第38話「オヤジ星人」
感想レビュー
古来より「影丸茂樹と赤星昇一郎はだいたいどの並行宇宙にもいると思っとけ」というコトワザがあってだな...(ないよ)
影丸茂樹さんと並んでウルトラシリーズの名物俳優的な存在感を放つ赤星昇一郎さんがご出演された今回。赤星さんはうだつの上がらないサラリーマン草野忠雄...の肉体を借り地球に潜伏し侵略作戦の進行に携わるも、草野としての生活の中で知った家族の温もりに心変わりし、侵略作戦に反抗する宇宙人・ベリル星人を演じており、地球人・草野を演じている時の陽気でどこか間の抜けた姿とベリル星人その人として地球で知った家族への温かな想いを語る優しい姿の両方をそつなくこなし、草野というキャラをグッと味わい深いものに仕上げていたなと感じます。コミカルな演技もシリアスな演技もどちらも上手いんだよなぁ赤星さん
今回のテーマは言わずもがな「家族」「愛」で、元々家族という概念すら持ち合わせていなかった宇宙人が地球で知った家族の愛に突き動かされ大切なもののために立ち上がる様は非常にグッとくるものがあり、実に沁み入るストーリーとなっていました。普段は反抗期で父を邪険にしている娘が父の無事を祈り、かつて父が自分のためにとくれた大切なぬいぐるみをお守りとして渡してくれたことが最後の局面で迷っていた草野の決意を固めるという、普段ははっきりとは見えない家族同士の強い繋がりがたしかに根付いていることを感じさせるじーんとくる構図も相まって、まさに「家族の愛が地球を救う」を地で行く熱い展開だったなと でも草野の娘の香織、後半の父を想う姿をギャップでより引き立ててあげるためとはいえ、前半部分ではもっと可愛げある感じに描いてあげても良かったかなぁ...とも思うw 普通に悪ガキだよあれ(
あと草野のこの想いを引き立てるにあたっては、1話分という尺は良くも悪くもこじんまりとしてたかなぁ〜と正直感じた部分もありここはちと惜しいところ。本編上の描写だけでも非常に味わい深いストーリーになってるけど、クライマックス辺りで草野の家族との日々の回想とかがちょびっとでも入ってたより引き締まったかもなとは
しかし草野のこの「地球人に扮して過ごし地球人の愛に触れていくうちそれに心を動かされ、かけがえのないものを守るべく戦うようになる」というキャラ性、じっくり見てみると「地球人の愛や勇気に胸打たれ、地球人と一体化することで共に地球や愛する人々を守ろうと戦うようになる」というパターンで地球に留まり戦うことの多いウルトラマンの心理と近しいものがあるなとも感じられ(地球人に心動かされ一体化するか、一体化し過ごすうち地球人に動かされたいったか、という違いはあるが)、ある種その辺の類比が意識されたキャラ造形が施された面もあるのかなぁ、と思ったりもしますね。裏切り行為をした自身への母星からの報復が家族へ及ぶことを防ぐために1人密かに帰っていくというラストの行動も、危機的状況で一体化している人間の命を救うために自身と人間を切り離したりするウルトラマンの自己犠牲的な精神と似通ってるなと感じるし
「侵略作戦のため」などそこに至るまでの経緯がなんであろうとも、例え家族が本物でない仮初のものだったとしても、最後には自分に色んなものをくれた愛する「家族」のために慈愛の心と勇気を持って強く立ち上がった草野は、ウルトラマン達と同じ“勇者”であったと言えるのではないでしょうか
そんな草野との共闘で倒したベリル星の侵略兵器・ヘルズキング、強靭な装甲でコロナモードのパワフルな攻撃に全くひるまない演出が印象深い強敵具合が良い存在感を発揮していましたね。テトラポッド型の飛行形態から原始分解→再構築を経て生物感マシマシのロボ形態になるという今までのロボ怪獣にないデザイン性のユニークさが面白いよね それでいて腕が変形して砲塔が出てくる機構とか、けっこう王道なロボのイメージが色々盛り込まれてるのも良き
コスモスとの戦闘も、ガンマンの早撃ち勝負さながらの無音の睨み合いからの撃ち合いなどイカした演出バリバリのカッコ良いシーン多めで見所多しのかなり優遇された怪獣でしたな 弱点の喉どつかれると大声で鳴くニワトリの玩具みたいな音出んの笑うけど。w
そしてラストは、草野の身体を抜け出てムサシに手を振って(かわいい)母星へ戻っていくベリル星人と草野一家のカットで締め。ベリル星人が出て行って、その間の記憶がなさげな素の草野が残されるという構図も、初代ウルトラマン最終回でウルトラマンが去り、記憶のないハヤタが残される下りに似たものになっていて、やっぱりこの辺のウルトラマンとの類比が意識されてたのかなぁ 良いラストだった 残された草野にどのくらい記憶がないのかはちと心配だが(
以上、コスモス38話でした。地球で知った家族の愛を胸に戦った勇士・草野の姿を描く回でした。ウルトラマンの精神性との近しさや構図の類比なんかに着目するとより味わいの増す良エピでしたね ヘルズキングの個性強めな存在感も良きもので面白かった
というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます
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ではまた
