AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

ステイシーくんメンタルボコボコタイム(n度目)

機界戦隊ゼンカイジャー

第38カイ!
「ご先祖様だョ! 大霊界

感想レビュー

 

 

盆と正月、一度に来る(物理)

こんなアホみたいな流れの中で「ワルドによる世界改変能力は2つ以上同時に成立しない」という原則が視覚的に示されるというこの() バッタリ出くわして気が合ったからというクソテキトーな2体同時出現の経緯好き

 

ショウガツワルドに出番を譲ってもらったボンワルドの力で蘇る先祖達との再会で巻き起こる混乱!な今回の話。今更だけど、記事の最初の方に話のあらすじをざっくり書くこの部分、ゼンカイジャーは「ワルドが出てきてその能力でカオスなことが巻き起こる」に大体集約されちゃうからほぼ同じ感じになっちゃうのよな() そっちのインパクトがデカすぎるからざっくりで書くとそれに偏っちゃうんだよ!!!

 

ゼンカイジャー側ではジュランのひいお爺様のサンジョが蘇り、あれやこれやと話を聞いたり振り回されたりとコミカルに話が展開。これ見よがしにじじいですよと言わんばかりにジュランに白髪や白髭生やしまくった簡単デザイン好き サンジョ、ボケが強すぎてボンワルドに操られる前も後も体感としては同じくらいジュラン達を振り回してる感あったのめちゃくちゃ面白かったんだよな...w

名乗り口上までめちゃくちゃに踏み荒らしていったサンジョだったけど(ジュランだけじゃなくて他のみんなも引っ張られてアドリブ入ったっぽい喋りになってたの笑った)、ただの賑やかしというだけでなく、ジュラン達が生まれるよりずっと前から続いていたトジテンドの支配について彼が話したことを通じ、自分達にとっては生まれた時から当たり前だった支配体制が悪しき因習であるという認識をジュラン達が改めて自覚し、打倒トジテンドへの想いを強める流れへ繋げてくるのが流石のゼンカイ作劇でしたな サンジョは凄くしれっとコミカルげに話してたけど、王族の行列中に屁こいて打ち首とかよう考えりゃあ恐ろしいことよなぁ 幕末かよ

なんか戦争経験者の人達が今の子供達に当時の状況を語り伝えるみたいなところにも通ずるものがあって(今も続く支配の理不尽さを感じ取るか、平和に過ごすことのできている今の世の中の有り難さを深く感じ入るか、というベクトルの違いこそあるけど)過去の世界の情勢を当事者達が今に伝え、それを受けた今の世の人々が今の世でどう生きていくかについてより深く考えていくことの大切さを印象深く描く良い作劇だったなと感じますね ギャグっぽいテイストの中にこういうメッセージ性を巧妙に織り込んでくるところが良いのよなゼンカイジャーのストーリー

 

一方ゾックスの方ではゴールドツイカー一族のご先祖・ピラートが登場し、当主の座を巡って激闘を繰り広げる的な展開と相成り、こっちもこっちでだいぶドタバタしていたけど、フリントを傷付けられたことでピラートに本気でブチ切れたり、カタギから物をかっぱらおうとするピラートに対し「介人との約束」だからと掴みかかって止めたりと、安定の家族愛の強さや、自身が認めた相手である介人との約束をきっちり守る義理堅さを見せるなど、ゾックスの筋の通った部分が感じられる描写が沢山あったのが実に良きでしたね。増子くんの感情剥き出しの演技が威圧感高めにハマっててカッコ良かった 今回のゾックスは介人達とは別行動で動くのが主だった(てか介人とゾックスがそれぞれ生身で同じ画面に映ってる場面無かった(一緒に戦闘してる時はゾックスが変身済みだったりしてたし)から撮影スケジュール的に完全に別行動だった感じね)けど、その分介人達のいないところでもしっかり義理を通してることが窺えたのが描写的に良い感じの説得力を与えてたなと。

しかしゾックスって賊らしい振る舞いの目立つアウトローなキャラという印象が濃かったけど、より荒くれ感のあるピラートと比べると一定の線引きとか柔軟さを有してるとこが引き立ったわね ピラートみたいなのだったら絶対介人達と仲良くなんてできてなかっただろうし、時代の変化と共に界賊の在り方も変わってて良かった...てかピラート、特に何か心変わりするでもゾックスの考え方に一定の理解を示すでもなくそのままフェードアウトというのがなかなかロックだったな...キャラとしての筋を通した感があって好きだが

 

と、先祖達との交流で様々な一面をゼンカイツーカイサイドが見せた一方、ステイシーくんの方も蘇った母と触れ合い、最初こそ素直になれなかったものの、今まで飢えていた親子の交流による喜びに少しずつ心を解きほぐしていくという温かな一時を経験。

......したのだけど、そこは安定の香村脚本

ここ最近の流れからしても容赦などしてもらえるわけもなく、ボンワルドの介入で凶暴化した母に執拗に襲われるという天国から地獄への叩き落としをかまされることとなりました。ステイシー母が狂気を孕んだ表情と声色で迫ってくるのは勿論のこと、どこからともなく抜いたのが普通のナイフなのがかえってリアルでゾッとくるし、逃げようとするステイシーくんの前に幽霊の如く瞬間的に先回りしてくる演出が凄くホラーでこっちまでゾクゾクしてましたね...ハカイザーの時もそうだったけど、ステイシーくんが素直に喜びを表せるほどの幸福な時間を味わわせてから一気に絶望へ突き落とすのがあまりに外道の所業すぎて笑う(笑えねェ)
そんな愛すべき家族である母が他者の介入により自分に牙を剥いてくる脅威と化す絶望感を味わってしまったことにより、ハカイザー=父と傷つけ合わなければならない介人の苦しみを身をもって痛感することとなり、更にハカイザーを仲間として自分の下に置き続けるために執着している自身の行動こそが、介人にその苦しみを与える要因となっているのだということも理解してしまう...と、更にステイシーくんの心に影を落とすこととなってしまいました。なまじ強烈な体験をした故に、自分の味わった途方もない絶望を他でもない自分自身が介人に与え続けていたということに思い至れてしまったの、なんと残酷なことか...自己嫌悪が凄まじそうだ ステイシーくんの内面の動きの描写めちゃくちゃ丁寧で惹かれるんだけど、 その分見ていてつれぇ 

とはいえ、これはステイシーくんが仲間を欲する自分の本心に素直になれたところから今度は他者の心の痛みに理解を示せるようになったことでもあるので、キャラクターの変化としては決して悪い傾向ではないと思うのよな ヤツデ婆ちゃんと決別してでもハカイザーに執着しようとしていた第36カイの描写から最終的な生存も危ぶまれていたけど、ここから介人やハカイザーに如何に向き合っていくかで結末はまだ変わりそうだと思うぞ 生きろ...強く生きろ...

そんなステイシーくんのピンチを救ったのが、蘇った母と一緒にいたことに真っ先に気付いた介人と、そんな介人と一緒に駆けつけたハカイザーだった、というのが熱いながらも、ステイシーくんの心境を思うと複雑でもあり...という感じでしたね。父・功を敵としてけしかける要因となってる自分を介人が助けてくれることとか、そんな介人の父であり敵であるハカイザーが自分を仲間と慕い支えてくれてることとか、ステイシーくんはもう色んなことがありすぎてどう受け止めて良いのか複雑すぎるだろうなぁ

にしてもステイシーくんを助けんと介人が駆けつけるのはまぁ分かるけど、ハカイザーが介人にステイシーくんの居場所を教えてあげた上に一緒に駆けつけて助けてあげるとは、なかなか意表を突く展開でしたなぁ ステイシーくんを助けたいという想いから図らずも介人と協力する感じになってた辺りは、家族らしい精神性の近しさが感じられたな...と。落ち込むステイシーくんの下にハカイザーを残していく介人と、それを素直に聞き入れて残りステイシーくんを励ますハカイザー、という掛け合いの絶妙さが良いよね そこで家族としての近しさが感じ取れることで、ステイシーくんは上記の想いをいっそう深く痛感させられてまた辛いだろうが...

 

そしてラスト、トジテンドパレスにてボッコワウスとゲゲはイジルデを呼び出すと、先先代大王の身体の一部なるものを差し出しハカイザーの更なる強化を命じようとしていた...というところで締め。他の視聴者さん達も言及してたけど、トジテンド王朝の王政が世襲制だったっぽいのは何気に驚きよね ボッコワウスがずっと前から君臨し続けてるものかとばかり でもジュラン達が生まれるよかずっと前からトジテンドの支配が及んでると分かったので何代も王がいること自体は割と自然ではあるか

ともかくここからハカイザーに何が起こるのかが物凄く気になるなぁ 功博士ここまで来てどうにもならなくなるこたないと思うが...はたして

 

 

以上、ゼンカイ第38話でした。いつもながらギャグテイスト濃いめの展開から始まりながらも、そこからキカイノイド組の打倒トジテンドへの決意やゾックスの矜持、ステイシーくんの内面の動きを印象深く描きあげるところへ繋げてくるのが巧みでしたね ステイシーくんを丁寧に痛めつけるのやめたげて...(

ステイシーくんの変化も相まってそろそろハカイザー周りで何か起きそうな予感だけど、年内に波乱は起きるのか否か...

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた