AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

混沌の巨人

ウルトラマンコスモス

第39、40話「邪悪の光/邪悪の巨人」

感想レビュー

 

 

第35話でドイガキ隊員が将棋のコマを見て何かを思いついた下り以来音沙汰の無かった新型機の開発が4話越しに遂に形となり、新型機・テックスピナーがお披露目となりました。

テックサンダーからのグレードアップが一目で分かる、噴射口や砲塔といった武装の情報量マシマシのメカニカルな後部ユニットが目を惹くデザインが非常にカッコ良いのに加え、後部ユニットを表裏反転させ換装させることで性能を使い分けるというギミック(ドイガキ隊員は「表が飛車・裏が竜」といった、表裏で性能の変化する将棋の駒から着想を得てこれを思いついたわけです)の面白さもあり、なかなかにイカすウルトラマシンですよねぇ。戦闘機のイメージをより洗練させたスマートなフォルムの1号も捨てがたいが、個人的には武装多めの良い意味でゴテゴテしたSFミリタリー色濃いめな2号が非常に浪漫あるデザインで好き。

ムサシ/コスモスとカオスヘッダーの戦いに大きな動きが見られてくる今回のストーリーにデビューが重なったのは少々インパクトを持ってかれた感もあるけど、そんな状況の中40話の方できっちり活躍したし面目躍如は一つ果たしたとも言えるかな この先の活躍に注目ですな

 

幾度もの暗躍と対峙を経てムサシとコスモスの関係に気付き、未だかつてない行動に打って出てきたカオスヘッダーがもたらす最大の危機に立ち向かうムサシ達を描く今回のストーリー。実体カオスヘッダーへの進化に至るための人間の感情の学習第26話でのコスモスの戦闘データの採取第31話でのムサシへの直接の襲撃など、これまでの話におけるカオスヘッダーの行動が伏線として繋がり、ムサシの感情やコスモスの情報を直接取り込み、ウルトラマンの力と姿をもった存在「カオスウルトラマン」として実体化し挑んでくるという今回のカオスヘッダーの大攻勢を演出する作劇が、カオスヘッダー主軸のストーリーの一つの極致という感じで実に盛り上がりましたね。トレジャーベースや鏑矢諸島といったよく知る場所に立て続けにカオスヘッダーが襲い来る展開や、コスモスの敗北およびムサシがカオスヘッダーに幾度も襲われ遂には捕らえられるというピンチなど、緊迫感を煽る展開が連続するのもスリリングで凄くハラハラしました

 

またカオスヘッダーが打ち出そうとしてきていた「鏑矢諸島の怪獣達を一挙にカオス化する」という行動が、「怪獣と共に生きる」という夢を抱くムサシの感情を読み取ったカオスヘッダーの「全ての怪獣を仲間にする」という考えによるものだというのもなかなかに冒涜的且つ挑発的で良い展開。「怪獣との共存」一つ取って、怪獣も他の生命も傷付かないよう守ろうとする「調和」を重んじるムサシやコスモスに対し、怪獣を自分達の眷属と変え一つの思想の下にむりやり束ね暴れさせる「混沌」をもたらすカオスヘッダー、という対比を描き出してくるのが上手いところだなと ウルトラマンの姿や力だけでなくこういう思想の部分まで模倣してきた上で、その表現の仕方は歪でオリジナルとはまるで異なるというところが面白いところですよね

しかし、本作を最後まで見た方ならピンとくるところだと思いますが、ここから見て取れるカオスヘッダーの性質はある意味「表現の仕方こそ歪んでいるものの人間の感情/想いの本質そのものは的確にラーニングしている」と言えるものなんですよね。「カオスヘッダーが幾度もの進化を重ね意思のようなものを獲得し始めている」というポイントと併せ、ここはコスモス最終盤において大きな意味を持ってくるポイントなので、この時点で既に布石が敷かれていたのかと思うとおおっとなりますよね まぁこの話はまたいずれ話が進んだ時に。

 

そんな今回のエピソードの目玉となった新たなる実体カオスヘッダー、カオスウルトラマンウルトラシリーズでは定番の偽ウルトラマンが本作でも遂に登場しましたが、本作を代表する敵であるカオスヘッダーが満を辞して繰り出してきた切り札的な存在なだけあって、コスモスを苦戦させる強烈な活躍もあってこの山場でのインパクトは抜群でしたね。カオス化怪獣のコピー人間の感情の取得実体カオスヘッダー、といったこれまでのエピソードで描かれたカオスヘッダーを構成する様々な要素が余さず綺麗に回収されて構成されているのも設定の構築として非常に巧みで唸る

コロナモードがベースながらカラーリングや目つきなど細部のディテールを悪っぽく仕上げたデザイン性、オリジナルに概ね準じつつも真逆の動きなども取り入れた必殺技の演出など、偽ウルトラマンお馴染みの模倣と反転をちょうど良く合わせた造形も去ることながら、興奮すると露骨に怪獣感バリバリの鳴き声を出し始めるという今までの偽ウルトラマンにありそうでなかったアクセントを織り交ぜてきており、独自のテイストを上手く創出してるのが好きなところであり、平成の偽ウルトラマンの中でも印象は強い方ではないでしょうか 立った状態でその場でめっちゃ腕ぶんぶん振り回す動きしてる時あるのちょっとかわいくて好き

 

そんなカオスウルトラマンに対抗するべく奮闘するEYES、そして彼らの活躍により危機的状況から復活したコスモスの反撃が描かれる後半のエピソードの盛り上がりは実に燃えましたね。コスモスの不在、カオスウルトラマンによる怪獣の一斉カオス化を防ぐための鏑矢諸島の怪獣の駆除のタイムリミットの進行、カオスウルトラマンに使役されたカオスネルドラントⅡの出現、といった数々の危機的状況の中、コスモスをも倒したカオスウルトラマンへの対処、カオスヘッダーに捕らえられたムサシの救出という2つのオペレーションに果敢に挑むEYESの活躍は熱かった!そして諦めず戦い抜き、復活したコスモスと共に勝利を掴み取る流れには、これまで様々なピンチに諦めず立ち向かい続けてきたEYESの成長が窺えたなぁと コスモスの力を借りずともネルドラントⅡをカオスヘッダーから救うまでに至ったのはおおっとなりますね

あとEYESの活躍自体とはあんま関係ないけど、いつもEYESと半目しがちな防衛軍が今回カオスヘッダーという共通の脅威を前に、EYESとも情報の共有を密にしながら対処を取ろうと動く様が多く見られてたのは良かったね(怪獣の処分といった作戦面でややEYESと方針が食い違う場面もあったけど、そういった作戦を打ち出すにあたっても「怪獣が一斉にカオス化すれば大きな被害が出る」等のリスクをきちんと考慮してて、「人命を守るため」というところをしっかり考えているのが窺えたしね) 防衛軍も曲がりなりにもコスモスの世界で戦う勇士の一員なのだというのを最近さり気ないながらも印象付けているのは好感

しかし、他の方が言ってて確かにとなった部分なんだけど、テックスピナーの開発に加え以前登場したカオスヘッダー抗体の実用化やカオスヘッダーの弱点となるソアッグ鉱石の応用など、今回ドイガキ隊員めちゃくちゃ活躍してるよなぁ...w 防衛軍とのミーティングでカオスヘッダーに関する情報をまとめ説明してたのもドイガキ隊員だし、EYESは優秀な彼をもっと大事にしてあげてくれ(ガチ)

 

コスモスvsカオスウルトラマンのバトルも、初戦の敗北が衝撃的な分、後編での安定のTouch the fireをバックにしたエクリプスモードの無双が最高に気持ち良かった。途中のお互い回転しまくりながらの攻防の部分が若干シュールだったけどw 突然フワァ...と浮き上がったかと思ったらその場で高速回転を始めてカオスウルトラマンに接近し、眼前でスンッて回転をやめてキックをぶち込んでくる、っていうエクリプスモードの一連の絵面のシュールさずるいんだよな...カラオケでSpiritsを歌うとこの回の映像が流れるんだけど、歌ってる途中このエクリプスモードの回転の絵面をぶっ込まれると不意を突かれて吹き出してしまうのよ(

今回はコズミューム光線に並ぶエクリプスモードの必殺技の一つとしてお馴染みのエクリプスブレードもお披露目。三日月型のエネルギーの軌跡を描き、それを光の刃として放つという絵面が凄くカッコよくて良いんですよねぇこの技 コズミューム光線ほど使用頻度は高くないけどこのビジュアル的なカッコ良さはやはり惚れ惚れしますな

 

こうして全てが決着し、ムサシも仲間達と合流し無事を祝い合うのだった...が、そんな中、ムサシ救出時の光に包まれるムサシを見てフブキ隊員は彼に一つの予感を抱いていた...というところで締め。明確に示唆こそされてないものの、ここでフブキ隊員がムサシの秘密に勘づいたことが分かる描写が入れられることとなりました。まぁムサシがあんな思いっきり発光した後にコスモスが姿を現す様を見たら思い至る人は思い至れるよそりゃあ!(今回のエピソードの中でムサシだけが集中的に狙われていたことも判断材料としてはけっこう大きいよね)

これまたウルトラシリーズお馴染みの「正体バレ」の前フリがここにきてなされましたが、真っ先に思い至るのがムサシと強い繋がりを持つフブキ隊員というのが良いですよね。この前の第37話ではフブキ隊員のコスモスに対する憧れみたいなものが描かれたけど、それを踏まえるとフブキ隊員からしたらムサシが光に包まれる様を見てもしかして...となった時点で、瞬間的に自分の思い描く憧れのコスモス像とムサシが重なってより腑に落ちるものがあったのかもな、とも思ったり

今回はそこに言及することのなかったフブキ隊員だけど、それがこの先どう影響していくかが一つの見所になっていくというところで良い描写でしたね

 

 

以上、コスモス39、40話でした。カオスヘッダーの史上最大の攻撃を軸にハラハラするような波乱の展開を次々描きつつ、そこからの盛り上がりもしっかりと押さえたとても熱い前後編でした。ラストのフブキ隊員の描写など、今後の展開に影響していくであろう要素が期待をグッと高めてくる作劇も目を見張るところであり、とても見応えある回でした

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた