AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

悪魔、解放

仮面ライダーバイス

第1話「家族!契約!悪魔ささやく!」

感想レビュー

 

 

始まったぜライダー新シリーズ!!

このまっさらな新しい物語が始まる興奮が味わえるのはやはりニチアサの年間の楽しみよ

 

遺跡の調査中、出土した古代印に魅入られた調査隊の1人がその印を押すと、その者の中の悪魔が解放、その一部始終は現場のカメラが収め続けていた現場のカメラが収めていた。
そして視点は現代へと移り、その映像を謎の研究者達が見つめていた...

というダークさ漂う導入からスタートした本作。調査隊が明かした遺跡から目覚める未知の存在、それを捉えるカメラ、という様子を仄暗い雰囲気高めで描くこの構図は平成ライダー1作目のクウガの第1話を彷彿とさせるものがあり、ライトさやポップな感じを意識したスタートになってた令和シリーズ前2作とガラリとテイストを転換したギャップもあってなかなかグッと引き込まれましたね。仮面ライダー50周年記念作品なのを意識してか、本作の全ての始まりである上述の遺跡での出来事を「1971年の出来事」と初代仮面ライダーシリーズの放送開始年に当てはめてるのも粋な小ネタね

 

続いて描かれたのが、敵組織・デッドマンズ。邪神の偶像といった感じの趣で鎮座する悪魔・ギフのミイラを中心に幹部陣が人々の欲望を煽り、若者を主とした信者達がそれを歓声と共に崇め讃えるという現代のヤバい宗教みたいな雰囲気もさることながら、首領アギレラがすれ違いざまに信者達に躊躇なくバイスタンプを打ち込み内なる悪魔を解放していく光景がアングラのライブハウスとかで密かに横行するおくすり(隠語)の取引や使用、おくすり漬けになった者達のよろしくないパーティの暗喩みたいな危うさを絶妙に醸しており、現代のニチアサで描けるギリギリをさり気なく攻めてる感じのダーティさに見ていて早くもゾクゾクっとなりました...たまんないすよねこの滲み出る背徳感 デッドマンズの本拠が地下ライブハウス的なロケーションになってるのも良い感じに「ぽくて」良いよね 漫画版デビルマンの最初の方で「理性を飛ばして悪魔を呼び覚ます」ためにまさにこういう感じのよろしくないパーティの中に飛び込む流れがあるんだけど、「悪魔」というテーマ性の共通性も相まってここは個人的にかなり説得力の高い絵作りだったなと

度近亭心恋 on Twitter: "あー今のアギレラがポンポン押していくのいいな 「異常が常態化している」感が伝わってくる #nitiasa"

無邪気な少女という雰囲気ながら信者達を扇動する姿にカリスマ性の滲み出ている首領アギレラの存在感をはじめとして幹部陣のキャラクターの立ち方も見栄えが良く、見ていてなかなか楽しい面々なので注目ですね、デッドマンズ あと紅一点がいることや衣装のデザイン・カラーリングの差異が際立ってるのもあってキャラが見分けやすいのは第一印象の付け方として良いなと感じますね 前年のメギド三幹部は割とみんな近しいビジュアルで見慣れるまでちょっと時間かかっちゃったしここは個人的に有難いところ

 

と、物語の発端や敵組織の雰囲気を描いたところでようやく主人公・一輝や彼を取り巻く環境を描くパートへ。家族で経営する銭湯でのお客さんとのやり取りや五十嵐家の一家団欒の様子といった何の気ない緩めの日常風景を軸に据え、一輝の好青年なキャラ性や五十嵐家の人々一人一人の人となりを程良いテンポ感で印象付けていくこの辺りの一連の作劇は個人的に非常に面白く、この時点でかなりグイグイ引き込まれましたね。卓を囲んでの家族みんなでの食事一輝と大二の兄弟並んで湯船に浸かりながらの腹を割っての会話という家族みんなの個性が言動に出やすいナチュラルな空気感のシチュエーションを用意し、早い段階でそこに尺を割いて描いたのは五十嵐家という「家族」をメインキャラに据えた本作の序盤のキャラ描写としてグッドでしたし、実際、家族の中心としてみんなを引っ張る肝っ玉母さんの幸実さん冴えないyoutuberながら家族に微笑ましく見守られていて人の良さが窺える元太さん思春期故かノリの良い家族の中でちょっと突っ張ってるけどなんだかんだで良い家族してて可愛げのあるさくら、と楽しい会話劇を通じて今の時点でそれぞれのキャラの大まかな人となりや家族同士の関係をがっつり捉えられたので掴みや非常に良しという感じでしたね。ここは舞台設定や脚本担当の木下さんの会話のテンポ感の出し方とかが上手くハマったかなと

そんな五十嵐家の会話劇の中で一際目立ったのはやはり湯船に浸かりながらの会話等を通じて窺えた兄・一輝と弟・大二の関係性だったかなと。世話焼きで家族や他の人達が大好きだけど何やら事情があってか自分の夢を諦めたらしい一輝の人となりにはどこか突き詰めると危うさにも変わりそうな自己犠牲的精神性の濃さをほんのりと匂わせるものがあるし、そんな兄を心配し気遣う大二の姿からはこの先「自分を後回しにしがちな兄への大二の想い」みたいな「兄弟」という部分を軸にしたストーリーを展開していけそうな雰囲気が感じられるし、と作品のメインに据えられてる2人なだけあってストーリーの広がりを感じさせるものを多分含ませたそれぞれのキャラ性・関係の見せ方が絶妙だったように感じますね。家族がテーマである以上少なくともこの2人の関係は避けては通れぬ要素だろうし楽しみ

銭湯の常連客の人達をはじめとした五十嵐家を取り巻くサブキャラの人達も矢柴俊博さんをはじめとした演技に味のある実力派な方が押さえているので程良い存在感があり、キャラ描写に関しては細かな日常的な部分も含めてしっかり意識して描こうとしてるっぽい雰囲気が感じられるので、これからもこの辺は期待ですね

 

ここから話は大二のフェニックス入隊式の模様と、その会場へのデッドマンズ襲撃の展開へ。フェニックス、てっきり秘密の特務機関的なアレかと思ってたけど入隊式に五十嵐家の人々といった隊員の親族や銭湯の常連さんをはじめとした一般の人々とかも集まるくらいしっかりと公的組織だし、なんなら対処の対象であるデッドマンズのことがTVのニュースで流れてたりライダーシステムのことが入隊式の場で大々的に発表されたりとかなり諸々の情報が公になってたりしてたのでちょっと驚きでしたね(半端に隠すよりかは安全だとか、隠せないくらいデッドマンズが大々的に活動してるとかなのかしら)

しかし次男の入隊式にデカい旗持って応援にやってくる家族・知人一同、強すぎる() そら大二もちょっと知らんフリするで。w さくらだけはやめなよ〜みたいな感じで止めてるの好き

そんな入隊式の場で遂に大きく登場してきたジョージ・狩崎、軽めの飄々とした言動やデッドマンズ襲撃の最中でも大して慌ててる様子もない余裕な雰囲気など割と気の良さそうなキャラしてる一方で、演説の場でバイスタンプを開発した自分の父について語る際特に感慨などもなさげに「もう死んじゃいましたが」とさらっと言ってたり、変身適正の無い隊員を止める際も慌てるでもなく淡白に事実を述べるだけだったり、大二が変身を躊躇う様を見せるやいなや(適性を見定めたのだろうとは思うが)仮にも一般人である一輝に変身を促したり、と人の生き死にや身の安全、家族や友人に対する感傷といったものへの頓着の無さみたいなものを感じさせる言動を節々で見せており、純粋な善人とは違う仄かなマッドさを醸したキャラなのが凄く魅力的で、見ていてなかなか刺さりましたね。悪気なく倫理観のズレた様子を見せる様、味方とはいっても良さそうだけど油断できない感じなど、他の方も言ってるけど鴻上会長やプロフェッサー凌馬のテイストを感じさせるキャラだなと こういうキャラけっこう好きなので、ずっと味方ではいて欲しいけどこの倫理観ズレた部分はなるべく崩さず行って欲しいなァ...

デッドマンズの大暴れで家族や人々が危険に晒され(そんな状況で戦闘員のギフジュニアを普通に蹴散らしてるさくらの存在感、あまりにも濃い。w)、大二も変身に失敗しデッドマンを生み出してしまった隊員の姿を見て変身を躊躇ってしまう中、一輝が自分に呼びかけ続けていた自分の中の悪魔・バイスを契約により解放。実体化したバイスはデッドマン達を蹴散らしていくも、身体を得たことで思うままに動けるようになったことで敵も味方もなく気ままに暴れ始め、幸実へと襲いかかる...とここで遂にバイスが本格登場。バイス基本やかましいくらいノリノリでコミカルな性格してる一方、本質としては善悪の区別が特に無く自分が楽しいの第一で暴れる自分本意な一面を持つ、というキャラクターに関しては先行登場の段階でもたびたび描かれてたけど、みんなを助けるために解き放ったは良いがデッドマンにも人間にも関係なく襲いかかり始めた、という展開運びでその凶悪な一面を際立たせてきたのは上手いキャラの使い方でした。実体化するために「みんなを助けたいんだろ〜?」みたいな方便使って一輝を煽っておきながらいざ実体化したら幸実さんにも牙を剥こうとするし、この間一貫して同じ陽気なノリなのが地味に怖いのよね やっぱ悪魔なんだよなバイス...と実感させられる

 

しかしここで狩崎の言葉を受けた一輝は、バイスを制御しつつデッドマン達と戦いみんなを守るべくリバイスドライバーを装着し、バイス仮面ライダーバイスとして従え仮面ライダーリバイへと変身!1人で2人の仮面ライダーがここに爆誕した...とここ一番の見せ場で仮面ライダーバイス参戦と相成りました しかし短編映画で描かれてたけど、変身中の後ろのLINE通話画面の表示、目立つなぁ。w でもここでさり気なく自分を騙したバイスに怒る一輝とそれに慌てるバイスのやり取りを小気味良い文字表示で見せたことによって、直接的な会話を上手いこと省き変身をスムーズに見せる形になってテンポを守る形になってたのは実に上手いなと感心しましたね こういう役割もあるのかLINE画面演出

この「大切な者の窮地を救うべく主人公が縋る想いで化け物を解き放つもソイツもしめたと言わんばかりに暴れ出そうとし始めたので、主人公が大きな力を手にして変身(変貌)、その化け物を押さえつけての半なし崩しタッグで敵を蹴散らす」という流れは、名作漫画「うしおととら」の2人の主人公・潮ととらの第1話における共闘の流れを彷彿とさせるものがあり、うしおととら超大好きな自分のツボにビビッと突き刺さりましたねぇ。それっぽいタッグな感じはあったけどここで2人の関係性のフォーマットのイメージがグッと固まりました

うしおととら、人間と人外の凸凹コンビが共に絆を深めていくストーリーが好きな人にはたまらない熱さのある王道少年マンガなのでリバイスにビビッときた人は興味出たら是非読んでくれよな〜特撮ヒーローファン的にはオーズの映司とアンクが好きな人の琴線に触れまくる作品だと思うのでシクヨロ

しかしこのリバイス誕生の流れ、盛り上がりとしては申し分無しだけど、構図としては一輝が危機的状況の中バイスや狩崎の悪魔的な囁きに促され、自分の中の悪魔を解き放ち大きな力を得た、というまさしく「悪魔の契約にサイン」的な感じであり、じっくり見てみるとなかなか一輝の身がなかなか心配になるところ。幸実さんが生傷付けられながらデッドマンに痛めつけられる様をけっこう生々しく描いてて、視聴者的にも「なんとかせななんとかせな...」という危機感が先行するような感じの流れになっており初見だとこの構図に気付きにくい感じがあるのがなかなか巧妙な絵作りである

それに、家族みんなの期待を受けデッドマンとの戦いに飛び込むも(状況的に致し方なかったとはいえ)ここぞで恐れから戦意が鈍って変身できず、更に自分の夢を優先して欲しいよ的な想いを向けていた兄が代わりに変身してみんなを守る責を担うところを目にしてしまう、というシチュエーションに晒された大二のメンタルが超心配。こうしてキャラの内面や構図の危うさを印象深く見せてきてるのはなかなか面白いところですなぁ...今後どう動かしていくのか、期待

 

そしてリバイ&バイスのバトル。攻撃を叩き込んだギフジュニアが壁を粉砕し瓦礫を撒き散らして吹っ飛んでいく様を実物のオブジェクト破壊でパワフルに描く演出をはじめ、縦横無尽のカメラアングルによるリバイ&バイスのアクションの軽やかな魅せ、CG合成を用いた外連味あるバトルの演出など、これでもかと色んな技法を盛り込んだ豪勢な戦闘が初回バトルとして文句なしの見応えでした。リバイのハイキックで後ろの壁ごとギフジュニアの首がゴキィってへし折れ粉砕されるシーンのえげつないまでのパワフルさが特にお気に入り。(ギフジュニアの首のぐにゃんぐにゃん具合を見るに多分中身無しのギフジュニアの着ぐるみ使ったんだろうけど、良い外連味の出し方でしたね)

バスの中を縦横無尽に駆けるアクションが光ったゼロワンやCG盛り盛りの異世界演出が際立ったセイバーといった令和前2作の初回バトルに比べるとちとこじんまりと収まった感じもあるけど、初回の演出にフルパワー出して後から抑えめになってくよりもこの先もコンスタントに描けそうな水準で演出を印象付けておいた方が後々見劣りしなくて良いと個人的には思ってるので自分としてはこっちが好み。派手さとしては申し分ないしね

また変身直後に一輝がリバイになって慌てるバイスと「お前を殴るのは後だ!」と釘を刺しつつ戦いに赴く流れをはじめとして、シンプルに協力し合う仲でない凸凹な2人の関係を戦闘中の助けたり攻撃に巻き込んだりな構図の連続によってより強く見せてきてたのも楽しかったですね オーインバスター50を「判子を押して敵倒すからオーインバスターてのはどう!?」ってノリで勝手に名付けたり、ちょいちょい第四の壁越えてこっちに話しかけてきたりするバイスの喧しさも面白かったw

フィニッシュのWライダーキックも空中に打ち上げた2体のデッドマン相手にリバイとバイスがそれぞれキックをかまし、ヒットの直後の2人が交差する画を寄りで見せるタッグならでは演出がバッチリハマってカッコよかったです このタッグ必殺技にバリエーション色々あると良いな〜楽しそうだし

 

そしてラストは、傷付いて入院した幸実さんを家族みんなで囲み、その安否を確認してほっと胸を撫で下ろすという温かなシーンで締め。あんな目にあってけっこう恐怖もしてたのに目覚めの第一声が「銭湯サボったら怒るよ...!」なの強くて良いなぁ幸実さんw 家族がテーマのリバイスらしい気持ち良いオチでした

 

 

以上、リバイス第1話でした。最高だったぜぇ!!

一輝/リバイとバイスの凸凹コンビが織り成す空気感や、この2人のコンビにフォーカスする感じの構成の諸要素の構成に放送前から既に期待値は高かったけど、いざ放送が始まると、デッドマンズの雰囲気のダークさや人々の傷付く様がかなり生々しく描かれるハードさといった仄かに平成1期感のあるテイスト、「家族」や「悪魔」というテーマに実直に沿って世界観や各キャラの印象を深める形でドラマを盛り上げつつこの先のストーリーの奥行きも出していく丁寧な作劇、そして派手さと小気味良いポップさを織り交ぜた見応え満点のバトルなど、面白いポイントが更に満載でめちゃくちゃ唸りましたねぇ 個人的なツボに刺さる部分多しで現時点でもう既にかなりハマってますぞえ

看板キャラ・バイスのコミカルさや五十嵐家の温かな風景をメインでポップに見せながらも、「悪魔」をテーマとするに相応しいダークでダーティな雰囲気も随所に散りばめてるバランスの良さが自分としてはなかなかお気に入りなところで、この感じは保っていって欲しいですねぇ

ここからどう転んでいくかは観てのお楽しみ、ってとこではありますが、これから1年、また楽しんでいけそうです よろしくリバイス!!

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた