AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

悪辣な悪魔には悪魔の契約を

仮面ライダーバイス

第2話「悪魔はあくまで悪いやつ!?」

感想レビュー

 

 

変身失敗おじさん、第2話目にして降格!!

前回(戦おうとした故とはいえ)狩崎の忠告を聞かず下手に変身に走って敵の頭数増やした上に、短編映画で描かれた研究所のデッドマンズ襲撃の失態も加わってるとなるとまぁ降格とはなるか...という感じだけど、こんなテンポ良く落ちぶれると流石にちょっと可哀想である(

今はまだ大丈夫そうだけど、いずれ不満が積もり積もってオルテカに唆されてフェニックス内部でデッドマン生み出したりしそうだなぁ...

小松準弥 on Twitter: "#仮面ライダーリバイス 第二話、ご視聴ありがとうございました! 今週も胸熱だった、一輝とバイスぅ〜! ヒロミさん司令官解任させられてしまいましたね。これからどうなるのか… 来週もお楽しみに! そして変身失敗おじさんトレンド入り感謝です!笑 (空き時間はおもちゃで変身の練習してました)… https://t.co/JeAOzdxLVw"

 

今回よりOP映像がお披露目。

ゼロワンセイバーの爽快な主題歌とはがらっと雰囲気を一新した「Livedevil」のダークな曲調には楽曲公開時点でかなり惹かれていましたが、 それをより引き立てるような仄かなダーティーさと不穏さを織り交ぜたOP映像が非常にカッコよくて観ていて鳥肌が立つくらいハマりましたね。五十嵐家の家族の風景を描く前半部分から、「現世と地獄のような対照的な世界にそれぞれ鏡合わせのように天地逆向きに立つ一輝とバイス、その立ち位置が一瞬入れ替わるカット」「襲撃された研究所内を炎をかき分けながら進む謎の男(なんか一輝っぽい気がしたが...?)」「瓦礫の中慟哭する一輝と、燃え尽きていく五十嵐家の写真」といった暗く不穏なカットがサビにかけてどんどん増えていく唆る構成に加え、「サビの直前で一輝の『変身!』のボイスが入る演出」「時々カットインしてくるリズミカルに踊るバイスなどの良い感じにカッコ良くオサレな演出で要所要所をヒーロー作品のOPらしく引き締めてくる魅せがとてもお気に入りです

特に「鏡合わせに立つ一輝とバイスの位置が入れ替わる」カットは一輝とバイスの人間らしさ、悪魔らしさが次第に逆転していく暗示か?とか考察できたりして気になるところ そういう感じだとすると、バイスが人間的な感性を得ていく一方で戦いの激化によりどんどん思考が悪魔じみていく一輝、みたいな「寄生獣」の新一とミギー的なバディの感じもありそうでそういう方向性もいずれ出てきたら面白そうだなぁ、とも

 

今回は一輝の仮面ライダーとして戦うことへの意志や自身の中の悪魔・バイスとの衝突を軸にしたストーリーを展開する中で、一輝やバイスの本質に迫りつつ、この2人が一先ずの「コンビ」と相成るまでを描いた話となりました。考え方の相容れない2人が共に戦う間柄へと至る流れを序盤で描き土台を固める作劇はこの手のバディものではお馴染みですが、リバイスもその辺バッチリ決めてきましたね

 

物語は一輝のことを資格者として戦闘要員に見定めデッドマンズとの戦いに協力してもらおうとするフェニックスの意思に対して「自分よりも大二が」的な想いや「銭湯のことがあるし」という理由から一輝が再度の変身を渋るところからスタート。しかしそう言いつつもいざデッドマンズ出現の報を聞くと何も言わずドライバーを手に現場へ向かう辺り、一輝が色々考えるよりも誰かのために動く性格の人間であることが窺え、この辺はストレートなヒーローらしさを感じるところ。ただこの後の描写も相まって、特オタ的にはこの迷いのなさはちょっと危なかったしさにも感じられたり...

しかし短編映画でもやってたけど、バイスタンプを押した器物にバイスが乗り移って動く能力、短編映画ではお風呂のアヒルをデカい怪物に変え、今回はチャリをバイク以上の馬力のマシンに変え、と汎用性高いし見せ方次第でいくらでも面白くなりそうで良いね。子供達的にも「スタンプを押してバイスの入った自転車で爆走!」みたいななりきりごっこ遊びが捗りそうな良いギミックである あとこの後のリミックス変身初使用の手順の演出やオーインバスターのガンモードの仕組みを見つける流れの演出もそうだけど、慌ててた一輝がたまたまスタンプ押しちゃって発動させたという偶発的な流れでのギミック初使用を見せることによって、コミカルな展開に持っていきつつ説明台詞的なプロセスを極力省いた自然な流れでギミックを示す感じになっててこれはなかなかスマートだなと 変身時のLINE通話画面の演出といい、話の流れをあまり断ち切らないようにした見せ方の工夫が良いね

 

前半パートではバイスとのわちゃわちゃを挟みつつイーグルゲノムに変身してのカマキリデッドマンとの戦闘が展開。Wとワシがモチーフというところを上手いこと落とし込み、バイスの方が翼じみた2枚のマフラーを背負ったデザインになってるのがシャレオツ。先行登場でたびたび出てたメガロドンゲノムもそうだけど、どっちかというとバイスの方がモチーフのレジェンドライダーに近い意匠を濃く落とし込まれてるのよね これは面白いところ

お前の羽根を数えろ!ってなんだよって思うけどそこはジョージ・狩崎のセンスに我々が追いついてないだけだろう 多分()

 

前回の時点で、手綱を握っていなければかなり危険な面もある単純な味方とはいえないキャラとしての一面を見せていたバイスでしたが、今回はリバイ&バイスの変身を経て尚も実体化したのを良いことに一輝/リバイの目を盗んで人に襲いかかったり、あまつさえ自分が暴れ倒す相手を生み出すためだけに人間にデッドマンズの存在と契約のことを教えデッドマンの解放を唆したりと、直接的・間接的問わず隙あらば人間に害をなそうとする危険な側面が明らかになっており、これはなかなかに驚愕させられましたね...ドライバーを手にして変身できるようになったことで少しは御せるようになったと思ったていたが、戦闘中一輝を意図的に消耗させつつ敵に構わせることで自分が好き勝手できるタイミングを作るとは、あまりにも狡猾

過去のライダー作品の一癖あるバディキャラと比べてみても、モモタロス序盤こそバイスのように自分が暴れたいという考えの下で良太郎の身体や周囲のことも構わず喧嘩したりしていたけど、絆され態度を軟化させるだけの人間臭い情のある性格をしていたし、アンク自分の欲望に従い動くことがほぼ常でいざという時には人間を始末することさえ厭わなかったものの、基本的には「他人の事情や生死など自分には関係ないので捨て置く」といった合理的な判断を取るくらいだったけれど、バイス自分のやりたいことをやるために積極的に一輝を嵌めたり他の人間に干渉したりと「悪いこと」を平然と行い(しかも本人的には悪気がないっぽい)、何より「人を喰おうとしている」という明確に害なす行動をしようとしているというところで、悪魔としての生来の悪性がそのキャラ性を大きく占めていることが窺えるキャラになっており、考え方の違いという以上に「本質的な相容れなさ」が特徴のキャラだなぁと感じましたね。ほんと短編映画やセイバー客演時におけるコミカルさの方が際立った感じのバイスの印象が濃い分、バイスのキャラ性を相対的によりグッと深める形になってて巧い

そんなバイスの横暴を知り怒った一輝が敢えて変身してバイスを実体化させガチで攻撃するという過程や絵面はなかなか新鮮だったけど、この絵面を見てるとバイスも結局は一輝が倒さねばならないデッドマン達と同一の存在たる悪魔、すなわち仮面ライダーが戦う怪人の延長線上の存在であることを突きつけられるなと それでいてバイス自身一応「仮面ライダー」ではあるので、さり気なく仮面ライダーと怪人の同一性という部分が掘り下げられてるというね

度近亭心恋 on Twitter: "人間唆しておいて悪びれもせずに 「教えてやったんだもんね」 「銭湯で戦闘! うはははははwwww」 とかケラケラしてんのが「悪魔」って感じでバイスが段々わかってきた気がする #nitiasa"

 

そんな一輝とバイスの事情もお構いなしにデッドマンズの暗躍は進行。

今回はゴルファー・荒木に不当に扱われるゴルフのキャディーの男・井端がオルテカに唆されてカマキリデッドマンを生み出し、そのカマキリデッドマンがやられても今度は(バイスの介入も込みの事態だったとはいえ)井端の襲撃に怒りを燃やす荒木がメガロドンデッドマンを生み出すようになる、 という負の感情の連鎖によるデッドマンの連続発生が描かれ、デッドマンズの攻勢のキリのなさが表現されてたのが面白かったですね。これまでのシリーズでも特定の人間への恨みつらみから怪人の力を得て襲撃する人間というのはいたけど、そこから更なる恨みが連なって新たな怪人が生み出されるとこに繋がるというのは新鮮な展開でした

その暗躍の裏にて、首領・アギレラが本拠地に鎮座するギフのミイラに「私の生まれてきた意味は?」と問うシーンがありましたが、ここは公式サイトのアギレラのキャラ紹介欄にも記載されている

「幼いころから天涯孤独の身だったため、愛というものを信じておらず、家族などまやかしの幸せにすぎないと考えている。」

という部分との関連性の匂わせも合わさってなんとも闇を感じるところ。今後の掘り下げが楽しみである てか「ぴえん...」とか言うんだなアギレラ。w 

キャスト|仮面ライダーリバイス|テレビ朝日

 

そして後半の戦闘パート、バイスの悪行に怒った一輝は

「お前を外に出したからこんなことになってんだ...!それで罪のない人々が傷付くなら...俺は二度と変身しない!

この力は人を...家族を守るためのものだァッ!!」

と大二やバイスの呼びかけを拒否して変身することなくデッドマンズに立ち向かい始め、その危なっかしさに豪を煮やしたバイスが折れる形で「一輝の言うことを聞く」という一輝との契約を結び変身!

と、ここで改めての仮面ライダーバイスのコンビ結成が鮮烈に描かれました。ここは自分の決断でバイスを解き放ってしまった責任を果たそうとする一輝の覚悟や自身が傷付いてでも皆を守ろうとする一輝の正義感を強調しバイスがそれに折れるという展開運びでありつつ、その実、「思うままに暴れる」という自分の都合のためだけに弱みにつけ込んで『契約』を結ばせたバイスに対し、今度は一輝が「みんなを守る」という自分の都合を押し通すことでバイスを追い込み新たに『契約』させ返すという悪魔的な化かし合いの構図にもなっているというのがなかなか巧妙で唸りましたね...一輝的にはみんなを守ろうとする純粋な正義感を通した故の結果というだけって感じだろうけど

一輝に振り回されて慌て始め、「もうしない!」「悪魔嘘つかない!」って言うけど今までの行いが祟って信じてもらえず、だんだん萎縮していくバイスが不覚にもちょっと可愛かった()

またここのシーン、バイスが傷つきながらも生身で戦いに向かう一輝を止めようと手を掴もうとするも、実体化していないので止められずその背中を見つめることしかできない、っていうカットがあるんだけど、この演出を入れたことで見かけ上だけとはいえ、バイスがまるで一輝のことで感情的になってるかのような構図が生まれたのも面白かったところ。バイス的には別に一輝や人間に情が湧いたり良心が痛んだりしたとかではなく単に一輝が死ねば自分も死んでしまうので仕方なく契約したって感じなんだけど、ここでこういうシーンを入れとくことによって後々バイス人間性の発露や一輝とのバディとしての対峙みたいな展開があった時に昇華させられる余地を持たせたのは良いですな

しかし一輝、バイスを解き放たないためとはいえ、バイスが自分の言うこと聞く気がないなら、自分は死ぬまで変身せず戦ってやる」とまで言い切って、実際服ズッタズタになるくらい満身創痍で戦っていて、けっこう危うさを感じるんだよなぁ...生身でも果敢に戦う姿は勇敢と言えるけど、変身すれば良いのにしないで死にそうになってる、とも言えるわけだし 一輝の「自分自身を採算から度外視できてしまう」的な強すぎる自己犠牲とも言える一面は第1話の段階から窺えていたので、ここが話をどう動かしていくかはやはり注目どころだなぁ...

 

ここからリバイ&バイスメガロドンデッドマンの戦闘開始。どうでも良いけどメガロドンデッドマン、サメのマスコット的なずんぐりむっくりさあってなんか可愛いよね

キックアクション主体でアクロバティックに戦うリバイとプロレスじみた豪快なファイトで戦うバイスをそれぞれ別視点だったり同じ画角に入れたりと目まぐるしく動かしながらギフジュニア相手の大立ち回りでカッコ良く魅せていく演出を主体に、リバイが吹っ飛ばされたオーインバスターをキャッチした拍子にガンモードのギミックを発見したり、バイスが大二の使ってるガンデフォンに目をつけて勝手に奪っていったりと独特のコミカルさも織り交ぜて楽しくのが凄く面白かったですね ガンデフォン奪ってくバイスとそれを「オイッ、カエセヨッ!!」ってめっちゃキレて追いかけようとする大二が仲良しに見えすぎて笑う 2人のガンアクションも大人数相手というシチュエーションが効いて絵面の派手さが保たれてて凄くイカしてたね

そしてイーグルゲノムの時にも演出されたリミックス変身ギミック。Wライダー体制を活用し、組体操的なポージングでモチーフの最強生物へ変身するというファイナルフォームライドじみたなかなか画期的なギミックで面白いところでしたね 位置的にそうなるとはいえリバイのケツに顔埋めるバイスで笑ったw

モチーフの生物をガッチリ模したビジュアルになるわけでなく、元のリバイとバイスの腕やら顔やらの名残を随所に感じるデザインになってる辺りがちょっとシュールだけど、ここは玩具準拠って感じの味わいがあってなんか好き。今後もホイホイ使えずとも定期的に使われると良いなぁ

この戦闘ではリバイとバイスが腕をクロスするポージングや、フィニッシュ後に3カウントする演出など、短編映画でも見たリバイスお馴染みとなっていくであろう演出が色々見られたのも良かった。キャッチーで凄く良く決まるし、これからもしっかり強調していって欲しいなこれらは

 

そしてラスト、事件が終わり井端と荒木がリバイとバイスの戦いぶりを目にして「自分の中に眠る悪魔も正しく使えば人を守る力になる」ことを実感すると共に自分達の行いを恥じ、共に謝罪し合い再び相棒として一緒にやり直していくことを誓う場面と、それを見つめる一輝とバイスのシーンで締め。井端と荒木という「自分の中の悪魔を感情のままに解放してしまった者達」にして「互いを憎み合ってしまったバディ」が再び自分や相棒に向き合う様で締め括ることで、その類比である一輝とバイスをこれからより良いバディになっていくであろう2人として強調するのが良い演出でした。あとデッドマンに唆された人間のための更生施設みたいなのがあるらしいと提示されたのはなんか良かったね。そこの根本的な部分ちゃんと直さないとまた同じ人間から生み出されるかもだからなぁ

自分の中に眠る悪魔を正しい心で御し、皆を守る力とする、は正しく仮面ライダーが古くより掲げる正義の戦士としての形のダイレクトなオマージュであり、仮面ライダー50周年記念作品のスタートとしてここも良い印象付けだったなと

 

 

以上、リバイス2話でした。一輝とバイスの相容れない者同士が、「契約」という要素を軸に凸凹なバディとして一先ずの結成を見るまでの流れを、 一輝やバイスのキャラ性の強調と共にドラマとして見事に盛り上げ見せてきた素晴らしい回でしたね 本作ならではのコミカルさやシビアさ、 ダーティーさの強調、今後の伏線の提示も含めて鮮やかで、第1話と併せ良いスタートダッシュだったなと。個人的には特に、一輝の真っ直ぐながらも危うげな人間性バイスのキャラ性の変化といった部分は今後も注目していきたいポイントですね

ともあれ今後も楽しみにしていきたいものです

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた