AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

光の我が子

ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA

第24話「闇の支配者」

感想レビュー

 

 

カルミラがエタニティコアに触れたことで巻き起こる宇宙滅亡の危機を前にしたケンゴ達の姿を描く最終回一個前の今回のエピソード。クライマックスへ向けた盛り上げとして作品のメインテーマである「笑顔」を強調する感じの作劇であるのが窺えたけど、今までのストーリーでもなんか扱い方が漠然としていて劇的に活かされた印象のない「笑顔」という要素/ワードをくどいくらい入れてくる台詞回しがどうにも野暮ったかった印象は否めず、作品全体通して主軸を置くポイントがぼやぼやしてた皺寄せがここで大きく響いてしまったなぁ...と。ユザレの末裔としてコアの暴走を止めようとするユナの覚悟やそれを止めた上で必死に戦う仲間達といった流れもそれ自体はまぁ別に悪くない熱い展開だったと思うけど、前者は最近ユナの「自分はユザレの末裔だから云々」的な構図を擦りすぎたせいでここぞの劇的さに欠けた印象があったし、逆に後者は「GUTS SELECT」という単位での仲間同士の繋がりの描写の蓄積が少なすぎるせいであまり響くものがあまりなかったしと全体通しての諸要素のバランスのちぐはぐさが出てしまった感じだったし、結局最後の最後まで本作の作劇の不安定感や野暮ったさはあまり変わりそうにないなぁ...という印象を抱いたのが正直なところでした 前回カルミラがメガロゾーアになる前から遺跡のすぐ近くにいて戦う気満々だったのに今回いかにも待たせたな的な感じで出てくるという前半イグニスの描写のズレや、ケンゴの正体バレ展開が悪い意味で通過儀礼的にあっさり消化されて特にストーリーの流れに寄与しなかったことなど、ストーリーの蓄積や前後の接続をすっ飛ばして熱い展開のテンプレートを漫然となぞってたような感じもなんだかなと

 

ただ後半パートで描かれた、ウルトラマンとして戦いに赴く決意を示すケンゴと、彼を「たとえ光の化身だとしてもケンゴは自分の大切な息子」と受け入れ激励、笑顔を促すレイナさんの親子のやり取りは、「笑顔」という要素を話の流れの中でしっかり意味ある形で活用し、ティガの肝たるテーマの一つでありトリガーでも少し触れられていた部分であった「光であり人である」というテーマをトリガーという作品らしい形で昇華させた流れとして、ドラマ的にも凄く画になっていて良かったところでありました。自分がトリガーという作品に一番に期待してたことというのはやはり、ティガという作品の人気(がある要素)を形だけ取り出してお出ししてくることではなく、ティガという作品を形作った深みあるテーマ性およびその精神性を抽出し、トリガーという作品の中で改めて描き上げることだったので、今回のここの描写はズバリそこをしっかり押さえててそういうところでの評価もあったなと。レイナさんとケンゴの関わりが今までのエピソード中でもう少し描かれていれば(地球と火星とでビデオ通話し合うちょっとしたやり取りみたいな)もっと感じ入るものもあったかなと勿体なくはあるものの、それを補うだけの構図・演出的な深みはあったし、もっとこういう気の利いた作劇を見たかったなぁ...と思いつつまぁ満足度は高いポイントでした。

 

そんな今回のエピソードにて本作のラスボスとして登場したメガロゾーア、オーソドックスな怪獣体型ながら生々しいディテールの緻密さなどで存在感を発揮する第1形態と、 ガタノゾーア的な意匠がしっかり落とし込まれたデザインの第2形態とでそれぞれビジュアル的な良さはありましたが、演出的にもう一押しインパクトが足りなかったなぁ...と勿体無いところでありました。第1形態はなまじトリガー達が優勢になる流れの中に組み込まれてた分イマイチ強い印象を受けなかったし(オーソドックスな怪獣体型も相まってあんま良くない方のベクトルで「普通」な印象に収まってしまったなというか)、第2形態も2度目の出現の際には唐突にもう姿が変わってるという形での演出だった故に「変身」という妙味が活きずちと拍子抜けだったしと、デザインの良さ以上の味わいを引き出せなかったなぁと勿体無かったところでした(初戦での第1形態の演出をもっと圧倒的にした上で、なんとか撃破するもその後に第2形態へと変身しながら再生していく...みたいな強大さと更なる変身の絶望感で魅せる2段構成描き方をして欲しかった) あとメガロゾーアのことあんま知らない隊長達にわざわざ「邪悪な神」って言わせんでも良かったくない?とは 直接言わせるのは逆にわざとらしくて野暮だったかも でも市街地を闊歩する第2形態のシーンが、メガロゾーアそのものでなく街のセット自体を動かすような手法で演出されてたことで、あの重量感ある佇まいをしっかり映像で表現してたのはグッド

 

 

という感じで、トリガー第24話でした。やはり個人的な好感度的にどうしてもアガりきってないとこはありますが、ドラマ面でなんとか魅せた部分もあったのは良かったし、そういうのを少しでも期待しつつ最後までしっかり見届ける所存です。皆様も最後までお付き合いをば

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた