AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

怪獣が闊歩するこの世界で

ウルトラマンコスモス

第33話「怪獣狙撃手(ハンター)」

感想レビュー

 

 

怪獣ネルドラントの保護に挑むEYESの前に、防衛軍の怪獣殲滅兵器開発チーム「ガルス」のチーフ・ナガレジュンヤが立ちはだかる、というストーリーの今回。

ナガレジュンヤ、演じられる正木蒼二さんが凄く精悍な顔立ちのお方で且つ声も凄く凛々しく説得力のある演技をなされるので、半分ゲストキャラ的な扱いながらメイン格のキャラでも通用しそうなくらいカッコいいよなぁなどと思っていたけど、正木さんが「ブルースワット」で主演をされていたお方だったと聞いて納得。そりゃあカッコいいわ(コスモスの後年には「超星神グランセイザー」にも出てるし) 不定期登場の準レギュラーキャラくらいにはなって欲しかったわね

 

今回は怪獣災害で妹を喪った経験から怪獣に強い憎しみを抱き、「怪獣保護」を掲げ被害を広げるEYESを生温いを断じて「怪獣殲滅」こそが平和を守る手段として怪獣に矛先を向けるナガレの心情の動きが物語の中心となっており、「怪獣災害の犠牲者とその遺族の悲哀・怒り」という部分にフォーカスした少しシリアスめなテイストが特徴的な話でしたね。怪獣の存在が人々の生活に大きな影響を及ぼすコスモス世界において、怪獣による死傷者というものはリアリティライン的に存在していなければおかしいものではあるため、そこに逃げずに触れてきた点は評価点かなと。

怪獣という存在が「とてつもないスケールの被害をもたらす『災害』と言っても良いほどの存在」でありつつ、本質としては『生物』であるというところを思うと、ナガレ、というか怪獣の脅威に晒され大切なものを失った人間全体にとって、対処のしようが幾らでも存在し得る生命体である怪獣はなまじ怒りの対象にしやすいみたいなところがあるのかもなぁ...というのを今回の話を通じて自分はちょっと感じたりもしましたね。そこで怪獣をすぐに倒さずみすみす生かすようなことをしてるように見えるEYESは、そういう意味では人々にとっては愚かしく見えてしまうし、それが非難へと繋がってしまうとこもあるのかも 自分は本作のレビューで「怪獣保護への対応」を現実における「熊等の獣害への対応」に当てはめて話すことが多いのですが、様々な共通する部分以外にも実際のところはスケールの違い等でこういう違いなんかも少しはあるのかもなぁ

 

またそんなナガレを描くことによって、本作では何かとヒール的な扱いをされがちな防衛軍を「過激さこそあるものの、怪獣の脅威から人々の平和を守ろうという信念を持つ組織である」と印象付けてきたのは良い見せ方だったなと思います。これまでの防衛軍自体何かしら理由を持った上での攻撃に出ることが主であり、極端に理不尽な攻勢に出たことは意外と少ないため、この本質的なところはある程度察することのできるとこではあるとは思うけど、ナガレのような信念がしっかり深掘りされるようなキャラを登場させるなどして作中でこの点をしっかり語るか語らないかでやはり印象は大きく違ってくると思うし大切な作劇であったなと感じる それこそ前回とか話の流れで一番悪いやつというポジションにされちゃってて視聴者的には好感度どど下がりだったし、良い感じにバランス取ったなという感じである

 

そんなナガレが、カオスヘッダーに侵されカオスネルドラントとなって暴れるネルドラントを食い止めるための戦いの中、自分やネルドラント、そして人々を守るために命をかけて戦うムサシの姿に、彼、引いてはEYESが怪獣保護において人命や街も全力で守ろうとしていることを感じ取って少しずつ頑なであった感情を解きほぐしていく様は良かったですね。ナガレの攻撃を止めようとするムサシがまず「妹さんのことは悲しいと思うけど〜」とナガレの心に寄り添うところから始めるところも彼の精神面の成長が窺えて好きなところ

怪獣を倒し人々を守るという想いこそずっと嘘ではなかっただろうけど、憎しみに突き動かされるように怪獣の排除そのものに拘っている節のあったナガレ(ここは防衛軍時代に面識のあったフブキ隊員が「目が曇っている」と皮肉ってたり、シノブリーダーが「眩しいほどの正義感が無くなっていた」的な言及をしてたりといったとこで触れられていますね)が、命を守ろうと戦うムサシの行動に引っ張られるようにして、窮地のムサシを救うためにネルドラントに立ち向かい、反目し合っていたムサシを気遣い助けようとする様は、かつて持っていたという人々を守るという純粋な正義感や、亡き妹をはじめとした者達に対し抱いていた生命を慈しみ守ろうとする慈愛を思い出していっているかのような感じがありグッときましたな。こういうタイプのキャラが心を取り戻していった先のここぞで純粋に言い放つ「逃げろッ!」「俺に構うな!」的な台詞が熱いんだこりゃ

 

戦闘シーンではコスモスがカオスネルドラントを相手にルナモード→コロナモード→エクリプスモードとテンポ良く変身しファイトスタイルを変えながら戦う様がなんとも見栄え良しでしたね。それぞれのモードになるたびコスモスのメインカラーががらっと変わるから画面上の彩りが豊かになって良いのよ コロナモードもエクリプスモードとの交代が控えてるなりになかなか良い繋ぎとなるアクションを多く見せてて満足度高かったです

 

最後はEYESの司令室を訪れたナガレが、EYESの想いに理解を示し敬礼を送り、ムサシ達もそれに応え敬礼を返すところで締め。自身の背景や防衛軍の一員として戦う者なりの矜持から「怪獣を殲滅する」という想いこそ変えないスタンスを取りつつ、EYESを邪魔者ではなく「同じ信念を持って違う形で戦う同士」と認めるというのはナガレの落とし所として絶妙でしたね。良いラストだった

 

 

以上、コスモス33話でした。ナガレジュンヤという男を軸にコスモス世界における怪獣災害の実情や防衛軍の立ち位置なんかを掘り下げていき、ストーリーとしてはナガレの頑なで過激であった心をEYESやムサシの怪獣保護にかける想いが氷解させていく様を熱く描いた良いエピソードだったなと。ほんとナガレは今後ももっとじゃんじゃん出して欲しかったくらいには良い存在感のキャラでしたよねぇ とても面白いエピでした

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた