AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

魔神嗤う

ウルトラマンコスモス

第29話「夢みる勇気」

感想レビュー

 

 

「なぁ〜んだ...大してハンサムじゃないじゃなぁい...」

ン〜普通に無礼!!() 本人の前で直接言わなかっただけまだ良識あるけど自分からそれ目当てで来といてその言い草あんまりすぎるぞアヤノw

 

力を求め、力をただがむしゃらに振るった結果エリガルを救えず落命させてしまった前回の流れから意気消沈するムサシの姿で始まる今回。優しさのルナモードと力のコロナモード、2人のコスモスが互いに対峙する夢をムサシが見るという描写が冒頭に繰り広げられましたが、ここは優しさと力のどちらが正しいのかという葛藤の中で苦悩するムサシの心情の比喩として非常に秀逸。ウルトラマンの形態として相反する性質...というか異なる性格をしているとも言えるこの2フォームを携えるコスモスだからこそ描ける実に象徴的な表現でしたね 前回の予告映像の中にもこの2フォームが戦うカットは入っていたけど、カオスエリガルの再出現や実体カオスヘッダー2号のメビュート登場といった他の衝撃的な事象のカットと並列してなんの気無しに入れ込まれていたので「カオスヘッダーの陰謀か何かでコスモスがもう1人現れるんか...?」みたいなある種のミスリードとして機能していたのが面白いところ。そういう展開もちょっと見てみたくはあったよね

 

エリガル保護失敗の件を受けて、アヤノはコスモスにできなかったことが自分達にもできるのだろうかと不安になり、ヒウラキャップやシノブリーダー、フブキ隊員も口にこそしないけどその不安を感じさせる様子を見せており、とEYESの面々に暗い感情が少なからず伝染していく模様も描かれ、ここは前回の事態の衝撃度を改めて印象付けてきてなかなかクるものがある。ヒウラキャップ達が普段通りにしようとしてもどこか落ち着かない雰囲気を出してたりと、この辺の表現は繊細でしたね

そんな中、ドイガキ隊員だけはみんなと同じくショックは受けつつも、エリガルが何故カオスヘッダーの影響を抑え込めていたのかという性質についての探究に勤しんでおり、彼の研究者気質な部分が思わぬところで強調されたのは面白かったところ。ちょっとした性格の違いみたいなものによる差ではあるけど、ともあれこういう時に腐らずに何かしらに励もうとする人間がいるのはちょっと場が暗くなりすぎなくて助かる。そして彼の調べてることも後々大きな意味を持ってくることになるわけですがそれはまだ少し先。

 

今回はムサシの幼馴染の友人・ショージやムサシが幼い頃木本博士に作ってもらったロボット・クレバーゴンの登場、および幼いムサシが体験したコスモスとの初対面についての言及など、「THE FIRST CONTACT」から引き続いての要素がいくつか登場。「THE FIRST CONTACT」は「TV本編の前日譚」というところで本編との接続を強く意識した立ち位置の作品として本編開始から程ない時期にドンと公開されただけあって、第1話でのコスモス降臨の瞬間のヒウラキャップの反応や第20話での木本博士の登場といった、作中の諸要素やTV本編との接続を意識した描写が定期的にTV本編中に登場して世界観の奥行き等をグッと深めており、ここは非常に特徴的な作劇だなと(TV本編開始から少し経ってからの公開というのが少し引っかかっていたところではあったのだけど、どうやらこれは本来映画公開がTV放送開始の7月より前の3月公開だったのが、公開延期とTV放送開始の繰り上げというアクシデントの重なりによってやむなくこういう形に収まった故だった模様。本来前日譚と銘打った「THE  FIRST CONTACT」を先にしっかり多くの人に観ておいてもらった上で、TV本編においてその接続を細かく仕込んで描くつもりだったんだろうなと感じられるのでそれならば納得である)。クレバーゴンは見ての通りウルトラセブンのクレイジーゴンのオマージュキャラだけど、クレイジー(狂ってる)の反対としてクレバー(賢い)をワードとして引っ張ってきて名前に織り込むことで、スッと善良ポジのマスコットに落とし込んだのは秀逸だよなぁ。実はCVが桜井浩子さんなの割と最近の数年前まで知らなかった(エフェクトかかってて気付きにくいけどよく聞くと声色になんとなく面影を感じるようなそうでないような)ので、キャスト一覧とか見てる時にウルトラシリーズの偉大な大御所たる方のお名前がしれっと書いてあったのを見た時は驚いた

ここから派生する形で、ショージの弟ユウキをムサシがゴンを通じて“勇気”づけてあげた話が語られたり、ムサシが持つ夢を信じ追い続ける“勇気”についてショージが語るシーンがあったりと、“勇気”という事柄についてたびたび強調する流れが展開されており、これらは次回の展開と併せ非常に重要な要素となるところ。こうして改めて見ると、怪獣保護の夢に迷うムサシの再起に繋がる展開の前振りとして、コスモスとの出会いをはじめとした幼い頃の出来事果てしない夢を追い続ける原動力などといったムサシの人格の本質にまつわる要素を色々絡めつつ、“勇気”という要素を前振りとしてしっかり印象付ける段階がきっちり踏まれていて、作劇の構成が光っているなと感じます。しかしショージが語った「夢を追い続けることの難しさ、その中で肝要となる“夢を追い続ける勇気”の大切さ」の話は、これを観ている『将来の夢に向かって生きる子供達』にとってはきっと凄く響くものがあるよなぁ。大きくなってその大変さ・大切さを身を持って持って実感した部分のある僕ら大人にとってもなかなか胸にくるものがあるとも言えるし

 

戦闘パート。ここでイブリースに続く実体カオスヘッダー第2号のカオスヘッダー・メビュートが姿を現しました。イブリースと同じく「悪魔」の概念を丸々怪獣化したような凶悪なビジュアルながら、アシンメトリーデザインだったイブリースに比べ、シンメトリー寄りのデザインになってより洗練された感じが出ているのが、実体カオスヘッダー第2号としての進化を感じますな

そんなメビュート、イブリースに全く劣らない圧倒的なパワーは勿論のこと何より目を惹いたのは、カオスエリガルの姿をとって登場しEYESやコスモスのトラウマを刺激、今度こそはなんとしてもとエリガルを救おうとするコスモスの感情を煽ってエネルギーを浪費させ、モードチェンジもままならないほど弱ったタイミングで正体を表して猛威を振るい蹂躙する、というもう完全に人間の感情を理解していて確信犯的にそこを突いてきたなと感じられる悪辣なムーブでしたね。これまでに得てきた進化の積み重ねに加えイブリースとしての戦いの中で得た知識や敗北の経験もしっかりと活かしてきた感じがあり、カオスヘッダーの進化の速度に改めてゾッとしますなぁ

満身創痍な中での辛勝の極みのような勝ち方だったイブリースの脅威度が冷めやらぬうちに、今度はここまでの悪辣さで心身ともに追い詰めてくるメビュートが相手という展開を見せてくるの実体カオスヘッダーの脅威度をゴリゴリと印象付けてきていてえげつないよね(コスモスもルナモードにしかなれないから追い詰められてる感ガンガン滲み出てたし) 敵はやはりこのぐらい強大な方が映える

 

そしてラスト。メビュートとの戦いに敗れてしまったコスモスから分離されたムサシが、不完全な姿で倒れるコスモスを見つめ苦しげに嘆き気を失うところで締め。メビュートの強さもさることながら、それに加えてコスモスがここまでの大敗を喫して引きというこの流れはやはり非常に絶望感高いですね...前回今回とほんと容赦のなさすぎる展開だ

 

 

以上、コスモス29話でした。前回のシリアスな締めの流れから続いて、メビュートの悪辣さと圧倒的な強さの前にコスモスが敗れ倒れるというまたしてもショッキングな展開となり、とてもハラハラしましたね...絶望めちゃくちゃ高い しかし同時に“勇気”という要素を作中でたびたび印象付けてきており、これが次回どのような展開を導くのかという期待も高まるところ。見応えある回でした

次回、遂にコスモス新モード降臨ぞ

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた