AnDrew’s小生意気レビュー記

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悪魔との信頼

仮面ライダーバイス

第13話「フェニックス危機一髪!」

感想レビュー

 

 

前回ゲノミクスの反動が身体に響くという死臭全開な展開が不穏なヒロミさんだったけど、フェニックスがドライバーの調整と療養命令で手厚く気遣ってくれててめちゃくちゃ安心した まだまだ怪しさはあるけど所属隊員・ライダーを一応ケアしてくれるってだけでだいぶホワイト度は高いぞフェニックス(そうするのが寧ろ組織としては当たり前なんだけど過去の例が色々とねうん)

しかし、そうして休んでろと命令で言い渡されても非番中ずっと放心状態、それでいて何かあったら速攻で駆けつけ変身できなくても戦闘に参加し戦えないラブコフを率先して護衛(なのに戦ってる最中肝心のラブコフはジャンヌの能力使用の影響でいつの間にかヒロミさんの後ろから消えてた、という不憫さ。w)、そしてしっかりやるべきこと全うしても「敵を通してしまいました...」と自分の持ち場でもないところのアクシデントに責任感じちゃう、というこの使命感・責任感の強さ、ほんとヒーローが仕事みたいな人だなぁヒロミさん...これらの描写を少々コメディ風味に描かれてなお、人柄の良さで株を上げ続けるの流石の角田ヒロミ

ヒロミさん、1クール目の節目が生存か退場かの節目とかなんとか言われてたけど、知人・職場含め周囲の人間関係にも恵まれているから無茶しがちなところは割とカバーされそうだし、本人のキャラ描写にけっこうコメディチックなテイストも入ってきて作劇的にもキャラの幅がぐんぐん広がっているので、意外と寿命は長そう、というか照井ばりに倒れても這い上がってきそうなキャラの雰囲気がしてきたなと。ラブコフのことどストレートに「かわいい」ってしれっと言ったり、デッドマンズの侵入を許したことを狩崎に泣きそうになりながら謝ったりと、劇中キャラ視点でもクールの仮面が剥がれて素の良い人キャラが認知され始めてるの面白いし、今後も生き続けて「どこか抜けてるけど頼れる兄貴分ヒーロー」として頑張って欲しい 生きてくれ(切実)

 

フェニックスの拠点、フェニックス・スカイベースに突如として襲撃をかけてきたデッドマンズの大攻勢、それを迎え撃つライダー達の戦いの中で目覚めるリバイスの新たな力のきっかけとは、な展開を描いた今回のエピソード。

前回前々回のエピソードを経て実質的な幹部格に食い込んだ灰谷に加え、ギフテクスへ覚醒すると堂々と宣言するフェーズ2のカメレオンデッドマン、第6話での悪行の後更生施設に入れられてなお高い悪魔の存在数値を示したことでデッドマンズのお眼鏡にかなった悪徳弁護士・工藤といった新戦力が続々とデッドマンに加入する怒涛の展開が目を惹きましたね。カメレオンデッドマンはビヨジェネの場面写に映ってたのでワンチャン新幹部かとも目されていたしここでかという感じだったけど、工藤に関しては完全にゲストキャラ扱いだと思ってたので意表を突かれたね(更生できる人間ばかりじゃないんだぞ、的なゲストキャラかと思ってた)。まぁ他の契約者と比べて更生の余地無さそうな奴だったから人選として納得なところだし、消化不良的な退場だったのは伏線だったか(その分第6話自体のまとまりが微妙に悪かったのは難点だったが)

ともあれ規定の幹部以外にも、途中加入の新幹部や、外部および一般怪人的なところから幹部格(と思われるポジション)に食い込んでくる奴等が出てくるという感じで、敵キャラの幹部層にバリエーションが出てるのは凄く良いなと。キャラ描写に幅が出て面白いし、何よりこういう風に思わぬところから強キャラ格の敵が不意に顔を出してくる可能性が示されてる作劇は意外性というとこでもワクワクできて好み(一般怪人枠が2クール以降もまだまだバリエーション増えそうなこと(公式サイトの次回の場面写に新しいのが写ってた)と含め、最近のライダーシリーズでちと難点だった「2クール目以降の戦闘が特定の幹部キャラ・強キャラとの戦闘ばかりに偏って絵面の新鮮味が薄れる」という短所もカバーされそうなのが個人的にはありがたい)だったりとデッドマンズの描き方はかなり理想の敵組織のそれなので、今後も注目していきたいですね

しかし灰谷、せっかく強キャラっぽい雰囲気出して幹部の座に堂々と居座らんばかりのポジションに就いたのに、もうかませのギャグキャラっぽい雰囲気を纏っているの草生える 冷静な佇まいしてるけど割と動揺しやすい一面を見せてきててちょっと憎めなくなってきてんだよな...(

 

この怒涛の展開の中、自分を信じてくれと必死に訴えるバイスの言葉を通じ、周囲の人間を心のどこかで信じきれていなかった自身の弱さを自覚したことで、一輝が精神的な成長を一歩経つつバイスとの絆・信頼を一段階深め新たな力を手にする、という強化フォーム誕生を主人公の成長およびバディとの関係性の深化に絡めてドラマチックに描き上げる展開が繰り出されたのが熱かった!これぞ熱く盛り上がる強化フォーム覚醒回!という感じでめちゃくちゃ良かったわね

これまでの話を経てバイスとなんだかんだ仲良くなってきてる感じがあったものの、その実家族に襲い掛かろうとしていた時の凶悪な印象が拭えておらずそれ故にバイスを心の底から信用できてはいなかった(今の良好な関係はあくまで第2話で一輝が課した契約の上で成り立ったものであった)、という一輝が物語最序盤にバイスに感じていた因縁を浮上させつつ、これまでの話を経てなんだかんだで純粋に一輝のことを信頼しており、自分も信頼されるようになっていたと思っていたことが窺えるバイスの相棒としての純粋さを並行して強調することで、そんなバイスの気持ちを傷付けてしまったことに一輝が気付き、更にそこから「2人だけだと危険」と大二とさくらに言ってしまったこと=自分がいないと2人は心配だと無意識のうちに2人を信頼していなかったことなど、一輝が周囲の人々を信頼しきれていなかった自分の大元の弱さにようやく真の意味で思い至る、という精神的な成長に繋げる流れが、時折描かれていた一輝のメンタル面の欠点の克服展開として凄く鮮やかだったし、これを通じて遂にバイスと名実共に真のバディへ至る流れへ着地させるのがまさに最高。第1話では2人の溝を形作る一因にもなったバイスの直接解放を今回はバイスを信じて送り出すためのものとして一輝が行い、実体化したバイスが一輝に繰り出した...と見せかけてその後ろのギフジュニアに繰り出した拳にも動じず笑顔を見せる、としっかり一輝がバイスを信頼したことを象徴的に印象付ける演出が綺麗に決まり、この全幅の信頼がバリッドレックス完成の最後の1ピースとしてバチッとハマる流れがまた爽快でしたな(ここまでドラマ面が盛り上がるとは思ってなかったのもありバリッドレックスは話の流れでスッと出るだけってのもワンチャンあると思ってたので、こんな鮮やかに文脈が乗るとは嬉しい誤算だった) バイスの直接実体化はけっこう終盤まで取っておきそうな印象だったので驚いたが、ここで切るに足る盛り上がりでしたわいね

 

バイスの方も、窮地の中で自分を信じてくれない一輝に「ちょっとくらい信頼してくれたって良いじゃんッ!」と不満をぶつけ、実体化してない状態でがむしゃらにギフジュニアに立ち向かおうとする姿が描かれたことで、損得抜きで心の底から一輝を信じてる部分が窺えて、キャラとしての味わいがグッと増してたのが良きでした。ほんとますます愛着増してくわバイス ラブコフというビジュアルの可愛さカンストの奴が出てきたけど、お前も負けないくらい可愛いやつだよ...

これまで話を経るごとに一輝や五十嵐家のことを気にかけ守ろうとしてる描写が増えてきてたので視聴してる側としてもバイスへの信頼度は高かった一方、最序盤に見せてた本性の印象が強かった分まだ「自分の利になるか否かが第一が行動原理になってる」と思って警戒してた面はあったので、今回バイスの熱い本心が見えたのは凄く晴れやかな気分であると同時に、今まで疑っててゴメンな...みたいな気持ちも覚えたので、この辺で劇中の一輝と心境をシンクロさせ没入度を高くしたのは上手かったなぁと

決戦前には一輝と実体化したバイスが並び立って歩くという絵面も展開され、バディ同士の並び立ちという王道どストレートな構図を、今まで実体化してない状態だったバイスが一輝の信頼を受け、象徴的にも物理的にも文字通り「肩を並べた」とすることで最高に燃える形で彩ったのが超好き。“一輝とバイスのバディ”にフォーカスすることって最序盤以降は少なかったイメージがあったけど、1クール分の熱量はしっかりこもってたね

 

そしてそこから誕生するは、仮面ライダーリバイの新形態・バリッドレックスゲノム。ピンク主体からスカイブルー主体のカラーリングにがらっと変わりつつも、デザイン的にはレックスゲノムの正統派強化といった感じにカッコ良いまとまり方をしており良きでしたね。変身は、一輝を包んだ巨大な卵のエフェクトをバイスがぶち割って変身完了、というプロセスであり、フォロワーさんが仰ってたように、文字通り「自分の内なる悪魔・バイスの力で殻を破る=自分自身の”殻を破る的な意味合いになってるんだろうなと。自分の深層心理を表す内なる悪魔の力で自分の殻を破る、というところを昇華し、「自分自身の気付きによる覚醒」と「頼れる相棒と共に為す覚醒」の両方を同時にやってのけた感じの構図なのが激アツ

フラギイ on Twitter: "自分から生まれた悪魔に殻を割ってもらう=自分の殻を破る、的な演出か"

ちなみにバイスの方は狩崎曰く「ジャッカルゲノムをダサイ呼ばわりされたお返し」ということで今回は強化はお あ ず け 酷い() 販促的に強化は今回バイスだけ、って決まってたとかだろうけど、それを話の流れにネタ的に乗せてきたのは面白かったw しかし狩崎、ねちっこいというか、根に持ちやすいというかなんというか、マッドなとこある一方でだいぶ俗っぽいとこもあるよなぁと。w 一輝とバイスが信頼し合ったことでバリッドレックスが覚醒したのを見て全て納得してる辺り、自分自身興味がないだけでその辺の人の感情というものへの理解自体はあることが感じられるし、安直に後半裏切りまーすみたいなキャラじゃなく、なんぼかマイルドな鴻上会長タイプにおさまりそうだな狩崎。w

そんなリバイ・バリッドレックスの戦闘は、巧みで目を見張る戦闘演出の活用に定評のある上堀内監督らしい工夫が細部に効いており実に彩り豊かでイカしてました。氷のシールドを生み出しガードしたり、冷気を纏った息つかぬ連打や氷柱の散弾でフリオとオルテカを同時に相手取ったりと、攻防の使い分けが巧みな戦法を氷のエフェクトで綺麗に彩ったバトルが実に印象深く残りました。フリオのラッシュをノーガードで受け止めつつ返す刀でしこたま重たい攻撃を叩き込むとこめっちゃ好きなんだ...

リミックス変身のモンスターをどデカいサイズで召喚する能力演出や、エフェクトマシマシな安定の「ライダーキック」フィニッシュなど、ド派手さも申し分なしでグッドでした(キック後のカットが、撒き散る破片の中を突貫するライダーの顔のアップ、というゼロワンやリバイス本編でもちょいちょい見るやつだったのはちょっと擦りすぎかな?という感じがあったので他の構図で見たかったなとは思った カッコ良かったけどね)

てかバイスが使ってたあの盾、玩具パッケージで存在を知ってはいたけど、変身完了後に残った卵の破片をボンドでくっ付けて作ったとか予想できないよw それでしっかり武器になるのなんなの() 自信作です!って言ってたけどマジで誇って良いよ

 

一方、大二・さくらコンビの方も、一輝不在の中苦戦しながらもフリオ・オルテカコンビを相手取ったり(リバイスのリミックス変身や強化形態のバリッドレックス、戦闘術の心得があるヒロミさんが変身するデモンズには苦戦するけど、リバイとバイス、ライブ、ジャンヌといったライダー単体相手には基本的に優位、と今回の戦闘でフリオとオルテカの戦闘序列の位置がだいたい窺えたね 割と程良い強敵加減じゃないかしら)、戦闘中目覚めたカゲロウが変身するエビル相手にさくら/ジャンヌが動揺しながらも一本取って大二を奪還したりと、見所多めで面白かった。カゲロウを撃退するために全力のライダーキックかましたさくらに大二が笑みを浮かべながら「手加減なしかよ?」と冗談混じりの悪態を吐き、さくらも軽めに「ごめーんね」って返す下りは、今回の話のテーマの「信頼」がさり気なく織り込まれてて好きなシーン。ここで大二・さくら兄妹もしっかり立てとくのがまた上手い。にしてもジャンヌ、ラブコフを変身させて使うあの鉄扇の登場のおかげで実質ラブコフ守りながら戦うというデメリットが消えたし、もう既に強力すぎでは()

しかしカゲロウ、久々登場で今後も大二の肉体乗っ取ったりと波乱になりそうと思いきや、「ライダーキックすれば反転して大二に戻る」という割とサクッとした解決法まで用意されて、以前ほど脅威に思われなさそうなのが不憫。w そのうちピコハンで戻るようになるんじゃない?とか言われてるのひどい() でもこれだけで終わるはずもなさそうだし、彼には依然注目ですね

 

こうして戦いは決着したものの、工藤はまんまとデッドマンズに奪還され、更にデッドマンの侵入を許した裏切り者の正体が優次郎さんであり、その優次郎さんがカメレオンデッドマンではないかという疑惑が浮上し... というところで締め。優次郎さん、厳格ではあるけど普通に公人として出来た人かと思ってたんだがまさかの...でしたね もっともまだカメレオンデッドマンが成り代わってるのでは?なんて予想もあるし、 実際のところどうなのかは今後に注目だなと 気になる

 

 

以上、リバイス第13話でした。一輝の「他者への理解・信頼」という部分の弱さの克服を、バイスとの関係性の深化に絡めつつ様々な文脈を乗せて劇的に描き上げ、且つバリッドレックスの誕生をも熱く魅せる形にした作劇が激アツな回でした。最高に面白かった バイスの愛着がいっそう増したのが良かったなぁ

一方デッドマンズの方も様々な動きがあり、ここから突入する2クール目以降の展開がどうなっていくか、楽しみです 五十嵐兄妹の精神面のあれこれとか一輝とバイスのバディ関係とか、まだまだ引っ張れそうな部分を1クールで描き切った辺りこの先どうなるかはマジで気になるね

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた