AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

復讐鬼「仮面ライダー」の転機

バイスレガシー 仮面ライダーベイル

第1話

感想レビュー

 

 

今作におけるベイルのアクション、感情剥き出しの泥臭く激しい攻撃って感じでTV本編の悠然としたファイトスタイルとはまた違ってたけど、坂本監督の演出も相まって凄くパワフルにハマっててカッコ良かったわね てかベイルってパワー強すぎて直接殴ったりしたら装着者の身体の方がぶっ壊れるみたいな設定だったはずだけど、この時はまだ大丈夫だったのかしら それともぶっ壊れてるけど後から治すの前提でやらされてる...?(後者だとしたらえっぐい)

 

仮面ライダーバイス第25話にてそのベールを脱ぎ姿を現した新たなる仮面ライダー仮面ライダーベイル、その変身者たる五十嵐元太...本名・白波純平を主人公とした、リバイス始まりの物語とも言えるストーリーを全5話にて描くスピンオフ作品、この度TTFCにて配信が開始されましたね。ベイルがそのベールを脱ぐ...なんつってw(????????????) 1話15分の全5話構成ということでけっこうボリュームあるし、TV本編においてほんのりと窺わされていた元太パパの過去もけっこう気になっていたので割と楽しみなスピンオフであり、そんな期待感を持って第1話を観させていただきました なかなか面白い作品だぞこりゃ

 

今回の第1話は、TV本編においても少しだけ語られた純平のベイルとしての悪魔狩りがメインとなって描かれており、両親の仇である「赤い悪魔」を探して来る日も来る日も悪魔を狩る空虚な日々に心が摩耗していく純平の姿を壮絶に描く演出が非常に強烈でありました。15分の短編ということで流石に多少巻いて描いてはいるものの、純平によるベイルドライバーへの押印のカットの連続挿入によって赤い悪魔への復讐心に取り憑かれ何度も戦いに身を投じていく純平の狂気の蓄積を印象付けてくる映像はシンプルながらもとてもインパクトがありましたし、初戦では訳も分からず必死に変身し戦うしかなかった純平が最後に変身した時には虚な表情で淡々と変身するだけになっているという、純平の人格の崩壊と嫌な意味での戦いへの慣れを同時に視覚的に突き付けてくる絵作りにも思わず息を飲んだところであったので、演出による壮絶さの説得力付けが見事でした。

 

またこの辺りのシーンは、純平役の和田さんによる感情のオンオフの切り替えが効果的に働いた演技も作品全体の画をグッと引き立てていて実に良かったなと感じるところ。序盤は戸惑いや憎悪といった純平の様々な感情の爆発を強い勢いで描き出しつつ、終盤の方では精神が摩耗した純平を文字通りに「虚」としか表現しようのない力無い目によって表現しこちらの背筋をぞくりと凍らせてくる、という真に迫る“パワー”のこもった演技で惹きつけてくるのが素晴らしく、良いキャスティングだったなぁ...と感嘆したポイントでしたね 生の演技で魅せる側面の強い舞台を主戦場とされてるだけあって、演技の迫真さに厚みが出るんだろうなぁ

キャスティングというところで言うと、ノアの所長である東山に村田充さんがキャスティングされてたのも個人的にはかなりビビッときたところ。村田充さんといえば童子やビショップ、レギオンといったホラー味さえ感じる狂気を孕んだキャラクターを演じられていることで仮面ライダーシリーズでは割とお馴染みなお方だけど、東山は丹精で端正で理知的な雰囲気を漂わせつつその裏に人の命を何とも思わない冷徹さが見え隠れするという今まで村田さんがライダーシリーズで演じてきたキャラとは一風変わったキャラ像になっており、それを僅かな尺の中で記憶に残る形で演じ上げてくる様は新鮮でとても引き付けられたんですよねぇ 良い感じにワル〜いキャラなのでどういうところに着地するかまで含めて楽しみである

 

そうして悪魔を圧倒的な力で次々に叩きのめしていく「仮面ライダーベイル」という異形の姿をした純平を立場上守られている側にある市井の人々までもが心の底から畏怖し、そんな彼らの姿に自身の異形の姿を省みた純平自身も更に狂気に陥っていく、という仮面ライダーの「異形の戦士」という要素を邪悪な形で踏襲した構図も非常にインパクトが強かった部分でありました。異形である苦しみの中にあろうとも、「人間の自由と平和のために」を原動力に、孤独に晒されようと戦う独自のヒロイックさを醸していくことが仮面ライダーの特徴であるのだけど、悪魔への復讐という自身の内にばかり収束していく動機の下、それがいつまで経っても果たされることのないままに空虚な戦いに身を投じなければならない純平は、満たされることがないまま自身が異形となり果てていき人から恐れられている事実にまで直面させられるので、心がぶっ壊れていく一方なんだろうな...と この対比の描き出し方は心にくるなぁ

そんな純平をいかにも「囁きかける悪魔」って感じの語り口調で誑かしてくるベイル(悪魔)の存在感よ...ツダケンさんの敬語喋りがTV本編のベイルとはまた違った色気あって良き

 

しかしそこにおいて、仮面ライダーベイルがただの異形の怪物ではなく、1人の人間であることを知ることとなる、という形で幸実さんが関わってくる、というところで引きとしたのはなかなかに劇的でしたねぇ。純平と幸実さんの関係という部分はTV本編においても大きなターニングポイントとして語られていたところだったし、その運命の出会いがこうして映像としてお出しされてきたのはシンプルにおおっとなるわけですよ 復讐を目的に戦い始めた仮面ライダーというのは過去にも多くいたけれど、彼らも自身に1人の人間として向き合う存在や自身が命を賭けて戦うに足る誰か/人々の存在があったからこそ単なる復讐鬼とはならなかったわけで、純平も幸実さんがいたからこそその心が救われていったというのを思うと、ちゃんと「仮面ライダー」なんやな...となるな(前述したような対比の構図だけでなく、 そこにプラスしてこの正統派な要素も描き出してくるのが粋だわね)

 

という感じで純平周りのドラマがメインとなった今回でしたが、本編に関わってきそうな「謎」が窺えたのも気になったところ。特に純平の両親の仇たる「赤い悪魔」がどう見てもバイスなのは明らかなんかの伏線だよなぁ...と。単に他の怪人のデザイン流用するだけならわざわざ主役張ってるキャラのバイスを利用するわけないし、何かバイスないしは一輝の存在にも掛かるキャラなのかなぁ ともあれこの先のエピにおいて注目したいところである

 

そしてED。テーマ曲「My dream」が現在と若い頃のそれぞれの幸実さんを演じられている映美さんと大久保さんが一緒に歌われてるというのはなかなか驚いたけど、どちゃくそ重い作品の雰囲気を最後の最後に和らげる凄く優しい曲で聴き入っちゃったわね...良曲だ この先の4エピソードの締めでもしっかり聴きたいね

 

 

という感じでベイル第1話でした。期待値は割と高かったけど実際にもなかなか見所多しで面白かった 一話一話は短編ながら全体としてはボリュームあるし、どのような物語が紡がれ、どのようにTV本編を引き立ててくれるのか楽しみであります 次回も楽しみだぞ

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた