AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

ヤっちゃんはヒロイン

機界戦隊ゼンカイジャー

第26カイ!

「改造王子と闇の外科医!」

感想レビュー

 

 

素の戦闘力がだいぶ増してるのに加え、召喚できる戦隊が強化形態にアップデートされてるわ、キャプテンアメリカじみた投擲武器にもなる盾持ってたり(公式サイト見てやっと気付いたけどこれバトルシーザーロボの盾と同じか)腕にミサイル発射台取り付けてたり胸部にどでけぇ砲門内蔵してたりと追加兵装充実してるわで、ちょっと間置いただけでステイシーくんめっちゃ拡張強化されとるんやが(驚愕)

極め付けのブラックジュラガオーンもただの色変えってだけでなくちゃんと強くてツーカイオーやゼンカイジュウオーをめちゃんこ圧してたので申し分ない存在感でしたな バトルシーザーロボ2世や前作のスモッグジョーキー、古くはガオハンター・イビルやキラーオーも当てはまるが、やはり悪ロボは強力であってこそですよ

しかしステイシーくん、今回の大暴れで改めて実感したけど、実力といい能力といい装備といい普通に超強くて毎度ゼンカイジャーを苦しめてくるし、しかも実力が上がってるのが目に見える形でちょくちょくパワーアップしてくるので侮れない存在よねぇ ゼンカイジャーの戦いに良い刺激を与えてくれてて、戦隊のライバルキャラとして良い活躍である それにステイシーくんがそうした強力さを見せつけるたび、彼の武装や強化を担っているイジルデもすげぇよな...となる 普通に優秀な研究者よな ステイシーザーの腕のミサイルに顔を描いておく遊び心もあるしな!

 

そんなステイシーくんの復活と逆襲に直面し、介人の中に再び彼との対峙への迷いが生じる様から始まる今回。かつて倒したはずのステイシーくんが再び元気で戻ってきたことへの嬉しさと、そんな彼とまた戦わなければならないという残酷さの狭間で葛藤する介人の姿が印象的でしたね...

かつてステイシーくんの覚悟を受け止める形で自身も向き合う覚悟を決め、決闘の末彼に手を下し決着をつけたというのに、その彼が再び現れ挑んできたとなると「かつて手を下した負い目」もあって色々迷いが生じてしまうよなぁ...と後から考えてみると介人の迷いの重さがなかなかに実感されますね...第23カイで決闘に行く前には「覚悟を決めたステイシーにヤっちゃんの話をして覚悟を鈍らせるのはなんかズルい」と言ってたのに今回は「ヤっちゃんに説得してもらえばなんとかならないかな...」とちょっと弱気なことを言ってたりしてて、この心情のブレも「もう何度もステイシーとは戦いたくない/手を下したくない」という気持ちの表れなんだろうなぁ こういう迷いやブレの意図した入れ込み方に香村さんの手腕を感じます

フラギイ on Twitter: "覚悟決めて決闘に望んだけど、一度打ちのめした相手に攻撃できない介人の優しさ"

しかしこの介人の迷いを見てると、ステイシーくんを強化復活させ再び送り込んできたトジテンドの所業は「介人とステイシーくんの双方が共に気高く覚悟を決めてつけた決着を一方的にフイにして再びステイシーを刺客として送り込んできた」というなかなか下衆いものだよなぁというのを感じますね 許せん...

 

中盤にて、場面はステイシーくんのことで迷う介人がジュランと公園のブランコで肩を並べ語らうシーンへ。こうして真っ直ぐな介人が壁にぶつかって立ち止まりそうな時にマンツーマンでその悩みを聞く役回りがいつもジュランなのは、なんか古参の相棒同士の信頼とかジュランの年長者としてのここぞでの頼りがいが改めて強く感じられなんともグッときますね。後述のゾックスのシビアな言葉にも賛同しその上で介人に選択を促したりと、言うことしっかり言ってくれる安心感もあるよなぁジュラン

また「ステイシー=サトシくん」だとは知らないままでいるヤツデ婆ちゃんが真実を知ることへの恐れ・不安に介人が苦悩し迷う中、「本当にヤツデのことを想うならば今度こそステイシーをちゃんと倒して秘密を墓場まで持っていけ」とゾックスが忠告してきていたけれど、この辺は界賊としてのシビアさと家族を人一倍に想う立場が故の責任感の強さが出ていて凄くゾックスらしく良い場面でしたね。「家族だからこそどんな問題も共有しあって一緒に解決していこう」というのはよく聞くしそれも家族の形として正しいものだけど、ゾックスの「家族を想うからこそ、解決すべきことを自分自身で責任を持って解決し家族に要らぬ不安を抱かせない」というのもまた家族の在り方として強く気高いよなぁ この辺についてフォロワーさんは「家族でもなんでも共有するわけではない」という風に語っていたけど、個々人が果たすべき責任や筋を弁えて動く事で家族全体の気持ちや幸せを大切にする、というところで言うとたしかになぁと

フラギイ on Twitter: "秘密を墓場に持っていくか… その辺自立してるゾックスの方が大人だな 家族でも何でも共有するわけではないの"

 

こうして迷いが振り切れないまま再びステイシーくんとの戦いに突入するも、その戦いの中で両親の言葉「本気でやりたいことは、結果出すまで全力全開!」を思い出した介人は、ステイシーの気持ちが変わるまで何度でも諦めず立ち向かう!とステイシーくんと分かりあいたいと望んだ自分の気持ちを今度こそ実現するべく戦う覚悟を完了させ復活!

復活したステイシーくんとの再会で抱いた「一度倒したステイシーくんと再びやり合うことへの躊躇い」や「彼のことをヤツデ婆ちゃんに隠し続ける後ろめたさ」で悩み戦う覚悟が鈍るならば、今度こそ自分の本当のやりたいことを叶えるために全力全開で突き進む!という方向で立ち上がるのはなんとも介人らしかったわね それにさっきも述べた通り元々2人の決着は「ヤツデ婆ちゃんのことでの葛藤などもありつつ介人を倒すと決めたステイシーくん」「ステイシーくんと分かりあいたいと望みつつも彼の強い決意に応えるべく戦うと決めた介人」という2人の純粋な覚悟のぶつかり合いとしてケリをつけたものだったのに、今回はトジテンドがそれに水を差して一方的に仕切り直させてきた感じなわけで、この時点で「純粋な2人の覚悟のぶつかり合い」とはまた違うものとなったと言えるのでそこで介人がわざわざ「ステイシーとまた決着をつける!」と苦しみを抱きながら戦う義理はないのだ

 

と、そんな介人と今一度対峙するステイシーくんでしたが、彼も彼で死の淵から改造を受けて復活したことには困惑しておりあの決着を経た後の復活には強い迷いを抱いている様子。しかもトジテンドが捕らえてきた介人の親...ヤツデ婆ちゃんの娘である美都子博士が自分の復活に利用されたことを知ると、ヤツデ婆ちゃんのことを思い出し表情に苦悩を滲ませた後、何も言わずに美都子博士をコールドスリープから解放...とかなり大きい事を起こすに至っており、ヤツデ婆ちゃんや彼女の身内である五色田夫妻のことを今でも気にかける“情”を窺わせるなど、第23カイ以前にも見せていた人間性は未だ健在なことが見て取れました。今でも抱くヤツデ婆ちゃんへの想いや、五色田夫妻がトジテンドに明確に利用されてる光景を見たことによる葛藤なんかが作用して、つい動いてしまった...といったところだろうか 前回の予告の時点だと、ステイシーくんワンチャン感情とか奪われて戦闘マシン的な存在にされてる可能性も若干考えてたからそこがいつも通りっぽいのは一先ず安心である

このステイシーくんの一連の描写の中でも、前にヤツデ婆ちゃんから貰ったカラフルの券を見つめて表情に苦悩を滲ませていたシーンは、彼のその情・人間性をヤツデ婆ちゃんとの繋がりがハッキリ繋ぎ止めてくれたようでグッときましたね この2人の関係性も良いよなぁ

しかし振り返ってみると、ヤツデ婆ちゃんへの想いや彼女の身内である五色田夫妻の存在をフックに迷いを経た様々な心情の動きや行動を見せるという今回のステイシーくんの描写は、構図的には今回の介人の描写と近しいものがあり、なんかこの類比がもう1人の主人公感を高めていた印象があるなと。立ち位置的にそういうキャラであるのは間違いないだろうけどここでこういう象徴的な構図を入れたのはかなり大きかったなと思います ステイシーくん、元々は出す予定がなかったけどオーディションに来ていた世古口くんに演じてもらうべく生み出されたキャラだった、とのことですが、それをここまで劇的に昇華させてきたのは流石だなぁ

にしてもそんな主人公とそのライバルの行動を強く決定づける存在として機能するとは、ヤツデ婆ちゃんここにきて物凄く重要なポジションとなったなぁ...ヒロインポジのキャラが担う役割だぜ普通?それともヤっちゃんは実質ヒロインだから無問題なのか(

 

そしてクライマックス、そのステイシーくんの行動によりコールドスリープから完全に目覚めた美都子博士がトジテンドを脱出し並行世界へと逃げ出すという急展開へ。介人の両親が目覚めることがあるとしたらまだもう少し先だと思ってたので、ここで介人達ゼンカイジャーの介入がほぼ入らない過程を経て目覚めることとなり、更にそこから自力でトジテンドを脱出してしまうとはなかなかに怒涛の展開で驚きましたね...

しかし目覚めた直後であまり動けなさそうなのに「ちょあー!」と叫んでイジルデに挑みかかっていく美都子博士はアグレッシブすぎて笑った。w 掛け声といいこの出鱈目な元気はつらつさといい、あぁ、介人の親だなぁ...とw その一方で、起き抜け一番に状況を速攻で把握しゲートを潜って逃走、という行動にはインテリ度の高さがさり気なく滲み出ててそこは流石科学者ね

 

この美都子博士逃走の報は介人達の耳にも伝わり、ラストは母を呼ぶ介人の叫びで締め。大きく話が動いてきたなぁ...!

 

以上、ゼンカイ26話でした。ステイシーくん復活という展開を軸に、彼との対峙に苦悩する介人の心情をシリアスに描きつつ、そこから覚悟を新たに立ち上がる介人の姿をゼンカイジャーらしい快活さで彩って熱く描き盛り上げる作劇が面白く、それに加えステイシーくんの内面を描く流れや美都子博士のトジテンド脱出という急展開など目を見張る展開多しな見応えアリの回でした。全体的にヤツデ婆ちゃんの存在を上手く絡めていたのも非常の良かったポイントで、やはり近年の作品の中でもベテラン枠の活かし方の巧さはトップクラスだなぁと感じますねゼンカイジャー

遂にストーリー上に大きな動きがあり、ここから果たしてどのようなうねりが織り成されていくのか、期待大です

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた