AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

人間舐めんな

ウルトラマンコスモス

第48話「ワロガ逆襲」

感想レビュー

 

 

第13、14話にて人類に牙を剥いた恐るべき邪悪生命体・ワロガの人類への新たなる侵攻とそれに立ち向かうEYES・防衛軍・コスモスの戦いを描いた今回。以前のエピソードはムサシとレニの交流を2話に渡り描くドラマ面濃いめの話でしたが、今回はワロガを純然たる脅威と位置付け、人類のワロガとの息つく暇もない死闘を緊迫感高めに描く、戦いに重点が置かれたエピソードとなっていました。緊張した空気の中ワロガの襲来を待ち構えるEYESと防衛軍人類を容易く蹂躙するワロガの脅威的な力負傷した者達が次々運び込まれたりワロガの襲撃を前にして患者達の避難に奔走させられたりと緊張に晒される医療基地その中で傷付きながらも闘志を燃やし戦おうとする各陣営の者達の姿など、臨場感溢れる画が絶え間なく繰り広げられる流れはまさに、正統派の怪獣特撮といった感じのストーリーだったなと

 

中でも一番に目を惹いたのはやはりシノブリーダーとカワヤ医師の一連のやり取りでしたね。第35話以来のしっかりとした2人での絡みとなった(スポット的に描かれるのも含むとこれまでにもちょいちょいあったが)けど、その身を犠牲にしてでも戦いに身を投じようとする自分の身体を真剣に心配してくれる彼の気持ちに「必ず勝って戻るために行く」という決意でもって応えるというリーダーのカワヤ医師に対する向き合い方のちょっとした変化を窺わせる描写が良い人間ドラマの味わいになっていたなと思います。相変わらずリーダーはカワヤ医師にそっけないけど、お互いしっかり面と向かって相手の想いに向き合うようにもなった、ってのが、35話における出来事を経てあの話ラストに描かれた2人の関係を踏まえた人間関係の描写として納得いく空気感だったの良かったなと

また、傷付いた身体で戦いに赴こうとするシノブリーダーの無茶を「医師」として制する姿の中に、1人の女性を「男」として心配する一面も同時に窺わせる感じの言動を多く見せていたカワヤ医師も、人間らしさ・カッコ良さが良い感じに滲み出ていて実に良かったところ。カワヤ医師、 基本コメディリリーフ的なキャラながらもそれに留まらない人間的な深みも多く持っていて、最近では第41話や前回の第47話など治療・医学的な分析の担当として純粋に医師として活躍してる場面も多い、とまさに名脇役って感じのキャラクターで凄く好きなので、今回その魅力をグッと掘り下げる魅せの場面が多かったのはとても嬉しかったなぁ。シノブリーダーの怪我を見抜いた上で「今は俺の患者として言うことに従ってもらう」と強気に制したり、「医師である自分達が細心の注意を払って治療した傷をまた広げられたらたまんないんだよ」「今度気を付けるなら今気をつけろ」と医者としてリーダーの身を案じその無茶を咎めたりと、医師という要素にグッとフォーカスした熱い言動が沢山織り込まれていたの最高

 

他にも、ワロガに果敢に立ち向かう戦士としての勇姿を鮮烈に見せつけた防衛軍の活躍も実にグッときたところ。ワロガの圧倒的な力の前に他の戦車隊が蹂躙され沈む中、隊員の1人がボロボロになりながらも単身立ち上がって砲撃を放ち、ワロガのガードを崩すことで逆転の糸口を切り開いたとこめちゃくちゃカッコ良くて良いよね...人間の意地の力を見たりという感じだ ちなみにこの1人立ち上がり戦った牛島という隊員を演じられてる加賀谷圭さん、ウルトラシリーズファンならご存知かとは思いますがガイアでチームハーキュリーズの志摩さん役だったお方ですね 別世界の自分の闘志が時空を越えて宿ったとか考えるとあの奮戦も納得だよね...などと冗談ぽく言ってみる。w

準準レギュラーくらいの頻度でたまに登場することでお馴染みの特務部隊の石井さんも、EYESやベンガルズが軒並みやられワロガと戦える者がいないという絶望的な状況下に晒されながらも、死守すべき医療基地を背に仲間達と共にバズーカ砲を携え、迫り来るワロガに相対するというまさに背水の陣というべき覚悟の姿が短いシーンながらも最高に痺れた 

ラジコン戦車を使ったベンガルズ戦車部隊の戦闘シーンといった特撮面も目を見張るものは多く、今回は防衛軍準主役回と言っても過言ではないストーリーだったなと感じますね 例のごとく蚊取り線香の煙に当てられた蚊のように速攻で撃ち落とされていく姿に最早安定感すら感じる防衛軍機とか、EYESにワロガの対策を立案されて最初「...まぁそのくらい僕らも気付きましたけど?」と謎の見栄を張る上層部とか若干頼りないとこもあったけどそれはまぁ(

 

そんな今回のエピソードにおいて恐るべき脅威として君臨しEYESや防衛軍、コスモスを苦しめたワロガも良き存在感でありました。

人類を自滅へと導き嘲笑うことを目的としたかのような策謀を張り巡らす狡猾さが特徴的であった前回の登場時とは打って変わって、予告を送った上で攻撃を仕掛け、待ち構えていたEYESや防衛軍を正面から叩きのめすという、自身の力を誇示するかのような大胆な行動に出ていた今回のワロガでしたが、ベンガルズの一斉掃射を全く物ともせず容赦ない攻撃で戦車部隊を圧倒いう間に粉砕、テックスピナーの射撃も正確にガードし返す刀であっさりと撃墜、「光に弱い」という自身のウィークポイントを突いてこられても即座に対応し封殺する機転を見せつけるなど、フィジカル・テクニック双方隙無しな小細工抜きの圧倒的な強さを見せつけていたのがとても目を惹きましたね。背後からの光に照らされ、影の濃くなった威容を見せつけるという、ゴジラ怪獣風味の演出もその強大さを強調してて良きでしたね。まさに“怪獣”って感じの演出で好き(今回の話が怪獣特撮色強めに感じるのはこれが要因かも)。前回の出現でもコスモスを翻弄し苦戦させるなど強さの片鱗は窺わせていたけど、前回は進んで表には出てこようとしてなかっただけに、今回真正面からやり合おうと全く問題ないと言わんばかりの強さを見せつけてきたギャップはかなり効いたなと。EYESや防衛軍を軽々と蹴散らし、動きを止めた戦車の残骸を見下ろしすらせず医療基地へ向けて一歩一歩ゆっくりと進んでくるシーンの絶望感と恐怖はストレートにゾクっときましたね...戦闘時も進行時も無感情・無機質といった感じの最低限の動きしかしない辺りが、相互理解不能な薄気味悪さを醸していたのも良い

にしてもワロガ、その気になれば武力で相手を余裕で叩きのめせるというのに前回はわざわざ回りくどいまである作戦で人類を陥れようとしてきてた辺り、強さ故の余裕や人類を見下してる態度が見えてくるようでなんとも憎たらしいところ。今回も2度目の襲撃に際し「医療基地を襲う」と宣言しておいて、襲撃の時間までに患者達を逃がそうと皆が急いているタイミングで襲撃時間を繰り上げて姿を現すという行動を取っていた辺り、人類を弄び嘲笑ってる感がありありと滲み出ていて最高に下衆かったなぁ 13、14話の感想でもその辺は触れたけど、改めてその辺意識して見てみるとより邪悪さが伝わってきましたね

そんなワロガも終盤にてコスモスを圧倒し苦戦させていた最中、ワロガの弱点に気付き出撃したシノブリーダーと、死の淵から立ち上がり一矢報いんとばかりに攻撃を放ってきた牛島の攻撃によって急所たる目を撃たれ弱体化、コスモスにお返しとばかりに叩きのめされ、逃走を図るもブレージングウェーブで粉砕されるという最期を迎えることとなりました。

蹂躙し尽くしたと思って人間を完全に歯牙にも掛けていなかったところで、最後まで諦めまいと立ち向かう人間の闘志に虚を突かれ、無数の兵力に比べて圧倒的に劣るはずのたった2人の人間の抵抗によって敗北するというこの元も子もなさすぎる結末を見てると、自分の手のひらの上で転がせると高を括っていたちっぽけな人間の持つ強い意志を軽んじたために足元を掬われ破滅してしまうこの愚かしさこそが、強大で狡猾なワロガの最大の弱点だなぁと感じますね。前回地球を襲撃した個体が、手のひらの上で自由に操っていると思っていたレニの全ての意志を賭した命懸けの抵抗によって敗北したことから何も学んでいないんだなコイツら...という感じである

ワロガという種族が揃いも揃ってこういう性質であるならば、彼らがたとえ今後何度襲撃してこようとも、人類が諦めず戦う勇気と意志を持っている限りは、決して負けることはないだろうな、なんて

 

 

以上、コスモス第48話でした。ワロガの再登場とそれに立ち向かう人類の戦闘を軸に、緊迫感溢れる息つく暇もない展開で魅せてくる正統派の怪獣特撮の趣強めな作劇が見応え満点なエピソードでした。シノブリーダーとカワヤ医師の関係性、防衛軍をはじめとした諦めず戦う人間の意志といった要素を描き出す人間ドラマもグッときたところであり、非常に引き込まれましたね。それらも含めてストーリー全体を引き立てたワロガの邪悪な性質の描写も良きところだったなと 胸が熱くなる回でした

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた