AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

光と闇と人

ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA
第25話「笑顔を信じるものたちへ ~PULL THE TRIGGER~」

感想レビュー

 

 

遂に来ました、ウルトラマントリガー最終回。エタニティコアの暴走を食い止め地球を救うための最終決戦を描く怒涛のフィナーレとなりました。

今回は前半から後半までメガロゾーアとの決戦を中心に描く流れとなっており、怒涛の勢いで熱い展開を詰め込んだ濃密な展開は最終決戦らしい仕上がりになっていたように感じるところでありましたが、身も蓋もないことを言うと全体的な構成としては良くも悪くも「いつもの坂本監督の最終回」的な印象を飛び抜けない感じだったというところであり、自分としては新鮮味を感じられずずっと平坦なテンションだったな...というのが正直なところ。ここ最近度々言ってるように自分自身のトリガーという作品への好感度がもうかなり下ではあるのでそういうバイアスかかってるというのは大きいですが、にしてもなんかこう、流れの組み方や要素の詰め込み方、要所要所の展開の織り込み方がギンガSとかジードの時とあんまし変わってないのがなんだかな...と感じるというか(良くも悪くも盛り上がる展開の定型を詰め込むスタイルであり、作品全体の盛り上がりと直結して燃えるか燃えないかが決まっちゃう趣が濃いから、そこにおいてトリガーには全然ハマんなかったなと)

 

でも「光であり人であり闇でもある」というケンゴのアイデンティティにフォーカスする形で、全て内包する自分自身だからこそ全てを受け入れ進んでいくというケンゴの想いを示し、トリガーという作品に一つ筋の通った部分を示せたのは評価できるところでしたね。ティガの「光であり人である」から一つ膨らませ「闇」という要素にもグッと寄った描き方でありつつも単純に要素を増やしただけでなく、「光の力を手にした者であるけれど自分は一人の人間として自分なりに考え生きていく」というウルトラマンになった人間としてのダイゴの在り方の答えを示した「光であり人である」と、「全て併せ持つからこそ自分は全てを受け止めて進んでいく」という自身のウルトラマンとしての出生を強さとして固めたケンゴのアイデンティティの集約である「光であり人であり闇でもある」とで、それぞれちょっと違った着地にしたのが良かったなと。漫然としたオマージュっぽい真似事でも、「ティガから時代が進んで闇も受け入れた!」と単純比較する感じの立たせ方でもなかったのは好感 原典たるティガを踏襲しつつ独自の味を出せた良ポイントとして評価できる部分であったなと思います(前回のケンゴとレイナさんの会話もそうだったけどこういうのこそ「NEW GENERATION TIGA」たるトリガーに求めてたものだったのでね)。

 

それ故に、ウルトラマンを応援する子供達、それが光となって集まり一つとなってトリガーの力になる、というティガ最終回の展開を重ねてくる流れは尚のことやらなくて良かったよなぁ...とは感じました。このご時世なのも相まってトリガーを応援し信じる大衆の姿が描けていない中で「もしこのままティガ最終回の流れを踏襲されるようなことがあったらなんかヤダな...」と思ってたところで、ケンゴという一キャラクターのキャラ性に焦点を当てて深める方向に舵を取ってきたのが良かったと感じた部分があっただけに、そこで今までトリガーのことを人々がどう思ってるかなどの蓄積が描写として全然無いのをすっ飛ばして結局擦ってきたのは余計ガクッとなっちゃったというかなんというか(これやるんだったらやっぱり今までにせめて1回くらいはトリガーを信じ受け入れる人々とかを描いておくべきだったよなとなるんですよねぇ(トリガーの本質やこれからの在り方を描いていくターニングポイントであった第11、12話とかで一般市民の様子の描写とかやっておけば数回だけの描写でも効果的だったと思うし。「ウルトラマンを応援する子供達」というテンプレートに委ねるだけで深まるメッセージ性ではないのでね...) ティガ最終回でティガと一つとなっていた子供達も「笑顔」であった、というところで笑顔こそ力だとしてトリガーのテーマ性と接続してきてたのは面白いポイントだったけどやっぱり積み上げの弱さは否めなかったし、その後各登場人物が「スマイルスマイル」を連呼するのもなんか決め台詞のゴリ押しみたいでちょっと強引でありげんなりしちゃったしと、やっぱりこの辺の気の利かなさとかは最後まで解消しきれなかったな...と感じてしまったところでした。

 

あとこれは個人的な好みの問題が特にゴリゴリに出た話ではあるけど、トリガートゥルースの登場自体はまぁ悪くはないもののそこに後々売り出す気満々の新アイテムの登場まで絡めてきたのはなんかこう、あざといというかヤラしさみたいなのが滲み出ちゃったよな、と感じてしまいました。最近のライダーシリーズではなんか定番化しようとしてる雰囲気を感じるけど、ウルトラシリーズでもやるかぁ...と思っちゃったんですよね 最終回で新しい形態が生まれるというのはウルトラシリーズに限らず色んな作品でもあるし驚きや燃えを感じる要素ではあるのですが、単純に作品の盛り上がりとの相乗がないとノリきれない者ではあるし、なによりそこに「新しいアイテムの販促」みたいなわざとらしさが加わると一気に萎れるというかなんというか(これは割と最近気付いたとこではあるけど)。ストーリー全体の積み上げや話の流れを活かして生み出すものであったり、今あるものを活用して生み出すものであるからこそのカタルシスや意外性あってこそ燃えるものではあるし、「これは熱い要素である注目されるもの」みたいな匂いをちょっとでも感じさせたらダメだよなぁとは感じる

 

という感じで色々引っ掛かったところはありつつも、前述したケンゴのアイデンティティの集約は述べた通り良かったところであったし、最後の別れの場面も「笑顔で見送ってなんかやらないからな」「笑顔にしたかったら1日でも早く戻ってこい(次に笑うのはまた会った時だ)」とケンゴとの絆を示しつつ「笑顔」というテーマを未来に向けてより前向きにかざし締めたアキトの言動がグッときたりと、ラストスパートには良き要素が多くここは素直の楽しめたところでした。もう映画でケンゴが戻ってくるのが決まってるので、今は眠りに就いているケンゴもいずれ目覚めみんなの下に戻ってくるだろう、的なビターさはありつつ凄く爽やかな締めが若干どっちらけになったのはアレだったが(でも映画の情報の公開が昨年末だったのを思うと、本来12月末の最終回後に満を辞して出すつもりだったのが五輪とかの影響による本編放送の延長で次の年の1月まで延びてしまい、でも映画情報の発表時期は変えられなかったのでこういう形になったんだろう、と思われるのでそこは気の毒だな...とは 序盤も序盤のうちに総集編入ったことといいこのご時世に振り回された点は率直に同情する)

あとメガロゾーアの撃破を人形爆破で締めてくれたのは良かったなぁと。第1話のゴルバーの人形爆破見てなんだかんだで期待値爆上がってた身ではある(それでこうなっちゃったのはそれ以上に色々アレではあるんだけども)ので、最後同じ形で締めて筋通してくれたのは良きであった

 

 

以上、トリガー第25話でした。遂に迎えた最終回、やっぱ予想を飛び抜けるようなインパクトはなくひっくり返るものはなかったけど、最後の方にトリガーならではの味を出せた部分があったなと感じられたところは観てきた甲斐はあったな、と感じるところでありました。

でもやはり一作品としてはなんだかなと感じる部分だらけだったし、ティガの名を背負って繰り出した作品としては期待以下であったと言わざるを得ないというなんとも言えない感じだったというのは正直な感想。最後の最後まで跳ね切らなかったのは惜しいなぁ...まぁこの辺はいずれ書くであろう総括で詳細に語れればなと。

ともあれ最後まで走り抜けた制作陣や演者さん達には素直に拍手を。半年間お疲れ様でした。

まだまだ映画もありますが本作の感想も一先ず区切りということで。次は3月にまた

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた