AnDrew’s小生意気レビュー記

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あなたを忘れない

トロピカル〜ジュ!プリキュア

第37話「人魚の記憶! 海のリングを取り戻せ!」

感想レビュー

 

 

ぴく on Twitter: "… "

あんな無垢な少女がいつああなっちゃったのかなぁ(白目)

 

前回の絶望感高めの大ピンチから引き続いて描かれるまなつ達の奮起、そしてグランオーシャンの隠された秘密とそこにまつわるローラにとある過去を描いた今回のエピソード。正体現したね、グランオーシャン(睨

 

前回見るからに意味ありげに登場した「記憶を吸い出す装置」なるものが、人間と触れ合った人魚はその記憶を消さなければならない、というグランオーシャンの掟のために使われていたものだったことが明らかとなり、前回は仄めかされる程度だったグランオーシャンの闇の深い一面が明確に浮き彫りとなりました。後述のローラの描写からしても「そういう物や掟がある」という事実に関わる記憶ごと消されてるみたいだし、かなり黒いですよこれ 前回の時点ではグランオーシャンに迷い込んだ人間の記憶を消して帰すためのものという予想があったけどそっちだったらどれほど良かったことか...

現状の情報から真面目に考察してみるならば恐らくは、大昔に人間と人魚が交流を持ってた中で、ある人魚が人間との交流の中で生じた何かしらの摩擦によって「魔女」へと転じてしまい、その人魚と交流を持ってた人間が「伝説のプリキュア」になってそれを止めた、的なことがあり、その一件を受けたグランオーシャンが同じことを起こさないように、そもそも人間との交流自体を無かったことにしてしまおうと考え、人魚からは人間の記憶を消すようになった...てな感じのことがあったと思われるし、女王様の後ろめたそうな反応(罪悪感があるという時点で悪びれることも劇中で謝罪することも無かったどこぞの某スタープリンセス連中よりか1億倍マシなのよな ドグサレのスタープリンセス共はぶっちゃけ太陽に頭突っ込んで詫びて(過激))も見るにグランオーシャンとしても記憶を消すことが手段として良くはないと考えながらもやってるのだと考えられるけど、他者の意思を考慮することなく一切合切都合の悪いことは無かったことにするこの掟の在り方はハッキリ言ってかなり歪だよなぁと。率直に言うならば、人間と人魚とでしっかり最後まで向き合って分かり合うこと」や「その思い出を大事にしようとする当人達の気持ちを慮り気遣うこと」を『後回し』にし、臭い物に蓋することでその場を凌いでるに過ぎない「逃げ」なんだよねこれ 「後回し」は知っての通り敵サイドの象徴たる要素なわけだけど、これに通ずる歪みを味方サイドの中で浮き上がらせてくる辺りはテーマ性的に意図的にやってると思うので、なかなかえげつなくて良きですな

 

そんなグランオーシャンの掟について、自分もかつてその対象になり記憶を消されてたと知ったローラが怒りを露わにする一幕がありましたが、その消された記憶が「幼少期に人間界へ赴いた時、既にまなつと出会ったことがあった」だったのはかなりの衝撃でしたなぁ...伏線もなくドンと繰り出されたからかなり驚いた

またまなつにとってもこの出会いは「一度きりの名前も知らない少女との一時の交流」として記憶に刻まれており、名前も聞いていなかったために少女(ローラ)と再び会うことも叶わなかったこの時の悲しさが糧となって、初対面の時に人の名前は必ず聞くように、引いては後悔することが無いよう「今一番大事だと思うことをやる」ようになった...つまりはまなつの信条、人柄を強固に形成したある意味「夏海まなつの原典」とも言える出来事だったことも明かされ、これもなかなかにインパクト大でした。まなつが初対面の人間にまず名前を聞く、ってのは今まであんま意識してなかったけど、それを抜きにしても初対面の相手と一気に距離を詰めて離さまいとするかのようなまなつのコミュ力の高さ、アグレッシブさは最序盤から強く印象付けられてたポイントだったので、これが既に一つの伏線だったのは見事の一言だなぁ これを経た上で序盤を改めて観たらまなつの言動の一つ一つの深みや印象が大きく変わってそうだなぁ

にしても、そんな2人が時を経て再び出会い、再び友人として絆を育んだというこの劇的さはめちゃめちゃグッときましたね...プリキュアになれる者を探してはるばるやって来たローラが引き寄せられるようにして最初に出会ったのが、かつて出会った思い出すら忘れていた筈のまなつであったという運命的な巡り合わせこうして再び出会ったローラに対し、まなつがかつてのローラとの出会いの経験から胸に刻んだ「初対面の相手の名前を必ず聞く」を発揮して、かつては聞けなかったローラの名前を今度はしっかりと知るというたまらなさ、凄くじーんと来るものがありました 一度出会った人との繋がりを絶やさまいとしてまなつが決めた「名前を聞く」という行為が再会したローラに対し行われたことで、 一度は切れた2人の友達としての繋がりが今度は切れることなく続いており、かつては出会わなかった更なる仲間達ともどんどん繋がっていってるというこの構図最高よな

しかしそんな大切なかけがえのない思い出だからこそ、それを一方的に奪われたことが許せないと女王様に怒りを露わにするローラの姿は辛かったな...忘れなければもっともっと長い繋がりが築けたんじゃないかというやるせなさ、せっかく会った大事な友達であるまなつにことを自分は長い間ずっと忘れてしまっていたという自分へのもどかしさ、などあの怒りようには色んな感情が溢れてる感じがするよなぁ。グランオーシャンをめちゃくちゃにした後回し一派への憤りも合わさって、後半の戦闘では怒りをヤラネーダにぶつけるが如くラメールの声色に凄く覇気や圧がこもってたので迫力があったなぁ 日高さんが凄く良い演技してた

それでも、女王様への抗議中にヤラネーダが人間を襲っていればそっちに注目し、みんなを助けるために今は戦おう、今一番大事なことをやろう、と叱咤してくるまなつ達の声にはしっかり応え、戦いへ赴くところは精神面の成長が窺えて良かったなぁ。大人だよローラ...

 

と、衝撃的な事実が次々に明らかになったグランオーシャンサイドだったけど、後回しサイドでも長らく謎だった「愚者の棺」の秘密が明らかとなりました。開くと不老不死が手に入る、とのことで、後回しの魔女様および幹部陣一同はそれを手にして「永遠の後回し」を得ることが目的と言ってましたね。老いることも死することもなく、自分の役割にやる気に必要もないままにただただ怠惰を貪って生き続ければ良い身分になりたい、的なニュアンスだと思うのだけど、なんか「ずっと何もせず何の責任も負わず、だらりと過ごしていたい」という俗っぽい欲望をかなりスケールデカめにしたもので面白かったですね。ブレねぇなぁ...
しかし、そのことを後回し一派に語ったのがバトラーさんだったらしいのだけど、幹部陣は「バトラーのその言葉は信じて良いものか?」的な軽い疑念を抱いており、どうも敵サイドも不穏な感じ。その印象を信じるとするならば、たびたび視聴者からの黒幕疑惑の濃かったバトラーさんはやっぱりなんか怪しい感じしますね...愚者の棺にはもっと別の秘密があってそれを為すために後回し一派を利用してるだけ...とか。まぁこの辺は目を離さず見ていきたいところね またその裏では魔女様が伝説のプリキュアの記憶に困惑してるらしき描写があったけど、この魔女様がプリキュアというものの存在をちゃんと記憶してないっぽい様子を見るに、もしかして魔女様もグランオーシャンの記憶吸う装置の餌食になった?なんて...怖い

 

後半では前回暴れたタコヤラネーダとのリベンジマッチが展開され、苦戦しながらも不屈の闘志で立ち上がり続けたプリキュア達の想いに応え、伝説のプリキュアの助力もあって海のリングが後回し一派の手元からプリキュア達の下へやって来たことにより、新技「プリキュア・マリンビートダイナミック」が炸裂、生物を素材にしたヤラネーダ相手にも対抗できるようになりました。マリンビートダイナミックは全体的にはランドビートダイナミックとさして変わらないけど、ドレッサーに映るのがランドの時にはサマーだったのが海モチーフに沿ってかラメールになってたり、召喚されてくるのがピンクのでっけぇ象からジンベエザメに変わってたりと「海」を軸にした細かなマイナーチェンジが入ってたのが面白かったですね。

ジンベエザメ召喚はなんかパッと見た感じの神秘性高かったし、作品のテーマ的にもまぁ順当な感じがあったのでピンクのでっけぇ象に比べたら絵面のインパクトは抑え目だったけど、「シャ-ク!!」って鳴いてたのがめちゃくちゃ面白かった。w サメはシャークだけどシャークとは鳴かないよ姉ちゃん

あと技自体も「ピンクのでっけぇ象がキックかましてくる」なランドに比べると絵面的なインパクトは減ってたけど、「ジンベエザメヒレ打ちで敵を吹っ飛ばす」という変に威力が想像しやすくて痛そうなやつになっててちょっと笑ったw 内蔵ブチ弾けちゃうよあんなん喰らったら()

 

戦いが終わり、これまでの思い出もまた忘れてしまうのだろうかとローラは1人黄昏れながら不安になるものの、幼い頃約束したものの作れなかったグンバイヒルガオの花冠を持ってやって来たまなつの「絶対に忘れたりしないし、忘れても自分達が必ずまた思い出させる」という約束を受けて再び笑顔を取り戻すことができ、ここで今回は締めとなりました。忘れられて果たされなかった約束の象徴である花冠を、その約束を覚えていたまなつが手にして上記の台詞を言うというのが、まなつのローラとの繋がり・思い出を今まで以上に大事に思う気持ちを叙情的に表していて凄く沁みるシーンでしたねぇ。この手の「何度忘れられようとも、相手側に覚えられていなかろうとも、一度築いた繋がりを支えに『何度でも出会い、 繋がり、守る』と誓う」みたいな関係性の描写って個人的にめちゃくちゃ感情に響くものがあって弱いので(健気で一途で応援したくなるというのか)、今回もちょっと涙腺にきたんすよね...

にしてもローラ、実質的に王女様と喧嘩別れみたいな形になっちゃったけどこの先どうなっちゃうのかね ローラにとって凄く大切な人に裏切られたようなもんだからショックと憤りは大きいだろうしだいぶ気まずいよなぁ。ローラ自身が今回の経験を経て今後グランオーシャンの忌々しい因習に対してどうケリを付けるか、そして王女様がそのことに対しローラとの間で、引いてはグランオーシャンの在り方について考える上でどうケジメつけるかが肝だと思うわね せめて王女様にはきちんと謝って和解して欲しいなと個人的には願う 某スタープリンセス共は謝らなかったからよぉ...(怨嗟

 

 

以上、トロプリ第37話でした。グランオーシャンの隠された秘密を軸に、ローラとまなつの関係性、それぞれのキャラ性を一気にグッと深めてきた怒涛の盛り上がり多しなエピソードでとても面白かったですね。伏線回収の手腕や、作品を代表する2人のキャラの関係性の深化など、思わず感嘆し魅入る要素が随所に見られ、横谷さんによるメイン構成としての巧みな物語の取りまとめ方が光ったなと。ローラのグランオーシャンへの認識や、後回し一派の目的の明確化および更に深まった謎など、終盤に向けての今後の見所も色々見られ、4クール目がどう盛り上がるか期待大です

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた