AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

赤と青のプロレス

ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA

第21話「悪魔が再び」

感想レビュー

 

 

太古の封印を破って蘇った2大怪獣・アボラスとバニラの脅威が襲来、ケンゴがアクシデントで身動きを封じられる中、もう1人のトリガーの力を得た者・イグニスへの信頼が問われる...というストーリーとなった今回のエピソード。

なんといってもX第1話冒頭でのゲスト登場以来となるTVシリーズ出演にして、久々にガッツリともウルトラマン達と戦うポジションでの登場となったアボラス・バニラの大暴れが目を惹くポイントとなっていましたが、この2体の取っ組み合いの怪獣バトルがかなり尺長めに描かれていたのは嬉しいところでありました。もう少しコンパクトでも良いくらいに感じた箇所は部分にあったけど、TVシリーズでこんなマジに純粋な怪獣プロレスが描かれたのは相当久しぶりのことだったので、怪獣同士の野生味溢れる泥臭いファイトを存分に楽しむことができたのは非常に良かったところでしたね(最近は怪獣同士のバトルがあってもどちらかが悪役ポジが変身するやつだったりしてて純粋な怪獣特有の荒々しさとかがもう一つ足りん感じがあったでね) あとまぁ正直な印象として、闇の3巨人が深くストーリーに掛かってこない方が進行はスムーズで見やすいな...と 作品の根幹を否定してるようなもんなのでどっちらけではあるのだけど

しかしアボラスとバニラ、原典を意識して古代人がカプセルに封印した設定がしっかり落とし込まれてたり、封印された理由が後付けながら用意されててそれが攻略の上で絡んできたりとけっこう細かに掘り下げられてはいたけど、肝心の活躍としてはイグニスを中心に据えた本筋の進行に注力した分ほぼ舞台装置的な扱いになっちゃってたのは少々惜しかった。カプセルから解放されるまでの流れも作業的にこなした印象があってイマイチ薄味という印象だったし、トリガーという作品の作劇上での扱いとしてはこういう感じとして割り切った方が良いのかもしれんけど、せっかくその話の中で活かせる余地もあったわけだし、怪獣をその回その回で引き立てられるような作品で取り上げて欲しかったなー...と個人的には

 

そんなアボラスとバニラの出現を受け危機に晒される街や人々、そして窮地に陥ったケンゴを救いたい一心からイグニスに助力を求めるアキトと、アキトのその想いを受け立ち上がるイグニスのやり取りが今回のドラマ面の肝となりました。第6話や前回のユナとのやり取りからも感じられる部分ではあったけど、「何かに理不尽に蹂躙される者達」「大切なもののために戦おうとする者達」に対しては、強大な存在を前に何もできないまま大切なものを奪われていく悲しみを知っている自身の境遇を踏まえた上で純粋に力を貸したいと思ってるとこあるって感じねイグニス ラストのアレがありつつもこの辺は本心だったと思うし良い感じにキャラの深みが出てた感じあるね

また、飄々とした態度で立ち回るイグニスの不敵さを訝しみつつも、ケンゴのピンチを救うのには彼の力が必要となれば躊躇せず助けを求めるというケンゴへの思い入れや、なんだかんだでイグニスの吐露した想いを信じ託そうとする気の良さなど、アキトが良い具合に味わいあるキャラ性を発揮してたのも良きところでありました。初期の頃の融通があんま効かなさそうな雰囲気に比べるとイグニスへの向き合い方の節々に柔軟さが出てるのは成長だなぁと思うし、その根底にあるのがケンゴへの友情というのがシンプルにグッとくる。一番変化してる人間ですよ 口癖の「ウザい!」もイグニス相手に飛び出してたけど、口の減らない皮肉屋なイグニス相手だと良いバランス感の掛け合いになっててここもまた良い取り回しだったなと 個人的な好みとしてはケンゴとの掛け合いよりもウィットに富んでて聞いてて面白いので好き

 

このアキトとのやり取りを経て、アキトの調整が入ったブラックスパークレンスでイグニスがトリガーダークとなり戦いに赴く、という流れと相成りましたが、一時はケンゴ達やイグニス本人をも振り回したトリガーダークの暴走というポイントが、アキトの有能さでかるーく処理する形に終わったのはちょっと物足りなかったなー、と思ったり。トリガーダークの力を手にしたことはイグニス本人のドラマに関わる要素であるわけだし、イグニス本人の力によって暴走を御す展開で盛り上げるとかあって欲しかったなぁ(というかそこに期待してた面が大きかった) イグニスの精神性自体は既に伴ってる的なことが第17話で示唆されてはいたし、実際のところ変身アイテムの不備だったってのは自然ではあるんだけど、ちょっと展開として身も蓋もなさすぎて物足りないって部分は大きいなと。アキトが調整を加える流れ自体はあるにしても、そこから使いこなせるか否かをイグニス自身の心に委ねる作劇にしたりして欲しかったかも

あとアキトがイグニスを独断で送り出したことに関して、隊長をはじめとしたGUTS SELECTの面々が触れる流れが殆どなかったのもちょっと味気ないところではありました。流石に次回改めて触れられそうなところなので今回だけでこれを良くないポイントだったとするのは尚早ではあるんだけど、今回、独断で前線に出たユナを叱責したり、ケンゴの救助を優先しようとするアキトを自身の苦渋を滲ませつつも引き止め街を守ることを命じたりと、隊長が防衛チームのリーダーとしての責任感の強さ(とその裏に秘めた仲間を大二に思う気持ち)を感じさせる姿を時折見せていたのが印象深かっただけに、仲間のことを想って独断に踏み切ったアキトの行動に対して隊長が何かしらのリアクションを見せる一幕があったりして、本エピソード中でその辺の描写の一貫性は出して欲しかったというかなんというか ケンゴをすぐに助けに行けないのを自身も歯痒く思うからこそ、アキトがイグニスを解放しようとするのを表向きには咎めつつも信じて託す、みたいな隊長の立ち回りをドラマに落とし込んで欲しかったみたいな感じ。こういうところで幾らでも積み上げはできるのに結局ケンゴ達3人をはじめとしたキャラ間でドラマが完結しちゃいがちなのが惜しいよなぁ

 

かくして救出されたケンゴが変身したトリガーも交えて2vs2のバトルが展開される巨大戦の画はシンプルに見応えがあって良きでした。トリガーvsアボラス、トリガーダークvsバニラを交互に展開させる絵作りはシンプルながらも画面上の彩りが出て楽しかった 強いて言えばアボラスバニラの攻略について「毒素が飛び散るので瞬時に焼き尽くすしかない」と言ってたのに、映像上の演出としては「爆破させてから飛び散った毒素を鎮める」という形になっててちょっとズレがあったのは引っ掛かったかなと あの言い方だとフルパワーの光線で毒素ごと一気に焼き払う、みたいなのを想像しちゃったからさ

そんな2人の共闘の様子を見て、絆を結んでゆく地球人達とどんどん心が離れていく自分達との対比に寂しげな様子を見せていたダーゴンさんがちょっと哀愁漂ってて涙を誘った() もうこっち来なよダーゴンさん...てかこんな長いこと引っ張る形になった闇の3巨人のゴタゴタの大きな一押しになったのが、ちょい役的な出番だったキリエル人なのどういうバランスやねんと感じるところではある こここそもっと本筋大きく絡める回でガッツリ深めておくところだった気がするなぁ

 

こうしてアボラスとバニラは2大巨人に撃破されたものの、突如イグニスによってユナが連れ去れていく事態に、というところで今回は締め。あんな良い感じにイグニスのキャラ深めたのにこんなオチにすんの!?と正直ちょっと困惑したけれど、流石に次回この辺の印象を話の軸にはしていくっぽいし、ケンゴ達の視点、イグニスの視点、双方からしっかり掘り下げてドラマを盛り上げて欲しいなぁ

 

 

以上、トリガー第21話でした。アキトの人間性の変化を絡めつつ、イグニスの内面に更に大きく迫ったエピソードとなっていました。大きく宣伝を打ってた2大巨人の共闘がもう一つドラマ的な盛り上がりに欠けてたり、細かな話の取り回しが気になったりと少々難はあったもののちゃんと面白かったので良かった 記事内でも言ってるけど闇の3巨人が絡まない方が話がまとまりやすくなってるの何というかどう言おうかという感じではある

ともあれ本筋のストーリーもどんどん佳境に入ってきたし、残りの展開にも注目したいところです

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた