AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

宿命など喰らい 天下に狂い咲くSAGA

ゾンビランドサガ(無印/リベンジ)

総括

 

 

いつもの朝。いつもの音楽。
いつもの自分。
7人の少女たちの安寧は、
突如崩壊する。死して蠢く、
ゾンビによって……

否応なく踏み込んだ世界、そこは“最高×最悪のゾンビワールド”少女たちの願いは、たった一つ。
「私たち、生きたい。」
これは、少女達が起こす奇跡の物語(サガ)。

TVアニメ「ゾンビランドサガ」公式サイト-INTRODUCTION より抜粋

TVアニメ「ゾンビランドサガ」公式サイト

 

2018年10月、
オリジナルTVアニメ「ゾンビランドサガ」の放送が深夜にひっそりと開始。
2019年、佐賀県凱旋LIVEで続篇の制作を発表したが、
今日まで沈黙を続けてきた。

そして、沈黙は破られ2021年4月オリジナルTVアニメ「ゾンビランドサガ リベンジ」がアニメーション制作スタジオ「MAPPA」設立10周年に放送決定!

遂に新感覚ゾンビアイドル系オリジナルTVアニメ「ゾンビランドサガ リベンジ」の幕が上がる。

オリジナルTVアニメ
ゾンビランドサガ リベンジ」――――
最終回が終わる頃、佐賀県という言葉は、
新しい意味を持つだろう。

これは「運命へのリベンジ」。
理不尽な運命の炎に焼き焦がされてきた我々の尊厳を取り戻す戦い。

アニメ「ゾンビランドガリベンジ」公式サイト-INTRODUCTION より抜粋

INTRODUCTION|TVアニメ「ゾンビランドサガ リベンジ」公式サイト

 

 

ハァイお久しぶりですゥ、アニメ大好きゾンビィ型オタクどもォ〜!!(巽幸太郎)

なかなか手をつけられずマジで2期放送から長いこと経ったタイミングでの執筆になったの申し訳ない、マジで申し訳ない(

 

遡ること2019年9月、Twitterのフォロワー様にスッ...とお薦めされたアニメ作品、それがこの「ゾンビランドサガ」でありました。

佐賀でゾンビがアイドルをやってる、というとてつもなくぶっ飛んだテーマの本作について自分もかねてより存在自体は知っていて、1期第1話の冒頭もちらと観たことはあったもののその後作品に触れる機会がなく、お薦めされた後もマークはしつつなかなか観るタイミングを得られずにいたのですが、本作をお薦めされてから約1年半が経ったとある日、2021年4月より放送の2期「ゾンビランドガリベンジ」のスタートが近づいていることを知り、これはこのタイミングで履修して2期をファンの皆と一緒に追いかけたい!と思い遂に視聴に踏み切ることとしました。

幸いにしてちょうど時間が多く取れるタイミングだったので1期の視聴は良い勢いで進んでいったのですが、これがまぁ想像していた以上にとてつもなく面白かった!毎話毎話飽きることのない魅力溢れるストーリーに楽しませられ、それらがグッと集約された感動に満ちた最終回を観た時の万感の思いは今も心に強く刻まれております。

そしてそこから間もなくして直に2期「リベンジ」のリアルタイムでの視聴がスタート。1期の時点でこの作品は凄い作品だ...!ともう身に染みて実感していたので期待値大でありましたが、こちらの2期の展開も毎週1期に負けず劣らず、いやそれをも上回らんばかりの熱量に満ち溢れていて、1期に続いてまたしても強い感動を胸に最終回を迎えることができました。この素晴らしい熱狂をファンの方々と共に同時に追うことができて本当に良かった...と改めて思います

 

という感じで、私は「ゾンビランドサガ」という作品の魅力の虜になったのでした。薦めてくださったフォロワー様にこの場で改めて大いなる感謝を。

 

 

と、長々と前置きしたので、そろそろ本作の自分なりの総括へ参ろうと思います。なんだかまだまだ続編がありそうな雰囲気はあるけどひとまず1期2期併せての総括ということで。お暇であればどうかお付き合いいただけると嬉しいです。

 

 

本作の魅力はなんと言っても、

『佐賀』『ゾンビ』『アイドル』をやってる」

という一見同居し得ないように思える複数の要素を集約させたコンセプトを、嘘偽りや誇張一切無しに描き上げ、重厚なドラマへと昇華させた作品テーマへの愚直なまでの真摯さ、ここに集約されるなと感じます。

 

まず第一に「アイドル」という部分。ここを扱うというところで、凄まじく実直に「アイドルアニメ」というフォーマットを重んじた直球のアイドル作品だったことは本作の非常に大きなポイントだったなと思います。

本作は一見カオスなノリやぶっ飛んだテーマ性を扱うはちゃめちゃな作品という趣を含んでいるように思えるものの実際そういうとこもあるが()、その実、ストーリーの基本的なところとしては「アイドルとして邁進する少女達の物語」という部分がしっかりと意識されており、初めは気持ちがバラバラだったり頑なだったりで足並みの揃わなかったフランシュシュのメンバー達が、想いをぶつけ合い、時に相手の抱える重荷に共に向き合ったりして少しずつ一つにまとまっていき全員で苦難を乗り越えていく様それぞれの話の中で人々に笑顔や希望を届ける「アイドル」という存在の在り方に1人1人が自分なりの形で向き合っていく流れなど、同じ旗の下集った少女達が夢を目指し絆を結びながら進む成長劇、多くの人々の希望となる存在としての研鑽といったザ・アイドルアニメという感じの作劇が非常に胸を打つ作劇になっていたのが1期2期通して実に魅力的なポイントでしたね。各人の背景をその人物の人となりを深める形で描き出す描写の仕方や、キャラ同士が交流を通じて想いを変化させていく過程の着実な展開運びの仕方など、人間ドラマとしてシンプルに出来が良いので観ていて凄く熱くなるんですよね...またそんな中でアイドルとして駆け出し/右も左も分からないという立場のさくらやサキが自分なりに頑張って想いを貫いたりして成長していく様を描きつつ、一方で愛や純子といったアイドル経験者がアイドルとしての矜持や責任を説くことで場を引き締めるなど、等身大の少女達の成長という部分と芸能という要素の両方がキャラの言動を通じてしっかり引き立つ形になってたのも絶妙なところであり、ここの取り回し方はほんとに巧かったなと。

更に2期では芸能の大先輩やライバル、フランシュシュに感銘を受けたファンの子などの様々な人々の強い想いを通じて互いに影響を及ぼし合いながらより大きく前進していく様も描かれるなど、主役のアイドルであるフランシュシュのメンバー以外のキャラクター達にも大きくフォーカスし、そうしてフランシュシュがアイドルとして突き進んでいく中で広げ繋いでいく「輪」という部分が強調されたより濃い人間ドラマを主軸にしたストーリーが展開されていき、最終的にはそうして繋いでいったものが人や世界を動かし希望を与えていくというフランシュシュのアイドルとしての爆進が大きな形になっていく様が熱く描かれており、「アイドル」という概念が内包する力についても大きく取り上げた展開になっていたのが実にグッとくるところでしたね。最初はちっぽけな存在に過ぎずひっそりと知られるに留まっていたアイドル達が大きく躍進し、多くの人々や大きなものに影響を与えるまでになっていく1期2期通しての壮大なカタルシスは実に爽快で、深く沁み入るものがありました。

 

そんなフランシュシュのご当地アイドルとしての活躍を形作る要素であった「佐賀」も、本作を語る上で欠かせぬ魅力の一つでした。

ここの要素を扱う上での佐賀のプッシュというものは本当に力の入れようが凄まじく、実際の名所を細かく再現して作品の舞台として描くことは勿論、実際のイベントや企業とのタイアップにも物凄く積極的で、且つ作中でもそれらをかなりの熱量でもって取り上げてくるので、単純にご当地アニメとしてのパワーの強力という、恐るべき作品になっていたな...と今でもしみじみ感じます。白竜さんとかエガちゃんとか、佐賀に所縁ある方々もけっこう作品に何かしらの形でガンガン関わらせていたりと、メディア面の話題性の創出もバッチリという  特にその辺の積極さがより大きく目立っていた1期は、後追いで視聴した自分からしても「これってどういうとこやモノがモチーフになってるんだろう」と気になったものが多く、佐賀行った時に寄ってみたいな...なんて思ったものも非常に多かったなと 未だにドライブイン鳥のCMソングのメロディと歌詞スッと浮かぶレベルで刷り込まれてるんですよね...w 見事という他ない

また細かいところでも、キャラクターの方言がけっこうしっかり元の佐賀弁から落とし込まれているらしいことをはじめとして、2期の「佐賀事変」シリーズにおいてストーリーの展開に深く関わるということも込みで佐賀にまつわる歴史なんかをかなり事細かに取り上げるなど、その手の設定に凝る視聴者や歴オタ層なんかにも強く訴えかける要素もバンバン取り入れており、まさに一片の抜かり無し。その土地の魅力を色褪せることなく、あらゆる方面に向け伝え続ける作品という意味で、本作はご当地アニメとしても非常に真摯であり、大成功だったと言えるでしょう。

 

そしてより突筆されるのが、タイトルにも冠されている「ゾンビ」の要素。これの占めるところは特に大きかったなぁと

本作は「様々な時代でそれぞれ異なる事情でもってその生涯を終えた少女達をゾンビとして蘇らせアイドルをさせる」というなかなかにぶっ飛んだ大筋の下、現代において新たな生を得た彼女達が、アイドルとしての活動を通じて生前の自身にまつわる問題に再び向き合っていく、という非常にストレートな成長譚を物語のもう一つの軸として描いており、少女達が生前の自身が残した悔いに仲間達の支えを受けながら挑み決着をつけ、新たに立ちはだかる困難にも何度も果敢に立ち向かっていくことで、今一度自らの人生を歩んでゆくという作劇を通じた、動く屍に過ぎないゾンビである彼女達の成長や命を燃やし生きる様、挫折や心残りをもって幕を閉じた自身の人生にどん底から這い上がってリベンジする姿の描写が実に熱いのが大きな魅力たる部分だったなと感じます。一度死んだ者達が地の底から再び蘇ってしぶとく食いついてくるというゾンビのリビングデッド的キャラ性を「自身の死さえも越えて何度でも這い上がり、強大な苦難にさえも諦めず何度でも立ち上がり挑む不屈さ」というところに象徴的に昇華させたプラスの発想が見事なんですよねぇ...

特に2期はタイトルに「リベンジ」が付け加えられただけあってその「ゾンビの不屈さ」という側面がより濃く強調されており、成功からの転落を経つつも、1期での成長でもってまた立ち上がったフランシュシュの逆襲/リベンジを劇的に描いただけでなく、未曾有の危機に見舞われ絶望の底に叩き落とされながらも、各々ができることを全うして前を向いたりしながら、フランシュシュという希望の光を導に這い上がり、気持ちを一つにして未来に向け今一度活気を取り戻していく佐賀の人々、引いては佐賀という土地そのものを、生や光に導かれ立ち上がる不屈のゾンビに見立て、その再生を壮大に魅せてくるなどここのテーマ性の扱い方はひたすらに唸るところでした。

他にも、ゾンビの「時代さえも越えて現代へと蘇った存在」というところにフォーカスし、それぞれ生きた時代の異なる者が集ったフランシュシュの面々が、時代ごとの異なる目線や価値観、 信念を交えながら、それぞれの想いを理解し合ったり尊重し合ったりしながらまとまっていく様を描くことに繋げストーリーをグッと深めていたのも非常に良かったところ。1期第6、7話において描かれた、昭和と平成のアイドルである純子と愛のアイドル観の違いと衝突、という部分は特にそこが顕著にストーリーに表れていましたね。この要素があったからこそ「立場や考えが異なる者達同士の衝突を経た成長」という部分がよりスケールアップされ、いっそうアイドルアニメとしての味わいが増したなと。前述の「不死のゾンビに見立てた不屈さの表現」という部分もそうだけど、一見噛み合わなさそうなゾンビとアイドルという両要素を見事にマッチさせてきてるの素晴らしい手腕ですよねぇ またフォロワーの方の受け売りではありますが、この「時代を越えた者同士の想いの交錯」という部分は、2期全体における様々な人々との交流という部分において、「フランシュシュの皆が令和の世/今を生きる人々へ伝える想い/伝えてもらった想い」みたいなものを描く形でも昇華されているとも言えて、そこがまたドラマにいっそうの深みを与えていたなと感じます。ほんと抜かりなしだよなぁこの作劇

それ以外にも細かなところでは、製薬会社やショッピングモールといった要素や舞台を登場させつつ、前者はギャグ展開の繋ぎに、後者は避難のためにやってきたフランシュシュが同じく避難してきた人々を励ますという方向に持っていくなどといった、ゾンビ映画の定番要素の定石を破った上でのコミカルさや熱い展開の創出に巧みに繋げた型破りな描写も目を見張ったところであり、総じて「ゾンビ」というテーマのフォーマットを広く細かく押さえつつ、それを本作ならではの持ち味に昇華させた作劇が非常に面白かったですね。良かった

 

 

...と作中の様々な要素・テーマを物語において真摯に取り上げた本作の魅力を色々と語りましたが、最後に一つ、それらの要素全てを包括しつつ、「ゾンビランドサガ」という作品の一番の骨子/柱としてオンリーワンの存在感を発揮した漢・巽幸太郎について語らねばなりません。コイツを取り上げなきゃ本作は締まらねェのよ...


巽幸太郎というキャラは、視聴者を初っ端から物語へと引きつけた強烈すぎるハイテンションとコミカルさが溢れ出まくったキャラクター性に加え、プロデューサーとして方々への交渉やサポートに密かに奔走していたり、フランシュシュというアイドルを高みへ押し上げるべくメンバー一人一人に真摯に向き合ったりと、おちゃらけたような普段の振る舞いとのギャップが際立つ真剣な一面も見せることがあるなど作中の一キャラクターとして目を惹くのは勿論のこと、何よりも魅力的だったのはやはり、ストーリーが進行していく中で少しずつ紐解かれていった「1人の少女のために自分自身の人生を投げ打って『巽幸太郎』という男として絶望から立ち上がった、この物語のある意味始まりと言える男」としての一面。かつてふと惹かれた1人の少女の笑顔と夢が半ばで砕かれてしまったことに心が折れそうになりながらも、その笑顔と夢をもう一度咲かせるため必死で何かに縋り付き、神や悪魔さえも敵に回す覚悟、そして「乾くん」としての人生さえかなぐり捨てる覚悟を持って彼女を現世へと蘇らせ、自分が昔笑顔を向けてもらった青年であることをひたすらに隠しながら懸命に支え続けるという、自らゾンビのように新たな生を得て何度でも這い上がり、一途に想いを遂げようと足掻き戦う泥臭く人間臭い様が見ていて強く胸を打つキャラであり、ゾンビランドサガという作品の根幹を担う重要な人物として、本作が持つテーマ性や要素を全力で体現していたキャラ、というところで、実に大きな存在感を放っていたなぁ、と感じますね そうして想いを貫こうと必死で戦う中で、さくらを前にして「乾くん」としての想いが滲み出た素の言葉を感情を振り乱しながら放ったり、共に歩んできたフランシュシュの皆の成長を見て一プロデューサーとしての想いを溢れさせたりといった部分も、実際に視聴していて物凄く情緒を動かされたところでした。色々引っくるめて、 EDのキャストクレジットの一番頭の部分に来るのは納得の一言。

コミカルな部分や時折繰り出されるフランシュシュというアイドルを支える者としての真剣な一面でストーリー全体を引っ張る様、その根幹を成す「巽幸太郎」としての覚悟や想いが溢れ出る熱い様など、メリとハリが実に強く効いたキャラであり、そんなクセも魅力も非常に濃いキャラを全力で表現した宮野真守さんの演技も、巽幸太郎を構成する要素として欠かせない、実に素晴らしいものだったなと思います。総評で単独のキャラや役者さんをここまで大きくピックアップすることってあんまないんだけど、巽幸太郎/宮野真守に関しては、そうせねばならないほどの大きな存在でしたなぁ...

ゾンビランドサガという作品を全身全霊で担い表現した、本当に最高のキャラでした。

 

総じて本作は、一見はちゃめちゃに思える数々のテーマや要素に真剣に向き合い巧みにまとめ上げた秀逸な作劇が特徴の、ゾンビとしてどん底から這い上がり苦難に何度も挑み続けた少女達のアイドル/人間としての成長劇、そして彼女達を時に支え、また彼女達に支えられてきた多くの人々や佐賀という土地およびその歴史、そして「巽幸太郎」という男が織り成す壮大な希望の物語(サーガ)だったんじゃないかな、と感じます。濃密且つ洗練された魅力に溢れる、壮大で偉大な作品でした。

 

 

以上、ゾンビランドサガ(1期及び2期)の魅力を総評としてまとめさせていただきました。

なんか凄く上手い形にまとめるのが難しく、散文じみたものになった気がするので物凄く読みづらいし分かりづらいかもしれませんが、精一杯本作魅力は詰め込めたと思います。総評でサクッとまとめられない程濃厚な魅力に満ちている、ということでどうか一つ(各話感想と併せてその辺の魅力は存分に勝たることができていると思うので、そちらもどうか一緒に読んで頂ければ)。

ゾンビランドサガ - AnDrew’s小生意気レビュー記 記事リンク用

ゾンビランドサガ1期および2期の各話感想記事リンクです。よしなに

何はともあれ、長いこと間が空きましたが、 本作の総評を一つまとめ上げ、一つの区切りにできて良かったです。最後まで呼んでいただいた方々、本当にありがとうございました。読みづらかったかもと思いますが、本作の魅力について想いを共有できたら幸いです。

本作、まだまだ続きそうな予感もしておりますが...その時はまた、改めてということで。一先ず締めといたしましょう。

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた