AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

ウチの弟は“イイヤツ”なので

仮面ライダーバイス

第9話「 カゲロウ暴走!五十嵐兄弟…崩壊!?」

感想レビュー

 

 

マジなイエローやカジキなイエローや某キラメくレッドの正妻JKなど、見覚えがありすぎる顔触れで構成された詐欺グループが詐欺の電話かけてたアジトみたいな場所に、普通に中身の映像観られるような起動中の監視カメラが設置してあったの、流石に割り切りが良すぎるにも程があるぞ()

 

よりにもよって前後の2作がハロウィン回をやってる最中、その間で前回のカゲロウ暴走の流れを汲む地獄みたいな空気の話を展開させた今回の仮面ライダーバイス。冒頭から物理的にも比喩的にも暗雲が立ち込めてたの冗談抜きに空気が地獄すぎてちょっと笑ったんだよな...(

 

今回は大二の身を案じつつも気丈に振る舞い家族の中心として明るく構える幸実さんや元太、大二をカゲロウから取り戻そうという想いを強く持つも同時に焦りから独走が目立ち始める一輝、と揺れる五十嵐家の様子がメインで描かれたけど、その中でも一際目を惹いたのは荒れるさくらの姿だったなと。

今回のさくらは、大二の優しい人柄を慕っているが故にその大二の中から悪魔が生まれたという事実を受け入れられてないといった感じの混乱を見せ、エビル/カゲロウの殲滅指令が出たことに憤り大二を早く助けてくれない一輝に感情をぶつける、といった荒れ様が深く描かれており、年相応の少女の未熟な精神性の強調といった趣が感じられたけど、同時に「どうしてあんな優しい大ちゃんに悪魔なんかいるの?」大二の人柄を盲信してるかのような口ぶりを見せたり、「いつものお節介はどうしたの!?」一輝に当たり散らしたり(一輝は大二を救うのに消極的だったりするわけではない、にも関わらずである)、などといった感じで、特定の相手に対するどこか押し付けがましい一面が見え隠れしたのも興味深かったところ。一応、若さ故にそういう部分にまで気が回らない、という単なる今後の成長に繋がる伸び代的な描写としても捉えられるところではあるけど、最序盤の第3、4話辺りで一輝に対するコンプレックスや不満を爆発させ衝突する」という、良くも悪くも優しいだけではない大二の不安定さが描かれていたことを思うと、そういうところに気付いていないにも関わらず「大二は優しいので悪魔なんて生まれない」とヒステリック気味に決めつけてかかるような言動をしているさくらは、意図的に少々歪に描かれているんじゃないかな、とも思うわけです。それに、まだちょっとした邪推の域ではあるかな?とも感じるところではあるけど、さくらは大二からは悪魔が生まれるわけないと思ってるのに、一輝から悪魔が生まれてることには何も思わないのか? というのはたしかにちょっと引っ掛かったところ。なーんか一輝の対して暗めの感情持ってない?的な

かってぃー on Twitter: "『あの大ちゃんに悪魔?』って、一輝の時には言わなかったのは単純に尺の問題か、或いは『一輝なら或いは』と納得していたのか #仮面ライダーリバイス"

ぺん太 on Twitter: "なんで「あんな優しい大ニ兄に悪魔なんているわけない」って言って、簡単に一輝の中にいる悪魔は信じるんだよ。桜目線で一輝ってなんなんだ。"

ともあれここ最近、正義とはなんぞやというところに懐疑的になったりとか精神的に揺さぶられる場面が多くはあったので、近い内何か大きなことが起こりそうだなぁさくら...「お前もとんでもない悪魔持ってるかもよ...」的なバイスの仄めかしも不穏だし

 

一方、一輝も一輝でフェニックスによるエビル殲滅指令を是とせず大二を自分が救うことに拘るなど、青臭いなりに長男として家族を守ろうとする熱い一面を見せてはいたけど、カゲロウから「自分が大二から生まれた理由はお前のせいだぞ」と言われた際には頑なに「違う!!」と否定するばかり、という現実逃避的な脆さが窺えて、この辺も危ういなぁ...と感じたところ。単純に衝撃的な事実を受け入れられない、というところで収まる描写でもあるんだけれど、それこそ大二がかつて自分への不満を爆発させるのを直に目にしていたというのに、この期に及んで「俺のせいで大二が...」みたいなショックの受け方をする感じではなく、頑なに否定する方向にばかり行ってしまってるのは、感情的になってるのを加味しても傍目から見るとちょっとオイオイオイとはなるんですよね...前回だって大二のことを怪しく思ってたっぽいのに「家族のことを疑いたくなかった」って言ってたわけだしね。他の作品なら普通は単なる人の良さとして描かれる感じの部分だけど、本作においては闇を感じちゃうのよなぁ 幸実さんから大二に寄り添い理解してあげてくれと言われたことがあるのにそこから目を背けるような感じの言動してる辺り、一輝の根本の脆さを如実に描き出したかなり痛烈な作劇だなと

 

なんかこのさくらと一輝の描写を見てると、家族の絆を強く信じてはいるけど、それ故に家族の弱い部分や少し黒い部分をきちんと理解しようとしていない、ないしは無いものと考えているきらいがあり、そしてそれが露わになった時もなかなかそれを直視しようとしないところがある、てのが五十嵐兄妹の決定的な問題点として描かれているような気がしますね。家族を美しくかけがえのないものと弁えているが故の盲目さとでも言うか。なんか一輝へのコンプレックスがバリバリで闇が深いように感じられた、というとこで当初は大二が一番不穏に思えたけど、なまじ不満を溜め込まずきちんと吐き出せる精神性があった分、今となっては彼が一番真っ当だったかも...と思えてしまう 幸実さんや元太も家族への強い信頼という意味では若干そういう部分があると言えるかもと今回少し感じたし、このエグすぎる局面を乗り切るためには、五十嵐家がみんな揃ってお互いに向き合うタイミングが必要だよなぁ、と感じました。今後そういう場が設けられたりするのかなぁ

 

そんな五十嵐家を大きく掻き乱した要因の一つであるカゲロウですが、今回は更に暴走を極めやりたい放題かましていましたね...独立した勢力と化しつつあるわね

今回はカゲロウの誕生経緯というものが語られたけれど、小さい頃から積もり積もった大二の兄・一輝へのコンプレックスが元になっていたというのは割と想像してた以上に規模大きくておでれぇた。そして、兄はみんなに慕われ銭湯や家族を守り、自分はその裏で仮面ライダーとして世界を守る」となることで胸を張ろうとしてたのに、それすらも兄が担ってしまったことで更に自分のアイデンティティが揺らぎ、最後には兄が仮面ライダーに相応しいと自ら認めたことが精神的な決定打になってカゲロウが生まれた...というところまで明かされる運びとなっており、ほんと純粋に兄を慕う気持ちと兄にコンプレックスを抱く気持ちが複雑に絡み合う中で、自分のアイデンティティに迷っていたんだなぁ大二...と感情移入してしまいますな 第4話の仲直りで兄の道を受け入れたこと自体が、 引いては自分のアイデンティティの否定をしていた部分があったというこの、皮肉

そんな大二を如何に奪還するか、というところで、幼い頃かくれんぼで1人出て来れなくなった大二を一輝が見つけ助けた、という過去の話にちょっと触れられてたのは注目ポイントな気がするなと。兄らしく再び一輝が大二を助け出す流れになることへの布石的な描写だろうか?と思ったりしますね 大二のコンプレックスやそれを生んだ自分自身に向き合った一輝が、カゲロウという影に隠された大二を見つけ助け出す、的な。個人的には大二も自分自身の内なる感情=カゲロウと彼なりに対峙し、それを乗り越えるなり受け入れるなりして打ち勝って欲しいところなので、そこも描かれると嬉しいかなぁ

 

また、上記の事実を突きつけ一輝を揺さぶった悪辣さの目立った今回のカゲロウについてなのですが、大二のコンプレックスについてベラベラ言ったりせずに「大二はもう消えたんだよ〜!!」の一点で押し切って一輝達を絶望させても良かったであろうに、わざわざ一輝に面と向かって言ってやってた辺り、大二の内に溜め込んでいた不満をしっかり伝えようとしてるような構図にも見えて、そう思うとなんだかちょっとカゲロウのキャラにちょっとした深みが生まれそうな感じもあったんですよね。勿論カゲロウ自身は一輝を潰すことしか考えてないだろうけど、前回わざわざ正体を明かして襲い掛かった(大二のフリをしたまま襲い掛かっても一輝達を困惑させられただろうに)こととも併せ、自身の本音をぶつけようとする大二の深層心理がカゲロウに反映されてるような感もあるというかなんというか。バイスにも一輝の深層心理が滲み出てそうな感じはたまに感じるし この辺が今後カゲロウの描写に絡んできたりすると自分としては好みだが果たして

 

という感じで荒れに荒れた五十嵐家でしたが、それ以外の面々は割と頼もしかったり憎たらしかったりで賑やかだったのでけっこう良いバランスでした。

中でも一番に目を惹いたのは何と言っても最近の仮面ライダーバイスにおいて絶対的な安心感を発揮する男・角田ヒロミ。展開上一輝が精神的に不安定な中で、人々に逃げるよう促しながらデッドマンと果敢に戦闘したり、暴走するカゲロウを「罪のない人に手を出すな!」と威嚇したりと、ブレることなくデッドマンズと戦うことや人々を守ることに専念し、現状誰よりも真っ当にヒーローしてる姿がマジでカッコいいんですよねぇ...メイン張る一輝が葛藤する過程を経ること自体は問題ないけどそれで戦いに私情が混じったりしてグダるとその分率直な視聴感としてモヤっとするものは生じてたと思うし、そこで純粋に人々のために戦う人がいてくれるのは作劇の安定感が増して良いよなと

細かな言動を一つ一つ取って見てみても、一輝が大二を思う故にカゲロウ殲滅を躊躇う中で「俺ならトドメをさせます」といざという時のブレない決意を示して戦いへのテンション感を安定させる一方、なんだかんだで一輝にも協力してカゲロウを討つことを勧め、一輝が「兄として自分が大二を救う」と意地になっても特別咎めたり責めたりすることはしない、などなど職務に忠実な一面と人格者な一面とが同居した人間的な深みが感じられてカッコいいし、実戦闘でも相変わらずデモンズとして破格の強さを発揮、ゲノミクスチェンジのギミック(モグラの力の裏モチーフがアマゾンなの良いよね)を活かしてより安定したバトルを繰り広げるなどマジで頼もしい、といった感じで株が天井を突き抜け続けていて、ほんと第1話からしばらく続いていた不遇っぷりはなんだったのって感じなんだよなヒロミさん...しれっと一輝のことを「一輝」って呼んでたりと頼れる先輩感も増してるしな しかしこんな序盤から安定感を発揮してると、どんどん不安定になってくるのが仮面ライダーシリーズのサガ マジで死なないでくれよ...

またバイスの方も、ちょいちょい五十嵐家の不穏な空気に茶々を入れる場面こそ見られたものの、一輝が大二に気を取られそうな場面ではデッドマンの相手を請け負って一輝を送り出し、その後も特に何か自分勝手に振る舞うでもなくちゃんと戦いデッドマンをいい感じに追い詰めるなど、普通に良い立ち回りしてたのが面白かったですな。独走しがちだった一輝の行動をそれとなく諌めようとしたりしてたし、ほんと最近はバイスの方がまともに見えてくるのよな...お前最近どうしたんだ、頭おかしくなったか(失礼)

戦闘シーンにおいても、迫り来るデッドマンをオーインバスターとガンデフォンの遠近両対応の2丁流で巧みに圧倒、良い感じに優勢になったところでオストデルハンマーでダメ押し、最後はリバイスラッシャーでの怒涛の連撃、と一連のアイテムのギミックを巧みに小気味良く使いつつ見応え満点に豪快なアクションを繰り出して戦うのでめちゃくちゃ楽しかったんですよねぇ。ガンデフォンで写メ撮る余裕を見せる一幕も、アイテムの印象深い活用とバイスのキャラの強調を良い具合に同居させた良演出で良き。この辺のアイテムを小気良く取り回すスタイルは坂本監督の東映特撮におけるアクションの小慣れた巧みさが良い感じに働いたなと 何気普通に超強い、というバイスの強みも存分に醸されていて存在感バッチリでした

ちなみに今回リバイ&バイスは新形態・カマキリゲノムでの戦闘も行っておりました。鎧武モチーフを敢えてジンバーアームズの方で落とし込み、武器をソニックアロー風の弓矢(リミックス変身時に分割して鎌上になってるのが面白い)にしたりと一捻り加えてたのがなかなか良かったですね 武器がないので蟷螂拳で戦うバイス好き

 

そしてカゲロウ/エビルの動向を怪しげに見守るジョージ・狩崎。一輝にカゲロウのことを知ってたかと問われ「知らなかったよ〜」といけしゃあしゃあと白々しくパチこいたり、

街にブラキオデッドマンが出たのを見て「ホラ!ブラキオだよブラキオ!行って行って!」とさっきまで大二のことを問い詰められてたのなぞ忘れたという感じでヘラヘラと一輝を送り出したり、

エビル殲滅指令のことを聞いて憤慨し圧をかけるさくらにも全く悪びれなかったり、と今日も良い感じに人の心が無くて実に良かったです(言い方) まぁ一輝に対し惚けたことに関しては、今正直に言っても事を荒立てるだけみたいなとこあるからはぐらかすのは正解かなとは思う クソみたいな態度で平然と嘘吐いてるのが全てを無に帰すくらい最低だが()

でも予想してた通りカゲロウのことを認知しつつ大二にドライバー渡してたのには狙いがありそうね。次回その辺が大きく明かされそうなんで楽しみにしたいところ

 

 

以上、リバイス第9話でした。まさかそんなこと...と思ってた五十嵐兄妹(五十嵐家)の抱える歪みみたいなものが、カゲロウの存在をきっかけにほんのり顕在化し始め、ドラマ的な大きな見所となってきた感じのあるエピソードでありました。ここに意図的に触れてるとしたら今後なかなかにエグい切り込み方していきそうだよなぁ...
一方でそれを取り巻く諸々のキャラの言動の取り回しが楽しい部分もあり、全体的には非常に安定した作りになっているなと。今後もこういう感じでエグく、且つコミカルに進めていって欲しいものですな マジで死なないでくれヒロミさん

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた