ばった構図だったのかなとも思ったり。ここから覆せますかってのが最終章の肝になるだろうなと

 

全知全能の書が見せる世界の真理を知ったストリウスの本当の思想が今回遂に描かれたけど、小説家として自身が思い描き創造してきたと思っていた物語が、実際は世界の全てを記した書の壮大な物語の中で生み出されると決まっていたものに過ぎないと知ったことによる絶望を基に、物語の結末としていずれ訪れると記されている世界の終末を自分の思い描く形に彩ろうとしていた、というのはなかなか鮮烈で衝撃でしたね。前回の感想でも似たようなことを連想してはいたけど、ストリウス自身の口からしっかり自分の心情として語られるとまた一段と響くものがある。

「自分自身にしか思い描けないものを」みたいな理想を持って色々な物語を紡いでいたろうに、自分が夢想し描き出したそれらが実は自分の想いそのものとはなんら関与しないものだった、なんて物書きとしてはとてつもない絶望だったろうなと想像できるし、そうなった時「どうせ何もかも全部決まっているなら、いずれやってくる物語の流れ・結末の形を自分が描いてやる」と考えるのも物書きとしてのせめてもの意地みたいなものが窺えてどこか共感できるしと、この最終盤で一気にストリウスが深みあるキャラとして奥行きを見せてきたのは実に良かったなぁ...と感じます。「物語の結末は自分が決める」という台詞に関して、飛羽真は理不尽な結末を変えたいと願うからこそ言っていたけど、ストリウスは変えられない結末を知っているからこそそれを自分の好きなようにしたいという想いがあって言っていたという対比が見事だし、「小説家」という本作の主人公たる飛羽真と対応する要素を軸にしたことに基づいた、本作のラスボスとしての存在感をグッと引き出してきたのは巧いなといった感じですね やはり全知全能の書の力にあてられたレジエルやズオスとはまた違って、ストリウスは聡明な小説家としての自分を失わず強く持っていたからこそ、こういう思考に至ってしまったんだろうなと思う

強いて惜しかったところを言えば、ストリウスが小説家であったことや全知全能の書に世界の運命の全てが記されてることとかが前回の話の時点で伏線ぽく少し半端気味に仄めかされていた分、今回のストリウスのカミングアウトのインパクトがちょっと薄まった感を個人的には受けたので、これらの話は今回のストリウスの語りでガッツリ明かす形にして置いといて欲しかったかな、というところかなと。ちょっと情報の出し方としては自分の好みと合わなかった感

 

そんなストリウスと対比させる形で、自分の描く物語が友や仲間達との出会いを繋いでくれたことや自分の物語を読んだ人々の想いが新たな物語として生き続けていくこと尊いものとし、前に進む強い意志を示した飛羽真は非常にカッコ良かったですね。全知全能の書が自分に物語の知識をもたらしたことも「誰かの物語が自分に伝わり、新たな物語として広がっていく架け橋になった」といった感じで受け入れる姿は、「紡がれる物語を『読んだ人々が繋いでいくもの』」こそを重んじる信念として、自分の描く「物語そのもの」にしか目がいかなかったとも言えるストリウスとの対比として光ってたなと。作家要素をこの終盤のここ一番で最大限活かしてくれたのはとても良きでした 「本の中に秘められた、『宇宙』よりも広い無限の可能性」というところでさり気なくクロスセイバーのモチーフを象徴的に活かしたのもグッド

 

飛羽真の下へ向かうルナ、飛羽真の書いた物語手に動く芽依、最後の戦いへと駆ける倫太郎達、そしてストリウスとの決戦の中で奈落に突き落とされる飛羽真...というところで締め。物語の結末や如何に...

 

以上、セイバー46話でした。「物語」「作家(小説家)」というセイバーの諸要素の中でも印象的だった要素を昇華させてストリウスのキャラクター性を深めると共に、それと対比する飛羽真の信念を一気に引き立てたドラマ面が非常に目を惹きましたね。なんだかんだで深めるべきテーマ性をきっちり活かしてきてくれたのは良きかなという感じですな

物語的には次回がいよいよ最終章、と果たして飛羽真達が何を残すのかが楽しみです。期待

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた