AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

防衛軍はあんま悪くないと思うんだ

ウルトラマンコスモス

第51話「カオスの敵」

感想レビュー

 

 

マザルガス、小さい頃から何気にコスモス怪獣の中でも地味に印象深いというか、妙に記憶に残る怪獣だったりする(カオスヘッダーの天敵でありカオスヘッダーを捕食できる、というコスモスの世界観上においてほぼ必然的に大きな存在感を発揮できる設定してたからなのもあるが) マタンゴキノコを思わせる頭部のシルエット、アルマジロじみた球体型への変形、老婆みたいなしわくちゃの皮膚に鳥類を思わせる嘴という特異な顔立ち、亀の甲羅やトカゲの鱗を彷彿とさせる細部のディテール、といった様々な既存の生物の意匠を感じさせる要素をスタンダードな二足歩行怪獣のフォルムの中に巧妙に織り交ぜ落とし込んだことで、かえって何の生物にも似ない唯一無二の個性を得ているデザイン性も凄く好きなんですよね 上述のしわくちゃの老婆っぽい顔に瞳の無い目、という不気味なんだけどほんのり人間っぽい雰囲気も感じさせる良い意味で気持ちの悪いビジュアルも良き

 

そんなマザルガスをカオスヘッダーに対抗するための「人類の希望」として確保しようとするEYESの活躍を取り巻く展開を描いた今回のエピソード。マザルガスをあくまでも怪獣であり「人間の脅威」であると位置付け倒そうとする西条や、自分の開発した超兵器・ダビデス909がマザルガス=人類に希望たり得る存在を打ち砕いてしまうかもしれないという不安に葛藤するハズミ主任、といった人間達の様々な想いの板挟みにされながら、最後には理不尽に命を落とすこととなってしまったマザルガスの哀愁が沁み入る話でしたね...人間の勝手に振り回された結果生物が苦しんでしまうことへの痛烈な皮肉と言えようか

マザルガスから逃げるかのような動きをしつつもその実防衛軍の爆薬倉庫へ誘導しており、人間が勝手にマザルガスを倒すよう誘導していたカオスヘッダーの狡猾さも目を惹きましたね。序盤に見せてたこの辺の知略に長ける一面が改めてしっかり描かれたところは良かった

 

しかし今回の流れ、結果的にマザルガスにダビデス909を使ってカオス化させた挙句最終的に死なせてしまった西条に大きな責任があるかのような形となってたけど、正直これに関してはマザルガスの進行を止め切れず防衛軍の爆薬倉庫近くまで行かせてしまったEYESの方の責任が大きいよなぁ...と思えてしまい、なんか腑に落ちなかったのがどうもハマらなかったな...と。
そもそも最初にEYESと防衛軍の間で「被害を最小限に食い止めるのを条件に防衛軍はギリギリまで不干渉」という取り決めが為されているので、爆薬が爆発したらヤバいわよって状況に入った時点で防衛軍がマザルガスを倒すという方向に行くの自体は自然なこと(最初にEYESとの取り決めを受け入れた佐原司令官もちゃんとその辺を守って本当にギリギリまで手を出さず待ってたからむしろ温情あった方なのよな マザルガスを「人類の希望」と信じそれを砕くことを心苦しく思ってる様子を見せてたから聡明で理解あったと思うし)だし、西条も「ダビデス909を使いたくてうずうずしていた」という危ない身勝手さが強調されていたとはいえ、形として佐原司令官の号令を待った上で「被害を広げ得る存在となったマザルガスの撃破」を目的として動いていたので一応なんら問題はなかったから、西条、引いては防衛軍に行動を責める論理性に欠けてるんですよね(ダビデス909でマザルガスがカオス化したのもあくまで結果論的な話だったし)。そうだと言うのに、事実としてマザルガスをみすみす被害を大きくし得るところまで通してしまったヒウラキャップの方が西条を責め立て殴るまでする、というのはあまりに乱暴というかなんというか...責任転嫁に見えてヒウラキャップらしくなさすぎるし、今回の話におけるEYES側の印象を悪くしてしまったように思いました。こういう時こそEYESが怪獣保護のために最後まで諦めず奮闘する姿を描いた方が、流れの大筋自体は同じでも見た目の心象として良かったと思うんだけど、そのEYESも早い段階でヒウラキャップ以外撃墜されて後は地上でほぼ手をこまねいているだけだったので、そこもなんだかなと。怪獣保護は思うようにはいかない、ってところは作品として強調してたポイントではあるけど、それをこのタイミングで殊更あっさりに見える形で描いちゃうのはそれこそ悪手だろって感じでした

 

ハズミ主任も、自分が平和を思って作ろうとしていたものがいつのまにか別の思惑の元で超兵器と化してしまったことへの心苦しさを滲ませるなど正義感の強い科学者としてのキャラ付けが強調されていたけど、本編上での描写としては、自分が発明に関わったダビデス909がマザルガス=人類の希望を砕いてしまうことへの責任から逃れたいと勝手を通そうとする人に見えてしまった... というのが正直なところ。科学で純粋に平和を追及しようとする信念とそれが何かを砕いてしまうことへの不安に板挟みになるある種の科学者特有の人間臭さを描くのも込みで意図的に描いたのかもしれないけど、それにしたって刻一刻と爆薬倉庫に近付くマザルガスをダビデス909で倒そうとしてるところに飛び出てくるなどのあまりに状況を読めなさすぎな行動や思考が目立ったのが良くなかったなと。最終的に防衛軍の科学者としての資格を突き返し一般の科学者として努めることを決めたシーンも、防衛軍のやり方の中で自分の理想とする平和を実現できない、とした上での決意として描いたんだろうけど、上述したEYESと防衛軍の心象のバランスのちぐはぐさが描かれた後なだけに、説得力に欠け劇的にならなかったのが残念でした

 

最後はハズミ主任と彼の決意を聞いたEYESの面々が肩を並べ爽やかに並んで去っていく下りで締めになったけど、ここまでに述べた描写の歪さのせいで全然ピンとこないモヤッとするオチになってしまいました...うーむ

ミニチュアのビルの破壊、カオスヘッダーの光の鞭じみた動きやマザルガスの打ち上げ花火風の特殊なエフェクトの攻撃のCG演出、コスモス3モードのマザルガスとの激戦、など特撮面では見応えがあったのでその点で楽しめたのはせめてもの良かったところでした。

 

 

以上、コスモス第51話でした。端的に言ってキャラクターの心象を効果的に取り回すに足るだけの展開運びができておらず、説得力に欠くストーリーだったなというのが正直な印象となる、個人的になんとも言えない回となってしまいました。意図的に読み取らせるものとして仕込んだのかなと感じる面もあったけど、それで面白さに直結する感じでも無かったし、ちょっとなぁ 作品もあったまってきた終盤の一エピソードだっただけに尚のこと惜しい気持ち 取り扱ったテーマや諸々の要素自体は面白そうなものが揃ってるし、もっと練って調理してくれてれば良かったかも

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた