AnDrew’s小生意気レビュー記

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Revi×Vice=Revice

仮面ライダーバイス

第28話「怖れを超えて疾風迅雷!己を信じ一心同体!」

感想レビュー

 

 

「見ているだけじゃ、口だけじゃダメなんだと...それこそ『彼ら』に教えてもらったよ。行動こそ信念!!

お前...そんなこと言う奴だったのか狩崎...!仮面ライダーに殉ずる心はやっぱモノホンなんだな...「彼ら」が一輝とバイスのこと言ってるようにも自分が好きな「仮面ライダー」を指して言ってるようにも聞こえる台詞回しなのがニクい

鍛えてるからという割とざっくりした理由もあり、テクニカルな戦法を沢山見せたりとけっこう強かった狩崎デモンズだけど、バックファイヤによる強制変身解除が一定時間でかかるっぽいし今後頻繁に使うってことはなさそうね 有事の際の助っ人って感じか  ていうかそれを思うと、同じようなバックファイヤ受けてたのに抑え込んで無理矢理戦い続けてたヒロミさん改めておかしいな...となるな...バックファイヤ自体変身者の寿命を減らさせすぎないためのある種のアラート/セーフティみたいなものだったのかもしれんし、それを押して戦い続けられてしまうヒロミさんは別の意味でデモンズ向きすぎだったのかもなぁ 言っても止まらないが故に止める方便を作る必要があったから露悪的に振る舞った、的な当時のヒロミさんに対する狩崎の態度への考察はあながち間違いでなかったのかもしれない

 

暴走を極めていくジャックリバイス、そしてその先に待つ一輝とバイスの更なる進化...というところが軸となった今回のエピソード。冒頭ら辺でしか見られなかったけど、暴走がどんどんヒートアップして獣、というか恐竜みたいな唸り声と化していくジャックリバイスを演じる木村昴さんの演技めちゃんこ良かったですね ポジション的に今後ジャックリバイス出るか分かんないしもしかしたら実質最後かもしれない出番の中での印象付けとして良きであった

 

一輝が自身の精神世界にて、父・元太の姿を借り現れたベイルの誘いへの抵抗や鏡写しのごとく自身の姿を取って向かってくるバイスとの対峙を経て、家族を守り続けるという意志を新たにすると共に、今まで自分の心の寄り添い守り続けてくれていたバイスを今度は自分が守るという決意を示すことで覚醒する、という自分自身のもう一つの内面の化身にしてもう1人の自分たるバイス=自分自身の心に向き合う流れが今回のエピソードの見所。一輝1人では思い至れない事象に踏み込み一輝を後押ししてくれるバイスの一輝の深層心理の体現というキャラ性や、互いの不安に寄り添い支え合う一輝とバイスの関係性というところはこれまでにも何度かドラマの肝になっていたところであり(後者に関しては、バイスが一輝を支える場面の多かった前半に対し、最近は一輝がバイスを信じ支える場面が多くなっていたというところでストーリー面でもちょっと目を惹いていたところ)、それを改めて言語化して表すことで、それぞれの心を補い合い、互いに後押しし合うバディにして一つの存在というところを強調し両者の一心同体さをグッと高め、リバイ/一輝とバイスが「リバイス」として一つになる展開に説得力を高めてきたのは面白かったなと

 

ただ個人的に正直なところを言うと、この一輝とバイスの関係性の描き方という部分は今までの話の要所要所において何度か象徴的な演出などを交えて繊細めに描いてきたところであった分、仮面ライダーバイス」の誕生というある意味本作の切り札とも言える展開が繰り出されるこの局面において、けっこう直接的な言語化という形でそこを押し出したのは今までに比べるとちょっとだけ演出の味わいがグレードダウンしたように感じられて物足りなかったかなーと思ったり。今までの演出の集約としてここぞで明確に言葉にすることで醸される味わいというのがあったのもなんとなく感じられるのだけど、強いて言うなれば今までの演出が凄く良かった分(そんな演出が強化形態の連発という展開運びと連動して何度も入れ込まれたのもあって)、ちょっと拍子抜けしたかなというかなんというか。ざっくりとした肌感として、もうちょい繊細な演出で見たかったなというのがある  まぁここに関しては単に自分の中のハードルが高くなってたからというのが大きいんだが

また、一輝がバイスに向き合い覚醒する流れを描くにあたって「一輝が自分の内面と向き合う恐怖を実感する」および「一輝が今まで自分を守ってくれていたバイスに感謝を述べる」という構図が入れ込まれていたけれど、この辺がなんとなくストーリーの流れと微妙に噛み合ってる感じがしなかったのはちょっと気になったところであったなと。前者は一輝がもう1人の自分たるバイスと向き合うというところで関連付けた台詞だったのかもしれないけど、前回の話において一輝がバイスを信じ受け止める意志を見せていたのもあって一輝が自分の内面と向き合うことを恐れてるみたいな印象はあんまなかったのでどことなく雰囲気で言ったみたいな感じを受けてしまったし、後者は言う流れ自体はあって良かったとは思うものの「バイスと一輝の関係の真相が明らかになった第25話の直後とかに言っといた方が2人の関係性の深化として効果的に働いたんじゃない?」と思う面があっただけに、大二とカゲロウの決着やギフ様との感応によるバイスの暴走といったあれやこれに次々話の軸が移っていってややストーリー中の話題の鮮度が落ちてしまった感があったこのタイミングで取り上げたのはちょっと時期遅れ感が否めなかったし、という感じで総じてなんとなく話の軸からズレた絵作りになった感が否めなかったんですよね。特に後者に関しては、バイスがマトモな言葉も発せないくらい暴走しててその原因はギフ様にある、という状況が繰り広げられているのに、ギフ様の呪縛というところを蚊帳の外にやった上で、殆ど受け応えしてこないバイスを相手に一輝が感謝を述べるみたいなどこか「一輝とバイスの関係」というところに一方通行気味に注力したみたいな画になったのが引っ掛かったところだったなと感じたところ。ストレートに「一輝とより深く通じ合ったことでバイスも正気を取り戻し、2人で一つとなってギフ様の呪縛を真っ向から破る」みたいな質感の演出にしてた方が分かりやすかった気がするんですよね ちょっと本筋の進行と上手く噛み合わなかった感じあるなぁ

 

あとこれはフォロワーさんがちょっと触れてたところであるのだけど、一輝がバイスに「今まで守ってくれてたんだな...」と直接的に感謝を述べる流れにおいて、「実体化直後に幸実さんを食おうとした前科がある」「一輝が写真から消えていくことに何か知ってる素振りを見せつつ誰にも話さない」という今までのバイスの描写が少なからぬノイズになってる、というのは言われてみて「たしかに」って感じでちょっと気になっちゃったところでありました。実際問題、それら一つ一つにストーリーと兼ね合わせた上での納得のいきそうな考察を与えることはさして難しくはないのだけど、それらに対する明確な意図を示してない/周知させられてないまま一輝がバイスのことを明確に「バイスが守ってくれてた」みたいに言って信頼たらしめる流れに繋げたのは「じゃああれなんだったの?」ってことになっちゃって純粋に盛り上がれないとこに繋がってしまうんですよね...今までの一輝とバイスの関係性の深化においては、その場における両者いずれかの感情が起点になっていて、それを乗り越えることが一つトリガーとして上手くハマってたので、上述したバイスへの疑念はありつつも純粋に盛り上がれたところが大きかったけど、こと今回に至っては一輝がバイスを今まで以上に強く受け入れる流れとなってるだけに、バイスへの疑念というとこを残しちゃって進んだのは何気に致命的だった気が...となる部分が大きいなと。この辺、謎を引っ張ったままにした弊害という感じがする(後にどんな辻褄合わせがあったとしてもどうしても取り繕ったような印象を受けてしまうだろうし)ので、もう少し丁寧に回して欲しかったかなと思ってしまうね

 

こうして一輝/リバイとバイスが一つとなり、満を辞して誕生した仮面ライダーバイス...という熱い流れへ。正直個人的には上述した変身までの流れへの引っ掛かりが影響したことに加え、強化形態のデビュー戦としても今までの形態に比べるとこじんまりとした演出に収まった感があり、正直言うとちょーっと熱くなりきれなかったかなと。今までの強化形態覚醒回がドラマの流れ的にもしっかりハマってて盛り上がったしなぁ 惜しいところである それにサンダーゲイルのリバイス自体も、正直言っちゃうと個人的にはあまり好みなデザインではないんですよね 雷イメージであろう黄色の主張が強すぎてリバイとバイスのミキシング感がちょっと薄いし、ケバケバしい印象も受けてしまってツボに刺さらなかったな〜今後の活躍でもっと魅せて欲しいところである

でも風車を織り込んだサンダーゲイルバイスタンプのデザインに、1号オマージュの変身ポーズと、50周年作品らしさを出した演出は好き。ここがなんだかんだストレートにハマってるのは良いよね

 

そしてフェーズ4という境地に至りながらもリバイスによって撃破されたことでいよいよ後がなくなり、ギフ様にも見限られ吸収されてしまう最期を遂げることとなった...という感じで遂に長きに渡り台頭し続けた暴君オルテカも退場と相成りました。当初予想してたのと概ね同じ通り、自分が見下し利用していた有象無象と同じくギフ様に食い物にされ「世界は自分のものなんかじゃなかった」と痛感しながら逝く、という末路を辿ったけれど、その今際の際に思い出していたのが「アギレラ様やフリオくんと一緒にデッドマンズのトップとして多くの信者達を導いていた頃の記憶」だったのが彼のキャラ性を最後に一つ深めていて良きでありましたね。世界は自分を理解しないとずっと思ってたけど、思い返せば(曲がりなりにも、的な面もあるとはいえ)仲間や自分を信奉する者達に囲まれ共に同じ目的に向け進んでたあの頃が一番満たされていたのだ、と省みるようなあのカットは印象深かった。そこにもっと早く気付けていればなぁ...南無。

そんな最後の最後に自分の愚かしさに気付いたオルテカに対し、ただ静かに頷く仕草を見せた玉置くんの姿は何気に今回とても好きだったポイント。玉置くんすげぇご無沙汰だったけどどこおったんやワレ  友人の仇でもあるにっくき相手の哀れな最後に対し、かつての同僚としての情ゆえにか、その心を慮るかのような彼の根っこの優しさが窺える仕草を見られたのはグッときたね

またそんなデッドマンズサイドの描写の中でも、ギフ様から明確に突き放されいよいよ生きる気力も無しといった感じになってしまったアギレラ様の姿は印象的だったな...と。こういう時もいずれは来るだろうとは思ってたけど想像以上の憔悴っぷりできちぃ これからどうなるんだろうか 打ちひしがれるアギレラ様に「独りにさせません」と寄り添いつつも、それを拒否して彼女が行ってしまおうとする時には「独りにしないでください...」と涙ながらに彼女への思い入れ込みの自分の本心を打ち明ける、という感じでここでも玉置くんの人間味が光ってたのがまた良かった

 

そして戦況は一旦落ち着き、元太パパもベイルとの接触で記憶が呼び覚まされたのを受け身を隠す中、それぞれ別の勢力に身を置きつつギフ打倒に各々の信念を燃やす五十嵐兄妹や、同じ目的を見据えつつもすれ違う狩崎親子など、それぞれのスタンスが改めてくっきりと浮き彫りにされていく形で締め。狩崎親子の因縁というところも作品テーマ的には気になるところだけど、中でも強く目を惹いたのはフェニックスの膿を全て取り除くという意志を冷徹に、且つ強く燃やす大二の姿でしたね。最近本筋の進行に振り回されてどこか締まらない面があった分、カゲロウから受け継いだ冷徹さをしっかりキャラの強みとして強調しつつしっかりと今後の方針を示してきたのは良かったなと。今までにないくらい本筋をしっかり動かしていって欲しいところであるし、今後の活躍が楽しみである

 

 

以上、リバイス第28話でした。「仮面ライダーバイス」覚醒!!というところで一輝とバイスの関係にグッと近付き描いた作劇が目を惹いたながらも、全体的にズレた面がチラついたのが気になってしまったなーという感じの勿体無さも感じた惜しいエピソードだったなと。でもオルテカの最期や大二の決意をはじめ、要所要所でキャラの魅力が光ったのは良き。今後の話がどう取り回されていくのかという期待値は高まりましたね 楽しみにしときたいところ

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた