AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

エゴイストの開き直り

仮面ライダーバイス

第14話「司令官は…デッドマン!?」

感想レビュー

 

 

灰谷、悪役らしいところはありつつも根が等身大の人間なので、しれっと生贄の数に入れられててビビったりギフテクスになれなかったら死ぬのが確定して縮み上がったりと割と小心者でマジで愛嬌が出てきたな...() 頑なに自分からはフェーズ2になろうとしなかったりと堅実に行きすぎて若干臆病になってる辺りや、尊大に振る舞うけど足元救われてすぐぼこされちゃったりするとことかちょっとウヴァさんぽい感じある 周りが狂信者や工藤みたいな強烈な意志を持つ奴らばかりだからこういう奴が1人でもいるのは良いアクセントになるね できればそのままでいてたまに臆病になったりしてくれ

 

ギフ復活に向けてデッドマンズが動き出す中、一輝やさくらへの復讐に乗り出す工藤や灰谷との対峙や、フェニックスの裏切り者としてに疑惑が浮上した優次郎さんの動向を描いた、怒涛の展開尽くしの今回のエピソード。年越し間近の盛り上がりに相応しい因縁の衝突などが多かったエピソードだったけど、土足でしあわせ湯に乗り込んだ結果一輝に「靴を脱げ!!!」ってキレられて押し倒され本当に脱がされかける工藤とか、親戚のおっちゃんみたいな感じでさくらの高校に押しかけてくる灰谷とそれに対しなんか緩い感じで逃げる生徒達とか、メインキャラの身近なとこへの敵の襲撃という構図に反した妙にコミカルな感じだったの笑った。w 締まらねぇなぁ...w まぁ優次郎さん周りがとんでもなくつれぇことになってた分良い清涼剤にはなっていたしこれで良かったのかもしれない(

 

リバイ&バイスvsサーベルタイガーデッドマン戦では、死ぬほど努力を重ねても勝つことができない自分へのもどかしさから悪魔に身を委ねた自身の境遇を正しくないと否定した一輝のことを工藤が「弱者の気持ちを理解せず正しさを押し付けてくるエゴイスト」と断じ、その言葉に一輝が揺らぐという、一輝の精神性の欠点である「他者の心への理解」について切り込んでくる一幕が描かれました。忖度抜きにかなり直接的な言及をしてきたのでけっこう度肝は抜かれたね 前回のエピソードでもその辺の成長が描かれたところではあるけど、前回が「身近な人達の気持ちを心の底から信じられないこと」に主軸を置いていたのに対し、今回は「間違ってしまう人間の心の闇や背景を理解しようとしないこと」が中心になったって感じね

実際1クール目のストーリーの一つの軸であった一輝のお悩み相談&事件解決の流れを見ても、一輝がヒーローらしく悪人をとっちめる流れはしっかりありつつも、ゲストとの心的な交流の描写というのはあまり多くはなかった感じであり(世直しyoutuberのボンとの対話はまぁまぁちゃんとあったけど)、故に評価として「消化不良」「ゲスト絡みの話が薄い」と言われることも少なくなかったわけだけど、今回の描写を思うとその辺の描写の弱さは一輝の欠点を浮かび上がらせる上で敢えて仕込んでいた作劇だったっぽいなと。それこそ工藤の一見だったり、大二との軋轢だったりと片鱗は節々で見せてたから説得力は出てたね でも実際ちょっと話が薄くなって面はあったしそこはもっと上手く回して欲しかったなとは

 

ともあれここの描写を経て、今まで悪役キャラとしての側面の方が濃かった工藤のキャラクターに一つ掘り下げられた部分が出たのは面白かったところ。純粋に勝ちたいという気持ちが転じて歪んでいったことを感じさせる言動や、一輝を憎悪する理由が自分の顔に泥を塗ったこと以上に「自分の気持ちを一方的に否定したから」であったことなど、行いこそ決して許されないけど同情したくなる部分もあるなぁと 弁護士になった頃は人を助けたいという純粋な正義感があって、それが負け越す内「勝ちたい」に変わっていって...って経緯もあったかもとか想像してしまう 人間臭い奴ではあったわね

 

と、工藤の言葉に意志が鈍る一輝であったけど、バイス「そのまんまでいいんじゃね?」「お節介で何が悪い?エゴイストで何がいけないんだヨォ?一輝は一輝の好きなようにやれば良いんだよっ」という言葉を受けて再起。構図としては相棒であるバイスが一輝の苦悩に寄り添い、その迷いを軽く蹴っ飛ばし振り払ってくれるという感じでシンプルながらも気持ち良い流れとしてハマっていましたね その直後に「俺を殴ってくれ!」って言う一輝をバイスが即ハンマーで小突くとこ笑ったけど。w 俺を殴れ!でノータイムで殴るやつ初めて見たよ(

ただ構図としてはバディもののカッコいい構図として決まったものの、バイスがあくまでも一輝の中から生まれた悪魔である(駄洒落じゃないですって ホントに)ということを踏まえると、ここのシーンは一輝が自分のエゴイズムに対し一種の開き直りを見せたハイパー自己肯定的な描写でもあるわけで、そこに気付くとシンプルにカッコいいシーンとも言えなくなるのが絶妙な仕込みだったな...と思いましたね。エゴイズムでしかないかもしれないけど自分は誰かを助けるためにこれからも戦ってやるぞ!という腹の括り方自体は色んな作品でも見かける流れなのでこれ自体は(一輝の自己肯定感の高さを見せつけたというのも込みで)気持ちの良い流れとして取っても良いかもしれないけど、工藤が言及した一輝の欠点自体はあながち間違いでもないわけで、そこを示してきた以上ゆくゆくはここに絡めて何か繰り出してくる可能性もあるかもな...とは。一輝が吹っ切れたことがこの先どういう方向に転ぶのかは2クール目からの見所になっていくかもなぁ 目が離せないね

 

という感じの流れの中で描かれたサーベルタイガーデッドマン戦、前回描かれたリミックスリバイスの召喚を更に発展させ、召喚した複数のリミックスリバイスの力を他のリミックスリバイスに重ねがけするという形で演出してきたのが面白かったですな コングのパワーとジャッカルのスピードを乗せたカマキリが相手を斬りまくる、って初っ端からオタクの考える最強の組み合わせみたいなのが来たのでちょっと唆ったわね ジャッカルのリミックスどうするんだろうと思ってたらスケボーバイスに乗ったリバイまんまだったのはちょっとシュールだったw バイスのシールドをオストデルハンマーで叩いて氷属性乗っけたりみたいな演出やリバイスラッシャーでの必殺技発動といったリバイス特有のギミックの小気味良い活用も安定していてグッドでした 平成2期贔屓の意見ではあるけど、リバイスのこの辺のアイテムや能力のコンスタントな有効活用はWオーズフォーゼ辺りのアイテム使用の手並みに近いものがあって個人的にかなり好みなんですよね ここはWにも携わってた望月Pの采配も関わってるんだろうか

 

一方、さくらサイドではジャンヌvsプラナリアデッドマンの対決が展開。同級生達を執拗に苦しめる灰谷への怒りから正体がバレるのを恐れず変身したことで、同級生達に見守られながら戦うジャンヌの活躍が爽快でした ライダーキックがめちゃくちゃカッコよかったわね 一方で、フリオに無理矢理フェーズ2にさせられてしまい、そのことを嘆いていたら自業自得とさくらに切り捨てられた上隠れて見てたフリオにも「確かにw」とか言われちゃう灰谷が凄まじく不憫であった。w 登場時は凄く強敵感高めだったのにすっかり面白おじさんになってしもうたな()

そんな学園のヒーローと化したさくらの様を、普通の少女でありつつ多くの人が崇める英雄となったジャンヌダルクそのままと評しつつも、そうしてジャンヌダルクとの共通性が深まっていくことに不穏さを感じる視聴者もちらほら見られましたね。実際ジャンヌダルクの最期が悲惨であったことは方々で聞くわけだし、ここから突き落とされる形で惨いことにならないかは心配ね 戦いの激化に伴い、英雄視してた同級生達が自分を恐れ避けていく...みたいな 今はまだ考えすぎか

 

そして今回の話の肝となった、カメレオンデッドマンの正体判明の展開。数々の証拠を前にしながらも尊敬する上司だからと必死に信じようとするヒロミさんの心を踏み躙るようにして、その本性を表した優次郎さんの狂気の姿はとてつもないインパクトでしたね...あの手のヒャッハ-と化す系のキャラの豹変は個人的な好みで言うと最近ちょっと苦手になりつつあったんだけど、優次郎さんに関しては必死に信じようとするヒロミさんの姿を描くところからの突き落としという落差デカめのジェットコースターのような展開運びや、声色や表情をそれこそ「カメレオン」のようにまるっきり変貌させる田邊さんの強烈な演技がハマってめちゃくちゃに良かったなと 田邊さんの普段の雰囲気や今まで演じたキャラの感じとのギャップも効いたねぇ 本性を表した時の表情がカメレオンデッドマンの顔立ちそのものを思わせるようなものだったという声も多くあったけど、実際比べてみるとかなり雰囲気寄っててゾクっときたわね 良い演技だった

黒田アサキ on Twitter: "うん、いまのところ超面白い。1クールすぎたあたりでデッドマンズ編は終わるのかな。しかし田邊さん(若林役)、凄まじい形相の表現力!こころなしかカメレオンデッドマンと似てるんですが、どっちが寄せたんだww #仮面ライダーリバイス… "

アキレス💊🎮 on Twitter: "ここの顔の何が凄いって意図的かは分からんけどカメレオンデッドマンに寄せたような表情になってるんだよね それ抜きでも悪魔が人間に擬態したときの表情の模範解答って感じする… "

 

カメレオンデッドマンが優次郎さんとしてフェニックスに忍び込んでいた真相は「第1話の事件の最中に本物を消す形でなり変わっていた」といったもので、これもある程度予想はされてたけど本当の優次郎さんがあっさり死んだことへのインパクトも相まって衝撃でしたなぁ かなり狡猾ですよカメレオンデッドマン...

そんなカメレオンデッドマンの元々の正体、というか元となった人間態/契約者に関しては、ギフテクス選抜の儀の際に僅かに後ろ姿だけ描かれたけど、ほんの数瞬出た後すぐに優次郎さんの姿になり、という感じで明らかにはなりませんでした。その後ろ姿の凄く普通な感じといい、本人の「自分の姿は気に入っていない」的な発言といい、その正体は特に誰ということもない冴えない一般人(だからこそ本人もそれがコンプレックス)なんじゃないかと色々取りまとめてみている内に自分は考えたけど、果たしてどうなのか(もしその方向性だった場合、最悪正体は最後の最後まで明かされないなんてことにもなるかもな、とも思ったり)。

なんか後ろ姿の雰囲気からしてぶーさんぽくなかった?なんて声もあり。もしそうだったらしあわせ湯の常連客漏れなくロクでもないんですけど...()

 

にしてもその優次郎さん/カメレオンデッドマンを取り巻く一連の展開の中で、最後まで尊敬する上司を信じようとしていたのにその心を踏み躙られ、挙句本物は既に死んでたと知らされたヒロミさんあまりにも可哀想すぎる...証拠を淡々と突きつけられながらも信じられず感情を露わにして否定する姿や、決定的な証拠を前に覚悟を決めて優次郎さんを粛清しようとするも信じる気持ちを捨てられず銃の引き金を引けないまま崩れ落ちる様、全てを知って取り残された後の慟哭、どれもあまりにも辛い...小松さんの必死の演技が良すぎた

正直優次郎さんが接近するたび首掻っ切られてヒロミさん退場するんじゃないかとも考えてたのでそうならなかったのは安心したけど、それ以上に心がズタズタなので状況は余計に悲惨やでこんなん ヒロミさんにはどうか立ち直ってもらいたいが...
しかしヒロミさんが人質に取られた時狩崎がヒロミさんを解放させるためにけっこうスッとギフスタンプ渡したのはちょっと意外だったなと。大事な代物だしもうちょい粘るかと思ったってのもそうだけど、人命自体には本人はあくまでも頓着が無いイメージだったので、ヒロミさんの命を取ったのはなんかまさかのって感じだったんですよね 大事な戦力だからってのもあるかもだけど、曲がりなりにも仮面ライダーへの愛に生きてるだけあってみすみす人の命を奪わせないとする意識くらいは持ってるんだろうか(なんにせよああして敵の切り札的なアイテムをポンと渡せる割り切りの良さはある意味狩崎らしいよね)

 

といった激動の末、カメレオンデッドマンと灰谷、工藤がギフテクスに選ばれ、必要なギフテクスは後1人、ギフスタンプも手に入りギフ復活に王手...と思われたその時、突如態度を一変させたオルテカ、カメレオンデッドマン、灰谷、工藤がアギレラ様を取り巻きながら一言、「最後の1人は貴女だ」と...というところで締め。ギフの伴侶になると思って喜びを膨らませていたアギレラ様が、自分も生贄に1人に過ぎないという事実に愕然とする様はインパクト大きかったな...

アギレラ様の他にも、フリオにもこの事実は知らされてなかったっぽくてちょっと衝撃を受けてたけど、この辺どういう基準で共有してる連中が決まったんだろうか?という疑問もあり、デッドマンズの一枚岩でない感が増してきたな...と感じますね。この事実を知ったフリオがどう動くかはかなり今後に響きそうであり、注目していたきたいところです

 

 

以上、リバイス第14話でした。本年度も終わりに近づき物語が盛り上がってきた、 というところでその盛り上がりをグッと引き締めるに足るインパクト多しな回になっていました。変動していく勢力図、この先の物語を左右しそうな展開運びの数々、といっそう目が離せなくなってきたなと 次回もかなり大きな展開あるっぽいけど一体どうなる

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた